米軍撤退後のイラクで、米軍に協力したイラク人を難民として助けるNPO活動を展開していた著者が、全く縁のなかった珍鳥標本の盗難事件に自ら巻き込まれていくノンフィクション。
前半は、大英自然史博物館から美しい羽を持つ希少な鳥の標本が多数盗まれる事件が、裁判を経て一応の決着を見るまでのあらまし。
後半は盗難にあった標本のうち、行方のわからない標本を著者自身が追いかけた事の顛末。
読者は、博物館の裏側、絶滅危惧種の保護、何よりモラルなき毛針愛好家の世界を目撃することになる。
(毛針は魚釣りで使う疑似餌だが、愛好家は必ずしも釣りをするわけではなく、毛針そのものに病的なまでに魅せられている!)
詳細はぜひぜひ本書を読んでほしい。
私は博物館にも鳥の羽にも釣りにも特別興味はなく(そもそも毛針という物を知らなかった)、たまたま書店で手にした一冊だったのだが、この本を心からお勧めしたい。
人間の飽くなき欲望(そしてそれは必ずしも金銭欲だけではない)、私たちの知らない世界で多数の不正義があること、盗難事件に関わった人々を通して見える個々の人間性…
正義が勝つわけでも世界が良くなるわけでもないのだが、そんな中にもちょっとした希望があるし、何より著者持ち前の正義感や誠実さが、モラルのない世界を描いた本書において救いになっている。
謝辞に犯人への謝辞があって、驚くとともに著者らしい配慮だと私は感じた。
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大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件―なぜ美しい羽は狙われたのか 単行本 – 2019/8/7
カーク・ウォレス・ジョンソン
(著),
矢野 真千子
(翻訳)
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◆本書に寄せられた賛辞
「博物館侵入事件、進化論の発見、絶滅の危機に瀕した鳥たち、
そして毛針作りにとりつかれた者たちが巣くう地下世界
――無関係に見える話題を見事にまとめあげた犯罪実話だ」
マーク・アダムス(『マチュピチュ探検記』著者)
「一見すると地味で埋もれてしまいそうな事件を題材に、
つぎからつぎへと繰り出される洞察と驚き。最初から最後まで魅力に満ちた一冊」
マイケル・フィンケル(『ある世捨て人の物語』著者)
「犯罪そのものだけでなく、文化遺産の重要性について多くのことを教えてくれる」
エリザベス・マーシャル・トーマス(『犬たちの隠された生活』著者)
「魅了される……この犯罪をめぐって著者が取り上げた何もかもがストーリーテリングの極みだ」
カーカス
「科学、歴史、犯罪ドキュメンタリー好きの読者にアピールするページターナー」
パブリッシャーズ・ウィークリー
*****
死んだ鳥を大量に盗む?
いったいぜんたい、だれがそんなことを?
2009年6月。
ロスチャイルド家がヴィクトリア時代に創設した博物館から、約300羽の鳥の標本が消えた。
世にも美しい鳥が行きついた先は、希少な羽で毛針を制作する愛好家たちの世界だった!
この突拍子もない盗難事件を偶然知った著者は、最初は好奇心から、やがては正義感から、事件の調査に乗り出す。
羽毛をめぐる科学史と文化史、毛針愛好家のモラルのなさと違法取引、絶滅危惧種の保護問題、
そして未来へのタイムマシンとなりうる標本と、それを収集・保存する博物館の存在意義。
スピーディーに展開される犯罪ルポルタージュ。
◆目次
第1部 捕われる鳥、裕福な人
1章 アルフレッド・ラッセル・ウォレスの試練
2章 ロスチャイルドの博物館
3章 羽飾りファッションの大流行
4章 自然保護運動の誕生
5章 ヴィクトリア時代の高貴なたしなみ
6章 毛針界の希望の星
第2部 トリング窃盗事件
7章 ロンドンでの日々
8章 博物館侵入計画
9章 窓破り事件
10章 突拍子もない犯罪
11章 捜査
12章 ネットオークション
13章 逮捕
14章 審理
15章 診断
16章 判決
17章 消えた仮剝製の行方は?
第3部 真相究明
18章 国際毛針制作シンポジウム
19章 自然史標本はなぜ重要か
20章 タイムマシンに出合う
21章 鳥類学者プラムのUSBドライブ
22章 エドウィンとの対面
23章 ノルウェーでの三日間
24章 ミケランジェロが消えた
25章 鳥の魔法
▶Amazon.com、BuzzFeed、Forbesなどで、2018年の年間ベストブックに選出!
