本書は、集英社インターナショナル刊「マーク・ピーターセンの英語のツボ」(2008年)に加筆・修正を加え、さらに2008年から2010年に亘って「朝日ウィークリー」に連載された記事を添えて文庫化されたものである。
全91のトピックは、英語の語法だけにとどまらず、文学作品、映画や音楽などのエンタメ、政治スキャンダル、日英のリーダー選び、反戦、宗教、宇宙などなどと、かなり幅広く、そして深い。それぞれのトピックは3ページ完結の形で、先ず「トピック・タイトル」、その後に 2~3行の「様々なメディアからの引用(記事)」と「日本語訳」が続き、さらに2ページにわたる「解説」が並ぶ。この「解説」の後には、引用された作品や作者、俳優や政治家などの紹介文が続く。最後の 3ページ目は Everyday English と題され、「引用(記事)」の中に使われている「単語の日常的な使い方」の説明があり、すぐにでも役に立ちそうだ。このセクションの最後には、[語句の注釈] もついている。
例えば、一番最初のトピックは次のような具合だ。
(トピック・タイトル):「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の「うそっぽさ」を表す英語
(引用(記事)):It was the phoniest conversation you ever heard in your life. (Holden Caulfield. in The Catcher in the Rye)
(日本語訳):「超うそっぽい会話だった。」
ホールデン・コールフィールド。『キャッチャー・イン・ザ・ライ』より
(解説):(*この部分は 2ページに亘るので、僭越ながら評者が要約させてもらった)
この引用文には英語のレトリックの特徴が 2つある。1つは「一般論のyou」、2つ目は “you ever heard in you life” という「誇張法」だ。原作で頻繁に使われている形容詞 phony は、「気取っ
ていて、なんだか誠実さが無さすぎる、偽善ぽい感じ、うそっぽさ」を表す言葉だが、例えば、村
上春樹 (2003) や 野崎孝 (1984) では、それぞれ「こんなインチキな話」とか「あんなインチキな会
話って」などと訳されている。この「インチキ」は不自然だ。橋本福夫 (1952) の「うわっ調子な会
話」も、またちょっと違うかもしれないが、「インチキな」よりはマシ
(Everyday English): ここでは、“hear”が取り上げられ、hear of「~があるということを耳にしている」と hear about「~について詳しいことは何も聞いていない」という違いがあることが、例
文と共に紹介されている。
「文庫本」には、ジーパン(ジーンズ)のポケットに入れて持ち歩き、待ち合わせなどの細切れの時間に気軽に読むもの、という感覚があるが、本書はちょっとそういう訳にはいかない。じっくりと読破しなければ勿体ない「良書」である。
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マーク・ピーターセンの英語のツボ 単行本 – 2008/3/26
マーク・ピーターセン
(著)
映画スター、大統領たちから学ぶ使える英語
ベストセラー『日本人の英語』の著者が、ベッカム、オバマ、メル・ギブソン、ブッシュなどの名言・迷言をとりあげ楽しく解説。ネイティヴに通じる生きた英語を使うための“英語のツボ"を教えます。
ベストセラー『日本人の英語』の著者が、ベッカム、オバマ、メル・ギブソン、ブッシュなどの名言・迷言をとりあげ楽しく解説。ネイティヴに通じる生きた英語を使うための“英語のツボ"を教えます。
- 本の長さ176ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社インターナショナル
- 発売日2008/3/26
- ISBN-104797671750
- ISBN-13978-4797671759
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登録情報
- 出版社 : 集英社インターナショナル (2008/3/26)
- 発売日 : 2008/3/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 176ページ
- ISBN-10 : 4797671750
- ISBN-13 : 978-4797671759
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,503,221位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 9,355位英語よみもの
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2016年9月29日に日本でレビュー済み
本書は、日本語にとても堪能な英語のネイティブであるマーク・ピーターセンさんによるエッセイ本です。
英単語、英語の言い回し1つ1つに対してネイティブが抱いているイメージを、「日本語で」且つ「分かりやすく」説明してくれる。ピーターセンさんのようなお人は、稀有で貴重な存在と言えます。
それ自体は『日本人の英語』シリーズから変わっていないのですが、本書では少し形を変えて、様々な著名人による英語表現を取り上げつつ、そのニュアンスとイメージを教えてくれます。それも、滑らかな日本語で。
本書でピーターセンさんが教えてくれる言い回しのニュアンスを、以下にご紹介しましょう。
* phony・・・「気取っていて、何だか誠実さが無さすぎる。偽善の匂いがする」
* very married ・・・日常会話では頻繁に登場する表現。これは、「自分が結婚しているという事実をとても大事にしており、安易に離婚などしない人のこと。 very を『とても、非常に、極めて』などと訳すと不自然になる( very married については、ピーターセンさんの以前の著書で既に紹介していました)
We are still very married together.
