「黙らない」「疑わない」「振り返る」「嵌められる」に続く、シリーズ5冊目。
内容的に前の「交渉人は嵌められる」と合わせて前後編となっており、こちらは後編です。
A.鮮やかな逆転
周囲で亡くなる人の多いやたらしんどい人生を送っている、芽吹。
そんな彼の最大のトラウマとなっている、殺人事件の容疑で弁護した親友の自殺。前巻でその事件に真犯人=教唆犯がいたことを示すUSBが手に入った。しかし、その犯人=天才詐欺師にUSBを奪われ、さらに兵頭まで。。
というところで始まった今巻。
兵頭を取られて凹んだり荒れたり、かと思えばまた拉致されて趣味の悪すぎる仕打ちを受ける芽吹。
大丈夫なのか、、
と不安になりつつ読んでいたら、
見事な逆転を見せてくれました。
どこから始まっていたのかわからなかったなあ。
だまされました。
読み返してここからだったかーと。
証拠が無理なら自白!
見事な発想の転換でした。
B.集まったチームとその周辺
今までのこのシリーズは、基本芽吹の一人称の語りでストーリーが展開し、最初と最後の章は他の人の目線となっていました。
今巻は話の流れの都合か、途中でも他の人の目線が多くなっていました。
α.集まったチーム芽吹
ネゴオフィスメンバーに智紀とアヤカちゃん、七五三野に、志津も加わり、一丸となって芽吹に協力してくれました。
さゆりさんはメンバーを叱りつつ励まして支え導いてくれました。お母さんのように。兵頭とのことも比較的冷静に客観的に見られていましたね。彼女周防組長のことを知っていたり、親友を亡くしていたりと色々な過去がありそうなのですが、その辺がシリーズで出てこなかったのが残念です。
意外だったのが智紀が結構芽吹が好きになっていたことですね。もちろんそうでなければこんな協力しないとは思うんですが、高く評価していて人格的にも好ましいと思っている。元々の彼の価値観が芽吹と一緒に過ごすことによって変わっていったというのも面白い変化でした。
β.松本と伯田と
個人的に面白かったのが、兵頭の舎弟の松本さん。
このシリーズでは兵頭の一人称は出てこないので、周囲の観察で彼の内面を推し量る、ということになるのですが、
ブリザード(笑)
隠しきれないブリザードが吹き荒れてましたか。
巻き添え食って気の毒に。
一人称でもなく事務所の人間視点でもない、芽吹のほのぼの日常が垣間見えたのも面白かったです。
芽吹は男受けする、とはいえ、やっぱりそっちでない男性には普通に顔のいい人止まりなのも現実的でしたねえ。
そして私のお気に入り伯田さん。
兵頭のまずい反応を見てやれやれと思いつつフォローする。
現状を冷静に分析もしているし、この人すごいよなあ。
それにしても、よく芽吹に協力しましたね。協力したらUSBは司法の手に渡ってしまうわけで、あんなに犯罪行為を繰り返して手に入れようとした重要ものを渡してしまってよかったのか。警察だってプロテクト外して調べるでしょうし、薬物関係の情報なら犯罪の証拠になるでしょうしねえ。このまま環に振り回されるよりはマシ、鵜沢に渡すよりはマシなのかもしれませんが。
γ.鵜沢は兵頭の裏
鵜沢も、兵頭と同じぐらい長く芽吹にこだわって執着していますよね。
高校時代から。憧れの人とか言って。
でも表現方法が乱暴すぎる上に、相手のことを全く考えていないからなあ。ただ欲望を満たすだけという。
一歩間違えれば兵頭もこうなっていた、かもしれない。
裏面でしょうかねえ。
C.もう一つの逆転
芽吹は兵頭を取り戻すのを諦めなかった。
二人の再会はもう涙が出そうでした。
もう芽吹に触れてもらえないと恐れる兵頭。
今までは兵頭が芽吹を求めていたのに、今度は立場が逆転して、芽吹が兵頭を求める形に。
流れで、、とかいっていた芽吹が、やっとこさ認識し口に出しました。兵頭は自分のものと。
それどころか激しい怒りと嫉妬をむき出しにして、兵頭に何度あいつを抱いたかと問い詰め、押し倒す。
「先輩は俺のもの」
から、
「お前は俺のもの」「俺は先輩のもの」
への逆転。
近づいて、触れて、抱きしめて、口付けて、嗅いで、なめて、含んで、かんで。
入って、締めて、動いて、感じて、浮かんで、放って、ぬれて。
ないて、ないて、ないて。
見つめ合い、いき合う
愛し合う
溶け合いたい
一つになって
永遠という幻想を抱きながら
本当の意味で両思いになった二人。
兵頭を取り戻せてよかったね、芽吹。
芽吹の元に戻れてよかったね、兵頭。
物語はもうちょっと続きます。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
交渉人は諦めない (SHYノベルス) 新書 – 2010/7/29
大人気の交渉人シリーズ第4弾登場!!
