■ 戦後民主主義に僕から一票 内田 樹
日本社会の劣化・・・戦後民主主義は " ボタンの掛け違い " に終始した。
民主主義を侵食する日本社会の「株式会社化」、廉直・誠実・高潔が欠如する渦の中にある政治、未だに制定過程の主体が問い続けられる憲法、貧して鈍して劣化が止まらない教育。
テーマの大枠は以上の四つ。
新書という " 立場 " 上、話の展開を限定・集中して語られる。
作家の半藤 一利氏の昭和史の総括「なぜこんな国になっちゃったのか、日本中焼け野原にして全面降伏なんてことになったのか、昭和史だけでもものすごい教訓に満ちている、きちっと教訓をつかみ取らないと・・・」が今、令和の時代に我々の前に同じ形で横たわっている。
しかし、掛け違えたボタンを直すどころか、とりあえず一度外す試みがなされる気配もない。
それを修正する回路のひとつは政治的課題としての " 政権交代可能な二大政党制 " の実現ではないか?
低位定着する野党の支持率、党首自身の「理由がわかりません」はお寒い限りだが、とりあえず共産党との連携を模索した今選挙はひとつの前進。塩野 七生氏のエッセイによると共産党が社会で一定認知されている国に " 二大政党制 " はないとのこと。これは言われてみれば成程と感じるところもあり、共産党が主体になるにせよ、他の野党が柱になるにせよ、支持政党に関わらず二大政党制への動きを支援することが結局は日本社会の劣化を止める近道ではないか。
堪え難きを耐え、忍び難きを忍び、取るに足らない(日本をどうするかという視点からはそうなる)党利、党義、私欲を一旦棚上げしなければ二大政党制への道はないと覚悟できるか ? 。
※ さらにタメ息と背中を冷たい物が動くのを実感するのであれば「コロナ後の世界」の併読を !!
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戦後民主主義に僕から一票 (SB新書) 新書 – 2021/11/6
内田 樹
(著)
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日本の国の根幹を支える「民意」の反映は、もう失われてしまったのか? 道徳的「インテグリティ」が欠如する政治,、日本社会が「株式会社化」する民主主義、沈黙の憲法制定過程問題、貧して鈍して劣化する教育、日本の未来を創るうえで最重要となる4大イシューを取り上げ、日本を代表する論客が日本のイディオクラシ―を批判するとともに、この国の未来を問う
はじめに
第1章
政治 道徳的「インテグリティ」の欠如
愛国的リバタリアンという怪物
政治指導者の資質とは
独裁者とイエスマン
対米従属のいくつかの病態
気まずい共生
リアリズムとは何か
第2章
民主主義 日本社会の「株式会社化」
民主主義の時代
「民主主義」解説
租税回避と国民国家の解体
対米従属テクノクラートの哀しみ
第3章
憲法 日本は狂うことを選んだ
憲法の話
憲法について
憲法と自衛隊
法治から人治へ
第4章
教育 貧して鈍して劣化する
教養教育とは何か
大学院の変容・貧乏シフト
大学教育は生き延びられるのか?
国語教育について
英語の未来
コロナが学校教育に問いかけたこと
おわりに
はじめに
第1章
政治 道徳的「インテグリティ」の欠如
愛国的リバタリアンという怪物
政治指導者の資質とは
独裁者とイエスマン
対米従属のいくつかの病態
気まずい共生
リアリズムとは何か
第2章
民主主義 日本社会の「株式会社化」
民主主義の時代
「民主主義」解説
租税回避と国民国家の解体
対米従属テクノクラートの哀しみ
第3章
憲法 日本は狂うことを選んだ
憲法の話
憲法について
憲法と自衛隊
法治から人治へ
第4章
教育 貧して鈍して劣化する
教養教育とは何か
大学院の変容・貧乏シフト
大学教育は生き延びられるのか?
