精神科病棟の「掃除のおばさん」は精神療法家である。
誰に対して、どんな時、どんな態度をとるのが良いかについては、
理論や概念ではなく、その場その場での素人的直感が優先される。
相手の表情や姿勢、動き、言葉の速さ、声の高さなどに対しぶつけられた感情に対し
即座にそして即妙にまた効果的に刺激や介入を返していくか、または返さないを選択しなければならない。
専門職ともあろうものが、一般の礼儀作法さえもわきまえないでいては、打ち解けた意思の交換も難しい。
診療室の「ドアを開けて、(外へ足を踏み出して)患者を招き入れ、椅子をすすめ、
話をきりだし、聴き入る姿勢を取り」という医師はほとんど存在しないが、
著者は実践されているのだろう。
面接について考える項目集として有効かつ特出したものであると考える。
この本は拾い読みをして、考えるヒントとして使用するのが望ましい。
時、場所、相手、私は常に変化しており、
理屈は後からついてくると著者はきっと言われるだろう。

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追補 精神科診断面接のコツ 単行本 – 1994/8/1
神田橋 條治
(著)
豊富な臨床経験のなかで精錬された,著者の創造的な診断面接の技術を親しみやすく記述し,刊行から数十年後の今も圧倒的な支持を受けるロングセラー。初版から10年後には追補を付して内容がさらに充実し,他分野の関係者からも広く好評を得ている。せまい学派を超え,精神医療の従事者全般に役立つ名著。
体が弱く、活動を制限されている子どもは、その年齢で当然味わうべき、正常な万能感の体験を剥奪される。そのような子ども時代を過ごした者は、 長ずるにおよんで、万能感体験を渇望し、追い求めるという、神経症的行動を発展させてくる。表現型はいろいろであるが、いずれの場合も、その万能 感体験の源が、しっかりと自分自身の「身についている」という確信を必要とする。したがって、飛行機の操縦よりも、武術を身につける方を好む。後者 の方が、万能感の源が全部自分の身についているからである。わたくしが、医学の中で精神科を選んだとき、そのような欲求がいくらか作用していた し、面接や、精神療法にひかれていったときには、同じ欲求が大いに作用していた。そして、今なお強く作用しつづけている。それどころか、老化ととも に体力がおちてくるにつれて、欲求自体が強まっているふしすらある。幼児期葛藤の再燃であろうか。面接技術への耽溺には、そうしたうしろめたい 雰囲気があったし、自分のために、自分なりに気づいた事柄は、どれもごく平凡な心覚えのたぐいであり、記述する価値があるとは思っていなかった。 ところが、若い精神科医たちと雑談のあいまに、自分の心覚えを話していると、存外好評であり、記録として残すようにすすめてくださる人も、時折あっ た。また、他の人の面接の実際を見聞きしていて、ときとして、わたくしの平凡な心覚えでも、参考にしてもらえたらよいなあと思うような場面に出くわ すこともあった。(中略)「自由連想の澱」という題で、日ごろ、心に移りゆく、よしなしごとをカタルシス風に書くことにしていた。そこで、面接技術に関す る心覚えと、自由連想の澱の材料とを組みあわせ、ごく気楽に読んでいただける、講演風のものにつくってみることにした。本の体裁をととのえる必要 上、十三章ほどにわけて、順に並べているが、各章はそれぞれ独立しており、どの章から拾い読みされてもさしっかえない。講演風の気楽な読みもの にしたので、面接技術に関する論点が、ぼやけてしまっている。そこで、各章の末尾に、面接技術に関する要旨をまとめとして置くことにした。栞がわ りに役立てていただくとよいと思う。(「序」より)
体が弱く、活動を制限されている子どもは、その年齢で当然味わうべき、正常な万能感の体験を剥奪される。そのような子ども時代を過ごした者は、 長ずるにおよんで、万能感体験を渇望し、追い求めるという、神経症的行動を発展させてくる。表現型はいろいろであるが、いずれの場合も、その万能 感体験の源が、しっかりと自分自身の「身についている」という確信を必要とする。したがって、飛行機の操縦よりも、武術を身につける方を好む。後者 の方が、万能感の源が全部自分の身についているからである。わたくしが、医学の中で精神科を選んだとき、そのような欲求がいくらか作用していた し、面接や、精神療法にひかれていったときには、同じ欲求が大いに作用していた。そして、今なお強く作用しつづけている。それどころか、老化ととも に体力がおちてくるにつれて、欲求自体が強まっているふしすらある。幼児期葛藤の再燃であろうか。面接技術への耽溺には、そうしたうしろめたい 雰囲気があったし、自分のために、自分なりに気づいた事柄は、どれもごく平凡な心覚えのたぐいであり、記述する価値があるとは思っていなかった。 ところが、若い精神科医たちと雑談のあいまに、自分の心覚えを話していると、存外好評であり、記録として残すようにすすめてくださる人も、時折あっ た。