「吉野朔実追悼号」。
わたしは、少女漫画家としての吉野朔実を知らない。「本の雑誌」自体、小説家をやっていた頃、やや読書傾向が偏っているという指摘があったので、自分の趣味と異なる読書趣味に触れるために読むようになったものだ。そこで、エッセイマンガ家としての吉野朔実のみを知った。
だからわたしの中の吉野朔実のイメージは、本の雑誌に描かれた自画像と生活から推測される、頭が良い少年のような女性だ。
しかし吉野朔実はそれだけではない。いや、わたし以外の人から見れば、それとは全く別の人でもあったのだと、この号を読むとよくわかる。
普段の雑誌の構成を変更して、単行本には収められていないカラーの絵をたっぷり掲載し、彼女を知る人々、年代も性別も関係性もかえて、様々に証言を集めている。
それは、この複雑で重要だった人物を、安易に語ってはいけないのだと、わたしのような何も知らない人間にまで分からせるだけの静かで熱のある説得力である。
異例の増刷を行ってまで、この号を読みたいと望む人ほとんどに手に入るように配慮されたと聞いている。
「愛」と呼ぶのさえ安易ではないかと思えるほどの、誠意のある追悼号である。

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本の雑誌398号 単行本(ソフトカバー) – 2016/7/12
本の雑誌編集部
(編集)
特集:さようなら、吉野朔実
訃報から2か月半。4月20日を境に吉野朔実はいない、という事実をいまだに受け入れらずにいる人は少なくないだろう。しかし、いつまでも哀しいねえと嘆いてばかりいたら、吉野さんは「しっかりしろ」と怒るに違いない。そこで今月は吉野朔実という表現者の業績と人となりを振り返ってみることにした。朋友清原なつのの追悼マンガに桜庭一樹の追悼エッセイ、本誌連載「吉野朔実劇場」の登場人物12人によるおくる言葉集にアシスタント座談会、歴代担当者の声に藤本由香里の吉野朔実世界の分析、名言集に全漫画紹介、そして幻の原画を掲載する巻頭カラー口絵8ページまで、一挙50ページの追悼特集。25年間の本誌連載の御礼として、そして35年以上にわたり素敵な漫画を読ませてくれた感謝として開催する本誌なりの偲ぶ会である。さようなら、ありがとう、吉野朔実さん!
新刊めったくたガイドは、酒井貞道がジャズ・デント三部作を青春ミステリーの最高峰だ! と太鼓判を押せば、都甲幸治は無名の人々の生を描く『ワンダーボーイ』に感服。大森望が小林泰三の記憶ネタ見本市を見よ! と声を上げれば、円堂都司昭は怖いけど面白い『ブラック・ドッグ』におったまげ。沢田史郎が奥田亜希子『ファミリー・レス』にどっぷり浸かれば、青木大輔は江戸前カレイの秘密におっとびっくり! そして北上次郎は異色の老人小説(?)『半席』がすごいぞ! と大絶賛。表題作を読んで慶次郎縁側日記シリーズを思い出したのはなぜか。その答えは89ページだ。
そして今月はお待たせの上半期ベスト1も発表。2016年5月末までに出たエンターテインメントから独断と偏見でベスト10を選ぶエンターテインメント・ベスト10座談会に読者が選んだベスト1の2本立てだ。エンターテインメント・ベスト1に輝いたのはダメ男大好きおじさんが「小説は××だ! 」と推す『○○の○の○○○に』! さあ、読み逃し本をチェックしたあとは、団扇にスイカに蚊取り線香を用意して、活字三昧ニッポンの夏といこう!