▶2019年アメリカ探偵作家クラブ賞ノンフィクション部門、
2019年英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞ノンフィクション部門にノミネート!
▶『ネイチャー』、『サイエンス』、『ニューヨーク・タイムズ』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』などでも絶賛レビュー掲載!
「博物館侵入事件、進化論の発見、絶滅の危機に瀕した鳥たち、
そして毛針作りにとりつかれた者たちが巣くう地下世界
――無関係に見える話題を見事にまとめあげた犯罪実話だ」
マーク・アダムス(『マチュピチュ探検記』著者)
「一見すると地味で埋もれてしまいそうな事件を題材に、
つぎからつぎへと繰り出される洞察と驚き。最初から最後まで魅力に満ちた一冊」
マイケル・フィンケル(『ある世捨て人の物語』著者)
「犯罪そのものだけでなく、文化遺産の重要性について多くのことを教えてくれる」
エリザベス・マーシャル・トーマス(『犬たちの隠された生活』著者)
「魅了される……この犯罪をめぐって著者が取り上げた何もかもがストーリーテリングの極みだ」
カーカス
「科学、歴史、犯罪ドキュメンタリー好きの読者にアピールするページターナー」
パブリッシャーズ・ウィークリー
*****
死んだ鳥を大量に盗む?
いったいぜんたい、だれがそんなことを?
2009年6月。
ロスチャイルド家がヴィクトリア時代に創設した博物館から、約300羽の鳥の標本が消えた。
世にも美しい鳥が行きついた先は、希少な羽で毛針を制作する愛好家たちの世界だった!
この突拍子もない盗難事件を偶然知った著者は、最初は好奇心から、やがては正義感から、事件の調査に乗り出す。
羽毛をめぐる科学史と文化史、毛針愛好家のモラルのなさと違法取引、絶滅危惧種の保護問題、
そして未来へのタイムマシンとなりうる標本と、それを収集・保存する博物館の存在意義。
スピーディーに展開される犯罪ルポルタージュ。
◆目次
第1部 捕われる鳥、裕福な人
1章 アルフレッド・ラッセル・ウォレスの試練
2章 ロスチャイルドの博物館
3章 羽飾りファッションの大流行
4章 自然保護運動の誕生
5章 ヴィクトリア時代の高貴なたしなみ
6章 毛針界の希望の星
第2部 トリング窃盗事件
7章 ロンドンでの日々
8章 博物館侵入計画
9章 窓破り事件
10章 突拍子もない犯罪
11章 捜査
12章 ネットオークション
13章 逮捕
14章 審理
15章 診断
16章 判決
17章 消えた仮剝製の行方は?
第3部 真相究明
18章 国際毛針制作シンポジウム
19章 自然史標本はなぜ重要か
20章 タイムマシンに出合う
21章 鳥類学者プラムのUSBドライブ
22章 エドウィンとの対面
23章 ノルウェーでの三日間
24章 ミケランジェロが消えた
25章 鳥の魔法
▶Amazon.com、BuzzFeed、Forbesなどで、2018年の年間ベストブックに選出!
▶2019年アメリカ探偵作家クラブ賞ノンフィクション部門、
2019年英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞ノンフィクション部門にノミネート!
▶『ネイチャー』、『サイエンス』、『ニューヨーク・タイムズ』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』などでも絶賛レビュー掲載!
