イタリア生まれの芸術家・デザイナーであるブルーノ・ムナーリ(1907-1998)著。まずは帯に書かれた印象的な言葉が我々の目を引く。
「芸術家の夢は、美術館にたどり着くこと。デザイナーの夢は、市内のスーパーにたどり着くこと。」
芸術家とデザイナーの違いを比較・分析する内容だが、決して客観的視点から書かれたものではなく、芸術家に比べて低く評価されがちなデザイナーの立場を高めようとする意図が感じられる。いやむしろ、芸術家よりもデザイナーの方が優れていることを主張しようとしているようにも感じる。
以下に本書の内容に従い両者の違いを整理してみる。
芸術家
・自分自身とエリートのために主観的な方法で作業する
・ファンタジアを用いて制作する
・唯一の関心事は自分の芸術的アイデアにかたちを与えること
デザイナー
・全共同体のために、実用と美観という観点でより良い製品を作ろうとグループ作業する
・創造力を用いて制作する
・大衆からすぐ理解されるよう気を配らなければならない
・デザイナーの夢は、実用的機能や美的機能を十分発揮するモノ、使いやすいモノ、安価であるがゆえに必要なときには簡単に手に入り利用できるモノを企画設計すること
・デザイナーはなにかを企画設計するとき、美しいモノを作り出そうとは思わない。すべてが論理的で調和のとれた一つの総体―つまり、その総体を形作るさまざまな部分が、次元、素材、動き、構造の面で関係をもつような総体―になるために必要不可欠な規則や、フォルムの一貫性の規則があるかどうかということに気を払う。
あまりに門切型の二元論であまり面白みのない内容だが、その発想を敢えて受け入れた場合、「建築家」とは一体どちらの立場に属する(近い)のだろうか?
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芸術家とデザイナー 単行本 – 2008/3/13
ダブルポイント 詳細
今日、〈芸術家〉と〈デザイナー〉の活動が混同されてはいないだろうか?
ムナーリは、〈芸術家〉と〈デザイナー〉を並置して、2つの領域を行ったり来たりしながら、
両者の立場を成り立たせる社会的・文化的・心理的・能力的な側面を、あの手この手で
――ときにプラトンやフロイト、マクルーハンたちの声に耳を傾けながら――描出・分析し、
違いを浮かび上がらせてゆく。人の営みの用に供すべく創り出される、すべてのものの企画設計を意味する〈デザイン〉。
その言葉の定義を、改めて教えてくれる。
「この本では、私たちの時代における2つの文化活動の主要な側面、つまり、純粋芸術とデザインを分析することが意図される。
この分析に説得力をもたせるために、問題の両極を検証することにしよう。
というのも、その他のケースは大なり小なり、この2つの構成要素からわずかに枝分かれしたものでしかないと考えられるからである」(本文より)
ムナーリは、〈芸術家〉と〈デザイナー〉を並置して、2つの領域を行ったり来たりしながら、
両者の立場を成り立たせる社会的・文化的・心理的・能力的な側面を、あの手この手で
――ときにプラトンやフロイト、マクルーハンたちの声に耳を傾けながら――描出・分析し、
違いを浮かび上がらせてゆく。人の営みの用に供すべく創り出される、すべてのものの企画設計を意味する〈デザイン〉。
その言葉の定義を、改めて教えてくれる。
「この本では、私たちの時代における2つの文化活動の主要な側面、つまり、純粋芸術とデザインを分析することが意図される。
この分析に説得力をもたせるために、問題の両極を検証することにしよう。
というのも、その他のケースは大なり小なり、この2つの構成要素からわずかに枝分かれしたものでしかないと考えられるからである」(本文より)
- 本の長さ138ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2008/3/13
- ISBN-104622073293
- ISBN-13978-4622073291
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商品の説明
著者について
ブルーノ・ムナーリ
Bruno Munari
1907年ミラノ生まれ。インダストリアル・デザイナー、グラフィック・デザイナー、絵本作家、造形作家、映像作家、彫刻家、詩人、美術評論家、美術教育家。後期未来派に参加し、絵画や彫刻を制作。 1933年に代表作「役に立たない機械」を発表。1942年に絵本『ナンセンスの機械』(原題『ムナーリの機械』)を刊行、この頃より子どもの創造力を育てるための絵本づくりを手がけ始める。1948年創立メンバーの一人として具体芸術運動(Movimento Arte Concreta)に参加。同年、児童のための新しい様式の絵本7種を発表。1954, 55, 79年に優れたデザイナーに与えられるコンパッソ・ドーロ賞を受賞。1956年よりプロダクト・ブランド、ダネーゼとのコラボレーション開始。1967年ハーヴァード大学でビジュアル・デザインの講座を担当。1974年国際アンデルセン賞受賞。1985年東京の「こどもの城」で「大ムナーリ展」開催。その他、パリ、ミラノ、エルサレムなど国内外を問わず個展を開催。1998年91歳で死去。
著書に『芸術としてのデザイン』(ダヴィッド社)『ファンタジア』(みすず書房)、絵本『木をかこう』『太陽をかこう』(至光社国際版絵本)『闇の夜に』(河出書房新社)など多数。
Bruno Munari
1907年ミラノ生まれ。インダストリアル・デザイナー、グラフィック・デザイナー、絵本作家、造形作家、映像作家、彫刻家、詩人、美術評論家、美術教育家。後期未来派に参加し、絵画や彫刻を制作。 1933年に代表作「役に立たない機械」を発表。1942年に絵本『ナンセンスの機械』(原題『ムナーリの機械』)を刊行、この頃より子どもの創造力を育てるための絵本づくりを手がけ始める。1948年創立メンバーの一人として具体芸術運動(Movimento Arte Concreta)に参加。同年、児童のための新しい様式の絵本7種を発表。1954, 55, 79年に優れたデザイナーに与えられるコンパッソ・ドーロ賞を受賞。1956年よりプロダクト・ブランド、ダネーゼとのコラボレーション開始。1967年ハーヴァード大学でビジュアル・デザインの講座を担当。1974年国際アンデルセン賞受賞。1985年東京の「こどもの城」で「大ムナーリ展」開催。その他、パリ、ミラノ、エルサレムなど国内外を問わず個展を開催。1998年91歳で死去。
著書に『芸術としてのデザイン』(ダヴィッド社)『ファンタジア』(みすず書房)、絵本『木をかこう』『太陽をかこう』(至光社国際版絵本)『闇の夜に』(河出書房新社)など多数。
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2008/3/13)
- 発売日 : 2008/3/13
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 138ページ
- ISBN-10 : 4622073293
- ISBN-13 : 978-4622073291
- Amazon 売れ筋ランキング: - 685,432位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 379位アート・芸術
- カスタマーレビュー:
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