ケルゼンの法実証主義の考え方がイマイチ理解できなかったので、論敵であるカール・シュミットの解説本を読んでみようと思った。
ある人物の思想を知るにはその批判者の本を読むのが手っ取り早いことがある。まっとうな批判者の批判であれば論点を明確にとらえられるからだ。
さて、筆者によると、法実証主義とは、裁判官などの恣意的な裁量によって実定法と異なる要素を法的判断に持ち込むことを排除する考えをいうとする。
それに対し、シュミットは人格的なものの関与なしに様々な法規範が自動的に組織化され、統一的な「秩序」を形成しているというのはおかしいと批判する。
そして、シュミットは法秩序を「自由な認識」によって「客観的に」把握できる主体=主権者へとつなげていき、後に「例外状況」において、決定権を持つのは「主権者」であるというあの悪名高い考えに行き着くことになる(ちなみにケルゼンは通常状態だけについてだけ見ているので、「法」の本質が解らなくなっているのだという)。
この部分を読んだだけで、シュミットがなぜケルゼンを執拗に批判しているのかが解る。
そして、もちろんシュミットの批判を通じてケルゼンの法実証主義もある程度理解が進むので、購入して読む価値は十分にある。
ちなみに、P277に掲載されている講義風景の写真で黒板に「H.L.A.ハート」の文字が見えるが、本文には書かれていない。
講義はされたが、本文掲載は見送られたのだろうが、非常に残念!
(もっとも、本文に「現代の法実証主義は、「法」を価値観抜きで記述することができるかを焦点にしている」という記述あり)
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カール・シュミット入門講義 単行本 – 2013/3/2
仲正 昌樹
(著)
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21世紀最も重要、かつ《危ない》思想家の主要著作と原文を徹底読解し、《危うく》理解され続けるキーターム「決断主義」、「敵/味方」、「例外状態」などを、その思想の背景にある彼が生きた時代と独特な世界観を探りながら、丁寧に解説。現代思想の第一人者による、本邦初の“本格的"入門書。
- 本の長さ496ページ
- 言語日本語
- 出版社作品社
- 発売日2013/3/2
- 寸法13.2 x 3.5 x 19 cm
- ISBN-104861824265
- ISBN-13978-4861824265
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登録情報
- 出版社 : 作品社 (2013/3/2)
- 発売日 : 2013/3/2
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 496ページ
- ISBN-10 : 4861824265
- ISBN-13 : 978-4861824265
- 寸法 : 13.2 x 3.5 x 19 cm
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- - 206位近代西洋哲学
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上位レビュー、対象国: 日本
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2016年9月5日に日本でレビュー済み
2023年7月21日に日本でレビュー済み
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本人の思想はどってことはないが、他人の思想の説明をさせると抜群、という秀才がいる。仲正氏もそうであるようだ。
ただ、自分の知識をひけらかしつつ、物語のようにあれこれと思想的迂路を辿るよりも、誤読覚悟でシュミットの「憲法」に直に切り込んでほしかった、と思う。それが彼の最高傑作なんだからね。
だが「憲法」はなかなかの曲者だからわざと回避したのかな。
ただ、自分の知識をひけらかしつつ、物語のようにあれこれと思想的迂路を辿るよりも、誤読覚悟でシュミットの「憲法」に直に切り込んでほしかった、と思う。それが彼の最高傑作なんだからね。
だが「憲法」はなかなかの曲者だからわざと回避したのかな。
2016年10月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