(言っておくけど、私たちは別れたわけではないのよ)
* preaching to the choir ・・・直訳するなら、「聖歌隊に説教」。もう少しふさわしい意訳なら、「釈迦に説法」といったところ。聖歌隊は、もう既に神への信心が深いのだから、説教などしたところで意味など無いではないか、という常套句である。 choir の代わりに converted (改宗者)に変えても全く同じになるが、こちらは古い言い回し。ただ、 preaching to the converted と言ったほうが、「古い言い回しを知っている。この人は教養がありそうだ」という印象を与えられる。日常会話で使うなら、 preaching to the choir で問題ない。
* definitely ・・・その人にとって『はっきりとそう決まっている』と言っていい状態を表現したい時に使う。
* apparent の使い方・・・
「be動詞の後ろ」に置くと、「~なのは明らかだ」となるが、
「修飾したい名詞の前」に置くと、「どうも~らしい、~のようだ」
と、意味が変化する。
an apparent mistranslation
(誤訳ではないか、と思われるもの)
* (any)skeletons in the closet ・・・直訳するなら「押し入れに隠された骸骨」。ここからのイメージで、「家庭内の秘密」「外聞をはばかる秘密」といったもの。「内輪の恥」という意味なら、 dirty lean, dirty laundry といった表現がある。 dirty lean のほうが、いささか上品な響き。
You don't have any skeletons in the closet or anything, don't you ?
(まさか、人に知られちゃ困るような秘密なんて無いだろうな?)
* wear the pants ・・・「その家庭内で、唯一主導権を握っている人」のこと。主語には男ではなく、女が使われる。 wear the breaches (ひざ丈のズボン)という表現もあるが、これはもはや死語。
* 日本語においては、「身に付けるもの」によって動詞を使い分ける必要があるが、英語では何でも wear で表現できる。「香水をつける」の「つける」も、 wear で良い。
* 「満足している」を意味する言い回しは色々あるが、
be happy with ~
be satisfied with ~
be content with ~
be pleased with ~
上記の中で「満足度が最も高い」のは、be happy with ~ 。
satisfy は「満足させる」という意味だが、これらの表現は「満足している」というより、「不満ではない」というニュアンスが強い。
* corny ・・・本来の意味は「トウモロコシ( corn )が豊富にある」だが、実際にその光景が見られるのは「田舎」であり、その「田舎」に対する偏見が強く感じられる俗語表現として使える。
* leaden ・・・本来の意味は「鉛の」。鉛は金属であり、とても重い反面、軟らかく、叩いても鈍い音しか出ない。そこからのイメージで、「活気が無い、重苦しい、陰鬱な、意気消沈した」という比喩表現として使える。
* sound ・・・「音」に対する印象。会話、文章、言葉で伝わってくる情報に対して、感じたことを述べるときに使う。
The film sounds pretty good.
(この映画は結構良さそうだ)
It sounds as if you have been busy.