- 本の長さ384ページ
- 言語日本語
- 出版社化学同人
- 発売日2019/8/7
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104759820132
- ISBN-13978-4759820133
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商品の説明
出版社からのコメント
絵画の盗難事件を耳にする機会はありますが、博物館から鳥の標本が盗まれたと聞いても、「?」となると思います。実際のその動機も、本書の中心となる「毛針制作マニア」以外には理解しがたいものです。
博物館の標本は、一般に展示されているかどうかに関わりなく、科学的にきわめて高い価値があります。その標本が失われることの影響を考えさせられる、これまでになかったタイプの犯罪ノンフィクションです。
博物館の標本は、一般に展示されているかどうかに関わりなく、科学的にきわめて高い価値があります。その標本が失われることの影響を考えさせられる、これまでになかったタイプの犯罪ノンフィクションです。
著者について
Kirk Wallace Johnson(カーク・ウォレス・ジョンソン)
文筆家。『ザ・ニューヨーカー』『ニューヨークタイムズ』『ワシントンポスト』『ロスアンゼルス・タイムズ』などに寄稿。米軍撤退後のイラクで、米軍に協力したイラク人の通訳や医療関係者が迫害を受けているのを知り、そうした人たちを難民としてアメリカに呼び寄せるNPO活動を展開。
2013年に出版されたデビュー作『To Be A Friend is Fatal』はイラク戦争と難民救済活動の体験を綴ったメモワールで、好評を博した。
文筆家。『ザ・ニューヨーカー』『ニューヨークタイムズ』『ワシントンポスト』『ロスアンゼルス・タイムズ』などに寄稿。米軍撤退後のイラクで、米軍に協力したイラク人の通訳や医療関係者が迫害を受けているのを知り、そうした人たちを難民としてアメリカに呼び寄せるNPO活動を展開。
2013年に出版されたデビュー作『To Be A Friend is Fatal』はイラク戦争と難民救済活動の体験を綴ったメモワールで、好評を博した。
登録情報
- 出版社 : 化学同人 (2019/8/7)
- 発売日 : 2019/8/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 384ページ
- ISBN-10 : 4759820132
- ISBN-13 : 978-4759820133
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 289,588位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
イメージ付きのレビュー

5 星
大英自然史博物館から貴重な鳥の標本を盗み出した犯人とは
『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件――なぜ美しい羽は狙われたのか』(カーク・ウォレス・ジョンソン著、矢野真千子訳、化学同人)で注目すべきは、●著者自身が5年もかけて、大英自然史博物館珍重盗難事件の犯人を突き止め、逮捕に至らしめたこと、●その犯人がアスペルガー症候群という非常に疑わしい理由で服役を逃れたこと、●博物館を巡る人間には2種類の人間が存在すること――の3点です。「魚の釣り方も知らないのに、競うように希少な羽を求めて毛針を作っているなんて、どう考えてもおかしな趣味だ。『はい、おかしな人たちです。でも、きわめつけはエドウィン・リストという若造です。そいつの毛針作りの腕は世界一と言っていいくらいなんですが、なんと、材料にする鳥の羽ほしさに、大英自然史博物館に盗みに入ったんです』。・・・しかし、調べれば調べるほど謎は深まり、何としてもその謎を解きたいという私の思いも強まった。私はいつの間にか自らの正義感に導かれるように、羽をめぐる地下世界、毛針作りに熱中するマニアや羽の密売人、頭のいかれた連中や大型動物を狙う狩猟家、元刑事や怪しげな歯医者など、魑魅魍魎が跋扈する世界に入っていった。そこには嘘と脅しがあり、噂と真実が入り交じっていた。新たな事実が見つかったかと思えば、それが事実でないとわかって落胆した。その過程で、私は人間の自然界に対する傲慢さのようなものを知った。どれほどの犠牲を払ってでも手に入れたいとする、美への飽くなき欲望についても。だが、あの夜トリングから消えた鳥たちに何があったのかのあらましがわかるまで、まさか5年もの歳月を費やすことになるとは思わなかった」。「20歳の青年にとって、トリングの鳥を盗むという思いつきはあらゆる観点から魅力的だった。トリングの鳥があれば、フルート奏者としての野心、こうありたいと願う暮らしと社会的地位、家族への仕送りのすべてを満たすことができる。さらにいいことに、羽の価値は時間が経つほど高まるので、将来何かあったときに備える蓄財にうってつけだ」。アメリカ人でイギリスの王立音楽院の学生であり毛針制作者であるエドウィン・リストは、2009年6月23日の夜、大英自然史博物館トリング分館に忍び込み、「標本保管室に入ってから何分経過したかわからなくなったころ、ついに最大の目当てだった大型キャビネットの前にやってきた。内容物を示す小さなプレートにはフウチョウ科を示す学名の文字があった。37点のフヨクドリが瞬時にかっさらわれた。24点のオオウロコフウチョウ、12点のオオカケフウチョウ、4点のアオフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウ、12点のカタカケフウチョウ、4点のオウフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウモドキも。150年前にマレー諸島の原生林で採集された貴重な標本の数々が、エドウィンのスーツケースに吸いこまれていった。標本タグには採集者の名があった。A・R・ウォレス、画期的な提言によりダーウィンを震え上がらせた独学ナチュラリストである」。「博物館への侵入から数週間後にアメリカ行きの飛行機に乗ったとき、彼はだれにも追われていなかった。