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戦争とバスタオル 単行本(ソフトカバー) – 2021/9/11
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購入オプションとあわせ買い
タイ、沖縄、韓国、寒川(神奈川)、大久野島(広島)――
あの戦争で「加害」と「被害」の交差点となった温泉や銭湯を各地に訪ねた二人旅。
ジャングルのせせらぎ露天風呂にお寺の寸胴風呂、沖縄最後の銭湯にチムジルバンや無人島の大浴場……。
至福の時間が流れる癒しのむこう側には、しかし、かつて日本が遺した戦争の爪痕と多くの人が苦しんだ過酷な歴史が横たわっていた。
■タイ…………ジャングル風呂と旧泰緬鉄道
■沖縄…………日本最南端の「ユーフルヤ―」
■韓国…………沐浴湯とアカスリ、ふたつの国を生きた人
■寒川…………引揚者たちの銭湯と秘密の工場
■大久野島……「うさぎの島」の毒ガス兵器
嗚呼、風呂をたずねて四千里――風呂から覗いた近現代史
【書評・メディア情報】
■週刊現代(10月2・9日号)/書評(城戸久枝氏・ノンフィクションライター)
■日本経済新聞(10月2日)/短評
■TBSラジオ「荻上チキ Session」(10月6日)/著者出演
■デモクラシータイムス(YouTube・10月12日)/著者出演
■週刊東洋経済(10月16日号)/書評(首藤淳哉氏・HONZレビュアー)
■週刊朝日(10月22日号)/著者インタビュー
■サンデー毎日(10月24日号)/書評(武田砂鉄氏・ライター)
■毎日新聞(10月23日)/書評(中島京子氏・作家)
■神奈川新聞(10月31日)/書評(斉藤大起氏)
■朝日新聞(11月6日)/書評(須藤靖氏・東京大学教授)
■東京新聞(11月6日)/書評(荻上チキ氏・評論家)
■中日新聞(11月7日)/書評(荻上チキ氏・評論家)
■週刊金曜日(11月12日)/書評(早川タダノリ氏・編集者)
■世界(12月号)/短評
■週刊読書人(11月19日)/書評(石川理夫氏)
■秋田魁新報・高知新聞(11月20日)/書評(森健氏・ジャーナリスト)
■下野新聞・琉球新報(11月21日)/書評(森健氏・ジャーナリスト)
■公明新聞(11月22日)/書評(星野博美氏・ノンフィクション作家)
■京都新聞(11月27日)/書評(森健氏・ジャーナリスト)
■西日本新聞(11月27日)/書評(荻上チキ氏・評論家)
■新潟日報・中國新聞・熊本日日新聞(11月28日)/書評(森健氏・ジャーナリスト)
■長崎新聞(12月5日)/書評(森健氏・ジャーナリスト)
■中日新聞夕刊(12月6日)/書評(藤井誠二氏・ノンフィクションライター)
■大分合同新聞(12月12日)/書評(森健氏・ジャーナリスト)
■東京新聞(12月25日)・中日新聞(12月26日)/「2021年、私の3冊」(ドリアン助川氏・明治学院大学教授、作家)
■読売新聞(12月26日)/読書委員が選ぶ「2021年の3冊」(飯間浩明氏・国語辞典編纂者)
2022年
■Web版・VOGUEJAPAN(1月8日)/紹介(実川元子氏)
■信濃毎日新聞(1月29日)/書評(森健氏・ジャーナリスト)
■山形新聞(1月30日)/書評(森健氏・ジャーナリスト)
■ふぇみん(2月15日)/短評
■女性のひろば(4月号)/紹介
- 本の長さ376ページ
- 言語日本語
- 出版社亜紀書房
- 発売日2021/9/11
- 寸法18.8 x 13 x 2.8 cm
- ISBN-104750517100
- ISBN-13978-4750517100
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商品の説明
著者について
安田 浩一(やすだ・こういち)