国語教育について
英語の未来
コロナが学校教育に問いかけたこと
おわりに
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社SBクリエイティブ
- 発売日2021/11/6
- 寸法11.3 x 1.6 x 17.3 cm
- ISBN-104815608695
- ISBN-13978-4815608699
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商品の説明
著者について
1950年、東京生れ。神戸女学院大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒業。東 京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育 論、映画論など。『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞受 賞、著作活動全般に対して伊丹十三賞受賞。
登録情報
- 出版社 : SBクリエイティブ (2021/11/6)
- 発売日 : 2021/11/6
- 言語 : 日本語
- 新書 : 288ページ
- ISBN-10 : 4815608695
- ISBN-13 : 978-4815608699
- 寸法 : 11.3 x 1.6 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 55,883位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1950(昭和25)年東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒。現在、神戸女学院大学文学部総合文化学科教授。専門はフランス現代思想。ブログ「内田樹の研究室」を拠点に武道(合気道六段)、ユダヤ、教育、アメリカ、中国、メディアなど幅広いテーマを縦横無尽に論じて多くの読者を得ている。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第六回小林秀雄賞受賞、『日本辺境論』(新潮新書)で第三回新書大賞を受賞。二〇一〇年七月より大阪市特別顧問に就任。近著に『沈む日本を愛せますか?』(高橋源一郎との共著、ロッキング・オン)、『もういちど村上春樹にご用心』(アルテスパブリッシング)、『武道的思考』(筑摩選書)、『街場のマンガ論』(小学館)、『おせっかい教育論』(鷲田清一他との共著、140B)、『街場のメディア論』(光文社新書)、『若者よ、マルクスを読もう』(石川康宏との共著、かもがわ出版)などがある。
イメージ付きのレビュー

5 星
日本国憲法、米国憲法の「夢想と現実の齟齬」という指摘には、目から鱗が落ちました
『戦後民主主義に僕から一票』(内田樹著、SB新書)から、いろいろ学ぶことができました。●半藤一利について――「私は半藤さんの『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』をこの(過去の失敗に学び『二度目の敗戦』を避けることを目指す)タイプのドキュメンタリーとしては際立ってすぐれたものだと思っている。『すぐれたもの』というような査定的な形容をするのは失礼で、むしろ『ありがたいもの』と言うべきだろう。半藤さんがこれらの書物を書き上げるために、どれほどの時間と手間を注いだのか、それを考えると、たしかに私たちは『ありがたい』と首を垂れる以外にない」。ここまで言われては、『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』を読まないで済ますわけにはいきませんね。●政治家について――「日本の有権者たちはある時期から統治者に高い能力や見識や倫理的インテグリティーを求めることを止めた。そんなものは必要ないと思うようになった。それよりはむしろわかりやすい人気取り政策を行い、味方と身内を重用し、『政治的に正しい理想』を鼻先でせせら笑うような『等身大の政治家』を好むようになった。『人間なんて、所詮、そんなものだろう。だったら、それでいいじゃないか。