(忙しそうですね)
* armpit ・・・元々の意味は「腋の下」。人間の腋の下からは、独特の嫌な匂いが発散される。ここから転じて、「不愉快な、汚い、嫌な場所、むさ苦しい所」といった俗語表現としても使える。
* hokey ・・・形容詞の1つだが、日本語に丁度当てはまる訳語が見つからない。
hokey story で、「小さな子供しか夢中になれないような、狙いが見え見えで面白くない物語」
hokey and predictable で、「物語の展開が決まり切っていて、簡単に予測できてしまう、つまらない」
という感じ。
* star vehicle ・・・「ある1人の映画スターの主演を売り物にするために作られた作品」のこと。
* unlikely ・・・「ありそうもない、思いもよらない、実現の可能性は極めて低い」ということを示す単語。
in the unlikely event of rain ←「万が一雨天の場合」と訳されるが、これは、「実際に雨の降る可能性はほとんど考えられない」というニュアンス。
Her story seemed highly unlikely. ← これは「彼女の語った話の内容が、本当らしくなく、いかがわしい」ということ。
* infantile ・・・「未熟な、幼稚な」ということだが、 childish (子供っぽい)よりも一段と「未熟な状態」がイメージ。
* celibacy ・・・21世紀現代英語におけるこの単語のイメージは、「性的な面で禁欲」。
* any old thing ・・・anything の強調表現。この old は「古い」という意味ではなく、 anything の「何でも」の「でも」の部分を強調した言い方。
* squeamishness ・・・「潔癖すぎる気持ち」のこと。 -ness が無い形が形容詞。
She is squeamish sticky foods, like natto.
(彼女は納豆みたいなネバネバした食べ物に、酷くびくつく。)
* quite の前に否定語を置くと、「完全でない否定」になる。
Her story doesn't quite make sense.
(彼女の言っていることはちょっとおかしい→全く矛盾しているというわけではないが、完全に辻褄が合っているわけでもない)
America has never quite forgiven Europe for having been discovered somewhat earlier in history than itself.
(アメリカは、歴史上自分たちよりも幾分か早く発見されたという点において、未だにヨーロッパのことを<完全には>許し切れていない)
↑かのオスカー・ワイルドの言葉を例に挙げて、 quite を使った否定表現を説明してくれています。
has never quite forgiven ・・・「昔から現在に至るまで、<完全に>許したことは1度もない」→「全否定しているわけではないが、依然として納得のいかない点が残っている」
* It is as it was. ・・・聖書に出てくるような古めかしい言い方。ぴったりな日本語訳が見つからない。意訳するなら、
「事実はまさしくかくありき」
聖書を題材にした映画を観た後の感想で、「この映画の内容は、完全に、聖書に忠実である」という意味で使うにはしっくりくる。
* Poor dear, There's nothing between his ears. ・・・直訳するなら「そいつの耳と耳の間には、何もない」。
「脳みそが無い人」というニュアンス。マーガレット・サッチャーが、ロナルド・レーガンについて評した際の台詞がこれ。
* shrug off ・・・ shrug は「肩をすくめる動作」。この身振りで、「知らな~い」「どうだっていいだろ」という無関心を表せる。これに off を付けることで、生き生きとした英語表現になる。「あったもの、起こったことを、さもなかったことのようにする行為」を指す。
shrug off the pain ・・・スポーツの試合で何か痛い目を見た選手が、1度肩を揺すってその痛みをやり過ごそうとする。要は「痛くないさ。こんなのどうってことない」というやせ我慢。
* frequently ・・・often と同じように、頻度の高さを表現したいときに使う。違いとしては、
frequently ・・・ 文語的、書き言葉。
often ・・・口語的、話し言葉。
ただし、frequently には「程度の強さ」を幾分か感じさせるようなニュアンスがあるが、 often にはそんなニュアンスは無い。
* swing ・・・前後に揺れ動く「ブランコ」を思い浮かべる。「前後」もそうだが、「横から見たブランコの左右の揺れ」というイメージのほうが強い。つまり、「左に行ったと思ったら、今度は右に行ってしまう、いずれの方向にも落ち着かない」というイメージ。
swing vote は「浮動票」と訳されるが、これも swing の「固定されることなく<左右に>動く」というイメージから来ている。
* swing both ways ・・・多くの場合、「性的な好み」を示すために使われる。
He swings both ways.
