発売から2カ月が過ぎましたが、まだAmazonのレビューは空白のままのようです。
ネットでの評判はおろか書店での平積み、ドラッカーの本を抜く売れ行きという現象を知っていたので、寝起きの頭ではなぜと思いました。
しかしそんなこと気付かないのが馬鹿というものです。というのは、みんな現実の拡張に顔を向けはじめていて、現実にレビューを誰かが誰かに対話や行動で行っているに決まっているからです。そしてそうなることすら、予期していたのがこの本と著者に決まっていて、読者に各自それぞれの未来に行ってもらうという、行動の「省略」にみごと成功しているからです。
なんだか昔の先生に似ていなくもありません。最初にレビューを書きたいという思いの一方で、お前に書く資格があるのかと自答していたはずが、先生への甘えから来る反抗心からか、書こうという開き直りに変わりました。
さて、もちろん私も未来に行かせてもらっています。
読めばお分かりの通り、この本には、書きたいことのほんの一部しか書かれていないと同時に、およそ無償の教育ともいうべき惜しげのなさで、「正解」と「正解の導き方(設計図)」が懇切丁寧に開示されています。どのページでも、破って取り出してみれば、その1ページ自体が、企画書、小説、手紙、感謝状、遺書となって、バサバサバサとページを継ぎ足していくのが分かるはずです。あ、実際に破らなくてもその位想像出来るはず、が正しい表現でしたが。
つまり、全く「目減り」するどころか、仮に小説としての一面だけを見ても、もうとっくに違う「物語」へと進んでいる本なので、さっさとレビューした方がいいという開き直りも可能でした。
そんな加速性の一方で、この本に満ちている重さはなんでしょう。
僕が、先程挙げた言葉ですが、この本は企画書という名称を纏いつつ、遺書でもあると言っているのはここにあります。もちろん、実際の死を取り上げているのではありません。
遺書とは、強烈な意志が伴わずしてそう呼べないものだとすれば、それは「さよなら」と言い換えられると思います。読者の方に聞きたいし共感を求めたいのですが、この本に溢れるユーモア、例えばマナー広告の一節に対して、ゲラゲラ、あるいはゲバゲバでもいいし、ニヤニヤでもフフフでもいいのですが、笑うだけで済むはずがなかったですよね?
僕はそこに悲しみを見て、さよならを見ました。つまり、「覚悟」を見ました。涙が出ました。誰にもおそらく、この機会は与えられてきた、素晴らしく、悲しい世界だったんだと直接的な言葉で言われなかったからこそ。矛盾に満ちた世界を、さらなる矛盾で覆い尽くしてくれた笑いだからこそ。
この本も多くの名著同様、読む人を未来に連れていくだけでなく、今に立ち還らせます。
今とは自分自身でしかなく、 他者は常に過去へと引き戻されていくものだからこそ、著者は他者と繋がり続ける世界を拡張し続けようとするし、周到で緻密な思考、「予め考える」ことをやめないのだと、僕は考えます。
そして著者はこの本がそうであるように、ある体裁を保っているようでみんなのための「場」を生んでいるのでしょう。やっぱりなんだか昔の先生に似ていなくもありません。それはもはやあなたと私だけの場ではないのです。三兄弟とはうまくいったものですね。
お分かりの通り感情剥き出しでもあるこの本がそうであるように、「なんということでしょう」ってさらけ出して、速攻で仲間に加えてくれるんです。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
AR三兄弟の企画書 単行本 – 2010/8/26
川田十夢
(著)
広告やプロモーションで注目され、「セカイカメラ」などで認知を得てきた「AR(拡張現実)」について、
第一人者がその可能性と未来を解説する。
異色のユニット「AR三兄弟」は、テレビ、ラジオ、雑誌、本、広告を舞台に活躍する。
その斬新なアイデアはどこから生まれるのか。未来へどのようなインパクトを与えるのか。
自らのノウハウも明らかにする一冊。
第一人者がその可能性と未来を解説する。
異色のユニット「AR三兄弟」は、テレビ、ラジオ、雑誌、本、広告を舞台に活躍する。
その斬新なアイデアはどこから生まれるのか。未来へどのようなインパクトを与えるのか。
自らのノウハウも明らかにする一冊。
- 本の長さ220ページ
- 言語日本語
- 出版社日経BP