1964年生まれ。産湯は伊東温泉(静岡県)。週刊誌記者を経てノンフィクションライターに。『ネットと愛国』(講談社+α文庫)で講談社ノンフィクション賞、「ルポ 外国人『隷属』労働者」(月刊「G2」記事)で大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞。『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『ヘイトスピーチ』(文春新書)、『学校では教えてくれない差別と排除の話』(皓星社) 、『「右翼」の戦後史』(講談社現代新書)、 『団地と移民』(KADOKAWA)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日文庫)他、著書多数。
取材の合間にひとっ風呂、が基本動作。お気に入りは炭酸泉。
金井 真紀(かない・まき)
1974年生まれ。テレビ番組の構成作家、酒場のママ見習いなどを経て2015年より文筆家・イラストレーター。任務は「多様性をおもしろがること」。著書に『世界はフムフムで満ちている』『酒場學校の日々』(ともに皓星社)、『はたらく動物と』(ころから)、『パリのすてきなおじさん』(柏書房)、『虫ぎらいはなおるかな?』(理論社)、『マル農のひと』(左右社)、『世界のおすもうさん』(共著、岩波書店)など。挿画の仕事に「日本語をつかまえろ! 」シリーズ(毎日新聞出版)など。
銭湯では、好きだったサッカー選手・松田直樹の背番号にちなんで3番の下駄箱を使用する。
1964年生まれ。産湯は伊東温泉(静岡県)。週刊誌記者を経てノンフィクションライターに。『ネットと愛国』(講談社+α文庫)で講談社ノンフィクション賞、「ルポ 外国人『隷属』労働者」(月刊「G2」記事)で大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞。『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『ヘイトスピーチ』(文春新書)、『学校では教えてくれない差別と排除の話』(皓星社) 、『「右翼」の戦後史』(講談社現代新書)、 『団地と移民』(KADOKAWA)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日文庫)他、著書多数。
取材の合間にひとっ風呂、が基本動作。お気に入りは炭酸泉。
金井 真紀(かない・まき)
1974年生まれ。テレビ番組の構成作家、酒場のママ見習いなどを経て2015年より文筆家・イラストレーター。任務は「多様性をおもしろがること」。著書に『世界はフムフムで満ちている』『酒場學校の日々』(ともに皓星社)、『はたらく動物と』(ころから)、『パリのすてきなおじさん』(柏書房)、『虫ぎらいはなおるかな?』(理論社)、『マル農のひと』(左右社)、『世界のおすもうさん』(共著、岩波書店)など。挿画の仕事に「日本語をつかまえろ! 」シリーズ(毎日新聞出版)など。
銭湯では、好きだったサッカー選手・松田直樹の背番号にちなんで3番の下駄箱を使用する。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年2月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
活字を読むのが苦手、あるいは「時間がない」という人は、最後の章に紹介されている、藤本さんという高齢の男性の言葉にだけでも目を通してほしい。そして、少しでも思うところがあれば、最初のページに戻り、なんとか粘り強く、一冊を通読してくださいーーなどという心配は、私の杞憂かもしれない。なぜなら本書は、文句なく、「おもしろい!」から。中学生くらいから、充分に読めると思う。「良書」の定義など人それぞれだろうが、私は、本書のような書物こそ、良書と思う。藤本さんという老人の言葉に溢れた涙を拭きながら、この感想をしたためています。
2021年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
風呂をとおして社会を覗き、知られざる歴史をさぐる紀行エッセイが生まれた。タイ、沖縄、韓国、寒川、大久野島、どのエピソードも驚異的におもしろい。
