膨大な文献と聞き込みに基づく精緻な実証から炙り出された丸山眞男の実像が見えてくる。
戦前の帝国/軍国主義のもと、戦争と敗戦を体験し、民主主義を観念として捉えていた特権階級出の知識層の代表丸山真男と、逆に、戦争も敗戦も観念でしか捉えられないが、戦後の民主主義のもとに育ち、受験に勝利し東大生になり民主主義を体得している、いわば民主主義の申し子とも言える全共闘世代の学生達、その対峙が浮き彫りにされる。
戦後に「である」封建社会を批判し、「する」民主主義を標榜していた丸山真男は、逆コースに始まった政治状況の流れの中、何故か拒否されていたビザ発給が解かれ渡米する。その経緯や、米国、更に英国での好待遇も興味深い新情報ではないだろうか。
更に、帰国後、東大闘争時は、加藤総長代行に機動隊を入れる進言をしている点、等、彼の行動や言動の詳細な研究が丸山真男の実像を読書に伝えている。
最終的に自ら東大を退いた丸山の姿に彼の自己矛盾の苦悩が伝わってくるようだ。
民主主義は永久革命という丸山の思想は 虚妄の戦後民主主義への慰めにも聞こえるが、現在も尚、その延長にある我々が受け継がなければならない彼からの遺言といえないか。
多くの発見と思索のきっかけをくれる意義深い一冊である。
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丸山真男と戦後民主主義 単行本(ソフトカバー) – 2019/11/20
清水 靖久
(著)
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彼は、戦後民主主義の「虚妄」の方に賭けたのか、東大全共闘に「ナチもしなかった」と言ったのか――
戦後半年あまり民主主義に懐疑的であった丸山は、人民主権の新憲法と60年安保を経て「永久革命としての民主主義」の思想に至る。
その丸山は1960年代末の東大紛争で直面した困難にどのように応えようとしたか。
破滅的な戦争から再出発した日本のデモクラシーを丸山真男の軌跡とともに考える。
戦後半年あまり民主主義に懐疑的であった丸山は、人民主権の新憲法と60年安保を経て「永久革命としての民主主義」の思想に至る。
その丸山は1960年代末の東大紛争で直面した困難にどのように応えようとしたか。
破滅的な戦争から再出発した日本のデモクラシーを丸山真男の軌跡とともに考える。
- 本の長さ338ページ
- 言語日本語
- 出版社北海道大学出版会
- 発売日2019/11/20
- 寸法21 x 14.8 x 2.5 cm
- ISBN-104832968629
- ISBN-13978-4832968622
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商品の説明
著者について
清水靖久(しみず やすひさ)
1954年8月、広島県三原市に生まれる。
1984年3月、東京大学大学院法学政治学研究科退学。
1984年4月、九州大学教養部講師として社会思想史を担当。
現在、九州大学大学院比較社会文化研究院教授。
著書 『野生の信徒 木下尚江』(2002年2月、九州大学出版会)
1954年8月、広島県三原市に生まれる。
1984年3月、東京大学大学院法学政治学研究科退学。
1984年4月、九州大学教養部講師として社会思想史を担当。
現在、九州大学大学院比較社会文化研究院教授。
著書 『野生の信徒 木下尚江』(2002年2月、九州大学出版会)
登録情報
- 出版社 : 北海道大学出版会 (2019/11/20)
- 発売日 : 2019/11/20
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 338ページ
- ISBN-10 : 4832968629
- ISBN-13 : 978-4832968622
- 寸法 : 21 x 14.8 x 2.5 cm
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- - 9,726位政治 (本)
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トップレビュー
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2020年1月28日に日本でレビュー済み
2019年12月23日に日本でレビュー済み
本書は丸山真男のふたつのことばーー「戦後民主主義の「虚妄」の方に賭ける」(1964年)と(東大の研究室封鎖にたいする)「ナチもしなかった」(1969年)ーーを取り上げた。それはおそらく「まえがき」で示された著者の問題意識に起因する。
「近年では丸山真男の敗北や憂鬱や間違いを指摘しなければ著書が出版されない」が,その意味で「丸山論が終った」というのは「『丸山眞男集』だけ読んで丸山を論じる場合」である(p.2)。この著者の指摘は辛辣だ。安易な丸山理解とは一線を画し,あらためて丹念に事実をたしかめる必要性を宣言したものと感じられる。
実際,著者は群を抜いて徹底した資料調査を敢行した。丸山の手稿やメモの解読のみならず,国内外に関係者を訪ねることもいとわなかった。
その効果は,おもに本書の後半において発揮されたようにみえる。1960年代末の議論に関して,著者は本来丸山には「公表するつもりがなかった」(p.3)手記「春曙帖」からの生々しいことばを多数引用した。全共闘学生の叫びに直面した丸山の内的な葛藤ーーその両者対決の緊迫感が本書最大の魅力であるのは間違いない。