トリング博物館でも、何かが消えていることにだれも気づいていなかった」。「すっかり安心しきっていたエドウィンは、まさか1か月後にオランダの小さな町で顧客の一人が何気なく漏らした言葉がもとで、すべてが崩れ去るとは夢にも思っていなかった」。本書は、言うまでもなく、実話の事件簿であるが、同時に推理小説・犯罪小説の醍醐味も味わうことができます。判事がエドウィンはアスペルガー症候群だと認めたことによって、「12か月の執行猶予。この期間に別の犯罪を起こさないかぎり、エドウィンが刑務所に入ることはなくなった」。エドウィンがアスペルガー症候群でないことは100%近く確かだというのに!「私はトリングの鳥についてのストーリーに横たわる、2種類の人間性を思わずにいられなかった。一方には、アルフレッド・ラッセル・ウォレスやリチャード・プラム、スペンサー、覆面捜査官の『アイリッシュ』、ツェッペリンとドイツ空軍から標本を守ろうとしたキュレターたち、そして標本を使ってこの世の謎をひとつまたひとつ解き明かそうとしている科学者たちがいる。こうした人たちは、自然史標本を守り抜くという信念のもと、100年単位の時代を超えてつながっている。まだ見ぬ未来の人ともつながっている。科学の進歩により、同じ古い標本でもそこから新たな知見を得られると信じているからだ。もう一方には、エドウィンのような人や、羽の不法取引の闇世界にかかわる人たちがいる。それだけではなく、富と地位を求めて自然界を搾取しまくり、他者が所有していないものを所有したいという欲にかられる男女は昔もいまも変わらずいる。長期的な英知と短期的な私欲がぶつかる戦争で、勝ってきたのはいつも後者のようだった」。この指摘は私たちの心を凍らせます。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2021年3月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
事件の発端からしてミステリーである。創作ならハウダニットで一本書けそう。犯人の懲りない態度など事実ならではのところもあるが、もう少し後日談などが欲しかった。急にやる気が失せてしまった感じ。そこ以外は、犯行への怒りと、趣味に没頭する愚かさへの諦観や同情がいいバランスで好感が持てた。
2023年11月14日に日本でレビュー済み
『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件――なぜ美しい羽は狙われたのか』(カーク・ウォレス・ジョンソン著、矢野真千子訳、化学同人)で注目すべきは、●著者自身が5年もかけて、大英自然史博物館珍重盗難事件の犯人を突き止め、逮捕に至らしめたこと、●その犯人がアスペルガー症候群という非常に疑わしい理由で服役を逃れたこと、●博物館を巡る人間には2種類の人間が存在すること――の3点です。
「魚の釣り方も知らないのに、競うように希少な羽を求めて毛針を作っているなんて、どう考えてもおかしな趣味だ。『はい、おかしな人たちです。でも、きわめつけはエドウィン・リストという若造です。そいつの毛針作りの腕は世界一と言っていいくらいなんですが、なんと、材料にする鳥の羽ほしさに、大英自然史博物館に盗みに入ったんです』。・・・しかし、調べれば調べるほど謎は深まり、何としてもその謎を解きたいという私の思いも強まった。私はいつの間にか自らの正義感に導かれるように、羽をめぐる地下世界、毛針作りに熱中するマニアや羽の密売人、頭のいかれた連中や大型動物を狙う狩猟家、元刑事や怪しげな歯医者など、魑魅魍魎が跋扈する世界に入っていった。そこには嘘と脅しがあり、噂と真実が入り交じっていた。新たな事実が見つかったかと思えば、それが事実でないとわかって落胆した。その過程で、私は人間の自然界に対する傲慢さのようなものを知った。どれほどの犠牲を払ってでも手に入れたいとする、美への飽くなき欲望についても。だが、あの夜トリングから消えた鳥たちに何があったのかのあらましがわかるまで、まさか5年もの歳月を費やすことになるとは思わなかった」。
「20歳の青年にとって、トリングの鳥を盗むという思いつきはあらゆる観点から魅力的だった。トリングの鳥があれば、フルート奏者としての野心、こうありたいと願う暮らしと社会的地位、家族への仕送りのすべてを満たすことができる。さらにいいことに、羽の価値は時間が経つほど高まるので、将来何かあったときに備える蓄財にうってつけだ」。
アメリカ人でイギリスの王立音楽院の学生であり毛針制作者であるエドウィン・リストは、2009年6月23日の夜、大英自然史博物館トリング分館に忍び込み、「標本保管室に入ってから何分経過したかわからなくなったころ、ついに最大の目当てだった大型キャビネットの前にやってきた。内容物を示す小さなプレートにはフウチョウ科を示す学名の文字があった。37点のフヨクドリが瞬時にかっさらわれた。24点のオオウロコフウチョウ、12点のオオカケフウチョウ、4点のアオフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウ、12点のカタカケフウチョウ、4点のオウフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウモドキも。150年前にマレー諸島の原生林で採集された貴重な標本の数々が、エドウィンのスーツケースに吸いこまれていった。標本タグには採集者の名があった。A・R・ウォレス、画期的な提言によりダーウィンを震え上がらせた独学ナチュラリストである」。
「博物館への侵入から数週間後にアメリカ行きの飛行機に乗ったとき、彼はだれにも追われていなかった。トリング博物館でも、何かが消えていることにだれも気づいていなかった」。
「すっかり安心しきっていたエドウィンは、まさか1か月後にオランダの小さな町で顧客の一人が何気なく漏らした言葉がもとで、すべてが崩れ去るとは夢にも思っていなかった」。本書は、言うまでもなく、実話の事件簿であるが、同時に推理小説・犯罪小説の醍醐味も味わうことができます。
判事がエドウィンはアスペルガー症候群だと認めたことによって、「12か月の執行猶予。この期間に別の犯罪を起こさないかぎり、エドウィンが刑務所に入ることはなくなった」。エドウィンがアスペルガー症候群でないことは100%近く確かだというのに!