まず著者の組み合わせに驚く。安田浩一さん(文)と金井真紀さん(文と絵)。安田さんはヘイトスピーチやネット右翼、外国人差別といった問題に正面から取り組む硬派のジャーナリスト。なので「風呂」というテーマは意外だった(生まれは伊豆半島の温泉地帯らしい)。
一方の金井さんは、世界のお相撲さんやヒトと働く動物(鵜の話が絶品)、パリのすてきなおじさんなど、脱力系のテーマに身体全体で入ってゆく文筆家・イラストレーター。なので「戦争」というテーマは意外だった(いつも「多様性をおもしろがること」を大切にしているらしい)。
そしてこの二人のコラボレーション、神がかり的なレベルでうまくいっている。なんでも以前から一緒に銭湯に行く仲だったらしいが、硬軟を補いあう深い信頼関係に安心して身をゆだねられる。
最初に二人が向かったのは、タイ・ヒンダット温泉。服を着たまま入る河原の露天風呂で、現地の人々から「体にすべていい」と愛されている。この温泉、第二次世界大戦中に日本軍が見つけたらしい。
ヒンダット温泉の近くには、日本軍が20万人を超える労働者を集めて敷設した泰緬鉄道が走っている。過酷な敷設工事によって、マレーシア人やビルマ人、イギリス人、インドネシア人、オーストラリア人、ドイツ人など合計10万人近い労働者が亡くなった。その一端は、映画『戦場にかける橋』からも窺える。そんな日本軍が見つけた温泉で現地の人々が極楽気分を味わっているというのだから、なんだか複雑な気持ちになる。
お次は日本最南端の「ユーフリヤー」(湯屋)、沖縄・中之湯。ここは沖縄唯一の銭湯でもある。脱衣所と浴室との仕切りがなく、洗い場のカランは湯と水の蛇口がホースでひとつにつながれ、湯水が”合流”して出てくるなど、「沖縄スタイル」がユニークだ。安田さんは男湯のなかで、政治的立場が反対の男性に出会い議論をふっかけられる。このときの安田さんの対応が素晴らしく、見習いたくなる。そして脱衣所の外で出会った一人のおじいさんは、米軍の捕虜になって収容所暮らしも経験しており、米兵が捨てた空き缶で作った「カンカラ三線」を弾いてくれた。
続いて訪れた韓国は、「お風呂天国」だった。温泉、沐浴場、チムジルバン(サウナ)は日本と異なる入浴文化。日本人は風呂に「心の平安」を求める傾向があるが、韓国人は風呂に「活力」を求める。だから韓国では、イテリと呼ばれるザラザラした専用の布でアカスリをすることが必須(最近は「自動アカスリ機」まで生まれた)であり、早朝に入浴して活を入れることが好まれる。
金井さんは韓国のチムジルバンで、あることに気付く。男性はタオルを何枚使ってもいいのに、女性はタオルを2枚までしか使えないのだ。このタオル格差、現地の人々はさも当然という態度で受け入れているが、本書でその理由を知ったあなたは、どう感じるだろうか。また、葛の根っこジュースが名物の鹿湯温泉で、金井さんは「日本人には名前を教えたくないの。ごめんね」と言うおばあさんに出会う。このおばあさんとの緊迫したやり取りは、まさに素っ裸であるからこそ成り立った得難いものであるだろう。
ところ変わって神奈川県の寒川町。ここは戦後、満州や樺太、朝鮮から多くの引揚者を受け入れ、「引揚者住宅」も建てられた。引揚者たちが熱望して1954年に開業したのが、寒川初の銭湯「すずらんの湯」だ。一時は賑わいを見せたものの、2014年に閉業した。人々はすずらんの湯ができる前、戦中は相模海軍工廠の、戦後は日東タイヤの敷地内の風呂に通っていた。そして相模海軍工廠では、毒ガス兵器「イペリット」を作っていた。当時、勤労学徒として駆り出された元少年に二人は出会う。
そして最後に訪れたのは、瀬戸内海の大久野島。現在うさぎの島として有名なこの島、かつては日本最大規模の毒ガス工場が存在した。1929年から敗戦までのあいだ、びらん性ガス、青酸ガス、くしゃみ性ガス、催涙性ガスなど約6600トンの毒ガスが製造された(その頃もうさぎは多かった。毒ガスの殺傷性を確認するため、生体実験に使われたのだ。現在島内を駆けまわっているうさぎたちは、国民休暇村ができたあとに観光用に持ってきたもので、現在のうさぎとは品種も異なるという)。