また、他の人の面接の実際を見聞きしていて、ときとして、わたくしの平凡な心覚えでも、参考にしてもらえたらよいなあと思うような場面に出くわ すこともあった。(中略)「自由連想の澱」という題で、日ごろ、心に移りゆく、よしなしごとをカタルシス風に書くことにしていた。そこで、面接技術に関す る心覚えと、自由連想の澱の材料とを組みあわせ、ごく気楽に読んでいただける、講演風のものにつくってみることにした。本の体裁をととのえる必要 上、十三章ほどにわけて、順に並べているが、各章はそれぞれ独立しており、どの章から拾い読みされてもさしっかえない。講演風の気楽な読みもの にしたので、面接技術に関する論点が、ぼやけてしまっている。そこで、各章の末尾に、面接技術に関する要旨をまとめとして置くことにした。栞がわ りに役立てていただくとよいと思う。(「序」より)
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社岩崎学術出版社
- 発売日1994/8/1
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104753394085
- ISBN-13978-4753394081
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出版社より
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精神療法面接のコツ | 「現場からの治療論」という物語 | 心身養生のコツ | 「心身養生のコツ」補講50 | 「心身養生のコツ」補講51~104 | |
カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.4
29
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5つ星のうち4.3
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5つ星のうち4.3
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5つ星のうち4.7
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5つ星のうち4.5
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価格 | ¥3,300¥3,300 | ¥1,650¥1,650 | ¥2,750¥2,750 | ¥2,750¥2,750 | ¥2,750¥2,750 |
内容 | ひとりの精神医学者として「この道をわが道と思い定め」,精神療法の臨床で創造と検証を重ねてきた著者が,名著『精神科診断面接のコツ』に続け,渾心の布石を整えて書き下ろした,精神療法の真髄。専門家はもとより,ヒトの「心」に関心をもつ方々すべてに。 | 『追補精神科診断面接のコツ』 『精神療法面接のコツ』 『改訂精神科養生のコツ』の「コツ三部作」に通底する,著者独自の治療論の精髄。治療一筋に生きてきた著者が,医療現場の改善を願い,精神科の枠組みを超え治療に携わるすべての人へ贈る。 | 最後の改訂となる本書では、著者が行っているさまざまな技術のなかから、専門家や特殊な病気の人、養生法に熱心な人向けの部分を「熟練」という項目にまとめた。またそれぞれの養生法について、基本の方法の後に付された「付言」が、読者の理解を助けるであろう。 | 『心身養生のコツ』は,ボクの,治療者・援助者としての洗いざらい,を提示したのですが,本としての形を整えたせいで,いくぶん,「窮屈感」が生じました。そこから「補講」の連想が生まれました,ここでは,「窮屈感」も「逃避」の気分も薄くなりました。 | 「こころ」も「からだ」も人それぞれです。「生きる」は、それぞれ独自の「創生」です。「創生」こそは「いのち」の本質です。ボクの願いは、ボクの「コツ」から入り、その先に、みなさんが、ご自分の資質と体験からの、「養生法」を「創生」して下さることです。 |

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発想の航跡 | 発想の航跡2 | |
カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.8
8
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5つ星のうち5.0
1
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価格 | ¥8,800¥8,800 | ¥8,030¥8,030 |
