男女平等の印象が強いアメリカですが、1940年代は女性が大学教育を受けることに対する風当たりは我が国同様に強く、苦労して学業を修めたのちも教師以外に目ぼしい職に就くことはできず、その給与は男性の同職と比較して著しく低いという風潮だったと本書に記されています。
「1940年代に頭の良い女子であることは楽ではなかった。周りから煙たがられるからだ」と。
軍が目を付けたのはそんな彼女たちでした。。
まずはアイビーリーグの名門女子大学の卒業生を青田刈りでスカウトし、戦争中期にそれでも人員が不足すると今度は学校教師を募集の対象とします。
「リベット打ちのロージー」のように数百万の女性が戦争協力のため工場で働いたことはよく知られているが、一万人以上の女性が頭脳と苦労して身に着けた教育を戦争協力に役立てたことはほとんど知られていないと述べられています。
そのようにしてスカウトされたほぼ無名の女性たち。
その中の一部の足跡と功績を追う形で本書は進んでゆきます。
採用された彼女たちの主な業務は日々飛び交う膨大な量の日本語、ドイツ語、イタリア語、そして同盟国ではあるが監視の目を緩めることはできないロシア語、フランス語の暗号を翻訳することです。
しかし、彼女たちが採用された当初に全ての暗号の構造が解明していた訳ではなく、未知の暗号解読に従事した女性たちもいました。
また、もともとごく少数の女性数学者は民間人として軍のインテリジェンス(情報)部門に従事していました。
古参の暗号解読者たちと新参の暗号解読者の軋轢
男女間のプライドの軋轢
かつて輝かしい功績を挙げたものの栄枯盛衰。
戦中の僅か5年間の人間模様が迫真の筆致で生生しく描き出されます。
また、それほど多くの独身女性が一つの地域で生活するというアメリカ史上あまり類を見ない状況であったことから住宅の供給問題に関するエピソードもユーモアを交えて記されていました。
5年間の大戦中に大活躍した暗号解読者たち。
しかし、彼女たち自らが事前に解読していた1945年8月15日の日本の降伏により第二次世界大戦は幕を閉じ、民間人である彼女たちの多くは職を解かれます。
有能さにより軍人として採用され、高い階級に昇進していたものは軍に残りますが
そんな彼女たちの多くは軍人と結婚して家庭を持ったタイミングで、または子供ができたタイミングで職を去ってゆきます。
「母親になるかどうかで優秀な女性たちが仕事を続けるか辞めるかの道が分かれた」
そんな彼女たちの1人の息子は母親の人生をこのように語っています。
「母は人生には何かが足りないと感じていた。母親はかつて何かを手にしていて、それを失ってしまったのだと。」
本書に描かれた無名の女性たちの人生の悲喜こもごもに圧倒される読後感です。
彼女たち一人一人の人生の重みを是非味わってみてください。
彼女たちが生きた時代が完全に終わる前に本書が執筆、刊行されたことに感謝の念を禁じえません。
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コード・ガールズ――日独の暗号を解き明かした女性たち 単行本 – 2021/7/20
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購入オプションとあわせ買い
日本軍の真珠湾攻撃が迫る1941年11月、アメリカ海軍から東部の名門女子大に宛てて「秘密の手紙」が送られはじめた。そこには、敵国の暗号解読に当たれる優秀な学生がほしいと記されていた――。
第二次世界大戦中、米陸・海軍に雇われ、日本やドイツなど枢軸国の暗号解読を担ったアメリカ人女性たちがいた。外国語や数学をはじめとする高等教育を受けた新卒者や元教師らが全米各地から首都ワシントンに集い、大戦末期には男性をしのぐ1万人以上の女性が解読作業に従事した。
その働きにより、日本の外交暗号(通称パープル)や陸軍の船舶輸送暗号が破られ、枢軸国側に壊滅的な打撃を与えた。ミッドウェー海戦での米軍の勝利、山本五十六連合艦隊司令長官の殺害作戦の陰にも彼女らがいた。一方、大西洋戦域においてはドイツのエニグマ暗号を解明してUボートの脅威を排除し、ノルマンディー上陸時の欺瞞作戦でも活躍した。こうした功績がきっかけとなり、それまで女性には閉ざされていた政府高官や大学教授など高いキャリアへの道が切り拓かれることになる。
戦後も守秘義務を守り、口を閉ざしてきた当事者らへのインタビュー、当時の手紙、機密解除された史料などをもとに、情報戦の一翼を担った女性たちに光をあて、ベストセラーとなったノンフィクション。口絵写真33点を収録。解説・小谷賢。
