わたしにとって、最高の一冊であり最高の感謝を込めたい本です。
悲しくて、苦しくて、どうしようもない時も、先生が側に居てくれるような優しい本。
先生の笑顔や声が届く大切な一冊です。
先生、こんなに大切な本を出して下さり本当に有難う御座います。
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刑務所の精神科医――治療と刑罰のあいだで考えたこと 単行本 – 2021/9/14
野村俊明
(著)
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〈私には、非行少年少女や受刑者の多くが人生の偶然や不運に翻弄されているように見えた。そして、人生のほんのわずかな何かが変わっていれば、自分も少年院に入って反対側の椅子に座っていたかもしれないと感じていた〉
刑務所や少年院などの受刑者・被収容者の中には、精神障害が理由となって法を犯した者もいれば、矯正施設という特殊な状況下で精神障害を発症する者もいる。しかし、受刑者たちの治療の前には、つねに法の「平等主義」が立ちはだかってきた。
親の顔も知らずに育った青年。身寄りもなく、万引きを繰り返して刑務所と外の世界を行き来する老人。重度の精神障害のため会話もままならず、裁判すらできずに拘置所に収容されつづける男性――。著者は精神科医として、矯正施設でありとあらゆる人生を見てきた。
高い塀の向こうで、心の病いを抱えた人はどう暮らし、その人たちを日夜支える人々は何を思うのか。私たちが暮らす社会から隔絶された、もうひとつの医療現場を描くエッセイ。
刑務所や少年院などの受刑者・被収容者の中には、精神障害が理由となって法を犯した者もいれば、矯正施設という特殊な状況下で精神障害を発症する者もいる。しかし、受刑者たちの治療の前には、つねに法の「平等主義」が立ちはだかってきた。
親の顔も知らずに育った青年。身寄りもなく、万引きを繰り返して刑務所と外の世界を行き来する老人。重度の精神障害のため会話もままならず、裁判すらできずに拘置所に収容されつづける男性――。著者は精神科医として、矯正施設でありとあらゆる人生を見てきた。
高い塀の向こうで、心の病いを抱えた人はどう暮らし、その人たちを日夜支える人々は何を思うのか。私たちが暮らす社会から隔絶された、もうひとつの医療現場を描くエッセイ。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2021/9/14
- 寸法13.6 x 2.2 x 19.5 cm
- ISBN-104622090376
- ISBN-13978-4622090373
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商品の説明
著者について
野村俊明(のむら・としあき)
1954年生まれ。日本医科大学名誉教授。精神科医。東京大学文学部、同大学院教育学研究科教育心理学専攻博士課程満期退学。日本医科大学卒業。日本医科大学附属第一病院、複数の矯正施設への勤務を経て日本医科大学医療心理学教室教授。2020年退職。著書に『非行精神医学』(共著 医学書院 2006)『非行と犯罪の精神科臨床』(共編著 星和書店 2007)『精神療法の基本』(共著 医学書院 2012)『生命倫理の教科書』(共編著 ミネルヴァ書房 2014)『精神療法の実践』(共著 医学書院 2020)などがある。
1954年生まれ。日本医科大学名誉教授。精神科医。東京大学文学部、同大学院教育学研究科教育心理学専攻博士課程満期退学。日本医科大学卒業。日本医科大学附属第一病院、複数の矯正施設への勤務を経て日本医科大学医療心理学教室教授。2020年退職。著書に『非行精神医学』(共著 医学書院 2006)『非行と犯罪の精神科臨床』(共編著 星和書店 2007)『精神療法の基本』(共著 医学書院 2012)『生命倫理の教科書』(共編著 ミネルヴァ書房 2014)『精神療法の実践』(共著 医学書院 2020)などがある。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2021/9/14)
- 発売日 : 2021/9/14
