【概要】
(分野)ビッグデータ、社会学、情報科学
(頁数)本編258頁+解説10頁+付録51頁+参考文献等23頁
(出版日)2015/9/17
本書は、いわゆる「集合知」が個人や社会にどんな影響を及ぼすのかについて書かれています。また、MITメディアラボのチームによる新しい「社会学」へのアプローチを記したものでもあります。
本書の特徴は、集団を平均化して解析して今までの手法とは違い、集団に属する個人の変化の過程(情報の伝播の過程)を追っていった点にあります。つまり、個人間の情報のやり取りで発生する「情報の流れ」を定量的に解析して得られた結果が本書の内容です。
筆者の主張では、人々の行動をビッグデータ解析した結果、個人は集団との関わりの中で、互いに学習しあうこと(社会学習)でより良い集団を形成されることが示されました。そして、こうした効果を得るには、その集団に「多様性(ダイバーシティ)」があることが必要だと述べています。
この「多様性」とは人種や性別という表面的な多様性ではなく、「思考の多様性」を指しており、人々が独立した意見を持った社会でないと、より良い「社会学習」は得られないとのことです。更に、人と人が密接に「繋がりすぎた社会」では、思考が単一化、暴走してブームやパニックを引き起こす危険性があると述べています。
ビッグデータ解析による新しい社会学、またビッグデータ自体が社会に及ぼす影響を知る上で、かなり興味深い本でした。
【内容】
本書で扱われるデータは、「インフルエンザの流行と感染者の接触人数の変化」、「都市の人口と生産性の変化」、「1マイルあたりのGDPとアイデアの流れの速さ」など多岐にわたっています。
インフルエンザに関わると、感染初期は人との接触が増え、発症すると接触が減るという解析結果は、人との接触回数の大きな変化は、病気のシグナルとして捉えられる可能性を示しています。
また、都市の生産性が高いのは、多くの人と関わり、アイデアを交換する機会が多いからであり、これは都市内での行動範囲が広いほど効果が高いということです。実際、「1マイルあたりのGDP」と「通勤時間の長さ」は高い相関関係があるそうです。
しかし、大都市であっても、交通機関が上手く発展していないと、その効果は限定的で、北京などは渋滞がひどく、規模は大きくても小都市が林立している状態なため、上手く情報の交換が行われず、生産性が低い状態だと述べられています。
【感想】
ビッグデータは、今までマーケティングの分野でしか注目されていませんでしたが、今回、社会全体に影響を観測出来ることが証明されました。
また、人と人とのつながりが、人間社会の発展において非常に重要だと再確認された点も、大変興味深かったです。
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文庫 ソーシャル物理学: 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学 (草思社文庫 ぺ 3-1) 文庫 – 2018/10/3
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会議で全員が同じだけ発言するようにすると生産性は上がる。
風邪の引き始めに、人は普段より活動的になる。
身につけるセンサなどによる人間行動のビッグデータから、それまでいかなる社会科学や人間研究にも不可能だった知見が次々と得られるようになった。
世界的なデータサイエンティストである著者は、それらの知見をもとに組織や社会の構築・改善を試み、多くの成功を収めてきた。
この「社会物理学」は社会科学に革命を起こし、企業などの組織運営のあり方を根本から変え、
都市計画や社会制度設計に大きなインパクトを与える“新しい科学”である。
<目次より>
はじめに―本書はいかにして生まれたか
第1章 社会物理学とは何か
──社会の進化をビッグデータで理解するための新しい枠組み
◆パート1 社会物理学
第2章 探求
──いかにして良いアイデアを発見し、優れた意思決定に結びつけるか
第3章 アイデアの流れ
──集合知の土台となるもの
第4章 エンゲージメント
──なぜ共同で作業することができるのか
◆パート2 アイデアマシン
第5章 集団的知性
──交流のパターンからどのように集団的知性が生まれるのか
第6章 組織を改善する
──交流パターンの可視化を通じて集団的知性を形成する
第7章 組織を変化に対応させる
──ソーシャルネットワーク・インセンティブを使用した迅速な組織の構築と、破壊的な変化への対応
◆パート3 データ駆動型都市
第8章 都市のセンシング
──モバイルセンシングによる「神経系」が都市をより健全・安全・効率的に
第9章 「なぜ人は都市をつくるのか」の科学
──社会物理学とビッグデータが、都市の理解と開発のあり方を変える
◆パート4 データ駆動型社会
第10章 データ駆動型社会
──やがて来るデータに基づいて動く社会とは、どのような姿になるのか
第11章 社会をより良くデザインする