第二次世界大戦中、米陸・海軍に雇われ、日本やドイツなど枢軸国の暗号解読を担ったアメリカ人女性たちがいた。外国語や数学をはじめとする高等教育を受けた新卒者や元教師らが全米各地から首都ワシントンに集い、大戦末期には男性をしのぐ1万人以上の女性が解読作業に従事した。
その働きにより、日本の外交暗号(通称パープル)や陸軍の船舶輸送暗号が破られ、枢軸国側に壊滅的な打撃を与えた。ミッドウェー海戦での米軍の勝利、山本五十六連合艦隊司令長官の殺害作戦の陰にも彼女らがいた。一方、大西洋戦域においてはドイツのエニグマ暗号を解明してUボートの脅威を排除し、ノルマンディー上陸時の欺瞞作戦でも活躍した。こうした功績がきっかけとなり、それまで女性には閉ざされていた政府高官や大学教授など高いキャリアへの道が切り拓かれることになる。
戦後も守秘義務を守り、口を閉ざしてきた当事者らへのインタビュー、当時の手紙、機密解除された史料などをもとに、情報戦の一翼を担った女性たちに光をあて、ベストセラーとなったノンフィクション。口絵写真33点を収録。解説・小谷賢。
- 本の長さ504ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2021/7/20
- 寸法13.9 x 3.7 x 19.5 cm
- ISBN-104622090198
- ISBN-13978-4622090199
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商品の説明
著者について
ライザ・マンディ(Liza Mundy)
アメリカのジャーナリスト、ノンフィクション作家。《ワシントン・ポスト》紙で長年記者を務め、女性問題や労働問題を中心に取材。2017年に刊行された本書は《ニューヨーク・タイムズ》紙ほか主要紙で高評価されて20万部を超えるベストセラーとなり、10を超える言語に翻訳されている。情報機関出身者が選ぶ「Best General Audience Intelligence Book(一般向けインテリジェンス最優秀書)」(2018)にも選出された。グーグル本社をはじめ、各地で本書と「コード・ガールズ」に関する講演を行っている。ほかの著書に『ミシェル・オバマ』(渡辺将人監訳、清川幸美訳、日本文芸社、2009)、Everything Conceivable (Knopf, 2007), The Richer Sex (Simon & Schuster, 2012) など。《アトランティック》誌、《タイム》誌、《ガーディアン》紙、《ポリティコ》誌などに寄稿。シンクタンク「ニューアメリカ」のシニア・フェロー、「ジャパン・ソサエティ」フェロー。2019-20年に米国家安全保障局/中央保安部(NSA/CSS)の招聘研究員。バージニア州アーリントン在住。
小野木明恵(おのき・あきえ)
翻訳家。大阪外国語大学英語学科卒業。訳書にモフェット『人はなぜ憎しみあうのか』(早川書房、2020)、ギロビッチほか『その部屋のなかで最も賢い人』(青土社、2018)、ザラスカ『人類はなぜ肉食をやめられないのか』(インターシフト、2017)、バロウ『数学を使えばうまくいく』(共訳、青土社、2016)ほか。
小谷賢(こたに・けん)
日本大学危機管理学部教授(インテリジェンス研究、イギリス政治外交史)。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。英国王立防衛安保問題研究所(RUSI)客員研究員、防衛省防衛研究所主任研究官などを経て現職。著書に『日英インテリジェンス戦史』(2019)、『モサド』(2018、ともにハヤカワ・ノンフィクション文庫)、『日本軍のインテリジェンス』(講談社選書メチエ、2007)ほか。訳書にサミュエルズ『特務(スペシャル・デューティー)』(日本経済新聞出版、2020)など。
アメリカのジャーナリスト、ノンフィクション作家。《ワシントン・ポスト》紙で長年記者を務め、女性問題や労働問題を中心に取材。2017年に刊行された本書は《ニューヨーク・タイムズ》紙ほか主要紙で高評価されて20万部を超えるベストセラーとなり、10を超える言語に翻訳されている。情報機関出身者が選ぶ「Best General Audience Intelligence Book(一般向けインテリジェンス最優秀書)」(2018)にも選出された。グーグル本社をはじめ、各地で本書と「コード・ガールズ」に関する講演を行っている。ほかの著書に『ミシェル・オバマ』(渡辺将人監訳、清川幸美訳、日本文芸社、2009)、Everything Conceivable (Knopf, 2007), The Richer Sex (Simon & Schuster, 2012) など。《アトランティック》誌、《タイム》誌、《ガーディアン》紙、《ポリティコ》誌などに寄稿。シンクタンク「ニューアメリカ」のシニア・フェロー、「ジャパン・ソサエティ」フェロー。2019-20年に米国家安全保障局/中央保安部(NSA/CSS)の招聘研究員。バージニア州アーリントン在住。