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 224ページ
- ISBN-10 : 4622090376
- ISBN-13 : 978-4622090373
- 寸法 : 13.6 x 2.2 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 86,099位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 188位精神医学 (本)
- カスタマーレビュー:
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5 星
先生にただただ感謝です
わたしにとって、最高の一冊であり最高の感謝を込めたい本です。悲しくて、苦しくて、どうしようもない時も、先生が側に居てくれるような優しい本。先生の笑顔や声が届く大切な一冊です。先生、こんなに大切な本を出して下さり本当に有難う御座います。
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2021年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
普段、ブラックボックスである中身を拝見しているようで色々と新しい知見を得られました。
犯罪に手を染めるメカニズム的なものの一つを垣間見れたようで、大変有意義な読書でした。
全体的に温もりがあり冷静で客観的でもあり本そのものが野に咲く花のようでもありました。
また運や不運や偶然性の現実に与える影響がシビアで考えざる負えませんでした。
犯罪に手を染めるメカニズム的なものの一つを垣間見れたようで、大変有意義な読書でした。
全体的に温もりがあり冷静で客観的でもあり本そのものが野に咲く花のようでもありました。
また運や不運や偶然性の現実に与える影響がシビアで考えざる負えませんでした。
2022年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
刑務所や少年院といった矯正施設での精神科医の体験を踏まえた著作といえば、作家の加賀乙彦氏が東京拘置所医官時代の体験に基づき書いた『宣告』を想起する(ただし、拘置所は未決囚と死刑囚のための施設なので矯正施設ではない)。しかし、後者が死刑囚との交流を描いた重厚な小説なのに対し、本書は窃盗や暴行、薬物といった比較的軽い罪の非行少年や受刑者を扱った短編のエッセイ集であり、矯正施設の中の精神に病を抱えた人たちの実態を幅広い問題関心で描いている。
特に、非行少年たちの多数が少年時代に劣悪な家庭環境で親から虐待を受けていたこと、刑務所の受刑者に精神病患者の占める割合が高く、刑務所が精神病患者のセーフティネットになっていることなどはすでによく知られている事実だが、著者の体験として生々しく描かれている。
ただ、矯正施設の性格上、治療期間が入所期間中に限られており、治療半ばで施設を退所した後の追跡情報がない場合が多く、治療者としては隔靴掻痒で限界を感じるところだろう。
本書の副題は「治療と刑罰のあいだでかんがえたこと」となっている。矯正施設は病院ではなく、非行や犯罪を反省し、罪を償って社会復帰するための施設である。本書でも、刑務所内の規律と受刑者の処遇の平等を重視する刑務官に対し、個々の患者の症状に応じた治療を行おうとする医師のアプローチの違いが書かれているが、矯正施設での医療には当然ジレンマがある。例えば、重度の統合失調症や認知症の人を刑務所で受刑させるのは矯正不能ゆえ無意味であり、医療施設で治療するのがふさわしい。起訴した検察官、責任無能力を争わなかった弁護士、さらには精神鑑定を行わなかった裁判所のいずれもが、被告人を受刑させることの意味を考えるべきであった。
また、日本の刑務所には高齢受刑者の割合が高いことも指摘されている。高齢化が進んでいるイギリスなどに比べても異常に高いのである。万引き等の微罪でも累犯となると長期受刑となり、出所後も生活苦で犯行を繰り返し、刑務所に戻ってくる。こうした人々には刑事処分ではなく福祉的対応が求められているのであり、高齢者が生きづらい社会という印象を強く感じる。
著者はフィンランドの刑務所を見学した体験を紹介しているが、受刑者の処遇が開放的で実におおらかである。文化の違いと著者は書いているが、人間と犯罪に対する思想の違いであろう。