──社会物理学が人間中心型社会の設計を支援する
解説 [矢野和男(日立製作所フェロー)]
付録1 リアリティマイング
付録2 オープンPDS
付録3 早い思考、遅い思考、自由意思
付録4 数学
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はじめに―本書はいかにして生まれたか
第1章 社会物理学とは何か
──社会の進化をビッグデータで理解するための新しい枠組み
◆パート1 社会物理学
第2章 探求
──いかにして良いアイデアを発見し、優れた意思決定に結びつけるか
第3章 アイデアの流れ
──集合知の土台となるもの
第4章 エンゲージメント
──なぜ共同で作業することができるのか
◆パート2 アイデアマシン
第5章 集団的知性
──交流のパターンからどのように集団的知性が生まれるのか
第6章 組織を改善する
──交流パターンの可視化を通じて集団的知性を形成する
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第8章 都市のセンシング
──モバイルセンシングによる「神経系」が都市をより健全・安全・効率的に
第9章 「なぜ人は都市をつくるのか」の科学
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◆パート4 データ駆動型社会
第10章 データ駆動型社会
──やがて来るデータに基づいて動く社会とは、どのような姿になるのか
第11章 社会をより良くデザインする
──社会物理学が人間中心型社会の設計を支援する
解説 [矢野和男(日立製作所フェロー)]
付録1 リアリティマイング
付録2 オープンPDS
付録3 早い思考、遅い思考、自由意思
付録4 数学
- 本の長さ416ページ
- 言語日本語
- 出版社草思社
- 発売日2018/10/3
- 寸法10.6 x 2.1 x 15.3 cm
- ISBN-104794223579
- ISBN-13978-4794223579
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商品の説明
著者について
アレックス・ペントランド( Alex Pentland)
マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。MITメディアラボ創設から関わり、現在はMITコネクションサイエンス・ラボとヒューマンダイナミクス・ラボの所長を務める。ビッグデータ研究の世界的第一人者で、フォーブス誌が選ぶ「世界で最も有力な7人のデータサイエンティスト」にも選ばれた。また、10社以上のビッグデータ関連の会社を創立した起業家でもある。世界経済フォーラムでは、ビッグデータと個人データ保護に関するイニシアチブをとった。邦訳されている著書に『正直シグナル―非言語コミュニティの科学』(みすず書房)がある。
小林 啓倫(こばやし・あきひと)
経営コンサルタント。筑波大学大学院卒。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、2003年に米バブソン大学にてMBAを取得、その後外資系コンサルティングファームに勤務。著書に『IoTビジネスモデル革命』『FinTechが変える! 金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』(ともに朝日新聞出版)、訳書に『サイバー・エフェクト 子どもがネットに壊される』(ダイヤモンド社)、『プロフェッショナルの未来 AI、IoT時代に専門家が生き残る方法』(朝日新聞出版)など。
矢野 和男(やの・かずお)
株式会社日立製作所フェロー。2004年から先行してウエアラブル技術とビッグデータ解析で世界を牽引。論文被引用件数は2500件。特許出願350件。「ハーバードビジネスレビュー」誌に、「Business Microscope(日本語名:ビジネス顕微鏡)」が「歴史に残るウエアラブルデバイス」として紹介されるなど、世界的注目を集める。のべ100万日を超えるデータを使った企業業績向上の研究と心理学や人工知能からナノテクまでの専門性の広さと深さで知られる。2014月に上梓した著書『データの見えざる手』(単行本)が、BookVinegar社の2014年ビジネス書ベスト10に選ばれる。博士(工学)。IEEE Fellow。電子情報通信学会、応用物理学会、日本物理学会、人工知能学会会員。日立返仁会 副会長。東京工業大学大学院特定教授。文科省情報科学技術委員。1994年ISSCC 最優秀論文賞、2007年BME Erice Prize、2012年Social Informatics国際学会最優秀論文など国際的な賞を多数受賞。
マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。MITメディアラボ創設から関わり、現在はMITコネクションサイエンス・ラボとヒューマンダイナミクス・ラボの所長を務める。ビッグデータ研究の世界的第一人者で、フォーブス誌が選ぶ「世界で最も有力な7人のデータサイエンティスト」にも選ばれた。また、10社以上のビッグデータ関連の会社を創立した起業家でもある。世界経済フォーラムでは、ビッグデータと個人データ保護に関するイニシアチブをとった。邦訳されている著書に『正直シグナル―非言語コミュニティの科学』(みすず書房)がある。
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経営コンサルタント。筑波大学大学院卒。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、2003年に米バブソン大学にてMBAを取得、その後外資系コンサルティングファームに勤務。著書に『IoTビジネスモデル革命』『FinTechが変える! 金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』(ともに朝日新聞出版)、訳書に『サイバー・エフェクト 子どもがネットに壊される』(ダイヤモンド社)、『プロフェッショナルの未来 AI、IoT時代に専門家が生き残る方法』(朝日新聞出版)など。
矢野 和男(やの・かずお)
株式会社日立製作所フェロー。2004年から先行してウエアラブル技術とビッグデータ解析で世界を牽引。論文被引用件数は2500件。特許出願350件。「ハーバードビジネスレビュー」誌に、「Business Microscope(日本語名:ビジネス顕微鏡)」が「歴史に残るウエアラブルデバイス」として紹介されるなど、世界的注目を集める。のべ100万日を超えるデータを使った企業業績向上の研究と心理学や人工知能からナノテクまでの専門性の広さと深さで知られる。2014月に上梓した著書『データの見えざる手』(単行本)が、BookVinegar社の2014年ビジネス書ベスト10に選ばれる。博士(工学)。IEEE Fellow。電子情報通信学会、応用物理学会、日本物理学会、人工知能学会会員。日立返仁会 副会長。東京工業大学大学院特定教授。文科省情報科学技術委員。1994年ISSCC 最優秀論文賞、2007年BME Erice Prize、2012年Social Informatics国際学会最優秀論文など国際的な賞を多数受賞。
著者について
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<<小林 啓倫(こばやし あきひと) >>
経営コンサルタント。1973年東京都生まれ。獨協大学卒、筑波大学大学院修士課程修了。
システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業、大手メーカー等で先端テクノロジーを活用した事業開発に取り組む。著書に『FinTechが変える! 金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』、『ドローン・ビジネスの衝撃』、『IoTビジネスモデル革命』(朝日新聞出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(草思社)、『データ・アナリティクス3.0』(日経BP)など多数。また先端テクノロジーのビジネス活用に関するセミナーも多数手がけている。個人ブログ「POLAR BEAR BLOG」は2011年度のアルファブロガー・アワードを受賞。
Twitter: @akihito
Facebook: http://www.facebook.com/akihito.kobayashi
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トップレビュー
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2015年9月27日に日本でレビュー済み
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2020年7月8日に日本でレビュー済み
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タイトルで面食らったが内容は読みやすくとても興味深かった。
2016年3月20日に日本でレビュー済み
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個人の交流度を測定するソシオメトリックバッジ(移動量、会話の量、相手、時間、頻度などを計測する)から得られたデータを数値解析し、行動の基となる動機と交流度(著者はアイデアの流れと表現しています)の相関を分析したまとめです。
創造的な生産性はメンバー全員の均等な発言がある場合最大化されるという部分は意外でしたが、インフルエンザに罹患する可能性の高い地域の予測は「風邪が流行っているから人混みではマスクをしよう」という常識からでもたどり着ける結論もあります。