- 発売日2010/8/26
- 寸法1.5 x 13 x 19 cm
- ISBN-104822248240
- ISBN-13978-4822248246
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
AR 三兄弟
プログラム・玩具・物語・テレビ・映画・ラジオ・音楽・自然現象など、
ユニークな題材をマッシュアップすることで、メディアの可能性を拡張し
続けている未来開発ユニット。その活動は多方面で反響を呼び、やまだか
つてないクリエイター像をうっかり築いている。
川田十夢(かわだ・とむ)
ALTERNATIVE DESIGN++ 主宰。AR 三兄弟の企画・設計者であり公私ともに
長男でもある。メーカー在籍時には特許開発に関わるなど技術にも明るく、
斬新な発想で企画・設計・デザイン・執筆・講演・司会など、多岐に渡る
活動を続けている。
プログラム・玩具・物語・テレビ・映画・ラジオ・音楽・自然現象など、
ユニークな題材をマッシュアップすることで、メディアの可能性を拡張し
続けている未来開発ユニット。その活動は多方面で反響を呼び、やまだか
つてないクリエイター像をうっかり築いている。
川田十夢(かわだ・とむ)
ALTERNATIVE DESIGN++ 主宰。AR 三兄弟の企画・設計者であり公私ともに
長男でもある。メーカー在籍時には特許開発に関わるなど技術にも明るく、
斬新な発想で企画・設計・デザイン・執筆・講演・司会など、多岐に渡る
活動を続けている。
登録情報
- 出版社 : 日経BP (2010/8/26)
- 発売日 : 2010/8/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 220ページ
- ISBN-10 : 4822248240
- ISBN-13 : 978-4822248246
- 寸法 : 1.5 x 13 x 19 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 734,779位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 480位マルチメディア
- - 2,823位コンピュータサイエンス (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2010年11月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年5月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
個人的に強く影響を受けたため評価が甘いかもしれませんが、
エンジニアの人にお勧めの本です。
ARが技術的にハイプサイクルでどうとか、
プロモーションの効果がどうかとかそんな話はさておいて、
エンジニアとして手が動かせることの強みと、
プランナーとか企画とか言われる人の仕事を
エンジニアが駆逐できる自信を持たせてくれる本です。
もはや書評ではないですが、この本に影響を受けた後に
プラン側に移動し、その後経営側に移ることとなりました。
エンジニアって良い路を選んだなと思わせてくれます。
逆にプ純粋プランナー系の人が読んだ場合、「ふ〜ん」で終わる可能性が高いかと思います。
エンジニアの人にお勧めの本です。
ARが技術的にハイプサイクルでどうとか、
プロモーションの効果がどうかとかそんな話はさておいて、
エンジニアとして手が動かせることの強みと、
プランナーとか企画とか言われる人の仕事を
エンジニアが駆逐できる自信を持たせてくれる本です。
もはや書評ではないですが、この本に影響を受けた後に
プラン側に移動し、その後経営側に移ることとなりました。
エンジニアって良い路を選んだなと思わせてくれます。
逆にプ純粋プランナー系の人が読んだ場合、「ふ〜ん」で終わる可能性が高いかと思います。
2010年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『AR三兄弟の企画書』をじっくり時間をかけて読了しました。
一番印象的だったのは、川田十夢さんが某大手ミシンメーカの面接で提出した未来が記してある履歴書。