小野木明恵(おのき・あきえ)
翻訳家。大阪外国語大学英語学科卒業。訳書にモフェット『人はなぜ憎しみあうのか』(早川書房、2020)、ギロビッチほか『その部屋のなかで最も賢い人』(青土社、2018)、ザラスカ『人類はなぜ肉食をやめられないのか』(インターシフト、2017)、バロウ『数学を使えばうまくいく』(共訳、青土社、2016)ほか。
小谷賢(こたに・けん)
日本大学危機管理学部教授(インテリジェンス研究、イギリス政治外交史)。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。英国王立防衛安保問題研究所(RUSI)客員研究員、防衛省防衛研究所主任研究官などを経て現職。著書に『日英インテリジェンス戦史』(2019)、『モサド』(2018、ともにハヤカワ・ノンフィクション文庫)、『日本軍のインテリジェンス』(講談社選書メチエ、2007)ほか。訳書にサミュエルズ『特務(スペシャル・デューティー)』(日本経済新聞出版、2020)など。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2021/7/20)
- 発売日 : 2021/7/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 504ページ
- ISBN-10 : 4622090198
- ISBN-13 : 978-4622090199
- 寸法 : 13.9 x 3.7 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 379,292位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 191位アメリカ史
- - 57,858位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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2024年3月16日に日本でレビュー済み
2021年11月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
充実した内容で、当時のアメリカの若く優秀な女性たちの活躍する様子がよく描かれている秀作。
女性たちのその後の半生に絞った続編を期待しています。リケジョは昔から大変だったのですね。
女性たちのその後の半生に絞った続編を期待しています。リケジョは昔から大変だったのですね。
2021年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第二次世界大戦下の米国における白人女性たちの戦争貢献について書かれた一冊です。
米国での暗号解読に女性が決定的に大きな役割を果たしていたことが明らかにされ、20世紀前半が総力戦の時代であったことを改めて思い知らされました(僅かですが黒人女性についても記述があります)。
と同時に私が関心を抱いた点は、第二次大戦の時点で、いや、第二次大戦後もアメリカの女性の地位はまだまだ低かった、という点です。女性に高等教育の門戸はそれほど開かれておらず、職業も限られ、結婚後は家庭に入ることが期待されていたということ。それは日本の女性の地位とさして変わりないように思えます。戦後75年を経て米国と日本とでは女性の地位の様相は全く異なっています。その背景や理由はこれからも学んでいきたいと思いますが、ともかく関心を抱きました。
「戦争」というとどうしてもマッチョなイメージがあって青年男性がメインの描かれ方がされがちですが、近年では米国における日系人部隊の功績やこの本のように女性の貢献という「非メインストリーム」についても明らかになって来ました。当事者はいずれも高齢で、残された時間は多くありません。あの戦争に関わった少しでも多くの人たちに光が当てられ、歴史が明らかになるよう期待します。
米国での暗号解読に女性が決定的に大きな役割を果たしていたことが明らかにされ、20世紀前半が総力戦の時代であったことを改めて思い知らされました(僅かですが黒人女性についても記述があります)。