内容 | 本邦の精神医学界に強い学問的衝撃をもたらした「自閉の利用」をはじめ,数多の名論文を載録した待望の著作集。第1巻となる本書は,四半世紀にわたる精神科臨床のエッセンスを著者が自選し,年代順に収録することで「航跡」を鮮明にする。稀代の治療者の軌跡を通じて精神医療の本質を伝える名著。 | 待望の著作集の第2巻。第1巻に続く年月の「航跡」を追う本書では,発想はより自由に豊かとなり,読みやすい講演録やエッセイも多数収録されるなど,前著にまして多彩で充実した内容となっている。著者のその後の軌跡や独創性にふれ,学派を超えた精神医療や心理臨床の知を深めたい読者に最適の名著。 |
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サイコセラピー練習帳 | サイコセラピー練習帳II | 痴呆老人からみた世界 | |
カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.6
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5つ星のうち4.3
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価格 | ¥2,750¥2,750 | ¥3,300¥3,300 | ¥3,300¥3,300 |
内容 | 18歳になったおとぎ話の主人公グレーテルがサイコセラピーを受けにきた──。奇抜な設定で,精神療法とは何かを順を追ってわかりやすく語る。患者との出会い,診断面接,治療契約から治療の終結に至る各段階の随所に「練習問題」が設けられ,読者は精神療法のプロセスを対話的に学習することができる。 | 精神療法15年の著者が若きレジデント「Dr・M」にあてた手紙という形式で,入門書より少し上を目指す読者に向けて,力動的精神療法の理論を平易に語る。自信の症例「テリー」における転移と抵抗と解釈のプロセスが,テリーとの実際の会話を挿入しつつ解説され,前作同様の練習問題が読者の思考を促す。 | 痴呆老人は何を見,何を思い,何を感じているのだろうか。治療・ケアの現場に立って20年の著者による,実学としての臨床精神病理。痴呆に共通する不自由を生き,老いをゆく人たち自身の表現を読み解くことで,彼ら一人ひとりの生き方,心的世界を解き明かし,老いの心に添った治療・ケアへと導く。 |
商品の説明
出版社からのコメント
豊富な臨床経験の中で精錬された,著者の創造的な診断面接の技術を親しみやすく記述し,刊行から数十年後の今も圧倒的な支持を受けるロングセラー。初版から10年後には追補を付して内容がさらに充実し,他分野の関係者からも広く好評を得ている。せまい学派を超え,精神医療の従事者全般に役立つ名著。
目次
序
1章 わが面接事始め
2章 診断とは
3章 面接について
4章 面接の場
5章 所見のとらえ方
6章 初回面接の手順
7章 聴くこと
8章 問うこと
9章 「なぜ」という問い
10章 患者の身になる技法
11章 軽い意識障害の診かた
12章 診断面接一口メモ
13章 面接のセンス向上法
あとがき
早いもので、初版から十年が過ぎた。幸い、修正したい部分はこれといってない。しかし、年月の間にわたくしの経験もいくらか増えたし、読者として読み進んでみるといろいろと連想が湧く。そうした経験や連想をいくぶん無責任な気分で追補として添えてみた。皆さんの連想との響き合いをもくろんでのことである。(序・追補から)
目次
序
1章 わが面接事始め
2章 診断とは
3章 面接について
4章 面接の場
5章 所見のとらえ方
6章 初回面接の手順
7章 聴くこと
8章 問うこと
9章 「なぜ」という問い
10章 患者の身になる技法
11章 軽い意識障害の診かた
12章 診断面接一口メモ
13章 面接のセンス向上法
あとがき
早いもので、初版から十年が過ぎた。幸い、修正したい部分はこれといってない。しかし、年月の間にわたくしの経験もいくらか増えたし、読者として読み進んでみるといろいろと連想が湧く。そうした経験や連想をいくぶん無責任な気分で追補として添えてみた。皆さんの連想との響き合いをもくろんでのことである。(序・追補から)
内容(「MARC」データベースより)
面接技術の錬磨にかけた著者20余年の自伝的な流れを一つの軸に、臨床経験から創造と検証を重ねて練り上げられた理論的体系。84年刊の追補版。
著者について
神田橋 條治
1937年鹿児島県加治木町に生まれる。1961年九州大学医学部卒業。1971~72年モーズレー病院ならびにタビストックに留学。1962~84年九州大学医学部精神神経科,精神分析療法専攻。現在鹿児島市伊敷病院。
著書 『精神科診断面接のコツ』岩崎学術出版社,1984年(追補1994年)『発想の航跡 神田橋條治著作集』岩崎学術出版社,1988年 『精神療法面接のコツ』岩崎学術出版社,1990年 『対話精神療法の初心者への手引き』花クリニック神田橋研究会,1997年 『精神科養生のコツ』岩崎学術出版社,1999年(改訂2009年) 『治療のこころ1~23』花クリニック神田橋研究会,2000~2018年 『発想の航跡2 神田橋條治著作集』岩崎学術出版社,2004年 『「現場からの治療論」という物語』岩崎学術出版社,2006年 『対話精神療法の臨床能力を育てる』花クリニック神田橋研究会,2007年 『ちばの集い1~7』ちば心理教育研究所,2007~2012年 『技を育む』〈精神医学の知と技〉中山書店,2011年 『神田橋條治 精神科講義』創元社,2012年 『神田橋條治 医学部講義』創元社,2013年 『治療のための精神分析ノート』創元社,2016年 『発想の航跡 別巻 発達障害をめぐって』岩崎学術出版社,2018年 『神田橋條治の精神科診察室』IAP出版,2018年 『心身養生のコツ』岩崎学術出版社,2019年 『発想の航跡 別巻2 聴く、かたる-講演集-』岩崎学術出版社,2021年 『「心身養生のコツ」補講50』岩崎学術出版社,2021年