「私はトリングの鳥についてのストーリーに横たわる、2種類の人間性を思わずにいられなかった。一方には、アルフレッド・ラッセル・ウォレスやリチャード・プラム、スペンサー、覆面捜査官の『アイリッシュ』、ツェッペリンとドイツ空軍から標本を守ろうとしたキュレターたち、そして標本を使ってこの世の謎をひとつまたひとつ解き明かそうとしている科学者たちがいる。こうした人たちは、自然史標本を守り抜くという信念のもと、100年単位の時代を超えてつながっている。まだ見ぬ未来の人ともつながっている。科学の進歩により、同じ古い標本でもそこから新たな知見を得られると信じているからだ。もう一方には、エドウィンのような人や、羽の不法取引の闇世界にかかわる人たちがいる。それだけではなく、富と地位を求めて自然界を搾取しまくり、他者が所有していないものを所有したいという欲にかられる男女は昔もいまも変わらずいる。長期的な英知と短期的な私欲がぶつかる戦争で、勝ってきたのはいつも後者のようだった」。この指摘は私たちの心を凍らせます。
「魚の釣り方も知らないのに、競うように希少な羽を求めて毛針を作っているなんて、どう考えてもおかしな趣味だ。『はい、おかしな人たちです。でも、きわめつけはエドウィン・リストという若造です。そいつの毛針作りの腕は世界一と言っていいくらいなんですが、なんと、材料にする鳥の羽ほしさに、大英自然史博物館に盗みに入ったんです』。・・・しかし、調べれば調べるほど謎は深まり、何としてもその謎を解きたいという私の思いも強まった。私はいつの間にか自らの正義感に導かれるように、羽をめぐる地下世界、毛針作りに熱中するマニアや羽の密売人、頭のいかれた連中や大型動物を狙う狩猟家、元刑事や怪しげな歯医者など、魑魅魍魎が跋扈する世界に入っていった。そこには嘘と脅しがあり、噂と真実が入り交じっていた。新たな事実が見つかったかと思えば、それが事実でないとわかって落胆した。その過程で、私は人間の自然界に対する傲慢さのようなものを知った。どれほどの犠牲を払ってでも手に入れたいとする、美への飽くなき欲望についても。だが、あの夜トリングから消えた鳥たちに何があったのかのあらましがわかるまで、まさか5年もの歳月を費やすことになるとは思わなかった」。
「20歳の青年にとって、トリングの鳥を盗むという思いつきはあらゆる観点から魅力的だった。トリングの鳥があれば、フルート奏者としての野心、こうありたいと願う暮らしと社会的地位、家族への仕送りのすべてを満たすことができる。さらにいいことに、羽の価値は時間が経つほど高まるので、将来何かあったときに備える蓄財にうってつけだ」。
アメリカ人でイギリスの王立音楽院の学生であり毛針制作者であるエドウィン・リストは、2009年6月23日の夜、大英自然史博物館トリング分館に忍び込み、「標本保管室に入ってから何分経過したかわからなくなったころ、ついに最大の目当てだった大型キャビネットの前にやってきた。内容物を示す小さなプレートにはフウチョウ科を示す学名の文字があった。37点のフヨクドリが瞬時にかっさらわれた。24点のオオウロコフウチョウ、12点のオオカケフウチョウ、4点のアオフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウ、12点のカタカケフウチョウ、4点のオウフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウモドキも。150年前にマレー諸島の原生林で採集された貴重な標本の数々が、エドウィンのスーツケースに吸いこまれていった。標本タグには採集者の名があった。A・R・ウォレス、画期的な提言によりダーウィンを震え上がらせた独学ナチュラリストである」。
「博物館への侵入から数週間後にアメリカ行きの飛行機に乗ったとき、彼はだれにも追われていなかった。トリング博物館でも、何かが消えていることにだれも気づいていなかった」。
「すっかり安心しきっていたエドウィンは、まさか1か月後にオランダの小さな町で顧客の一人が何気なく漏らした言葉がもとで、すべてが崩れ去るとは夢にも思っていなかった」。本書は、言うまでもなく、実話の事件簿であるが、同時に推理小説・犯罪小説の醍醐味も味わうことができます。
判事がエドウィンはアスペルガー症候群だと認めたことによって、「12か月の執行猶予。この期間に別の犯罪を起こさないかぎり、エドウィンが刑務所に入ることはなくなった」。エドウィンがアスペルガー症候群でないことは100%近く確かだというのに!
