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昨日の世界〈1〉 (みすずライブラリー) 単行本(ソフトカバー) – 1999/3/11

4.4 5つ星のうち4.4 16個の評価

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それでは語れ、選べ、お前たち回想よ、私にかわって。そして少なくとも私の人生が暗黒のうちに沈む前に、私の人生の映像を見せてくれ!――

ナチズムが席巻するヨーロッパを逃れて、アメリカ大陸に亡命したツヴァイクは、1940年ごろ、第二次世界大戦勃発を目にして、絶望的な思いで、本書を書き上げた。ホテルの一室で、著書の一冊も手記もなく、友の手紙もないまま、ただ記憶だけを手がかりにして。

ウィーンの少年時代から書き起こされたこの自伝は、伝統の織り成すヨーロッパ文化の終焉を告げるものであり、著者が一体化した一つの時代の証言であり、遺書である。
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商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

私が物語るのは、私の運命ではなくて、ひとつの世代全体の運命である…。第二次世界大戦の直後に、一つの時代の終焉をみた著者がおくる、人類への証言と遺産。73年刊「ツヴァイク全集 第19巻」の再刊。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ みすず書房 (1999/3/11)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1999/3/11
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 353ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 462205034X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4622050346
  • カスタマーレビュー:
    4.4 5つ星のうち4.4 16個の評価

著者について

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シュテファン・ツヴァイク
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2018年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ツヴァイクを知ったのは最近だが、この人の緻密でロジカルな文章はすごい。第一次大戦から第二次大戦までのウィーン、ヨーロッパの雰囲気を感じることができる。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年4月10日に日本でレビュー済み
「春の目覚め」という章が、世相の歴史を鮮やかに描いていて面白かった。
ヨーロッパでも、19世紀は「男女石を同じうせず」という規範があった。❝しかしこの賢明な道徳は、人が悪魔に対して扉を閉ざしても、悪魔はたいてい煙突や勝手口から入ってくるということを完全に忘れていた❞(p.114)。
19世紀ヨーロッパにおいては、戦前の日本同様、貧し女性は自ら街娼になり(『居酒屋』『ナナ』)、性病の蔓延を恐れた社会は、公娼制度を設けて性病検査をする管理を行った。しかし、産業が進んで女性の活躍の場が増えると自然にその制度が不要になっていった。日本社会も同じ経過をたどって半世紀後に公娼制度は廃止された。
また、古いエリート教育の制度が階級社会を形成するシステムになっていた。それも代位1次大戦後に解消していった。日本社会では、これが第2次大戦後に行われた。
著者は文学を通じて、真の世界人になった。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年7月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
深刻で暗さを帯びた文章を想像していたので、むしろ明るい文体で、青春を懐かしむようなタッチで描かれていたことがとても意外でした。特に、第一次大戦前のヨーロッパがこれほど自由で開かれた、美や芸術を大切にする生活感に包まれていたことを改めて認識させられるとともに、その後の壮絶な大戦の歴史を知る立場から、失われたもの、奪われたものについて深く考えさせられました。

「現在の世界」と非常に近い世界観を、この大戦前の描写から想起させられるのは決して私だけではないと思います。
次の2巻では、本格的に第一次大戦、さらにはナチスヒトラーによる迫害に言及がおよぶものと思いますが、「ジョゼフ•フーシェ」を書いたツヴァイクが、全てを奪われて自死に至るまでに絶望する中で、それでも後世に書き残してくれた『記憶』と『記録』を読むことができることに感謝しつつ読みたいと思います。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年7月11日に日本でレビュー済み
生きてアウシュビッツ、ドレスデン、ヒロシマを知ったら、どんな著作を残したろうか?
現代のシュテファン・ツヴァイクはどこにいるだろうか?
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2009年5月28日に日本でレビュー済み
19世紀末の古都ウィーンに生まれた著者は、時代が大きな転換期にあることを少年の敏感な感性でいち早く察知し、保守的な故郷を去ってベルリンで早熟な文学的才能を発揮する。やがて、ロマン・ロラン、リルケ、ヴェルハレン等、当時第一級の文学者と親交を結んでその思想に親しむ一方、広く旅することによって国家と民族性のイデオロギーに縛られたヨーロッパ諸国民の実態を知り、それを乗りこえる普遍的思想を追究する。
しかし、第一次大戦が勃発すると、一般大衆のみならず、有力な知識人の大半が自国中心の「愛国」主義に立て籠もり、理性の眼を閉ざすその頑迷さに、ほとんど絶望する。ユダヤ人である彼は、帰るべき故郷をもたず、大戦後いかなる場所にも定住せず、脱ヨーロッパ中心主義の立場に立って「自由」と思想の普遍性を求めて漂泊者の運命をあえて選ぶのだ。
彼が予測したとおり、旧弊なイデオロギーと覇権主義を克服できないヨーロッパは、1930年代に新たな戦乱へと急速に進んで行く。それを見守る時代の良心とも言うべき証言者の自伝である。ヨーロッパを去って南米に移住し、遂に自殺した彼の「警告」は、今も切実である。
42人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2001年7月10日に日本でレビュー済み
「皆さんは生きて黎明を見届けて下さい、あまりにも気の短い私は先に行きます」との遺書を残し、世界大戦に絶望して自殺したツヴァイクの自叙伝。ただの告白本ではなく、大戦前夜のヨーロッパを冷静な目で見据えた歴史評論でもある。当時のヨーロッパの風習なども書かれているので、そのころの時代の雰囲気を知るには最適な一冊だろう。最後の1行がせつなく、感慨深い。
60人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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