そして、10年かけて全ての未来(約束)を実現した川田さん。
この部分がとても印象的で、「拡張」とは未来予測を通じた「自己実現」であると勝手に解釈しました。
一つ実現する度に、自分の能力も拡張。挑めば何事も拡張できるという自信をくれた一冊。
AR(拡張現実)の話だけでなく、川田十夢さんの生き方を通じて、多彩な拡張を知り、考えることができます。
超・オススメです。
一番印象的だったのは、川田十夢さんが某大手ミシンメーカの面接で提出した未来が記してある履歴書。
そして、10年かけて全ての未来(約束)を実現した川田さん。
この部分がとても印象的で、「拡張」とは未来予測を通じた「自己実現」であると勝手に解釈しました。
一つ実現する度に、自分の能力も拡張。挑めば何事も拡張できるという自信をくれた一冊。
AR(拡張現実)の話だけでなく、川田十夢さんの生き方を通じて、多彩な拡張を知り、考えることができます。
超・オススメです。
2015年1月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
講演の書き起こしのような本です。
内容はとても薄っぺらいですね。
ARもかなり認知されているので、今更、この本を買う必要はないと思います。
内容はとても薄っぺらいですね。
ARもかなり認知されているので、今更、この本を買う必要はないと思います。
2011年4月28日に日本でレビュー済み
確かに凄い人達だとは思いますが、
常に「俺凄いでしょ?」みたいな感じの書き方で少し疲れました。
常に「俺凄いでしょ?」みたいな感じの書き方で少し疲れました。
2011年4月15日に日本でレビュー済み
AR3兄弟の長男の川田十夢さんが自身の歴史からメディア論まで深い内容を掘り下げます。
自身の生い立ちから現在に至るまで
どのように自分を確立するに至ったか
過去の経歴
ARへののめり込み
作品構築に思考の流れ
メディアへの多岐に渡る、愛情溢れるメディア論
ARの未来
など、内容に手抜きが一切ありません。
川田十夢さんの表向きなゆるさに隠されたマグマのような情熱を感じ、読み手も熱くなれます。
自身の生い立ちから現在に至るまで
どのように自分を確立するに至ったか
過去の経歴
ARへののめり込み
作品構築に思考の流れ
メディアへの多岐に渡る、愛情溢れるメディア論
ARの未来
など、内容に手抜きが一切ありません。
川田十夢さんの表向きなゆるさに隠されたマグマのような情熱を感じ、読み手も熱くなれます。
2013年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
難しいと言うか、具体的なイメージが湧かないので、私の年齢(65)には無理かと思いました。
2019年7月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この数年来、ヴァーチャルリアリテイやポケモンgоなどのあたらしい技術身近なものになってきた。
ARと言うのも拡張現実と言う新しい技術でスマホを使って、色々な場所や物に映像を起こすものらしい・・。
らしい、と言うのも自分自身がよく分かっていないため。
アニメやゲーム、といった従来の使われ方ばかりではなく、今後は、もっと生活の様々な所に使われるに違いないと
思う。
この本の著者の川田十夢さんのユニット、AR三兄弟が出来て10年目の今年、
この企画書を読むと、ちょっとARが身近に感じられるかもしれない。
川田さんは今、深夜ラジオのパーソナリテイから舞台、テレビだけでなく、ネットで松岡正剛と対談もしているから、
その読書量にも驚かされる。
今注目される一人でしょう。
ARと言うのも拡張現実と言う新しい技術でスマホを使って、色々な場所や物に映像を起こすものらしい・・。
らしい、と言うのも自分自身がよく分かっていないため。
アニメやゲーム、といった従来の使われ方ばかりではなく、今後は、もっと生活の様々な所に使われるに違いないと
思う。
この本の著者の川田十夢さんのユニット、AR三兄弟が出来て10年目の今年、
この企画書を読むと、ちょっとARが身近に感じられるかもしれない。
川田さんは今、深夜ラジオのパーソナリテイから舞台、テレビだけでなく、ネットで松岡正剛と対談もしているから、
その読書量にも驚かされる。
今注目される一人でしょう。