「私はトリングの鳥についてのストーリーに横たわる、2種類の人間性を思わずにいられなかった。一方には、アルフレッド・ラッセル・ウォレスやリチャード・プラム、スペンサー、覆面捜査官の『アイリッシュ』、ツェッペリンとドイツ空軍から標本を守ろうとしたキュレターたち、そして標本を使ってこの世の謎をひとつまたひとつ解き明かそうとしている科学者たちがいる。こうした人たちは、自然史標本を守り抜くという信念のもと、100年単位の時代を超えてつながっている。まだ見ぬ未来の人ともつながっている。科学の進歩により、同じ古い標本でもそこから新たな知見を得られると信じているからだ。もう一方には、エドウィンのような人や、羽の不法取引の闇世界にかかわる人たちがいる。それだけではなく、富と地位を求めて自然界を搾取しまくり、他者が所有していないものを所有したいという欲にかられる男女は昔もいまも変わらずいる。長期的な英知と短期的な私欲がぶつかる戦争で、勝ってきたのはいつも後者のようだった」。この指摘は私たちの心を凍らせます。

『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件――なぜ美しい羽は狙われたのか』(カーク・ウォレス・ジョンソン著、矢野真千子訳、化学同人)で注目すべきは、●著者自身が5年もかけて、大英自然史博物館珍重盗難事件の犯人を突き止め、逮捕に至らしめたこと、●その犯人がアスペルガー症候群という非常に疑わしい理由で服役を逃れたこと、●博物館を巡る人間には2種類の人間が存在すること――の3点です。
「魚の釣り方も知らないのに、競うように希少な羽を求めて毛針を作っているなんて、どう考えてもおかしな趣味だ。『はい、おかしな人たちです。でも、きわめつけはエドウィン・リストという若造です。そいつの毛針作りの腕は世界一と言っていいくらいなんですが、なんと、材料にする鳥の羽ほしさに、大英自然史博物館に盗みに入ったんです』。・・・しかし、調べれば調べるほど謎は深まり、何としてもその謎を解きたいという私の思いも強まった。私はいつの間にか自らの正義感に導かれるように、羽をめぐる地下世界、毛針作りに熱中するマニアや羽の密売人、頭のいかれた連中や大型動物を狙う狩猟家、元刑事や怪しげな歯医者など、魑魅魍魎が跋扈する世界に入っていった。そこには嘘と脅しがあり、噂と真実が入り交じっていた。新たな事実が見つかったかと思えば、それが事実でないとわかって落胆した。その過程で、私は人間の自然界に対する傲慢さのようなものを知った。どれほどの犠牲を払ってでも手に入れたいとする、美への飽くなき欲望についても。だが、あの夜トリングから消えた鳥たちに何があったのかのあらましがわかるまで、まさか5年もの歳月を費やすことになるとは思わなかった」。
「20歳の青年にとって、トリングの鳥を盗むという思いつきはあらゆる観点から魅力的だった。トリングの鳥があれば、フルート奏者としての野心、こうありたいと願う暮らしと社会的地位、家族への仕送りのすべてを満たすことができる。さらにいいことに、羽の価値は時間が経つほど高まるので、将来何かあったときに備える蓄財にうってつけだ」。
アメリカ人でイギリスの王立音楽院の学生であり毛針制作者であるエドウィン・リストは、2009年6月23日の夜、大英自然史博物館トリング分館に忍び込み、「標本保管室に入ってから何分経過したかわからなくなったころ、ついに最大の目当てだった大型キャビネットの前にやってきた。内容物を示す小さなプレートにはフウチョウ科を示す学名の文字があった。37点のフヨクドリが瞬時にかっさらわれた。24点のオオウロコフウチョウ、12点のオオカケフウチョウ、4点のアオフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウ、12点のカタカケフウチョウ、4点のオウフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウモドキも。150年前にマレー諸島の原生林で採集された貴重な標本の数々が、エドウィンのスーツケースに吸いこまれていった。標本タグには採集者の名があった。A・R・ウォレス、画期的な提言によりダーウィンを震え上がらせた独学ナチュラリストである」。
「博物館への侵入から数週間後にアメリカ行きの飛行機に乗ったとき、彼はだれにも追われていなかった。トリング博物館でも、何かが消えていることにだれも気づいていなかった」。
「すっかり安心しきっていたエドウィンは、まさか1か月後にオランダの小さな町で顧客の一人が何気なく漏らした言葉がもとで、すべてが崩れ去るとは夢にも思っていなかった」。本書は、言うまでもなく、実話の事件簿であるが、同時に推理小説・犯罪小説の醍醐味も味わうことができます。
判事がエドウィンはアスペルガー症候群だと認めたことによって、「12か月の執行猶予。この期間に別の犯罪を起こさないかぎり、エドウィンが刑務所に入ることはなくなった」。エドウィンがアスペルガー症候群でないことは100%近く確かだというのに!