カールシュミットといえば、危ない思想家、ナチスドイツ法思想の理論的支柱等々、否定的な修飾語で語られてきました。著作自体を読んでも、用語の使い方、理論的前提、当時のシュミットが置かれた状況が全く見えないため、積読のまま、30年が経過しました。
最も気になっていたのは、大学の憲法の講義で参考書として『日本国憲法』(橋本公亘著)が指示されたので、読まざるをえなくなり、難解な表現が続出するなか、橋本先生がシュミットの理論的枠組みを使って日本国憲法の構造を説明していたこと。一般に危険な法学者であれば、批判する対象とするべきところ、シュミットの理論が正当であることを踏まえた日本国憲法の解釈が行われていたことが、何とも腑に落ちませんでした。
というわけで、本書を紐解くことに。結論。本当に読むべきシュミットの解説書がやっと登場したことを実感。個人的感想は以下の通り。
ケルゼン批判を通じて、ヨーロッパ法学に対する異議申し立てを法律学外部から行うことで、国家、政治、主権といった法律学内部では検証不能であった概念の定義を洗い出そうとシュミットが格闘したということ。その成果として結実したのが友敵理論、政治神学等々の諸概念であるということ。これは、ニーチェ以降の「反哲学」とも響きあうことに注意が必要です。
ただし、★二個の欠点は以下の通り。
○いつものことながら、話の本題と関係ない書誌学的な知識、語学プロパーの話題が多く
話が散漫な印象。
○逆に、押さえておくべき前提知識、周辺知識が抜けるので、位置づけは読者の力量次第。
例 ケルゼンの法実証主義 とウィーン学団の論理実証主義
ハートの内在的視点と外在的視点 シュミットの外部性
ホッブズの個人主義がアンチ アリストテレスであること
ヘーゲルが市民的社会を構想したのはアダムスミス等のスコットランド啓蒙思想の影響による
最も気になっていたのは、大学の憲法の講義で参考書として『日本国憲法』(橋本公亘著)が指示されたので、読まざるをえなくなり、難解な表現が続出するなか、橋本先生がシュミットの理論的枠組みを使って日本国憲法の構造を説明していたこと。一般に危険な法学者であれば、批判する対象とするべきところ、シュミットの理論が正当であることを踏まえた日本国憲法の解釈が行われていたことが、何とも腑に落ちませんでした。
というわけで、本書を紐解くことに。結論。本当に読むべきシュミットの解説書がやっと登場したことを実感。個人的感想は以下の通り。
ケルゼン批判を通じて、ヨーロッパ法学に対する異議申し立てを法律学外部から行うことで、国家、政治、主権といった法律学内部では検証不能であった概念の定義を洗い出そうとシュミットが格闘したということ。その成果として結実したのが友敵理論、政治神学等々の諸概念であるということ。これは、ニーチェ以降の「反哲学」とも響きあうことに注意が必要です。
ただし、★二個の欠点は以下の通り。
○いつものことながら、話の本題と関係ない書誌学的な知識、語学プロパーの話題が多く
話が散漫な印象。
○逆に、押さえておくべき前提知識、周辺知識が抜けるので、位置づけは読者の力量次第。
例 ケルゼンの法実証主義 とウィーン学団の論理実証主義
ハートの内在的視点と外在的視点 シュミットの外部性
ホッブズの個人主義がアンチ アリストテレスであること
ヘーゲルが市民的社会を構想したのはアダムスミス等のスコットランド啓蒙思想の影響による
2013年4月26日に日本でレビュー済み
本書の真骨頂は『政治的ロマン主義』の解説ではないだろうか。シュミット自身の親切で
ない書き方もあって、18世紀のロマン派の知識が相当ないと『政治的ロマン主義』は非常
に理解が難しいが、ミュラーやシュレーゲルの思想のエッセンスについてきちんと仲正先
生が解説してくれているので、シュミットが当時のロマン派の何を問題としていたかが、
はじめて明解に分かったような気がする。
仲正先生も45頁で指摘するとおり、要は、日本の伝統や文化への深い理解もないままに、
「天皇」や「靖国」といった記号にアニメ的な乗りで傾倒する一部のニセ右翼(=シュ
ミットが理解するロマン派)を、本当の保守派が胡散臭く思う。そんな心情がシュミッ
トにはあったということだ。正直、このシュミットの怒りは私もすごくよく理解できる。
さて、後半の『政治神学』『政治的なものの概念』解説は、内容的にもよく取り上げられる
本なので、たいした目新しさはなかった。それでも、下手な解説書よりはよっぽど上手
なんですが・・・。ということで、綜合評価は星4です。
ない書き方もあって、18世紀のロマン派の知識が相当ないと『政治的ロマン主義』は非常
に理解が難しいが、ミュラーやシュレーゲルの思想のエッセンスについてきちんと仲正先
生が解説してくれているので、シュミットが当時のロマン派の何を問題としていたかが、
