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ブロデックの報告書 単行本 – 2009/1/8
フィリップ・クローデル
(著),
高橋 啓
(翻訳)
『灰色の魂』で読書界を驚かせ、
『リンさんの小さな子』で多くの人の心を震わせた
クローデルによる、待望の長編小説。
「僕はブロデック、
この件にはまったく関わりがない。
僕は何もしなかったし、
何が起こったのかを知ったときでも、
できればいっさい語らず、
自分の記憶に縄をかけ、
金網の罠にはまった貂のようにおとなしくさせるために
きっちり縛り上げておきたかったのだ。」
戦争が終わって間もない
小さな村の住民による「よそ者」の集団殺人。
事件を記録するように命じられたのは、
強制収容所を生き延びるためにした
人間の尊厳を賭けた体験のトラウマから
今も逃れられないでいるブロデックであった。
彼自身と村の人々の傷ついた記憶と現在が
巧みに入り交じるこの物語は、
人間心理の深部に潜り込み、
強い印象を残す挿話を語り継ぎながら、
謎めいたラストに向かって力強く突き進んで行く。
文学の底力を見せた、2007年高校生ゴンクール賞受賞作。
『リンさんの小さな子』で多くの人の心を震わせた
クローデルによる、待望の長編小説。
「僕はブロデック、
この件にはまったく関わりがない。
僕は何もしなかったし、
何が起こったのかを知ったときでも、
できればいっさい語らず、
自分の記憶に縄をかけ、
金網の罠にはまった貂のようにおとなしくさせるために
きっちり縛り上げておきたかったのだ。」
戦争が終わって間もない
小さな村の住民による「よそ者」の集団殺人。
事件を記録するように命じられたのは、
強制収容所を生き延びるためにした
人間の尊厳を賭けた体験のトラウマから
今も逃れられないでいるブロデックであった。
彼自身と村の人々の傷ついた記憶と現在が
巧みに入り交じるこの物語は、
人間心理の深部に潜り込み、
強い印象を残す挿話を語り継ぎながら、
謎めいたラストに向かって力強く突き進んで行く。
文学の底力を見せた、2007年高校生ゴンクール賞受賞作。
- 本の長さ322ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2009/1/8
- ISBN-104622074400
- ISBN-13978-4622074403
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2009/1/8)
- 発売日 : 2009/1/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 322ページ
- ISBN-10 : 4622074400
- ISBN-13 : 978-4622074403
- Amazon 売れ筋ランキング: - 121,259位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 159位フランス文学研究
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2015年4月2日に日本でレビュー済み
この小説にはさまざまな仕掛けが散りばめられていて次第に人間の愚かさと悲しみが明らかになる…。「仕方があにじゃないか。みんな慣れっこになってしまったんだから」という登場人物の言葉が恐ろしい。現代に生きる私たちにも重い警告の書だろう。
2009年3月8日に日本でレビュー済み
『
リンさんの小さな子
』なら、好きだと言う読者が多いだろう。
しかしこれは『 灰色の魂 』に印象が近い。
いやそれよりももっとずっと重苦しい空気を携えた作品だ。
僕はブロデック、この件にはまったく関わりがない。
この書き出しに「なんて責任逃れなことを」と思いつつ読み始めた。
けれども、時間を行きつ戻りつするその支離滅裂な物語が全貌を表すにつれて、
そう自己弁護してもいい、するしかなかったのだと理解する。
ひとは見えないものを恐れ、知らないものを恐れ、
理解できないものを恐れる(それ故に心惹かれたりもするのだが)。
そのうえ、とりわけじぶんの非道さや残虐さ、陰湿な部分を見せつけられることを恐れる。
アンデラーは、そういう存在だったのだ。
異質なものをなるべく遠ざけ、排除しようとすることが生物の本能であるとはしても、
わざわざ異物を作り出してスケープゴートに仕立て上げる荒業は人間にしかなしえないことだろう。
人間の尊厳を踏み躙る行為の描写には吐き気をもよおしながらも目が離せない。
そう。途轍もなく面白いというよりはブロデックが何をしでかし、
何をしなかったのか、これからどうなってしまうのか、
どうするのかが気になって最後まで読み進めたというほうが正しい。
卑小なコミュニティの中に起こる狂気を、誰のこころにも潜んでいる狂気を
ブロデックという青年に半生を語らせることによって浮かび上がらせている。
読む者にそのことを意識させずにはおかない。考えずにはいられない。
第二次世界大戦は、未だにこれほどの狂気を孕んでいる。
しかしこれは『 灰色の魂 』に印象が近い。
いやそれよりももっとずっと重苦しい空気を携えた作品だ。
僕はブロデック、この件にはまったく関わりがない。
この書き出しに「なんて責任逃れなことを」と思いつつ読み始めた。
けれども、時間を行きつ戻りつするその支離滅裂な物語が全貌を表すにつれて、
そう自己弁護してもいい、するしかなかったのだと理解する。
ひとは見えないものを恐れ、知らないものを恐れ、
理解できないものを恐れる(それ故に心惹かれたりもするのだが)。
そのうえ、とりわけじぶんの非道さや残虐さ、陰湿な部分を見せつけられることを恐れる。
アンデラーは、そういう存在だったのだ。
異質なものをなるべく遠ざけ、排除しようとすることが生物の本能であるとはしても、
わざわざ異物を作り出してスケープゴートに仕立て上げる荒業は人間にしかなしえないことだろう。
人間の尊厳を踏み躙る行為の描写には吐き気をもよおしながらも目が離せない。
そう。途轍もなく面白いというよりはブロデックが何をしでかし、
何をしなかったのか、これからどうなってしまうのか、
どうするのかが気になって最後まで読み進めたというほうが正しい。
卑小なコミュニティの中に起こる狂気を、誰のこころにも潜んでいる狂気を
ブロデックという青年に半生を語らせることによって浮かび上がらせている。
読む者にそのことを意識させずにはおかない。考えずにはいられない。
第二次世界大戦は、未だにこれほどの狂気を孕んでいる。