今回は2冊同時発売!!
交渉人は嵌められる→上巻
交渉人は諦めない→下巻
今回は2冊同時発売!!
交渉人は嵌められる→上巻
交渉人は諦めない→下巻
- 本の長さ236ページ
- 言語日本語
- 出版社大洋図書
- 発売日2010/7/29
- ISBN-104813012175
- ISBN-13978-4813012177
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 大洋図書 (2010/7/29)
- 発売日 : 2010/7/29
- 言語 : 日本語
- 新書 : 236ページ
- ISBN-10 : 4813012175
- ISBN-13 : 978-4813012177
- Amazon 売れ筋ランキング: - 237,912位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 11位SHYノベルズ
- - 2,205位ボーイズラブノベルス (本)
- - 18,549位新書
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
このシリーズは読む度に一気読みしてしまいますが、読む度何かを気づかせてもらえます。
今回の話はかなりシリアスで、芽吹の体も心も痛くて、読んでいてとても疲れましたが、それでも一時もページから手を離すことが出来ないくらい嵌ってしまいます。
ネタバレ注意↓
自分は変わろうとする人を信じている、いや、信じたい、という所から、自分は本当は人を信じることはできないのかもしれないと悩み、落ち込み、自分は人を信じることはできないかもしれないけれど、信じたいと思うことは諦めたくないと、芽吹が自分の弱さをとことん知って、そのたびに深く傷ついて、それを認めて、諦めずに進んでいこうとする、その過程が凄いです。
そして、最後のどんでん返しが凄い。踏みつけられて身も心もズタボロになりながらも、最後に環に一矢報いることが出来たのは、彼の信じる仲間の力の勝利でした。
信じられないのが当たり前なんだから、信じなくていいじゃないか、と思う環と、信じられなくても信じたいという気持ちを持っていたいと思う芽吹は似ているようで、全く反対の方向を向いている。
兵頭との関係も、芽吹のそういう気持ちがあってこそ続いていくのだろうなと思います。
今回の話はかなりシリアスで、芽吹の体も心も痛くて、読んでいてとても疲れましたが、それでも一時もページから手を離すことが出来ないくらい嵌ってしまいます。
ネタバレ注意↓
自分は変わろうとする人を信じている、いや、信じたい、という所から、自分は本当は人を信じることはできないのかもしれないと悩み、落ち込み、自分は人を信じることはできないかもしれないけれど、信じたいと思うことは諦めたくないと、芽吹が自分の弱さをとことん知って、そのたびに深く傷ついて、それを認めて、諦めずに進んでいこうとする、その過程が凄いです。
そして、最後のどんでん返しが凄い。踏みつけられて身も心もズタボロになりながらも、最後に環に一矢報いることが出来たのは、彼の信じる仲間の力の勝利でした。
信じられないのが当たり前なんだから、信じなくていいじゃないか、と思う環と、信じられなくても信じたいという気持ちを持っていたいと思う芽吹は似ているようで、全く反対の方向を向いている。
兵頭との関係も、芽吹のそういう気持ちがあってこそ続いていくのだろうなと思います。
2010年7月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
交渉人シリーズ第4作目。の、下巻。
あらすじ―
下町は両国に芽吹ネゴオフィスとして事務所を構える芽吹章は、嫁姑問題以外ならなんでもござれの交渉人。
そんな芽吹の恋人は泣く子も黙ると評判のヤクザ兵頭寿悦だった、ほんの少し前までは…
いまや兵頭は芽吹の敵でもある天才詐欺師・環の恋人となり、痛めつけられる芽吹を見ても顔色ひとつ変えない。
仕事も恋もうまくいかず、傷心の日々を送る芽吹だが、人を信じることをやめようとしない。
そんな芽吹に、環は苛立ちを隠さず…!?