「私はトリングの鳥についてのストーリーに横たわる、2種類の人間性を思わずにいられなかった。一方には、アルフレッド・ラッセル・ウォレスやリチャード・プラム、スペンサー、覆面捜査官の『アイリッシュ』、ツェッペリンとドイツ空軍から標本を守ろうとしたキュレターたち、そして標本を使ってこの世の謎をひとつまたひとつ解き明かそうとしている科学者たちがいる。こうした人たちは、自然史標本を守り抜くという信念のもと、100年単位の時代を超えてつながっている。まだ見ぬ未来の人ともつながっている。科学の進歩により、同じ古い標本でもそこから新たな知見を得られると信じているからだ。もう一方には、エドウィンのような人や、羽の不法取引の闇世界にかかわる人たちがいる。それだけではなく、富と地位を求めて自然界を搾取しまくり、他者が所有していないものを所有したいという欲にかられる男女は昔もいまも変わらずいる。長期的な英知と短期的な私欲がぶつかる戦争で、勝ってきたのはいつも後者のようだった」。この指摘は私たちの心を凍らせます。
「魚の釣り方も知らないのに、競うように希少な羽を求めて毛針を作っているなんて、どう考えてもおかしな趣味だ。『はい、おかしな人たちです。でも、きわめつけはエドウィン・リストという若造です。そいつの毛針作りの腕は世界一と言っていいくらいなんですが、なんと、材料にする鳥の羽ほしさに、大英自然史博物館に盗みに入ったんです』。・・・しかし、調べれば調べるほど謎は深まり、何としてもその謎を解きたいという私の思いも強まった。私はいつの間にか自らの正義感に導かれるように、羽をめぐる地下世界、毛針作りに熱中するマニアや羽の密売人、頭のいかれた連中や大型動物を狙う狩猟家、元刑事や怪しげな歯医者など、魑魅魍魎が跋扈する世界に入っていった。そこには嘘と脅しがあり、噂と真実が入り交じっていた。新たな事実が見つかったかと思えば、それが事実でないとわかって落胆した。その過程で、私は人間の自然界に対する傲慢さのようなものを知った。どれほどの犠牲を払ってでも手に入れたいとする、美への飽くなき欲望についても。だが、あの夜トリングから消えた鳥たちに何があったのかのあらましがわかるまで、まさか5年もの歳月を費やすことになるとは思わなかった」。
「20歳の青年にとって、トリングの鳥を盗むという思いつきはあらゆる観点から魅力的だった。トリングの鳥があれば、フルート奏者としての野心、こうありたいと願う暮らしと社会的地位、家族への仕送りのすべてを満たすことができる。さらにいいことに、羽の価値は時間が経つほど高まるので、将来何かあったときに備える蓄財にうってつけだ」。
アメリカ人でイギリスの王立音楽院の学生であり毛針制作者であるエドウィン・リストは、2009年6月23日の夜、大英自然史博物館トリング分館に忍び込み、「標本保管室に入ってから何分経過したかわからなくなったころ、ついに最大の目当てだった大型キャビネットの前にやってきた。内容物を示す小さなプレートにはフウチョウ科を示す学名の文字があった。37点のフヨクドリが瞬時にかっさらわれた。24点のオオウロコフウチョウ、12点のオオカケフウチョウ、4点のアオフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウ、12点のカタカケフウチョウ、4点のオウフウチョウ、17点のオウゴンフウチョウモドキも。150年前にマレー諸島の原生林で採集された貴重な標本の数々が、エドウィンのスーツケースに吸いこまれていった。標本タグには採集者の名があった。A・R・ウォレス、画期的な提言によりダーウィンを震え上がらせた独学ナチュラリストである」。
「博物館への侵入から数週間後にアメリカ行きの飛行機に乗ったとき、彼はだれにも追われていなかった。トリング博物館でも、何かが消えていることにだれも気づいていなかった」。
「すっかり安心しきっていたエドウィンは、まさか1か月後にオランダの小さな町で顧客の一人が何気なく漏らした言葉がもとで、すべてが崩れ去るとは夢にも思っていなかった」。本書は、言うまでもなく、実話の事件簿であるが、同時に推理小説・犯罪小説の醍醐味も味わうことができます。
判事がエドウィンはアスペルガー症候群だと認めたことによって、「12か月の執行猶予。この期間に別の犯罪を起こさないかぎり、エドウィンが刑務所に入ることはなくなった」。エドウィンがアスペルガー症候群でないことは100%近く確かだというのに!