この島で製造された毒ガスは、日本軍の兵器として中国大陸で実際に使われた。避難用の地下道などに投げ込まれ、中国戦線での毒ガス死傷者は8~9万人と推計されている。戦時中、少年工として大久野島の毒ガス工場に勤務していた元少年は、自らのことを「英雄」であると同時に「鬼」であると語る。つまり、軍国主義の蔓延る日本によって「英雄」に仕立てられた被害者であると同時に、大量殺戮の一翼を担う「鬼」の加害者でもあるというのだ。彼は戦後、中国に行って毒ガスの被害者や遺族と対面し、心から謝罪し、それを含めた自身の体験を語ることを使命として生きている。
そんな大久野島の毒ガス工場にも大浴場があった。工場が24時間であるのに合わせ、風呂も24時間沸いていたという。夕方になると70~80人の工員がいっせいに風呂に入り、大混雑した。ホッとするひとときでありながら、憲兵が裸になって紛れ込んでいる可能性もあったので、仕事に関することは話さないようにしていたという。
この瞠目の紀行エッセイを読み進めながら、安田さんの取材にかける粘り強さと反骨精神、金井さんの誰とでもすぐに打ち解ける社交性と細やかな観察眼に唸らされた。
そして二人の能力を最大限に引き出したのが、風呂である。やはり裸になって見知らぬ土地で見知らぬ他者と出会うのは、かけがえのないことなのだ。裸にならずに裸になるのもいいけれど、裸にならなければ裸になれない場合もある。比喩的にも、字義的にも。そういうわけで、マスクも服も脱ぎ捨てて、安心してお湯に浸かりに行ける日が待ち遠しくてたまらない。
まず著者の組み合わせに驚く。安田浩一さん(文)と金井真紀さん(文と絵)。安田さんはヘイトスピーチやネット右翼、外国人差別といった問題に正面から取り組む硬派のジャーナリスト。なので「風呂」というテーマは意外だった(生まれは伊豆半島の温泉地帯らしい)。
一方の金井さんは、世界のお相撲さんやヒトと働く動物(鵜の話が絶品)、パリのすてきなおじさんなど、脱力系のテーマに身体全体で入ってゆく文筆家・イラストレーター。なので「戦争」というテーマは意外だった(いつも「多様性をおもしろがること」を大切にしているらしい)。
そしてこの二人のコラボレーション、神がかり的なレベルでうまくいっている。なんでも以前から一緒に銭湯に行く仲だったらしいが、硬軟を補いあう深い信頼関係に安心して身をゆだねられる。
最初に二人が向かったのは、タイ・ヒンダット温泉。服を着たまま入る河原の露天風呂で、現地の人々から「体にすべていい」と愛されている。この温泉、第二次世界大戦中に日本軍が見つけたらしい。
ヒンダット温泉の近くには、日本軍が20万人を超える労働者を集めて敷設した泰緬鉄道が走っている。過酷な敷設工事によって、マレーシア人やビルマ人、イギリス人、インドネシア人、オーストラリア人、ドイツ人など合計10万人近い労働者が亡くなった。その一端は、映画『戦場にかける橋』からも窺える。そんな日本軍が見つけた温泉で現地の人々が極楽気分を味わっているというのだから、なんだか複雑な気持ちになる。
お次は日本最南端の「ユーフリヤー」(湯屋)、沖縄・中之湯。ここは沖縄唯一の銭湯でもある。脱衣所と浴室との仕切りがなく、洗い場のカランは湯と水の蛇口がホースでひとつにつながれ、湯水が”合流”して出てくるなど、「沖縄スタイル」がユニークだ。安田さんは男湯のなかで、政治的立場が反対の男性に出会い議論をふっかけられる。このときの安田さんの対応が素晴らしく、見習いたくなる。そして脱衣所の外で出会った一人のおじいさんは、米軍の捕虜になって収容所暮らしも経験しており、米兵が捨てた空き缶で作った「カンカラ三線」を弾いてくれた。
続いて訪れた韓国は、「お風呂天国」だった。温泉、沐浴場、チムジルバン(サウナ)は日本と異なる入浴文化。日本人は風呂に「心の平安」を求める傾向があるが、韓国人は風呂に「活力」を求める。だから韓国では、イテリと呼ばれるザラザラした専用の布でアカスリをすることが必須(最近は「自動アカスリ機」まで生まれた)であり、早朝に入浴して活を入れることが好まれる。
金井さんは韓国のチムジルバンで、あることに気付く。男性はタオルを何枚使ってもいいのに、女性はタオルを2枚までしか使えないのだ。このタオル格差、現地の人々はさも当然という態度で受け入れているが、本書でその理由を知ったあなたは、どう感じるだろうか。また、葛の根っこジュースが名物の鹿湯温泉で、金井さんは「日本人には名前を教えたくないの。ごめんね」と言うおばあさんに出会う。このおばあさんとの緊迫したやり取りは、まさに素っ裸であるからこそ成り立った得難いものであるだろう。