そういう人間がトップで何が悪い』という、リーダーに期待しない態度がいつの間にか『リアリズム』と呼ばれるようになった。しかし、こういう態度を『リアリズム』と呼ぶことを許す社会にはもう先がないと思う。これはリアリズムではなく、ただの現状追認だからである」。リーダーに期待しない態度には先がないと、著者は警鐘を鳴らしているのです。●改憲派について――「改憲派の人々は憲法9条と自衛隊の存在の間に齟齬があることを耐え難いと感じているようであり、しばしば『こんな非常識な国は日本以外にない』と言い立てるけれども、それは間違っている。私が知る限り憲法の規定と軍隊の存在の間にもっとも深刻な乖離を抱え込んでいる国はアメリカ合衆国である。アメリカ合衆国憲法はそもそも常備軍の存在を認めていないのである。・・・陸軍は必要な時に召集されるべきものであって常備軍であってはならないと合衆国憲法(第8条の第12項)は定めているのである。それは、常備軍は必ず為政者に従い、抵抗権をふるう市民と敵対するということを経験的に知っていたからである。・・・常備軍を持たないことを規定した憲法を持ちながら、アメリカは世界最大の軍事力を持っていることになる。ここにはあきらかに乖離があるのだけれども、『現実と合っていなかいから憲法を改定しろ』という改憲運動がアメリカにあることを私は寡聞にして知らない。・・・(日本国憲法には)1946年時点で日本を占領していたGHQのニューディーラーたちの『アイディア』が込められている。彼らは『天皇制を持っている以外はアメリカみたいな国』を設計しようとしたのだと思う。・・・私は憲法と自衛隊の齟齬は、『憲法起草時点でアメリカ人が日本の軍事について夢想していたこと』と、その後の現実の齟齬として理解すべきではないかと思う」。著者は、議論すべきは、憲法と現実の齟齬を踏まえた「次の一手」だと言うのである。この日本国憲法、米国憲法の「夢想と現実の齟齬」という指摘には、目から鱗が落ちました。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年4月13日に日本でレビュー済み
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政治的な立場は色々とあるでしょうが、物事を深く理解し、思索することのお手本のような本です。ネットでしか情報を取らず、受け売りしかできない方はまずは読んでほしい本です。
2021年11月13日に日本でレビュー済み
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恥ずかしいことでも、自慢するようなことでもないが、私はこれまで内田樹という人の本を読んだことがない(たぶん)。新本も古本も持っていないと思う。
今回この本(キンドル)を買ったのは、新刊の新書で「戦後民主主義」という題がついていたからである。私は「戦後民主主義」という題に弱い。
私的感想
○「まえがき」で、「民主主義というのは非効率であるところが取り柄」を「変な話」としているのにちょっと白けた。(これはよくある話のように思えた)
○しかし、本文が始まってみると、第一章民主主義のうちの「民主主義の時代」「『民主主義』解説」、第三章憲法のうちの「憲法の話」「憲法について」は大変面白かった。
○ 第一章の残りと第三章の残り、第二章政治もまあまあ面白かったが、読みなれてくると、説得力が落ちてくるような感もある。ただし、ノスタルジアとしては十分楽しい。
○第三章教育は不調のように思えた。
私的結論
○ラストで失速の感もあるが、全体としては面白い本だった。
蛇足
○内田樹氏の本のうち、アンリミテッドで無料で読めるものを数冊読んでみた。一番古いのがデビュー作の『ためらいの倫理学』(2001年)で、古い本が多い。どの本も今読むとノスタルジア一杯で楽しい。いろいろ予言が外れているのも面白い。
○一番面白かったのは『「おじさん的」思考」で、第一章の国際関係論、戦後国際映画祭受賞論、憲法九条論、日本における多様性論、大学セクハラ論、多重人格論、第二章小津安次郎論、第三章の娘の旅立ち論は実に冴えていた。『ためらいの倫理学』は第二部のフェミニズム批判、上野千鶴子氏批判は、今読んでも(今読むとさらに)面白い。『疲れすぎて眠れぬ夜のために』はなかなか眠い話が続くが、最終章の、家族制度擁護、一夫一婦制擁護の話は面白かった。『おじさん的思考パート2』はなかなかつまらない。『寝ながら学べる構造主義』は読書中。