(彼は両刀遣いだ)←「男とも女とも行為に及べる」ということ。
これの別の使い方としては、
「我々にはこれといった傾きは無く、あくまでも中道を行く。バランスの取れた見方や姿勢が取れる人間である」・・・ある種のかっこつけ。
* 「アメリカ英語か、イギリス英語か」
そういった区別は無用。このどちらかしか分からない人同士で情報伝達しようとしたら?言いたいことは間違いなく通じる。
イギリスのとある俳優の英語のアクセントに、私は魅力を覚える。
日本人が心配すべきなのは、そんな区別よりも、もっと別のところにあるのでは?
* 2004年4月10日付の The Japan Times の一面記事に、当時の小泉純一郎首相の「発言」が掲載され、その内容についてピーターセンさんが詳細な解説をしてくれています。
他にもまだまだありますが、
ネイティブならではの英語の感覚を、日本語で分かりやすく説明してくれる。
ネイティブの英語の感覚の種を、日本人の読者の頭の中に蒔いてくれる。
英語を楽しみつつ気軽に読める本です。
ただし、「英語なんて、単語と文法をひたすら暗記していりゃいいんだ。そうすりゃできるようになるんだ」と考えている人には、ピーターセンさんの本は向きません。
英単語、英語の言い回し1つ1つに対してネイティブが抱いているイメージを、「日本語で」且つ「分かりやすく」説明してくれる。ピーターセンさんのようなお人は、稀有で貴重な存在と言えます。
それ自体は『日本人の英語』シリーズから変わっていないのですが、本書では少し形を変えて、様々な著名人による英語表現を取り上げつつ、そのニュアンスとイメージを教えてくれます。それも、滑らかな日本語で。
本書でピーターセンさんが教えてくれる言い回しのニュアンスを、以下にご紹介しましょう。
* phony・・・「気取っていて、何だか誠実さが無さすぎる。偽善の匂いがする」
* very married ・・・日常会話では頻繁に登場する表現。これは、「自分が結婚しているという事実をとても大事にしており、安易に離婚などしない人のこと。 very を『とても、非常に、極めて』などと訳すと不自然になる( very married については、ピーターセンさんの以前の著書で既に紹介していました)
We are still very married together.
(言っておくけど、私たちは別れたわけではないのよ)
* preaching to the choir ・・・直訳するなら、「聖歌隊に説教」。もう少しふさわしい意訳なら、「釈迦に説法」といったところ。聖歌隊は、もう既に神への信心が深いのだから、説教などしたところで意味など無いではないか、という常套句である。 choir の代わりに converted (改宗者)に変えても全く同じになるが、こちらは古い言い回し。ただ、 preaching to the converted と言ったほうが、「古い言い回しを知っている。この人は教養がありそうだ」という印象を与えられる。日常会話で使うなら、 preaching to the choir で問題ない。
* definitely ・・・その人にとって『はっきりとそう決まっている』と言っていい状態を表現したい時に使う。
* apparent の使い方・・・
「be動詞の後ろ」に置くと、「~なのは明らかだ」となるが、
「修飾したい名詞の前」に置くと、「どうも~らしい、~のようだ」
と、意味が変化する。
an apparent mistranslation
(誤訳ではないか、と思われるもの)
* (any)skeletons in the closet ・・・直訳するなら「押し入れに隠された骸骨」。ここからのイメージで、「家庭内の秘密」「外聞をはばかる秘密」といったもの。「内輪の恥」という意味なら、 dirty lean, dirty laundry といった表現がある。 dirty lean のほうが、いささか上品な響き。
You don't have any skeletons in the closet or anything, don't you ?
(まさか、人に知られちゃ困るような秘密なんて無いだろうな?)