はじめて明解に分かったような気がする。
仲正先生も45頁で指摘するとおり、要は、日本の伝統や文化への深い理解もないままに、
「天皇」や「靖国」といった記号にアニメ的な乗りで傾倒する一部のニセ右翼(=シュ
ミットが理解するロマン派)を、本当の保守派が胡散臭く思う。そんな心情がシュミッ
トにはあったということだ。正直、このシュミットの怒りは私もすごくよく理解できる。
さて、後半の『政治神学』『政治的なものの概念』解説は、内容的にもよく取り上げられる
本なので、たいした目新しさはなかった。それでも、下手な解説書よりはよっぽど上手
なんですが・・・。ということで、綜合評価は星4です。
2013年3月31日に日本でレビュー済み
必ずしも必要とは思われないたくさんの用語解説、人名解説、誤訳の指摘などが流れを阻害しているので、やたら分量が多いわりに、「なるほど!そういうことだったのか!」という読書体験が得られない点がもどかしい。仲正先生が物識りであることはビンビン伝わってくるのですが、肝心のシュミット思想の意義については現代日本の出来事をあてこする程度にとどめられています。
読書会の講義を起こしたもののようなのでやむを得ないかもしれないが、量を半分に圧縮して少し書下ろしを加えていれば、シュミット入門の定番になったかもしれません。
でも、貴重な入門書であることは間違いありません。
読書会の講義を起こしたもののようなのでやむを得ないかもしれないが、量を半分に圧縮して少し書下ろしを加えていれば、シュミット入門の定番になったかもしれません。
でも、貴重な入門書であることは間違いありません。
2013年6月4日に日本でレビュー済み
シュミットの重要著作、『政治的ロマン主義』『政治神学』『政治的なものの概念』『陸と海と』を解説した入門書。
シュミットは難解であり、概説も難解になりやすいのに対し、これは分かりやすく書かれているように感じた。
ただ、元々が読書会を文字に起こしたものであり、そのため本の一部が随所で引用され、それが詳細に解釈されていくという形式で、読書会にいれば分かりやすいのだろうが、本として読むといささか読みにくい。
細かい部分へのウェイトがかかり過ぎて、シュミットの思想の全体像があまりうまく掴めなかった印象である。
本の成り立ちからして仕方がないのかもしれないが、もう少し整理して、シュミットの全体像という感じの部分を半分ぐらいにして、残りの半分を本に寄り添って肉付けしていく、というタイプの方がすっきりしたように思う。
シュミットは難解であり、概説も難解になりやすいのに対し、これは分かりやすく書かれているように感じた。
ただ、元々が読書会を文字に起こしたものであり、そのため本の一部が随所で引用され、それが詳細に解釈されていくという形式で、読書会にいれば分かりやすいのだろうが、本として読むといささか読みにくい。
細かい部分へのウェイトがかかり過ぎて、シュミットの思想の全体像があまりうまく掴めなかった印象である。
本の成り立ちからして仕方がないのかもしれないが、もう少し整理して、シュミットの全体像という感じの部分を半分ぐらいにして、残りの半分を本に寄り添って肉付けしていく、というタイプの方がすっきりしたように思う。
2014年7月25日に日本でレビュー済み
シュミットは一筋縄ではいかない複雑な政治思想家です。従来は、「ナチスの御用学者」というイメージからか反面教師としての意味はあっても、そこから積極的な意味を見いだす人は少なかったと思います。
しかし、最近では、シュミットの所説にもっと積極的な意味や現代政治に対する貴重な示唆を見いだす人々が増えています。
この著書は、シュミットの主要な著作に解説を加えているもので、その意味でこの複雑な政治思想家の著作を読む上で貴重な入門書といえます。
ただ、ページ数の関係から、もう少し突っ込んだ解説が欲しいというところも散見され、それが星4つにした理由です。なお、本書とともに長尾龍一氏の「リヴァイアサン」(講談社学術文庫)を併読されて、シュミットの著書を読まれればさらに理解が深まると思います。
しかし、最近では、シュミットの所説にもっと積極的な意味や現代政治に対する貴重な示唆を見いだす人々が増えています。
この著書は、シュミットの主要な著作に解説を加えているもので、その意味でこの複雑な政治思想家の著作を読む上で貴重な入門書といえます。
ただ、ページ数の関係から、もう少し突っ込んだ解説が欲しいというところも散見され、それが星4つにした理由です。なお、本書とともに長尾龍一氏の「リヴァイアサン」(講談社学術文庫)を併読されて、シュミットの著書を読まれればさらに理解が深まると思います。