と同時に私が関心を抱いた点は、第二次大戦の時点で、いや、第二次大戦後もアメリカの女性の地位はまだまだ低かった、という点です。女性に高等教育の門戸はそれほど開かれておらず、職業も限られ、結婚後は家庭に入ることが期待されていたということ。それは日本の女性の地位とさして変わりないように思えます。戦後75年を経て米国と日本とでは女性の地位の様相は全く異なっています。その背景や理由はこれからも学んでいきたいと思いますが、ともかく関心を抱きました。
「戦争」というとどうしてもマッチョなイメージがあって青年男性がメインの描かれ方がされがちですが、近年では米国における日系人部隊の功績やこの本のように女性の貢献という「非メインストリーム」についても明らかになって来ました。当事者はいずれも高齢で、残された時間は多くありません。あの戦争に関わった少しでも多くの人たちに光が当てられ、歴史が明らかになるよう期待します。
2022年1月14日に日本でレビュー済み
戦争、それに伴う兵器類の開発により、
技術は急速に発展するものである。
本書で、
暗号と、その解析技術もしかり、
ということを新たに認識した。
同時に、二次大戦時における暗号解読を、
米国では多くの女性が担った、というのは、驚きだった。
太平洋戦争の戦時下、日本で女性の活躍?の場というと、
軍需物資などの製造、くらいの認識だったが、
アチラさんは、そういうところでも底力が違っていたということか…
僕自身は その戦争で、祖父と叔父が亡くしているが(いずれも遺影でしか知らない)、
こういう、作戦も状況も筒抜けになった中での戦死であったのだろうかと思うと、
複雑な想いを持たざるを得なかった。
自らと相手の力量の分析、情報と機密保持の管理、
それらの都度都度の補正、状況の把握といったところで、
完全に負けていて、負けるべくして負けた。
戦争の肯定否定とか、原爆の是非とか、そういうものはひとまず置いておいて、
外交や経済という面でも、
こういうところは、教訓にしていかなければ浮かばれないなぁ、
という感を、禁じ得なかった。
技術は急速に発展するものである。
本書で、
暗号と、その解析技術もしかり、
ということを新たに認識した。
同時に、二次大戦時における暗号解読を、
米国では多くの女性が担った、というのは、驚きだった。
太平洋戦争の戦時下、日本で女性の活躍?の場というと、
軍需物資などの製造、くらいの認識だったが、
アチラさんは、そういうところでも底力が違っていたということか…
僕自身は その戦争で、祖父と叔父が亡くしているが(いずれも遺影でしか知らない)、
こういう、作戦も状況も筒抜けになった中での戦死であったのだろうかと思うと、
複雑な想いを持たざるを得なかった。
自らと相手の力量の分析、情報と機密保持の管理、
それらの都度都度の補正、状況の把握といったところで、
完全に負けていて、負けるべくして負けた。
戦争の肯定否定とか、原爆の是非とか、そういうものはひとまず置いておいて、
外交や経済という面でも、
こういうところは、教訓にしていかなければ浮かばれないなぁ、
という感を、禁じ得なかった。
2022年2月17日に日本でレビュー済み
本書では、WW2(1939-1945)の最中に活躍した「リケジョ」達の隠れた功績を明らかにしており興味深く読んだ。同様の事例はアポロ計画(1961-)で重要な役割を果たしたMITのマーガレット・ハミルトンや、2017年の映画「ドリーム」で描かれたNASAで活躍した黒人女性数学者のキャサリン・ジョンソンらが有名だ。 これらから私が思い出すのは、1975年の春に大学で線形代数学の講義を受けていた或る日、当時60代と思しき担当教授が戦時体験を話した事だ。若き日の教授は(たぶん海軍)の下級将校で大砲の弾道計算任務に当たっていた。実際の計算を担ったのは女学生達で計算のやり方と計算尺の使い方を教えるのが当時の教授の任務のひとつだったらしい(うる覚え)。戦時中に若い女性数十人が集った教室で、若い男性だだひとりの自分の姿を鮮烈に記憶している。という雑談だった。弾道計算をしていた女性(計算嬢)たちは、今は85~90歳くらいだと思う。還暦を過ぎた今では、教授に計算嬢の話を詳しく聴いておけばよかったと思うが、当時の私は馬鹿者だったので「ふぅ~ん」と聞き流していた。どこかの編集者が読み物にして呉れないだろうか。
もちろん。あらゆる意味で戦争は愚かな行為だった。という前提で。
以下のことばで検索すると関連資料が得られます。
[ 理学部と弾道計算 ] [ 日本人数学者の戦時研究 ] [ 戦時下の数学者の軍への協力について ]
ps)偶々、このレビューを見た方は、1月に刊行された「ソ連兵へ差し出された娘たち」も是非読んでいただきたい。
もちろん。あらゆる意味で戦争は愚かな行為だった。という前提で。
以下のことばで検索すると関連資料が得られます。