今回この本(キンドル)を買ったのは、新刊の新書で「戦後民主主義」という題がついていたからである。私は「戦後民主主義」という題に弱い。
私的感想
○「まえがき」で、「民主主義というのは非効率であるところが取り柄」を「変な話」としているのにちょっと白けた。(これはよくある話のように思えた)
○しかし、本文が始まってみると、第一章民主主義のうちの「民主主義の時代」「『民主主義』解説」、第三章憲法のうちの「憲法の話」「憲法について」は大変面白かった。
○ 第一章の残りと第三章の残り、第二章政治もまあまあ面白かったが、読みなれてくると、説得力が落ちてくるような感もある。ただし、ノスタルジアとしては十分楽しい。
○第三章教育は不調のように思えた。
私的結論
○ラストで失速の感もあるが、全体としては面白い本だった。
蛇足
○内田樹氏の本のうち、アンリミテッドで無料で読めるものを数冊読んでみた。一番古いのがデビュー作の『ためらいの倫理学』(2001年)で、古い本が多い。どの本も今読むとノスタルジア一杯で楽しい。いろいろ予言が外れているのも面白い。
○一番面白かったのは『「おじさん的」思考」で、第一章の国際関係論、戦後国際映画祭受賞論、憲法九条論、日本における多様性論、大学セクハラ論、多重人格論、第二章小津安次郎論、第三章の娘の旅立ち論は実に冴えていた。『ためらいの倫理学』は第二部のフェミニズム批判、上野千鶴子氏批判は、今読んでも(今読むとさらに)面白い。『疲れすぎて眠れぬ夜のために』はなかなか眠い話が続くが、最終章の、家族制度擁護、一夫一婦制擁護の話は面白かった。『おじさん的思考パート2』はなかなかつまらない。『寝ながら学べる構造主義』は読書中。
2021年11月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前書きから後書きまで、そうだよなぁ、そうだったのかぁ、の連続で膝が痛くなるほど叩きながら読みました(笑)
この内田節に、ほとんどの日本人が????であれば、日本は終わりです。
この内田節に、ほとんどの日本人が????であれば、日本は終わりです。
2021年11月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「公人」の「気まずい共存」(p122)に同意です。デモクラシーの「落としどころ」がわかれば、劣化を食い止められるかもしれません。「明日の現実を変えようとする」思いはあっても、現実的でない理想主義に共感できないだけではないでしょうか。「私人」の内田先生が衆議院選挙の結果をどう分析されるのかを楽しみにしております。
2022年1月11日に日本でレビュー済み
『戦後民主主義に僕から一票』(内田樹著、SB新書)から、いろいろ学ぶことができました。
●半藤一利について――
「私は半藤さんの『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』をこの(過去の失敗に学び『二度目の敗戦』を避けることを目指す)タイプのドキュメンタリーとしては際立ってすぐれたものだと思っている。『すぐれたもの』というような査定的な形容をするのは失礼で、むしろ『ありがたいもの』と言うべきだろう。半藤さんがこれらの書物を書き上げるために、どれほどの時間と手間を注いだのか、それを考えると、たしかに私たちは『ありがたい』と首を垂れる以外にない」。ここまで言われては、『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』を読まないで済ますわけにはいきませんね。
●政治家について――
「日本の有権者たちはある時期から統治者に高い能力や見識や倫理的インテグリティーを求めることを止めた。そんなものは必要ないと思うようになった。それよりはむしろわかりやすい人気取り政策を行い、味方と身内を重用し、『政治的に正しい理想』を鼻先でせせら笑うような『等身大の政治家』を好むようになった。『人間なんて、所詮、そんなものだろう。だったら、それでいいじゃないか。そういう人間がトップで何が悪い』という、リーダーに期待しない態度がいつの間にか『リアリズム』と呼ばれるようになった。しかし、こういう態度を『リアリズム』と呼ぶことを許す社会にはもう先がないと思う。これはリアリズムではなく、ただの現状追認だからである」。リーダーに期待しない態度には先がないと、著者は警鐘を鳴らしているのです。