共著書 『対談 精神科における養生と薬物』診療新社,2002年 『不確かさの中を』創元社,2003年 『スクールカウンセリング モデル100例』創元社,2003年 『精神科薬物治療を語ろう』日本評論社,2007年 『発達障害は治りますか?』花風社,2010年 『うつ病治療──現場の工夫より』メディカルレビュー社,2010年 『ともにあるI~V』木星舎,2014年,ほか
訳書 H.スポトニッツ『精神分裂病の精神分析』(共訳) C.ライクロフト『想像と現実』(共訳) A.クリス『自由連想』(共訳) M. I.リトル『精神病水準の不安と庇護』 M. I.リトル『原初なる一を求めて』(共訳)以上は岩崎学術出版社 M. M.ギル『転移分析』(共訳)金剛出版
1937年鹿児島県加治木町に生まれる。1961年九州大学医学部卒業。1971~72年モーズレー病院ならびにタビストックに留学。1962~84年九州大学医学部精神神経科,精神分析療法専攻。現在鹿児島市伊敷病院。
著書 『精神科診断面接のコツ』岩崎学術出版社,1984年(追補1994年)『発想の航跡 神田橋條治著作集』岩崎学術出版社,1988年 『精神療法面接のコツ』岩崎学術出版社,1990年 『対話精神療法の初心者への手引き』花クリニック神田橋研究会,1997年 『精神科養生のコツ』岩崎学術出版社,1999年(改訂2009年) 『治療のこころ1~23』花クリニック神田橋研究会,2000~2018年 『発想の航跡2 神田橋條治著作集』岩崎学術出版社,2004年 『「現場からの治療論」という物語』岩崎学術出版社,2006年 『対話精神療法の臨床能力を育てる』花クリニック神田橋研究会,2007年 『ちばの集い1~7』ちば心理教育研究所,2007~2012年 『技を育む』〈精神医学の知と技〉中山書店,2011年 『神田橋條治 精神科講義』創元社,2012年 『神田橋條治 医学部講義』創元社,2013年 『治療のための精神分析ノート』創元社,2016年 『発想の航跡 別巻 発達障害をめぐって』岩崎学術出版社,2018年 『神田橋條治の精神科診察室』IAP出版,2018年 『心身養生のコツ』岩崎学術出版社,2019年 『発想の航跡 別巻2 聴く、かたる-講演集-』岩崎学術出版社,2021年 『「心身養生のコツ」補講50』岩崎学術出版社,2021年
共著書 『対談 精神科における養生と薬物』診療新社,2002年 『不確かさの中を』創元社,2003年 『スクールカウンセリング モデル100例』創元社,2003年 『精神科薬物治療を語ろう』日本評論社,2007年 『発達障害は治りますか?』花風社,2010年 『うつ病治療──現場の工夫より』メディカルレビュー社,2010年 『ともにあるI~V』木星舎,2014年,ほか
訳書 H.スポトニッツ『精神分裂病の精神分析』(共訳) C.ライクロフト『想像と現実』(共訳) A.クリス『自由連想』(共訳) M. I.リトル『精神病水準の不安と庇護』 M. I.リトル『原初なる一を求めて』(共訳)以上は岩崎学術出版社 M. M.ギル『転移分析』(共訳)金剛出版
登録情報
- 出版社 : 岩崎学術出版社; 追補版 (1994/8/1)
- 発売日 : 1994/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4753394085
- ISBN-13 : 978-4753394081
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 159,920位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 233位医学
- - 783位臨床心理学・精神分析
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2016年9月3日に日本でレビュー済み
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2010年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
診断面接について13章にわたってコツが披露されており、私は1章を1話として読んでいきましたが、どれもが興味深く感じました。中でも第7章の「聴くこと」において、「ほう」という鳴き声を間、トーン、アクセントの加減することによって、さまざまな意味を持たせて相手にに投げ返すことができる…は自分も使ってみようと思うコツでした。他科医でも十分に理解可能な内容で、ためになる一冊です。