俺は俺を信じる。人を信じていこうとしてる、自分を信じる!
すべてを懸けて、芽吹の反撃が始まる!?
上巻は、あれやこれやとバタバタしていましたが、下巻は辛い巻になりました。
芽吹が痛々しくて見ていられない!だけど、ページを捲る手は止まりません。
キヨ…凄く無口だけど、今回は頑張ってしゃべっていましたね。しかも、かっこいい事言ってました。
今回は、兵頭&芽吹の絡み(エッチ以外も)が少なくてちょっと残念。
でも、芽吹チームの活躍が見れて本当に良かった。
芽吹は、良い仲間に囲まれてます。
私も、これから甘栗食べまくります。
後、トモダチコレクターww買います!そして、交渉人メンバーで、恋愛させます。
あらすじ―
下町は両国に芽吹ネゴオフィスとして事務所を構える芽吹章は、嫁姑問題以外ならなんでもござれの交渉人。
そんな芽吹の恋人は泣く子も黙ると評判のヤクザ兵頭寿悦だった、ほんの少し前までは…
いまや兵頭は芽吹の敵でもある天才詐欺師・環の恋人となり、痛めつけられる芽吹を見ても顔色ひとつ変えない。
仕事も恋もうまくいかず、傷心の日々を送る芽吹だが、人を信じることをやめようとしない。
そんな芽吹に、環は苛立ちを隠さず…!?
俺は俺を信じる。人を信じていこうとしてる、自分を信じる!
すべてを懸けて、芽吹の反撃が始まる!?
上巻は、あれやこれやとバタバタしていましたが、下巻は辛い巻になりました。
芽吹が痛々しくて見ていられない!だけど、ページを捲る手は止まりません。
キヨ…凄く無口だけど、今回は頑張ってしゃべっていましたね。しかも、かっこいい事言ってました。
今回は、兵頭&芽吹の絡み(エッチ以外も)が少なくてちょっと残念。
でも、芽吹チームの活躍が見れて本当に良かった。
芽吹は、良い仲間に囲まれてます。
私も、これから甘栗食べまくります。
後、トモダチコレクターww買います!そして、交渉人メンバーで、恋愛させます。
2016年7月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
泣きながら読んでました。本当に見事な詐欺だなぁ、と。殴られた舎弟が可哀想だった。それにしても、イラストがひどい。初巻と同じ人が描いたと思えません。
2010年8月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「嵌められる」「諦めない」を止めどころが分からず一気に読破しました。
私はどちらかといえば環タイプなので…疑いつつ、あやしいなー、ホントはこうなんじゃないかなーと読んでましたが、最後の大団円にはなるほど!と思わされてしまいました。
この作品はセンシティブなテーマを扱ってますが、重くなりすぎない。テンポのいい展開と小道具に会話。味のあるキャラクター。けれど軽くならない。
それらのバランスがほんと絶妙です。
そしてここ!というタイミングの濃厚な絡みシーン……!
挿し絵も「嵌められる」のカラーイラストに切なくなりましたが、トモコレにはにやにやしました。
こんなクオリティの作品を読んだ後だと、なかなか次のBLを手に取れません!しばらくは余韻に浸ります。
いつも榎田先生は期待の更に上を行っておられて、次の作品も楽しみです。
まだの方には是非読んでもらいたい、思わずススめたくなる作品です。
是非、すこし頭を軽くして騙されたつもりで読んで頂きたいです。
私はどちらかといえば環タイプなので…疑いつつ、あやしいなー、ホントはこうなんじゃないかなーと読んでましたが、最後の大団円にはなるほど!と思わされてしまいました。
この作品はセンシティブなテーマを扱ってますが、重くなりすぎない。テンポのいい展開と小道具に会話。味のあるキャラクター。けれど軽くならない。
それらのバランスがほんと絶妙です。
そしてここ!というタイミングの濃厚な絡みシーン……!