●改憲派について――
「改憲派の人々は憲法9条と自衛隊の存在の間に齟齬があることを耐え難いと感じているようであり、しばしば『こんな非常識な国は日本以外にない』と言い立てるけれども、それは間違っている。私が知る限り憲法の規定と軍隊の存在の間にもっとも深刻な乖離を抱え込んでいる国はアメリカ合衆国である。アメリカ合衆国憲法はそもそも常備軍の存在を認めていないのである。・・・陸軍は必要な時に召集されるべきものであって常備軍であってはならないと合衆国憲法(第8条の第12項)は定めているのである。それは、常備軍は必ず為政者に従い、抵抗権をふるう市民と敵対するということを経験的に知っていたからである。・・・常備軍を持たないことを規定した憲法を持ちながら、アメリカは世界最大の軍事力を持っていることになる。ここにはあきらかに乖離があるのだけれども、『現実と合っていなかいから憲法を改定しろ』という改憲運動がアメリカにあることを私は寡聞にして知らない。・・・(日本国憲法には)1946年時点で日本を占領していたGHQのニューディーラーたちの『アイディア』が込められている。彼らは『天皇制を持っている以外はアメリカみたいな国』を設計しようとしたのだと思う。・・・私は憲法と自衛隊の齟齬は、『憲法起草時点でアメリカ人が日本の軍事について夢想していたこと』と、その後の現実の齟齬として理解すべきではないかと思う」。著者は、議論すべきは、憲法と現実の齟齬を踏まえた「次の一手」だと言うのである。この日本国憲法、米国憲法の「夢想と現実の齟齬」という指摘には、目から鱗が落ちました。
●半藤一利について――
「私は半藤さんの『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』をこの(過去の失敗に学び『二度目の敗戦』を避けることを目指す)タイプのドキュメンタリーとしては際立ってすぐれたものだと思っている。『すぐれたもの』というような査定的な形容をするのは失礼で、むしろ『ありがたいもの』と言うべきだろう。半藤さんがこれらの書物を書き上げるために、どれほどの時間と手間を注いだのか、それを考えると、たしかに私たちは『ありがたい』と首を垂れる以外にない」。ここまで言われては、『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』を読まないで済ますわけにはいきませんね。
●政治家について――
「日本の有権者たちはある時期から統治者に高い能力や見識や倫理的インテグリティーを求めることを止めた。そんなものは必要ないと思うようになった。それよりはむしろわかりやすい人気取り政策を行い、味方と身内を重用し、『政治的に正しい理想』を鼻先でせせら笑うような『等身大の政治家』を好むようになった。『人間なんて、所詮、そんなものだろう。だったら、それでいいじゃないか。そういう人間がトップで何が悪い』という、リーダーに期待しない態度がいつの間にか『リアリズム』と呼ばれるようになった。しかし、こういう態度を『リアリズム』と呼ぶことを許す社会にはもう先がないと思う。これはリアリズムではなく、ただの現状追認だからである」。リーダーに期待しない態度には先がないと、著者は警鐘を鳴らしているのです。
●改憲派について――
「改憲派の人々は憲法9条と自衛隊の存在の間に齟齬があることを耐え難いと感じているようであり、しばしば『こんな非常識な国は日本以外にない』と言い立てるけれども、それは間違っている。私が知る限り憲法の規定と軍隊の存在の間にもっとも深刻な乖離を抱え込んでいる国はアメリカ合衆国である。アメリカ合衆国憲法はそもそも常備軍の存在を認めていないのである。・・・陸軍は必要な時に召集されるべきものであって常備軍であってはならないと合衆国憲法(第8条の第12項)は定めているのである。それは、常備軍は必ず為政者に従い、抵抗権をふるう市民と敵対するということを経験的に知っていたからである。