ところ変わって神奈川県の寒川町。ここは戦後、満州や樺太、朝鮮から多くの引揚者を受け入れ、「引揚者住宅」も建てられた。引揚者たちが熱望して1954年に開業したのが、寒川初の銭湯「すずらんの湯」だ。一時は賑わいを見せたものの、2014年に閉業した。人々はすずらんの湯ができる前、戦中は相模海軍工廠の、戦後は日東タイヤの敷地内の風呂に通っていた。そして相模海軍工廠では、毒ガス兵器「イペリット」を作っていた。当時、勤労学徒として駆り出された元少年に二人は出会う。
そして最後に訪れたのは、瀬戸内海の大久野島。現在うさぎの島として有名なこの島、かつては日本最大規模の毒ガス工場が存在した。1929年から敗戦までのあいだ、びらん性ガス、青酸ガス、くしゃみ性ガス、催涙性ガスなど約6600トンの毒ガスが製造された(その頃もうさぎは多かった。毒ガスの殺傷性を確認するため、生体実験に使われたのだ。現在島内を駆けまわっているうさぎたちは、国民休暇村ができたあとに観光用に持ってきたもので、現在のうさぎとは品種も異なるという)。
この島で製造された毒ガスは、日本軍の兵器として中国大陸で実際に使われた。避難用の地下道などに投げ込まれ、中国戦線での毒ガス死傷者は8~9万人と推計されている。戦時中、少年工として大久野島の毒ガス工場に勤務していた元少年は、自らのことを「英雄」であると同時に「鬼」であると語る。つまり、軍国主義の蔓延る日本によって「英雄」に仕立てられた被害者であると同時に、大量殺戮の一翼を担う「鬼」の加害者でもあるというのだ。彼は戦後、中国に行って毒ガスの被害者や遺族と対面し、心から謝罪し、それを含めた自身の体験を語ることを使命として生きている。
そんな大久野島の毒ガス工場にも大浴場があった。工場が24時間であるのに合わせ、風呂も24時間沸いていたという。夕方になると70~80人の工員がいっせいに風呂に入り、大混雑した。ホッとするひとときでありながら、憲兵が裸になって紛れ込んでいる可能性もあったので、仕事に関することは話さないようにしていたという。
この瞠目の紀行エッセイを読み進めながら、安田さんの取材にかける粘り強さと反骨精神、金井さんの誰とでもすぐに打ち解ける社交性と細やかな観察眼に唸らされた。
そして二人の能力を最大限に引き出したのが、風呂である。やはり裸になって見知らぬ土地で見知らぬ他者と出会うのは、かけがえのないことなのだ。裸にならずに裸になるのもいいけれど、裸にならなければ裸になれない場合もある。比喩的にも、字義的にも。そういうわけで、マスクも服も脱ぎ捨てて、安心してお湯に浸かりに行ける日が待ち遠しくてたまらない。
2022年8月14日に日本でレビュー済み
安田浩一、金井真紀のお二人が内外の温泉を巡りながら、その地域ならでは、そこに暮らす人ならではの戦争の痕跡について思いをはせるといった、比較的軽めのルポという体裁です。
それぞれの温泉地にまつわる戦争の影を、スローボールを投げるかのように読者に向けて発信するスタイルは、新しい試みだと思いました。
しかし、安田氏がジャーナリストとして冷静かつ公平な視点から俯瞰して持論を展開するのに対し、金井氏の場合は感情的且つ一方的な印象を受けます。
元々金井氏は緩い日常系紀行文のヒトなのですが、感覚的に他者と接することが持ち味であり、理屈と思いをうまく整理して相手と向き合ったり、文章をまとめることが苦手ではないかと感じました。
そのせいか、安田パートは普通に読めるのですが、金井パートは落ち着かない感情の気持ち悪さを感じることがありました。
文章全般は安田氏に任せて、金井氏はイラストと章間に登場するコラム程度という役割分担のほうが、書籍としてのまとまりが良くなったのではないでしょうか。
それぞれの温泉地にまつわる戦争の影を、スローボールを投げるかのように読者に向けて発信するスタイルは、新しい試みだと思いました。