[ 理学部と弾道計算 ] [ 日本人数学者の戦時研究 ] [ 戦時下の数学者の軍への協力について ]
ps)偶々、このレビューを見た方は、1月に刊行された「ソ連兵へ差し出された娘たち」も是非読んでいただきたい。
2022年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
チューリング。この名は有名である。彼を筆頭とする暗号解読者が第2次世界大戦中に活躍し、連合国軍の飛躍につながったという話しは広く知られている。しかしこれまで"有名な"暗号解読者とは、すなわち男性であった。
しかし、最近機密の解除が進んできて実はその舞台裏には無数"無名の"女性がデスクで格闘していたことが明らかになった。この本は、まさに彼女らにスポットライトをあてて戦争を時系列順で、ミクロ視点から追っていくものである。
さて、内容についてはこの程度の簡易さで充分である。詳しくはほかのレビューを参照されたし。ここでは、この本の、「読み物」としての評価に言及したい。
まず、この本は体系的に描かれているものではない。試し読みで目次を見ても、その内容がいまいちつかめないものが多いだろう。タイトルは本来その文クラスタの総括であるから、おおまかの内容がわかるというのが望ましいと私は思っている。また、ミクロ視点で細かいが為に大量の女性の本名やあだ名が大挙を成して我々に襲い掛かってくる。私の矮小な脳みそメモリはほぼずっとパンクしていた。これを読み進めるに当たっては、海軍と陸軍のそれぞれの暗号解読機関をきちんと認識し、その2つの機関で繰り広げられる暗号との格闘を、それぞれべつの物語として二つ同時並行しているものと考えれば脳内メモリの効率化でき、読みやすくなるだろう。グラボでいえばSLIやCrossFireをするようなものだ。
また、ひとつの段落に、ある事例に対してプラスの面とマイナスの面と両方綴られていることがおおい。洋書の特徴である、トピックセンテンスと、それに対する説明がながなが続くという、慣れれば読みやすく感じられる段落構成がこの本では希薄なように感じられる。(原著者は学者でないようなので仕方がないかもしれないが、大学で学んだものならばこれくらいの作文指導は受けるものだろう?)
これは兎に角事例を収録しようとしたこの本の欠点かもしれない。ここでネタバレはしたくないから詳しく書かないが、女性解読者たちの暮らしぶりが描かれる中で、ある女性三人にフォーカスしたきわめて"個人的な"事例が紹介されるが、その"個人"度合いは例えると「お風呂場にゴキブリが出たので新聞で叩き潰した」というレベルのものだ。ここまで描写しなくても、女性たちの活躍ぶりは十分伝わるのだから必要なかったのではないかと思う。こういう事例が暗号解読のブレイクスルーの合間合間に出てくるもので、結果として本書をいくらか冗長にしていしまっている惜しい点である。
沢山の女性が当時のジェンダーに揉まれながら、結果として戦争に「ミッドウェーでの勝利と並ぶほどの意義がある(p267)」貢献やほかもろもろを齎したということを語るが、惜しくも冗長だ、というのがこの本の私の総括だ。
しかし、最近機密の解除が進んできて実はその舞台裏には無数"無名の"女性がデスクで格闘していたことが明らかになった。この本は、まさに彼女らにスポットライトをあてて戦争を時系列順で、ミクロ視点から追っていくものである。
さて、内容についてはこの程度の簡易さで充分である。詳しくはほかのレビューを参照されたし。ここでは、この本の、「読み物」としての評価に言及したい。
まず、この本は体系的に描かれているものではない。試し読みで目次を見ても、その内容がいまいちつかめないものが多いだろう。タイトルは本来その文クラスタの総括であるから、おおまかの内容がわかるというのが望ましいと私は思っている。また、ミクロ視点で細かいが為に大量の女性の本名やあだ名が大挙を成して我々に襲い掛かってくる。私の矮小な脳みそメモリはほぼずっとパンクしていた。これを読み進めるに当たっては、海軍と陸軍のそれぞれの暗号解読機関をきちんと認識し、その2つの機関で繰り広げられる暗号との格闘を、それぞれべつの物語として二つ同時並行しているものと考えれば脳内メモリの効率化でき、読みやすくなるだろう。グラボでいえばSLIやCrossFireをするようなものだ。
また、ひとつの段落に、ある事例に対してプラスの面とマイナスの面と両方綴られていることがおおい。洋書の特徴である、トピックセンテンスと、それに対する説明がながなが続くという、慣れれば読みやすく感じられる段落構成がこの本では希薄なように感じられる。(原著者は学者でないようなので仕方がないかもしれないが、大学で学んだものならばこれくらいの作文指導は受けるものだろう?)