・・・常備軍を持たないことを規定した憲法を持ちながら、アメリカは世界最大の軍事力を持っていることになる。ここにはあきらかに乖離があるのだけれども、『現実と合っていなかいから憲法を改定しろ』という改憲運動がアメリカにあることを私は寡聞にして知らない。・・・(日本国憲法には)1946年時点で日本を占領していたGHQのニューディーラーたちの『アイディア』が込められている。彼らは『天皇制を持っている以外はアメリカみたいな国』を設計しようとしたのだと思う。・・・私は憲法と自衛隊の齟齬は、『憲法起草時点でアメリカ人が日本の軍事について夢想していたこと』と、その後の現実の齟齬として理解すべきではないかと思う」。著者は、議論すべきは、憲法と現実の齟齬を踏まえた「次の一手」だと言うのである。この日本国憲法、米国憲法の「夢想と現実の齟齬」という指摘には、目から鱗が落ちました。

『戦後民主主義に僕から一票』(内田樹著、SB新書)から、いろいろ学ぶことができました。
●半藤一利について――
「私は半藤さんの『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』をこの(過去の失敗に学び『二度目の敗戦』を避けることを目指す)タイプのドキュメンタリーとしては際立ってすぐれたものだと思っている。『すぐれたもの』というような査定的な形容をするのは失礼で、むしろ『ありがたいもの』と言うべきだろう。半藤さんがこれらの書物を書き上げるために、どれほどの時間と手間を注いだのか、それを考えると、たしかに私たちは『ありがたい』と首を垂れる以外にない」。ここまで言われては、『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』を読まないで済ますわけにはいきませんね。
●政治家について――
「日本の有権者たちはある時期から統治者に高い能力や見識や倫理的インテグリティーを求めることを止めた。そんなものは必要ないと思うようになった。それよりはむしろわかりやすい人気取り政策を行い、味方と身内を重用し、『政治的に正しい理想』を鼻先でせせら笑うような『等身大の政治家』を好むようになった。『人間なんて、所詮、そんなものだろう。だったら、それでいいじゃないか。そういう人間がトップで何が悪い』という、リーダーに期待しない態度がいつの間にか『リアリズム』と呼ばれるようになった。しかし、こういう態度を『リアリズム』と呼ぶことを許す社会にはもう先がないと思う。これはリアリズムではなく、ただの現状追認だからである」。リーダーに期待しない態度には先がないと、著者は警鐘を鳴らしているのです。
●改憲派について――
「改憲派の人々は憲法9条と自衛隊の存在の間に齟齬があることを耐え難いと感じているようであり、しばしば『こんな非常識な国は日本以外にない』と言い立てるけれども、それは間違っている。私が知る限り憲法の規定と軍隊の存在の間にもっとも深刻な乖離を抱え込んでいる国はアメリカ合衆国である。アメリカ合衆国憲法はそもそも常備軍の存在を認めていないのである。・・・陸軍は必要な時に召集されるべきものであって常備軍であってはならないと合衆国憲法(第8条の第12項)は定めているのである。それは、常備軍は必ず為政者に従い、抵抗権をふるう市民と敵対するということを経験的に知っていたからである。・・・常備軍を持たないことを規定した憲法を持ちながら、アメリカは世界最大の軍事力を持っていることになる。ここにはあきらかに乖離があるのだけれども、『現実と合っていなかいから憲法を改定しろ』という改憲運動がアメリカにあることを私は寡聞にして知らない。・・・(日本国憲法には)1946年時点で日本を占領していたGHQのニューディーラーたちの『アイディア』が込められている。彼らは『天皇制を持っている以外はアメリカみたいな国』を設計しようとしたのだと思う。・・・私は憲法と自衛隊の齟齬は、『憲法起草時点でアメリカ人が日本の軍事について夢想していたこと』と、その後の現実の齟齬として理解すべきではないかと思う」。著者は、議論すべきは、憲法と現実の齟齬を踏まえた「次の一手」だと言うのである。この日本国憲法、米国憲法の「夢想と現実の齟齬」という指摘には、目から鱗が落ちました。
●半藤一利について――