しかし、安田氏がジャーナリストとして冷静かつ公平な視点から俯瞰して持論を展開するのに対し、金井氏の場合は感情的且つ一方的な印象を受けます。
元々金井氏は緩い日常系紀行文のヒトなのですが、感覚的に他者と接することが持ち味であり、理屈と思いをうまく整理して相手と向き合ったり、文章をまとめることが苦手ではないかと感じました。
そのせいか、安田パートは普通に読めるのですが、金井パートは落ち着かない感情の気持ち悪さを感じることがありました。
文章全般は安田氏に任せて、金井氏はイラストと章間に登場するコラム程度という役割分担のほうが、書籍としてのまとまりが良くなったのではないでしょうか。
2021年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本軍が作った温泉と現在の様子と日本との関係や猫の島の毒ガス工場の実態まで影の歴史をお風呂に介したインタビューによりまとめたもの・・裸の付き合いから描き出す真実。
軽く読める重い内容の本。戦争を繰り返さないように歴史を学ぶ気かけにも出来る良書。
NHKでの映像の世紀でも悲惨な戦争が描かれており、ぜひ皆さんに見て頂きたいが、
この本では別の角度から生き証人へのインタビューをまとめている。
軍事教育で洗脳された元軍国少年が敵は殺しても良いとまで思わされた実態などは今後、常にその時代に映して考えるべき内容。
軽く読める重い内容の本。戦争を繰り返さないように歴史を学ぶ気かけにも出来る良書。
NHKでの映像の世紀でも悲惨な戦争が描かれており、ぜひ皆さんに見て頂きたいが、
この本では別の角度から生き証人へのインタビューをまとめている。
軍事教育で洗脳された元軍国少年が敵は殺しても良いとまで思わされた実態などは今後、常にその時代に映して考えるべき内容。
2021年11月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
もともと安田浩一氏は好きなジャーナリストなのと、温泉も好きなので購入。
重い内容だけど、それだけではない。
温泉イイな、だけど、それだけではない。
読むべき本です。
重い内容だけど、それだけではない。
温泉イイな、だけど、それだけではない。
読むべき本です。
2021年10月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
お風呂を通じて取材して、心の奥にしまっていた声を聞く。イラストもその場の空気を伝える。この方法がまず素晴らしいと思う。人の声はしっかりと伝わった。知らなくてはいけないことばかりだった。戦争は色んな形で人に傷を残したことをあらためて思った。マキさんのイラストが好きです。
2022年8月12日に日本でレビュー済み
とにかくタイトルから目が離せず
そしてうっかり読んでみたら
深かった
しみじみ読み進め
うっかり泣いてしまった
必読です
そしてうっかり読んでみたら
深かった
しみじみ読み進め
うっかり泣いてしまった
必読です
2022年9月25日に日本でレビュー済み
この本に含まれるあらゆる要素が私の興味をそそる。近年読んだ本の個人的ベスト3に入る一冊。
TBSラジオ『荻上チキSession』では2021年10月6日に著者2人を迎えて特集を放送(Podcastで聴ける)。
タイも沖縄も韓国も、旅行したことのある土地の知らなかった一面。男湯・女湯それぞれで起こる出来事もそれぞれが印象深い。被害と加害の表裏一体について考えさせられる。
第二次世界大戦を生きた人たちの声を聞ける恐らく最後のタイミングでこの本を企画し取材し出版してくれたことに一読者として感謝をしたい。続編を心から期待する。
TBSラジオ『荻上チキSession』では2021年10月6日に著者2人を迎えて特集を放送(Podcastで聴ける)。
タイも沖縄も韓国も、旅行したことのある土地の知らなかった一面。男湯・女湯それぞれで起こる出来事もそれぞれが印象深い。被害と加害の表裏一体について考えさせられる。
第二次世界大戦を生きた人たちの声を聞ける恐らく最後のタイミングでこの本を企画し取材し出版してくれたことに一読者として感謝をしたい。続編を心から期待する。