見学先の刑務所長が語った「私たちはよい受刑者を作ることではなく、よい市民を作ることを目標にしている」という言葉が著者は一番印象に残ったと書いているが、同感である。
特に、非行少年たちの多数が少年時代に劣悪な家庭環境で親から虐待を受けていたこと、刑務所の受刑者に精神病患者の占める割合が高く、刑務所が精神病患者のセーフティネットになっていることなどはすでによく知られている事実だが、著者の体験として生々しく描かれている。
ただ、矯正施設の性格上、治療期間が入所期間中に限られており、治療半ばで施設を退所した後の追跡情報がない場合が多く、治療者としては隔靴掻痒で限界を感じるところだろう。
本書の副題は「治療と刑罰のあいだでかんがえたこと」となっている。矯正施設は病院ではなく、非行や犯罪を反省し、罪を償って社会復帰するための施設である。本書でも、刑務所内の規律と受刑者の処遇の平等を重視する刑務官に対し、個々の患者の症状に応じた治療を行おうとする医師のアプローチの違いが書かれているが、矯正施設での医療には当然ジレンマがある。例えば、重度の統合失調症や認知症の人を刑務所で受刑させるのは矯正不能ゆえ無意味であり、医療施設で治療するのがふさわしい。起訴した検察官、責任無能力を争わなかった弁護士、さらには精神鑑定を行わなかった裁判所のいずれもが、被告人を受刑させることの意味を考えるべきであった。
また、日本の刑務所には高齢受刑者の割合が高いことも指摘されている。高齢化が進んでいるイギリスなどに比べても異常に高いのである。万引き等の微罪でも累犯となると長期受刑となり、出所後も生活苦で犯行を繰り返し、刑務所に戻ってくる。こうした人々には刑事処分ではなく福祉的対応が求められているのであり、高齢者が生きづらい社会という印象を強く感じる。
著者はフィンランドの刑務所を見学した体験を紹介しているが、受刑者の処遇が開放的で実におおらかである。文化の違いと著者は書いているが、人間と犯罪に対する思想の違いであろう。
見学先の刑務所長が語った「私たちはよい受刑者を作ることではなく、よい市民を作ることを目標にしている」という言葉が著者は一番印象に残ったと書いているが、同感である。
2022年2月11日に日本でレビュー済み
2021年に読んでその年最も心打たれた『誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論』(松本俊彦・著)と同じみすず書房から出ており、装丁も似た雰囲気だったので手に取った。『誰がために医師はいる』と同様、本書もまた、一筋縄ではいかない世界で永らく貴重な仕事を経験してきた医師による濃厚で、しかし平易で読みやすいエッセイだった。
刑務所や矯正施設という世間から隔絶された「特殊社会」のなかで、精神科医である著者は多様で過酷な生い立ちや事情を背負った人々と向き合う。そのなかには、刑務所で罪を償うのは不可能に思える精神的病を患った人、あるいは刑法的には考慮されないが精神医学の世界では明らかな病を抱える人が少なくない。
こうした現実を知ると、それらの受刑者たちを刑務所に「隔離」する検察や裁判官(そして一部の弁護士)、刑務所のなかで彼ら彼女らを健常者の論理で「管理」しようとする刑務官らに反感を抱いてしまいそうになる。
しかし物事はそう単純ではない。著者の冷静な視点を追っていくと、検察、裁判官、弁護士、刑務官らは各々の立場から職務を全うしているに過ぎないことがわかる。
犯罪と刑罰、病と治療という観点だけ抜き出してみても、善悪の基準は簡単に矛盾する。そして、この国の矛盾した制度や仕組みは、端的に言えば、私たち国民一人ひとりの倫理観と感情による民意がつくり出していることを思い知る。
「高い塀」の内側で困難な人生を歩む人たちと対峙する医師は、何を思いながら仕事を続け、また医師本人の人生は患者と向き合うことでどう変化していったのか。正解の見えない、というか正解などないはずの仕事を通して考えたことを、著者はあくまで静謐な筆致で綴っていく。その眼差しはとても優しかった。
刑務所や矯正施設という世間から隔絶された「特殊社会」のなかで、精神科医である著者は多様で過酷な生い立ちや事情を背負った人々と向き合う。そのなかには、刑務所で罪を償うのは不可能に思える精神的病を患った人、あるいは刑法的には考慮されないが精神医学の世界では明らかな病を抱える人が少なくない。