「私は半藤さんの『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』をこの(過去の失敗に学び『二度目の敗戦』を避けることを目指す)タイプのドキュメンタリーとしては際立ってすぐれたものだと思っている。『すぐれたもの』というような査定的な形容をするのは失礼で、むしろ『ありがたいもの』と言うべきだろう。半藤さんがこれらの書物を書き上げるために、どれほどの時間と手間を注いだのか、それを考えると、たしかに私たちは『ありがたい』と首を垂れる以外にない」。ここまで言われては、『ノモンハンの夏』と『日本のいちばん長い日』を読まないで済ますわけにはいきませんね。
●政治家について――
「日本の有権者たちはある時期から統治者に高い能力や見識や倫理的インテグリティーを求めることを止めた。そんなものは必要ないと思うようになった。それよりはむしろわかりやすい人気取り政策を行い、味方と身内を重用し、『政治的に正しい理想』を鼻先でせせら笑うような『等身大の政治家』を好むようになった。『人間なんて、所詮、そんなものだろう。だったら、それでいいじゃないか。そういう人間がトップで何が悪い』という、リーダーに期待しない態度がいつの間にか『リアリズム』と呼ばれるようになった。しかし、こういう態度を『リアリズム』と呼ぶことを許す社会にはもう先がないと思う。これはリアリズムではなく、ただの現状追認だからである」。リーダーに期待しない態度には先がないと、著者は警鐘を鳴らしているのです。
●改憲派について――
「改憲派の人々は憲法9条と自衛隊の存在の間に齟齬があることを耐え難いと感じているようであり、しばしば『こんな非常識な国は日本以外にない』と言い立てるけれども、それは間違っている。私が知る限り憲法の規定と軍隊の存在の間にもっとも深刻な乖離を抱え込んでいる国はアメリカ合衆国である。アメリカ合衆国憲法はそもそも常備軍の存在を認めていないのである。・・・陸軍は必要な時に召集されるべきものであって常備軍であってはならないと合衆国憲法(第8条の第12項)は定めているのである。それは、常備軍は必ず為政者に従い、抵抗権をふるう市民と敵対するということを経験的に知っていたからである。・・・常備軍を持たないことを規定した憲法を持ちながら、アメリカは世界最大の軍事力を持っていることになる。ここにはあきらかに乖離があるのだけれども、『現実と合っていなかいから憲法を改定しろ』という改憲運動がアメリカにあることを私は寡聞にして知らない。・・・(日本国憲法には)1946年時点で日本を占領していたGHQのニューディーラーたちの『アイディア』が込められている。彼らは『天皇制を持っている以外はアメリカみたいな国』を設計しようとしたのだと思う。・・・私は憲法と自衛隊の齟齬は、『憲法起草時点でアメリカ人が日本の軍事について夢想していたこと』と、その後の現実の齟齬として理解すべきではないかと思う」。著者は、議論すべきは、憲法と現実の齟齬を踏まえた「次の一手」だと言うのである。この日本国憲法、米国憲法の「夢想と現実の齟齬」という指摘には、目から鱗が落ちました。
このレビューの画像

2021年11月10日に日本でレビュー済み
おもしろくて一気に読んでしまった。そうそう、なるほど、そうだよね、確かに!とうなずき、膝をたたきながら。日本の戦後民主主義が敗戦により特殊な思考で構築され、そこから派生する憲法や政治などの現時点での日本の問題点がその過程に集約されているのだ、と理解した。
2021年11月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者がブログなど様々な媒体に発表した民主主義、政治、憲法、教育に関する文章をまとめたコンピレーションです。中には初出が10年ほど前と古いものもありますが、書き直したとのことで、今読んでも違和感ありません。つくづく思うのは、内田氏は依頼を受けて書いたものよりも、どこに発表する当てもなく、内なる思いを吐き出すように自発的に書いたものの方がはるかに面白いということ。本書はまさにそれで、内田節満開といったところです。特に日本はアメリカの属国であるという主張、改憲論への違和感、教育の衰退など、今の日本に抱く違和感の理由が一本の筋が通ったかのようにつながります。