ビッグデータの活用によるインフラの最適化に至ってはなんだか空恐ろしいような印象を受けました。
創造的な生産性はメンバー全員の均等な発言がある場合最大化されるという部分は意外でしたが、インフルエンザに罹患する可能性の高い地域の予測は「風邪が流行っているから人混みではマスクをしよう」という常識からでもたどり着ける結論もあります。
ビッグデータの活用によるインフラの最適化に至ってはなんだか空恐ろしいような印象を受けました。
2017年5月14日に日本でレビュー済み
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この本の中では社会物理学という表現をしているが、要はビックデータをを使って人間の普遍的な性質というか原理を知る方法を使うことによって、社会は市場や階級という概念ではなく、個人と個人の間で行われる交流のネットワークとして捉える、アイデアの流れとして捉えることが重要だという結論を導き出している。
この本はかなり具体的な記述が多くなく、抽象的なのであまり分かりやすくない。もう少し分かりやすく書き下した本であって欲しかった。
この本はかなり具体的な記述が多くなく、抽象的なのであまり分かりやすくない。もう少し分かりやすく書き下した本であって欲しかった。
2019年6月9日に日本でレビュー済み
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発行からおくればせながら本書読みました。MITのメディアラボに所属しているペントランド先生の本ですが、いかにもメディアラボの本という感じでとても面白く感じました。スマホやソシオメトリック・バッヂと呼ばれるセンシング機器を通じて人々の交流情報や活動情報を集め、そこから普遍的な特徴を洗い出すのですが、ペントランド先生の視点は西洋の個人主義的な価値観ではなく、むしろ東洋のコミュニティ的な価値観からモデルが組まれていて興味深かったです。
ペントランド先生は本文中で、集団をアイデアを生み出すマシーンと表現していますが、私の印象は、あたかも集団が多細胞生物かのようであり、人間はその細胞群のようなイメージを持ちました。あるセル(人間)は外部でアイデアを探求した上で、それをコミュニティ内に持ち込む。そしてソーシャルネットワークを通じて、その新アイデアが浸透していく、というプロセスをビッグデータによって可視化するフレームワークを提示したことになります。これはあたかも人間が「神の目線」を得たかのようであり、以前に読んだ「ホモデウス」の著者が、これからの人間は「不死・幸福・神性」を求めていくだろう、と述べていたのを思い出しました。デジタル全盛時代には否応なく本書に書かれているような社会分析が増えていくのでしょう。そして著者が述べているように、これは一つ間違えるとビッグブラザーが支配する恐ろしい社会を作ってしまいますが、正しく使う事で、流行病の拡散を防げるなど社会をより良い方向に導いてくれるのでしょう。大きな希望と恐怖の両方を感じる不思議な本でしたが、多くの人が本書を読んでおくべきだと感じました。
ペントランド先生は本文中で、集団をアイデアを生み出すマシーンと表現していますが、私の印象は、あたかも集団が多細胞生物かのようであり、人間はその細胞群のようなイメージを持ちました。あるセル(人間)は外部でアイデアを探求した上で、それをコミュニティ内に持ち込む。そしてソーシャルネットワークを通じて、その新アイデアが浸透していく、というプロセスをビッグデータによって可視化するフレームワークを提示したことになります。これはあたかも人間が「神の目線」を得たかのようであり、以前に読んだ「ホモデウス」の著者が、これからの人間は「不死・幸福・神性」を求めていくだろう、と述べていたのを思い出しました。デジタル全盛時代には否応なく本書に書かれているような社会分析が増えていくのでしょう。そして著者が述べているように、これは一つ間違えるとビッグブラザーが支配する恐ろしい社会を作ってしまいますが、正しく使う事で、流行病の拡散を防げるなど社会をより良い方向に導いてくれるのでしょう。大きな希望と恐怖の両方を感じる不思議な本でしたが、多くの人が本書を読んでおくべきだと感じました。
2016年3月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「アイデアの流れ」を取り扱うのを社会物理学として,様々なビッグデータ解析を紹介.
成功例の数々が挙げられるが,基本的に自分の研究室の事例という驚異的な内容になっている.
一方で,考察がとにかく軽い.
物理との類似性,社会科学的視点の導入,これらはさらっと援用されるのみで,本質に迫る
姿勢は見られない.物理の文脈で例えるなら,応用物理分野のノリに近い.
とはいえ,本書の知名度が低い理由が分からないほどの必読書.
自問自答しながら読めば,様々な世界が広がる気がする.
成功例の数々が挙げられるが,基本的に自分の研究室の事例という驚異的な内容になっている.
一方で,考察がとにかく軽い.