こうした現実を知ると、それらの受刑者たちを刑務所に「隔離」する検察や裁判官(そして一部の弁護士)、刑務所のなかで彼ら彼女らを健常者の論理で「管理」しようとする刑務官らに反感を抱いてしまいそうになる。
しかし物事はそう単純ではない。著者の冷静な視点を追っていくと、検察、裁判官、弁護士、刑務官らは各々の立場から職務を全うしているに過ぎないことがわかる。
犯罪と刑罰、病と治療という観点だけ抜き出してみても、善悪の基準は簡単に矛盾する。そして、この国の矛盾した制度や仕組みは、端的に言えば、私たち国民一人ひとりの倫理観と感情による民意がつくり出していることを思い知る。
「高い塀」の内側で困難な人生を歩む人たちと対峙する医師は、何を思いながら仕事を続け、また医師本人の人生は患者と向き合うことでどう変化していったのか。正解の見えない、というか正解などないはずの仕事を通して考えたことを、著者はあくまで静謐な筆致で綴っていく。その眼差しはとても優しかった。
2022年7月2日に日本でレビュー済み
とても優れたバランス感覚のある先生という印象を受けた。 たいていの物事は極端にやるほうが簡単で、積極的になりすぎす、さりとて消極的にもなりすぎず、というのは大切にしたい姿勢。
2021年11月26日に日本でレビュー済み
面白いの、一言につきる。
日本の犯罪と精神医学について、穿った視点で考察されている。世間一般の価値観や常識を一度取っ払って、新しい視点での考察。著者の数十年に及ぶ犯罪者、精神障害者への向き合い方。専門用語は、少なく読みやすい内容になっています。精神医療に関わらない人でも、手に取ってほしいと思います。
日本の犯罪と精神医学について、穿った視点で考察されている。世間一般の価値観や常識を一度取っ払って、新しい視点での考察。著者の数十年に及ぶ犯罪者、精神障害者への向き合い方。専門用語は、少なく読みやすい内容になっています。精神医療に関わらない人でも、手に取ってほしいと思います。
2021年12月16日に日本でレビュー済み
刑務所や医療少年院などの矯正施設に20年以上、精神科医として勤務した著者の経験に基づくエッセイ集。さまざまな切り口から、矯正施設にまつわる精神治療を中心に綴った11編、約200ページ。
「大多数の非行少年少女は過酷な家庭環境で生育している」ことを実感するという医療少年院での臨床経験は、本書内の具体例とともに、「私が医療少年院に勤めて強い衝撃を受けたことの一つは、多くの非行少年少女たちが受けてきた虐待のひどさだった。記録を読んでいると気分が悪くなってくるのである」という文によって強く印象づけられた。そのような非行少年への虐待も、地域から孤立した貧困家庭でおこることが多く、「子どもを育てるのは社会の責任である、というところまで発想を転換する必要がある」という著者の主張に頷ける。
当事者の年齢としては対になるが、犯罪の件数自体は減少傾向にあるなか、受刑者に占める高齢者の割合が急激に増加している傾向も大きな懸念事項だ。無銭飲食や万引きののような軽犯罪による累犯犯罪者などから、「高齢者の社会的孤立」「経済的貧困」を主な要因とする指摘は非行少年が生み出されてしまう原因と重なる。また、高齢者については認知症の問題が深刻な影を落としていることが示される。刑務所にいることすら理解していないような受刑者について、「認知症のように現時点で進行するのみで治療可能性がない病気の患者を刑務所に留めておくのはどう考えても合理的ではない」という指摘ももっともだと思える。
刑務所の現実を描くという点では、やはり『反省させると犯罪者になります』の岡本茂樹氏や『獄窓記』山本譲司氏の著書にある指摘と同様に、刑務所に収容する目的は何なのかという問題にいきあたる。「フィンランドの刑務所」で描かれる、視察先であるフィンランドの刑務所の開放的な処遇は、日本の刑務所の閉鎖性を意識させられる。あるフィンランドの刑務所長の口から「私たちはよい受刑者を作ることではなく、よい市民を作ることを目標にしている」という信念を耳にした著者の気持ちを理解できるような気がする。