* wear the pants ・・・「その家庭内で、唯一主導権を握っている人」のこと。主語には男ではなく、女が使われる。 wear the breaches (ひざ丈のズボン)という表現もあるが、これはもはや死語。
* 日本語においては、「身に付けるもの」によって動詞を使い分ける必要があるが、英語では何でも wear で表現できる。「香水をつける」の「つける」も、 wear で良い。
* 「満足している」を意味する言い回しは色々あるが、
be happy with ~
be satisfied with ~
be content with ~
be pleased with ~
上記の中で「満足度が最も高い」のは、be happy with ~ 。
satisfy は「満足させる」という意味だが、これらの表現は「満足している」というより、「不満ではない」というニュアンスが強い。
* corny ・・・本来の意味は「トウモロコシ( corn )が豊富にある」だが、実際にその光景が見られるのは「田舎」であり、その「田舎」に対する偏見が強く感じられる俗語表現として使える。
* leaden ・・・本来の意味は「鉛の」。鉛は金属であり、とても重い反面、軟らかく、叩いても鈍い音しか出ない。そこからのイメージで、「活気が無い、重苦しい、陰鬱な、意気消沈した」という比喩表現として使える。
* sound ・・・「音」に対する印象。会話、文章、言葉で伝わってくる情報に対して、感じたことを述べるときに使う。
The film sounds pretty good.
(この映画は結構良さそうだ)
It sounds as if you have been busy.
(忙しそうですね)
* armpit ・・・元々の意味は「腋の下」。人間の腋の下からは、独特の嫌な匂いが発散される。ここから転じて、「不愉快な、汚い、嫌な場所、むさ苦しい所」といった俗語表現としても使える。
* hokey ・・・形容詞の1つだが、日本語に丁度当てはまる訳語が見つからない。
hokey story で、「小さな子供しか夢中になれないような、狙いが見え見えで面白くない物語」
hokey and predictable で、「物語の展開が決まり切っていて、簡単に予測できてしまう、つまらない」
という感じ。
* star vehicle ・・・「ある1人の映画スターの主演を売り物にするために作られた作品」のこと。
* unlikely ・・・「ありそうもない、思いもよらない、実現の可能性は極めて低い」ということを示す単語。
in the unlikely event of rain ←「万が一雨天の場合」と訳されるが、これは、「実際に雨の降る可能性はほとんど考えられない」というニュアンス。
Her story seemed highly unlikely. ← これは「彼女の語った話の内容が、本当らしくなく、いかがわしい」ということ。
* infantile ・・・「未熟な、幼稚な」ということだが、 childish (子供っぽい)よりも一段と「未熟な状態」がイメージ。
* celibacy ・・・21世紀現代英語におけるこの単語のイメージは、「性的な面で禁欲」。
* any old thing ・・・anything の強調表現。この old は「古い」という意味ではなく、 anything の「何でも」の「でも」の部分を強調した言い方。
* squeamishness ・・・「潔癖すぎる気持ち」のこと。 -ness が無い形が形容詞。
She is squeamish sticky foods, like natto.
(彼女は納豆みたいなネバネバした食べ物に、酷くびくつく。)
* quite の前に否定語を置くと、「完全でない否定」になる。
Her story doesn't quite make sense.
(彼女の言っていることはちょっとおかしい→全く矛盾しているというわけではないが、完全に辻褄が合っているわけでもない)
America has never quite forgiven Europe for having been discovered somewhat earlier in history than itself.