本書が丸山論ないし思想史研究の水準を引き上げたことは確実だろう。著者は今後の思想史研究にあまりにも重い課題を残した。
「近年では丸山真男の敗北や憂鬱や間違いを指摘しなければ著書が出版されない」が,その意味で「丸山論が終った」というのは「『丸山眞男集』だけ読んで丸山を論じる場合」である(p.2)。この著者の指摘は辛辣だ。安易な丸山理解とは一線を画し,あらためて丹念に事実をたしかめる必要性を宣言したものと感じられる。
実際,著者は群を抜いて徹底した資料調査を敢行した。丸山の手稿やメモの解読のみならず,国内外に関係者を訪ねることもいとわなかった。
その効果は,おもに本書の後半において発揮されたようにみえる。1960年代末の議論に関して,著者は本来丸山には「公表するつもりがなかった」(p.3)手記「春曙帖」からの生々しいことばを多数引用した。全共闘学生の叫びに直面した丸山の内的な葛藤ーーその両者対決の緊迫感が本書最大の魅力であるのは間違いない。
本書が丸山論ないし思想史研究の水準を引き上げたことは確実だろう。著者は今後の思想史研究にあまりにも重い課題を残した。
2019年12月5日に日本でレビュー済み
彼は、戦後民主主義の「虚妄」の方に賭けたのか、東大全共闘に「ナチもしなかった」と言ったのか――この内容紹介の宣伝文句を見て、重箱の隅をつつく通俗的興味本位的な丸山論かと思ったが、読んでみると違った。丸山の思想を内から理解するために、丸山自身の問題意識を把握しようとする歴史研究の労作であった。そもそも著者は、丸山が戦後、民主主義に賭けたが、戦後民主主義には賭けなかったと論じているのだから、「戦後民主主義の「虚妄」の方に賭けたのか」と問いかけるのがおかしい。また著者は、丸山が全共闘に「ナチもしなかった」と言ったか否かを論じるだけでは十分でなく、丸山が言うはずのないことを言ったとすればなぜか、どのような歴史的経験にもとづいて言ったかを考えると「まえがき」で書いているのだから、「「ナチもしなかった」と言ったのか」と問いかけるのも解せない。宣伝文句が本書の内容と違うので☆5-1。
著書によれば丸山真男は、根本的には良心の自由を重んじる自由主義者であったが、敗戦によって与えられた民主主義を自分たちのものにするために、日本社会の民主化をめざした学者であった。その1960年代の多岐な歩みをこれだけ明らかにした研究はなかった。東大紛争で丸山が全共闘の学生を戦後民主主義の継承者とは思えなかったことなどから、「すぐれた知性も行き詰ることがある」と著者は結論している。しかし全共闘は戦後民主主義の継承者であったのか、生前公表されなかった手記から丸山が行き詰まったと言えるのかなど、議論の余地はあろう。それでも丸山の思想の「批判的継承」を試みたが、東大紛争における丸山については「継承的批判」に傾いたと著者が「あとがき」で述べているのは重みがある。これ以上に丸山をその他性(他在でなく、p.141)において理解する研究は当分現れないであろう。丸山を論じるだけでなく、戦後史の分岐点として東大紛争を論じており、1969年の安田講堂の鎮圧で廃墟を見た人々に「歴史の断層」が生じたかなど、思考を触発する力作である。
著書によれば丸山真男は、根本的には良心の自由を重んじる自由主義者であったが、敗戦によって与えられた民主主義を自分たちのものにするために、日本社会の民主化をめざした学者であった。その1960年代の多岐な歩みをこれだけ明らかにした研究はなかった。東大紛争で丸山が全共闘の学生を戦後民主主義の継承者とは思えなかったことなどから、「すぐれた知性も行き詰ることがある」と著者は結論している。しかし全共闘は戦後民主主義の継承者であったのか、生前公表されなかった手記から丸山が行き詰まったと言えるのかなど、議論の余地はあろう。それでも丸山の思想の「批判的継承」を試みたが、東大紛争における丸山については「継承的批判」に傾いたと著者が「あとがき」で述べているのは重みがある。これ以上に丸山をその他性(他在でなく、p.141)において理解する研究は当分現れないであろう。丸山を論じるだけでなく、戦後史の分岐点として東大紛争を論じており、1969年の安田講堂の鎮圧で廃墟を見た人々に「歴史の断層」が生じたかなど、思考を触発する力作である。
2019年12月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
丸山真男論は山ほどあるが、本書は丸山の日記(春曙帖)手紙などを渉猟するとともに、関係者のインタヴューも緻密に行って、特に東大紛争期の全共闘と対峙した数年間の丸山の内面の動きを克明に再現し理解しようと試みた努力の成果である。焦点は戦後民主主義への丸山の理解に置かれている。東大紛争の事件史的展開はよく知られているので、簡便な記述になっているが、東大教授たち、丸山の友人などの行動もよく追跡しており、科学研究費に恵まれた歴史研究として、読みごたえがある。マイクロ・ヒストリーとしてよくここまで分析できたものだと感心するが、日記などを駆使して丸山の精神史と行動が詳細に分析されているから、丸山さんは大変だなと同情?もする。しかし、丸山の思想史の業績の理解とこの労作がどう関係するのかはあまり浮かび上がってこない。著者の戦後史理解の枠組みも示されていないので、物足りない点もあるが、しかし、1960年代後半の丸山の個人史をコンテクスト的に克明に分析している本書は、丸山は全共闘を誤解していたという指摘なども含めて、歴史研究として価値が高い。アメリカとの関係の叙述も啓発的だった。著者は大学紛争時に中学生だったという世代的隔たりが、知っているつもりになれないゆえに逆に感度の鋭い緻密な分析を可能にしたという印象がある。