矯正施設における精神医療の現場から考えさせられたのは、すべてではないにせよ、少なくない部分が社会と連動した問題ではないかという点だった。「一番必要とされているのは、洗練された心理学的手法ではなく福祉的な配慮と根気強い支持的な対応なのである」という著者の言葉は、医療の当事者による貴重な提言だと思える。そんななか、著者が懸念としてところどころで言及する、ここ十年二十年ほどのあいだに口にされることが多くなった「自己責任」「同調圧力」といったキーワードにもみられる"不寛容さ"に対して、漠然とした不安が残る。なぜなら、先述の「刑務所に収容する目的」の定義や、生活保護受給問題、本書の一節でも触れられている死刑制度などの背景にある様々な法制度や処遇は、元をたどれば日本人の総意に行き当たるはずだからだ。
全体としては、数々の問題を指摘しつつも決して声高に糾弾するような姿勢ではなく、著者の筆致はあくまで淡々としている。具体例としての患者たちのその後についても多くは不明で、暗い未来を暗示させるような終りも少なからずある。個々の臨床のエピソードについて多くは明確な結論も提示されず、そのような形で患者やその家族の人生の一場面を垣間見るにつれ、(適当な表現かわからないが)短編小説集を読んでいるかのような感覚も与えられた。
「大多数の非行少年少女は過酷な家庭環境で生育している」ことを実感するという医療少年院での臨床経験は、本書内の具体例とともに、「私が医療少年院に勤めて強い衝撃を受けたことの一つは、多くの非行少年少女たちが受けてきた虐待のひどさだった。記録を読んでいると気分が悪くなってくるのである」という文によって強く印象づけられた。そのような非行少年への虐待も、地域から孤立した貧困家庭でおこることが多く、「子どもを育てるのは社会の責任である、というところまで発想を転換する必要がある」という著者の主張に頷ける。
当事者の年齢としては対になるが、犯罪の件数自体は減少傾向にあるなか、受刑者に占める高齢者の割合が急激に増加している傾向も大きな懸念事項だ。無銭飲食や万引きののような軽犯罪による累犯犯罪者などから、「高齢者の社会的孤立」「経済的貧困」を主な要因とする指摘は非行少年が生み出されてしまう原因と重なる。また、高齢者については認知症の問題が深刻な影を落としていることが示される。刑務所にいることすら理解していないような受刑者について、「認知症のように現時点で進行するのみで治療可能性がない病気の患者を刑務所に留めておくのはどう考えても合理的ではない」という指摘ももっともだと思える。
刑務所の現実を描くという点では、やはり『反省させると犯罪者になります』の岡本茂樹氏や『獄窓記』山本譲司氏の著書にある指摘と同様に、刑務所に収容する目的は何なのかという問題にいきあたる。「フィンランドの刑務所」で描かれる、視察先であるフィンランドの刑務所の開放的な処遇は、日本の刑務所の閉鎖性を意識させられる。あるフィンランドの刑務所長の口から「私たちはよい受刑者を作ることではなく、よい市民を作ることを目標にしている」という信念を耳にした著者の気持ちを理解できるような気がする。
矯正施設における精神医療の現場から考えさせられたのは、すべてではないにせよ、少なくない部分が社会と連動した問題ではないかという点だった。「一番必要とされているのは、洗練された心理学的手法ではなく福祉的な配慮と根気強い支持的な対応なのである」という著者の言葉は、医療の当事者による貴重な提言だと思える。そんななか、著者が懸念としてところどころで言及する、ここ十年二十年ほどのあいだに口にされることが多くなった「自己責任」「同調圧力」といったキーワードにもみられる"不寛容さ"に対して、漠然とした不安が残る。なぜなら、先述の「刑務所に収容する目的」の定義や、生活保護受給問題、本書の一節でも触れられている死刑制度などの背景にある様々な法制度や処遇は、元をたどれば日本人の総意に行き当たるはずだからだ。
全体としては、数々の問題を指摘しつつも決して声高に糾弾するような姿勢ではなく、著者の筆致はあくまで淡々としている。具体例としての患者たちのその後についても多くは不明で、暗い未来を暗示させるような終りも少なからずある。個々の臨床のエピソードについて多くは明確な結論も提示されず、そのような形で患者やその家族の人生の一場面を垣間見るにつれ、(適当な表現かわからないが)短編小説集を読んでいるかのような感覚も与えられた。