(アメリカは、歴史上自分たちよりも幾分か早く発見されたという点において、未だにヨーロッパのことを<完全には>許し切れていない)
↑かのオスカー・ワイルドの言葉を例に挙げて、 quite を使った否定表現を説明してくれています。
has never quite forgiven ・・・「昔から現在に至るまで、<完全に>許したことは1度もない」→「全否定しているわけではないが、依然として納得のいかない点が残っている」
* It is as it was. ・・・聖書に出てくるような古めかしい言い方。ぴったりな日本語訳が見つからない。意訳するなら、
「事実はまさしくかくありき」
聖書を題材にした映画を観た後の感想で、「この映画の内容は、完全に、聖書に忠実である」という意味で使うにはしっくりくる。
* Poor dear, There's nothing between his ears. ・・・直訳するなら「そいつの耳と耳の間には、何もない」。
「脳みそが無い人」というニュアンス。マーガレット・サッチャーが、ロナルド・レーガンについて評した際の台詞がこれ。
* shrug off ・・・ shrug は「肩をすくめる動作」。この身振りで、「知らな~い」「どうだっていいだろ」という無関心を表せる。これに off を付けることで、生き生きとした英語表現になる。「あったもの、起こったことを、さもなかったことのようにする行為」を指す。
shrug off the pain ・・・スポーツの試合で何か痛い目を見た選手が、1度肩を揺すってその痛みをやり過ごそうとする。要は「痛くないさ。こんなのどうってことない」というやせ我慢。
* frequently ・・・often と同じように、頻度の高さを表現したいときに使う。違いとしては、
frequently ・・・ 文語的、書き言葉。
often ・・・口語的、話し言葉。
ただし、frequently には「程度の強さ」を幾分か感じさせるようなニュアンスがあるが、 often にはそんなニュアンスは無い。
* swing ・・・前後に揺れ動く「ブランコ」を思い浮かべる。「前後」もそうだが、「横から見たブランコの左右の揺れ」というイメージのほうが強い。つまり、「左に行ったと思ったら、今度は右に行ってしまう、いずれの方向にも落ち着かない」というイメージ。
swing vote は「浮動票」と訳されるが、これも swing の「固定されることなく<左右に>動く」というイメージから来ている。
* swing both ways ・・・多くの場合、「性的な好み」を示すために使われる。
He swings both ways.
(彼は両刀遣いだ)←「男とも女とも行為に及べる」ということ。
これの別の使い方としては、
「我々にはこれといった傾きは無く、あくまでも中道を行く。バランスの取れた見方や姿勢が取れる人間である」・・・ある種のかっこつけ。
* 「アメリカ英語か、イギリス英語か」
そういった区別は無用。このどちらかしか分からない人同士で情報伝達しようとしたら?言いたいことは間違いなく通じる。
イギリスのとある俳優の英語のアクセントに、私は魅力を覚える。
日本人が心配すべきなのは、そんな区別よりも、もっと別のところにあるのでは?
* 2004年4月10日付の The Japan Times の一面記事に、当時の小泉純一郎首相の「発言」が掲載され、その内容についてピーターセンさんが詳細な解説をしてくれています。
他にもまだまだありますが、
ネイティブならではの英語の感覚を、日本語で分かりやすく説明してくれる。
ネイティブの英語の感覚の種を、日本人の読者の頭の中に蒔いてくれる。
英語を楽しみつつ気軽に読める本です。
ただし、「英語なんて、単語と文法をひたすら暗記していりゃいいんだ。そうすりゃできるようになるんだ」と考えている人には、ピーターセンさんの本は向きません。
2013年8月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
受験生のための英語の学習図書ではありません。日々英語に触れているヒト向けだと思います。英語上級者(かなりの)向けといえるでしょう。私は、日々英語に触れることはなく、読み書きはもちろんできません。上級者でもない。が、なぜか?この本はちょくちょくページをめくってしまいます。魅力的なエッセイです。マーク・ピーターセン先生は、ご自身は、もちろん日本語が堪能で日本人以上に、すでに日本人。ですが、そこに至るまでに、彼が日々「ちょっとした会話のなかで、あるいは日本のテレビや映画を見て、もしくは日本語の小説を読んで」新しい日本語の使い方を、また一つ覚えて嬉しくなった!一つ新しい表現を覚えるたび嬉しいと喜ぶ姿勢。この、コツコツとした地道な積み重ねでマーク先生は日本語を完璧にものにされたと思います。好奇心でしょうか?ふと耳で会得した新しい表現から日本語の深みを理解する。背後にある思考を考察する。そして日本語を進化させていく。彼の人間(日本人??)に対する好奇心?