挿し絵も「嵌められる」のカラーイラストに切なくなりましたが、トモコレにはにやにやしました。
こんなクオリティの作品を読んだ後だと、なかなか次のBLを手に取れません!しばらくは余韻に浸ります。
いつも榎田先生は期待の更に上を行っておられて、次の作品も楽しみです。
まだの方には是非読んでもらいたい、思わずススめたくなる作品です。
是非、すこし頭を軽くして騙されたつもりで読んで頂きたいです。
2010年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
BLとは思えないほど主人公芽吹の心境が掘り下げてあると思います。
芽吹が人を信じたいと思いながら、どこかでそれは自己満足でしかないと気付いているところや、ラストで兵頭が環と寝たことを理性ではしょうがないと自分に言い聞かせながらも、感情がついていかないところなど、心理描写が本当に丁寧。
わたしはこの作品の魅力は芽吹の人間くさい悩みや葛藤を丁寧に表現しているところだなぁと思いました。
芽吹が苦しくて葛藤して、それでも踏ん張ろうとしている姿にはすごく共感したし元気をもらいました。
あと主役以外の登場人物もみんな個性的でとっても魅力的。
12月に発売されるというキヨと智紀のお話は本当に楽しみだなぁ。
それにしても、今回は甘さ控えめでしたね。
正直もう少しラストで甘い2人を読みたかったな。
それまであまりに辛かっただけに、あのぐらいじゃ満足できない!て感じでした。
人気作だけに賛否両論あると思いますが、わたしは文句なし★5!
芽吹が人を信じたいと思いながら、どこかでそれは自己満足でしかないと気付いているところや、ラストで兵頭が環と寝たことを理性ではしょうがないと自分に言い聞かせながらも、感情がついていかないところなど、心理描写が本当に丁寧。
わたしはこの作品の魅力は芽吹の人間くさい悩みや葛藤を丁寧に表現しているところだなぁと思いました。
芽吹が苦しくて葛藤して、それでも踏ん張ろうとしている姿にはすごく共感したし元気をもらいました。
あと主役以外の登場人物もみんな個性的でとっても魅力的。
12月に発売されるというキヨと智紀のお話は本当に楽しみだなぁ。
それにしても、今回は甘さ控えめでしたね。
正直もう少しラストで甘い2人を読みたかったな。
それまであまりに辛かっただけに、あのぐらいじゃ満足できない!て感じでした。
人気作だけに賛否両論あると思いますが、わたしは文句なし★5!
2017年8月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
なんか大好きな作品だったのに
読めなくなりました。
パラパラみて兵頭と環が数え切れないくらい
するとか辛すぎる(ToT)
やだー(;O;)
芽吹の事好きとかあなただけとか言っときながらその程度なんだ〜と思いました。
他の手段はなかったのでしょうか、、、。
器の小さな私には理解できませんでした。
3巻まででやめとけば良かった。
この巻読んでいっきに冷めてしまいました。
この本は手放します。
読めなくなりました。
パラパラみて兵頭と環が数え切れないくらい
するとか辛すぎる(ToT)
やだー(;O;)
芽吹の事好きとかあなただけとか言っときながらその程度なんだ〜と思いました。
他の手段はなかったのでしょうか、、、。
器の小さな私には理解できませんでした。
3巻まででやめとけば良かった。
この巻読んでいっきに冷めてしまいました。
この本は手放します。
2010年8月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前作で予感はあった。 次は必ず「俺が殺した」男の話。 きっと兵頭曰く白薔薇みたいだった芽吹が今の芽吹になったターニングポイントの話。 今までの四巻はここに辿り着く為の四冊だったとすら思った。 だから信じている自分がいる。 少なくとも私はそう、信じていたからただただ芽吹と兵頭の心を読み取る事に没頭した。 素晴らしい絆も小技もカッコいい台詞も新しい脇役達も、事件すらも二人の額縁だった。 かつてこれはもはやBLではない、なんて思ったのは間違っていた。これはLOVEを書いた本でした。 他のレビューにもある挿絵に関してですが、私は過去四冊より好きです。 私の中に各キャラクターに文面からイメージされた具体的画像があるのだけど、今回の二冊はそれを邪魔せず、想像を掻き立てるスタンスで書かれていたように思う。 ちなみに私の七五三野のイメージはチョイゴツの伊勢谷友介氏です(笑)