今月は図書カード三万円使い放題! に米澤穂信が登場! 新宿紀伊國屋書店本店全フロアを踏破し、鷹のような眼で犬のように喜び回って購入した本とは何か!?52ページを注目だ! そして読み物作家ガイドはとみさわ昭仁が吉村昭の10冊を厳選。「昭」つながりで無限のコレクターが選んだ記録文学の大家の10冊は144ページだ。さらに西村賢太の「文豪ばかりが作家じゃないと、いつか教えてくれた人たち」がWEB本の雑誌へ移動のため急遽最終回なら、平松洋子「そばですよ」のツボちゃんと早稲田界隈の巻もいよいよ佳境。いざ、特別企画も連載陣も絶好調。本の雑誌8月特大号152ページ一気読みで、夏の猛暑もぶっ飛ばそう!
訃報から2か月半。4月20日を境に吉野朔実はいない、という事実をいまだに受け入れらずにいる人は少なくないだろう。しかし、いつまでも哀しいねえと嘆いてばかりいたら、吉野さんは「しっかりしろ」と怒るに違いない。そこで今月は吉野朔実という表現者の業績と人となりを振り返ってみることにした。朋友清原なつのの追悼マンガに桜庭一樹の追悼エッセイ、本誌連載「吉野朔実劇場」の登場人物12人によるおくる言葉集にアシスタント座談会、歴代担当者の声に藤本由香里の吉野朔実世界の分析、名言集に全漫画紹介、そして幻の原画を掲載する巻頭カラー口絵8ページまで、一挙50ページの追悼特集。25年間の本誌連載の御礼として、そして35年以上にわたり素敵な漫画を読ませてくれた感謝として開催する本誌なりの偲ぶ会である。さようなら、ありがとう、吉野朔実さん!
新刊めったくたガイドは、酒井貞道がジャズ・デント三部作を青春ミステリーの最高峰だ! と太鼓判を押せば、都甲幸治は無名の人々の生を描く『ワンダーボーイ』に感服。大森望が小林泰三の記憶ネタ見本市を見よ! と声を上げれば、円堂都司昭は怖いけど面白い『ブラック・ドッグ』におったまげ。沢田史郎が奥田亜希子『ファミリー・レス』にどっぷり浸かれば、青木大輔は江戸前カレイの秘密におっとびっくり! そして北上次郎は異色の老人小説(?)『半席』がすごいぞ! と大絶賛。表題作を読んで慶次郎縁側日記シリーズを思い出したのはなぜか。その答えは89ページだ。
そして今月はお待たせの上半期ベスト1も発表。2016年5月末までに出たエンターテインメントから独断と偏見でベスト10を選ぶエンターテインメント・ベスト10座談会に読者が選んだベスト1の2本立てだ。エンターテインメント・ベスト1に輝いたのはダメ男大好きおじさんが「小説は××だ! 」と推す『○○の○の○○○に』! さあ、読み逃し本をチェックしたあとは、団扇にスイカに蚊取り線香を用意して、活字三昧ニッポンの夏といこう!
今月は図書カード三万円使い放題! に米澤穂信が登場! 新宿紀伊國屋書店本店全フロアを踏破し、鷹のような眼で犬のように喜び回って購入した本とは何か!?52ページを注目だ! そして読み物作家ガイドはとみさわ昭仁が吉村昭の10冊を厳選。「昭」つながりで無限のコレクターが選んだ記録文学の大家の10冊は144ページだ。さらに西村賢太の「文豪ばかりが作家じゃないと、いつか教えてくれた人たち」がWEB本の雑誌へ移動のため急遽最終回なら、平松洋子「そばですよ」のツボちゃんと早稲田界隈の巻もいよいよ佳境。いざ、特別企画も連載陣も絶好調。本の雑誌8月特大号152ページ一気読みで、夏の猛暑もぶっ飛ばそう!
- 本の長さ152ページ
- 言語日本語
- 出版社本の雑誌社
- 発売日2016/7/12
- 寸法21 x 14.8 x 1 cm
- ISBN-104860113608
- ISBN-13978-4860113605
登録情報
- 出版社 : 本の雑誌社 (2016/7/12)
- 発売日 : 2016/7/12
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 152ページ
- ISBN-10 : 4860113608
- ISBN-13 : 978-4860113605
- 寸法 : 21 x 14.8 x 1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 872,484位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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