物理との類似性,社会科学的視点の導入,これらはさらっと援用されるのみで,本質に迫る
姿勢は見られない.物理の文脈で例えるなら,応用物理分野のノリに近い.
とはいえ,本書の知名度が低い理由が分からないほどの必読書.
自問自答しながら読めば,様々な世界が広がる気がする.
2018年9月8日に日本でレビュー済み
本書によれば、社会物理学とは、情報やアイデアの流れと人々の行動の間にある、確かな数理的関係性を記述する定量的な社会科学である。
社会物理学は、アイデアが社会的学習を通じて人々の間をどのように伝わっていくのか、またその伝播が最終的に企業・都市・社会の規範や生産性、創造的成果といったものをどうやって決定づけるのか、私たちの理解を助けるものだ。
創造力とは一般的に優れたアイデアを持つ抜群い頭の良い、ごく少数の人々だけが持つように思われがちだが、実際には違う。
常に創造的で深い洞察力を持つ人々は「探求者」であり、「異なる」視点を持つ人々、「異なる」アイデアを探そうとするのである。
かつて、スティーブジョブズもこう述べている。
創造力とは、物事を結びつける力にすぎません。
クリエイティブな人々に「どうやってそれを思いついたの?」と尋ねても、彼らはバツの悪い思いをするだけでしょう。
彼らは思いついたのではなく、目にしたにすぎないからです。
しばらく眺めているうちに、彼らの目にははっきりと形が浮かんできます。
クリエイティブな人々は、自らの経験をつなぎ合わせ、新しいものを合成するのです。
つまりは、この本で訴えているのは、社会を市場や階級といった概念でとらえるのではなく、個人と個人の間で行われる交流のネットワークとしてとらえる必要があるということだ。
社会物理学は、アイデアが社会的学習を通じて人々の間をどのように伝わっていくのか、またその伝播が最終的に企業・都市・社会の規範や生産性、創造的成果といったものをどうやって決定づけるのか、私たちの理解を助けるものだ。
創造力とは一般的に優れたアイデアを持つ抜群い頭の良い、ごく少数の人々だけが持つように思われがちだが、実際には違う。
常に創造的で深い洞察力を持つ人々は「探求者」であり、「異なる」視点を持つ人々、「異なる」アイデアを探そうとするのである。
かつて、スティーブジョブズもこう述べている。
創造力とは、物事を結びつける力にすぎません。
クリエイティブな人々に「どうやってそれを思いついたの?」と尋ねても、彼らはバツの悪い思いをするだけでしょう。
彼らは思いついたのではなく、目にしたにすぎないからです。
しばらく眺めているうちに、彼らの目にははっきりと形が浮かんできます。
クリエイティブな人々は、自らの経験をつなぎ合わせ、新しいものを合成するのです。
つまりは、この本で訴えているのは、社会を市場や階級といった概念でとらえるのではなく、個人と個人の間で行われる交流のネットワークとしてとらえる必要があるということだ。
2018年11月28日に日本でレビュー済み
著者のアレックス・ペントランド教授は、MITメディアラボでヒューマン・ダイナミクスの研究を行っている方です。
ビッグデータ、IoT、AIと言う言葉がよく使われる今ならこの本に書かれていることもそれ程目新しいとは思われないのかもしれませんが、この本が米国で出版されたのが2014年、この本の中でも度々登場するソシオテック・バッジが作られ、論文発表されたのがさらに以前の2007年(日本ではまだスマートフォンが登場する前)であることを考えると、さすがメディアラボやるな!と思いました。
ちなみに解説を書いているのは日立の矢野和男氏で、ペントランド教授とは2004年~2009年の間共同研究をされていたようです。
ビッグデータ、IoT、AIと言う言葉がよく使われる今ならこの本に書かれていることもそれ程目新しいとは思われないのかもしれませんが、この本が米国で出版されたのが2014年、この本の中でも度々登場するソシオテック・バッジが作られ、論文発表されたのがさらに以前の2007年(日本ではまだスマートフォンが登場する前)であることを考えると、さすがメディアラボやるな!と思いました。
ちなみに解説を書いているのは日立の矢野和男氏で、ペントランド教授とは2004年~2009年の間共同研究をされていたようです。