本書は、その逆バーションみたいなものかな?と感じます。我々日本人が、英語を学ぶ場合、学校の教科書や参考書、ペーパーバックなどの読み物。世間には、いろいろあります。それらをザ〜〜っと見た、だけでは身に付かない、ちょっとした新しい表現。英語らしい思想がベースにあって、そこから派生、発展してきたような表現。フツウに生活している日本人には気づかれない、出会えない、表現のひとこまを、こうやってマーク先生に、紹介してもらい、解説してもらうことで「あ、また英語の新しい表現をひとつ覚えた!」と嬉しくなる。これは、そういった本です。英語の表現の背景にある歴史、現在の社会情勢や英語圏人の常識、宗教観、倫理観などを含めて解説されていますが、そこまで深く説明してもらわないと、フツウに日本で暮らしているフツウの日本人には、ただ、よくわからんな〜・・でも、なんとな〜く、わかった気分になる・・で通り過ぎてしまう表現だと思います。マーク先生が、日本人は、この表現をこういうふうに受け取るであろうが、実は、英語圏人は、こういう意図で使うことが多い。。。というように、「日本人ならこう理解するであろう」という観点を踏まえて解説しています。この本で扱われている英語は、フツウの日本人が、猛烈にがんばって会話、作文、しても、なかなかこなせないレベルですが、かといって全部締め出してしまわず、「あ、また一つ新しい英語の表現を覚えた!」と、かわいく喜ぶ姿勢が人生を豊かにするのではないでしょうか?そういう人生を深める書物かな
?これは。ここに集められた表現集は、日本人の発想とアメリカ人の思想の違い、文化の相違を端的に指摘しているようにも思えます。その点に好奇心のある英語学習者向け?かな?と思います。お薦めします!
本書は、その逆バーションみたいなものかな?と感じます。我々日本人が、英語を学ぶ場合、学校の教科書や参考書、ペーパーバックなどの読み物。世間には、いろいろあります。それらをザ〜〜っと見た、だけでは身に付かない、ちょっとした新しい表現。英語らしい思想がベースにあって、そこから派生、発展してきたような表現。フツウに生活している日本人には気づかれない、出会えない、表現のひとこまを、こうやってマーク先生に、紹介してもらい、解説してもらうことで「あ、また英語の新しい表現をひとつ覚えた!」と嬉しくなる。これは、そういった本です。英語の表現の背景にある歴史、現在の社会情勢や英語圏人の常識、宗教観、倫理観などを含めて解説されていますが、そこまで深く説明してもらわないと、フツウに日本で暮らしているフツウの日本人には、ただ、よくわからんな〜・・でも、なんとな〜く、わかった気分になる・・で通り過ぎてしまう表現だと思います。マーク先生が、日本人は、この表現をこういうふうに受け取るであろうが、実は、英語圏人は、こういう意図で使うことが多い。。。というように、「日本人ならこう理解するであろう」という観点を踏まえて解説しています。この本で扱われている英語は、フツウの日本人が、猛烈にがんばって会話、作文、しても、なかなかこなせないレベルですが、かといって全部締め出してしまわず、「あ、また一つ新しい英語の表現を覚えた!」と、かわいく喜ぶ姿勢が人生を豊かにするのではないでしょうか?そういう人生を深める書物かな
?これは。ここに集められた表現集は、日本人の発想とアメリカ人の思想の違い、文化の相違を端的に指摘しているようにも思えます。その点に好奇心のある英語学習者向け?かな?と思います。お薦めします!
2008年5月10日に日本でレビュー済み
ブッシュ大統領やベッカムのような現在形の話題の人からオスカー・ワイルド、アダム・スミスのような人まで取り上げて、英語流の表現や、ちょっと変な英語表現を取り上げて、ネイティブらしい英語表現について解説をしてくれる。
非常にためになる。
非常にためになる。
2008年6月13日に日本でレビュー済み
とっても親切な作りでまとまっており、勉強になる内容でした。基本的には2頁なので、軽い気分で読み進めることができます。最初に日本語タイトル(おおよそ何についての話か把握できます)、次に英文、そしてその日本語訳があります。自分で英文を訳してみるととても力がつくのではないでしょうか。(「siliness」を「遊び心」と訳されたのがすごいと思いました。)そしてメインの解説・語注・・・と続きます。一番下に少し難しそうな各単語の意味も載っているのもありがたいです。ヘエ〜と思うことも多く、収穫が多い本でした。