「私はトリングの鳥についてのストーリーに横たわる、2種類の人間性を思わずにいられなかった。一方には、アルフレッド・ラッセル・ウォレスやリチャード・プラム、スペンサー、覆面捜査官の『アイリッシュ』、ツェッペリンとドイツ空軍から標本を守ろうとしたキュレターたち、そして標本を使ってこの世の謎をひとつまたひとつ解き明かそうとしている科学者たちがいる。こうした人たちは、自然史標本を守り抜くという信念のもと、100年単位の時代を超えてつながっている。まだ見ぬ未来の人ともつながっている。科学の進歩により、同じ古い標本でもそこから新たな知見を得られると信じているからだ。もう一方には、エドウィンのような人や、羽の不法取引の闇世界にかかわる人たちがいる。それだけではなく、富と地位を求めて自然界を搾取しまくり、他者が所有していないものを所有したいという欲にかられる男女は昔もいまも変わらずいる。長期的な英知と短期的な私欲がぶつかる戦争で、勝ってきたのはいつも後者のようだった」。この指摘は私たちの心を凍らせます。
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2020年8月13日に日本でレビュー済み
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この話はどこに、どこまで行くのだろう?
読み進めて行く、科学や進化、近代の歴史、博物学の知識を追ううちに、探偵小説を読むような高揚感に駆られた。久しぶりに面白かった!と言える本を読んだ。
読み進めて行く、科学や進化、近代の歴史、博物学の知識を追ううちに、探偵小説を読むような高揚感に駆られた。久しぶりに面白かった!と言える本を読んだ。
2020年5月23日に日本でレビュー済み
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意外な展開で、始めから最後まで楽しめました。
2020年10月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中々、面白い内容です。
しかし、その道に足を踏み入れてなければ
理解しがたいかなぁ~
私は内容に共感した部分も沢山あり面白かったです。
ディープな場所に良くピントを合わせたなぁって・・・
しかし、その道に足を踏み入れてなければ
理解しがたいかなぁ~
私は内容に共感した部分も沢山あり面白かったです。
ディープな場所に良くピントを合わせたなぁって・・・
2020年3月27日に日本でレビュー済み
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一見なんでもない事件が実は壮大な出来事につながっていた…面白かったです。
2019年12月23日に日本でレビュー済み
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私は高校生の頃、遠い外国に住むケツァール(カザリキヌバネドリ)という美しい野鳥に憧れて、雑誌か何かで切り抜いた写真をファイルにはさんでいた。1個の卵から出てきて、こんな素晴らしい色彩と形態に成長するのはどうしてだろう、と感心しながら授業中にぼんやり眺めていたものだ。この本には、その鳥の立派な尾羽がむしられた無残な写真も載っていて胸が痛んだ。犯人が鳥の羽の美しさに魅せられた点には少しだけ共感するが、博物館の貴重な標本を私利私欲のために盗んだり売ったりする感性には全く共感できない。羽にしか興味がない人たちの、標本の科学的価値への無理解もやるせない。毛鉤愛好家コミュニティの異様な閉鎖性と熱っぽさ、そして、この事件を執念で追いかけて読み応えのある推理小説的ノンフィクション・ストーリーに仕上げた著者の力量に魅せられて、分厚いけれど一気に読んだ。この本には、独特な宗教観から希少生物の殺戮に何の罪悪感も抱かない輩も登場する。野生生物保護の現場は日々、こういう話の通じない人や私利私欲に負ける人たちとの「いたちごっこ」なのだろう。貧しさゆえの密猟には打つ手もあるだろうと思っていたが、実際はもっと複雑そうだ。面白かったけれど、現実の深刻さに、ため息が出た。