これは兎に角事例を収録しようとしたこの本の欠点かもしれない。ここでネタバレはしたくないから詳しく書かないが、女性解読者たちの暮らしぶりが描かれる中で、ある女性三人にフォーカスしたきわめて"個人的な"事例が紹介されるが、その"個人"度合いは例えると「お風呂場にゴキブリが出たので新聞で叩き潰した」というレベルのものだ。ここまで描写しなくても、女性たちの活躍ぶりは十分伝わるのだから必要なかったのではないかと思う。こういう事例が暗号解読のブレイクスルーの合間合間に出てくるもので、結果として本書をいくらか冗長にしていしまっている惜しい点である。
沢山の女性が当時のジェンダーに揉まれながら、結果として戦争に「ミッドウェーでの勝利と並ぶほどの意義がある(p267)」貢献やほかもろもろを齎したということを語るが、惜しくも冗長だ、というのがこの本の私の総括だ。
2022年2月2日に日本でレビュー済み
本書は、米国の暗号解読者約2万人のうち、約1万1千人を占めた女性達の活躍ぶりを列伝風に綴ったノンフィクション。日本は女性活用力でも圧倒されていた格好だ。かといって米国がこの頃から女性活躍や男女共同参画に熱心だったというわけではなく、暗号解読という仕事の内容が女性向きでその分男を戦場に投入できる、という発想だったようだ。戦後、米国政府は手の平を返し、就業女性の家庭回帰を促す。米陸海軍の縦割りぶりや官僚主義も相当のものだ。
2021年11月6日に日本でレビュー済み
第二次世界大戦前後で暗号化された通信を解読した現場の女性のドキュメント。米国が戦時中の暗号解読作業についての機密を解除し、戦況を左右した情報戦の詳細が詳らかになった。本書で分かったことは、暗号解読そのものよりも、なぜ女性が暗号解読の仕事に就いたかだろう。当時の米国でも女性が受けてきたジェンダーや教育、終業などの差別があったことを知ることになった。人種問題も関連する。そんな差別が当たり前の時代に加えて、自分の仕事について家族や友人にはまったく話せないストレスは想像に難くない。
暗号解読については、第二次世界大戦後も重要な技術となっている。先進国のほとんどは諜報機関を持っており、これが自国の安全保障の礎となっている。日本もしっかりとして諜報機関を持って、世界と対峙しなければならないような気がする。現代の戦争は銃弾ではなくネットを流れる情報が武器となる。暗号解読技術がどれほど重要であるかは、本書を読むと、危機感が増してくる。
暗号解読については、第二次世界大戦後も重要な技術となっている。先進国のほとんどは諜報機関を持っており、これが自国の安全保障の礎となっている。日本もしっかりとして諜報機関を持って、世界と対峙しなければならないような気がする。現代の戦争は銃弾ではなくネットを流れる情報が武器となる。暗号解読技術がどれほど重要であるかは、本書を読むと、危機感が増してくる。