2010年10月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
面接のセンスを向上させる最良の方法は、「その患者に主治医としてかかわるということ」だと著者は本書で語っています。それは、「傍観する立場ではセンスは磨かれない」からです。「現場」にこだわる職人肌の著者による珠玉のことばが溢れる書物です。
2002年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「診断」という言葉のために、医師のためだけの面接技術に関する本ととらえられがちだが、面接という場を介して五感を最大に活用することで相手の心身状態を正確に把握することを目的としている。医療にとどまらず、「面接」が欠かせない職業(人事、福祉…)にもひろく有用と思う。
診断の機能、面接の場の作り方、非言語的所見の重要性、「なぜ」という言葉の有害性、等々、面接の基礎をつくるヒントが多数盛り込まれている。「空疎な正論」は一切書かれていない。もちろんスポーツと同様にトレーニングしなければ身に付かないが。
大学の教官として在籍中に書かれたものだが、その趣はむしろ「職人」である。頭脳は優秀でも人の話を聞かない「医学者」ばかりの現状を憂う人は多いと思う。DSMで粗雑な思考になりつつある精神科医にあらためて著者の次の皮肉を噛みしめてもらいたい。「誤ったデータに基づき、正しい考察がなされるなら、必ず誤った判断に到達する」
診断の機能、面接の場の作り方、非言語的所見の重要性、「なぜ」という言葉の有害性、等々、面接の基礎をつくるヒントが多数盛り込まれている。「空疎な正論」は一切書かれていない。もちろんスポーツと同様にトレーニングしなければ身に付かないが。
大学の教官として在籍中に書かれたものだが、その趣はむしろ「職人」である。頭脳は優秀でも人の話を聞かない「医学者」ばかりの現状を憂う人は多いと思う。DSMで粗雑な思考になりつつある精神科医にあらためて著者の次の皮肉を噛みしめてもらいたい。「誤ったデータに基づき、正しい考察がなされるなら、必ず誤った判断に到達する」
2006年12月8日に日本でレビュー済み
読むほどに,神田橋氏のするどい洞察力がひしひしと伝わってくる。
氏は心理療法家の中でも"天才肌"をもつ臨床家なのであろう。
表面的な形だけでは伝えきれない何かを伝えようとする氏の努力が伝わる。
更には,単に"答えを伝えよう"とするのではなく,常に読み手の洞察力を励まそうと
敢えて,"伝えきらない"という姿勢が,カリスマ的でさえある。
大変魅力的な著書であり,"臨床家のすぐれた洞察力"という意味では,
多くの人に"まね"して欲しいが,
それ以上に,天才の"まね"をして,焼けどすることの無い様,
賢明な読者は注意を払うだろう。
例え,ブルース・リーの映画を見た後であっても,
貴方はブルース・リーではないのだから。
氏は心理療法家の中でも"天才肌"をもつ臨床家なのであろう。
表面的な形だけでは伝えきれない何かを伝えようとする氏の努力が伝わる。
更には,単に"答えを伝えよう"とするのではなく,常に読み手の洞察力を励まそうと
敢えて,"伝えきらない"という姿勢が,カリスマ的でさえある。
大変魅力的な著書であり,"臨床家のすぐれた洞察力"という意味では,
多くの人に"まね"して欲しいが,
それ以上に,天才の"まね"をして,焼けどすることの無い様,
賢明な読者は注意を払うだろう。
例え,ブルース・リーの映画を見た後であっても,
貴方はブルース・リーではないのだから。
2006年2月16日に日本でレビュー済み
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タイトルを読んで、統合失調症の面接はこういう風に、うつ病の面接はこういう風に、といったハウツーを予想していたのですが、見事に裏切られました。面接をするときの一般的な心懸け、試してみたい修養、のような一言で済ませられない「コツ」で満たされた本です。
教科書ではあまり触れられていない内容で、とまどいましたが読了は出来ます。あとがきで述べていますが、著者が敢えて意図した形式のようです。精神病理の先生がたの書く文章から、翻訳哲学調の難解さを消し去った感じの文章に思いました。
無視できない存在感を漂わせた本書から、著者の力量がうかがわれます。
教科書ではあまり触れられていない内容で、とまどいましたが読了は出来ます。あとがきで述べていますが、著者が敢えて意図した形式のようです。精神病理の先生がたの書く文章から、翻訳哲学調の難解さを消し去った感じの文章に思いました。
無視できない存在感を漂わせた本書から、著者の力量がうかがわれます。
2013年7月27日に日本でレビュー済み
に読み飛ばすのにはよかろう。このような一貫性を欠く書物が臆面もなく出版されることに日本の精神医学の脆弱性と後進性を実感する。