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アップルソング 単行本 – 2014/5/12

4.2 5つ星のうち4.2 14個の評価

終戦直前、焼け跡から助け出された赤ん坊。
長じて報道写真家となった彼女が目撃したものは――
ひとりの女性の人生とともに、戦後日本、そしてアメリカの姿を描き出す感動作。

◆物語◆
第二次世界大戦末期、焼け跡の瓦礫の中から助け出された赤ん坊、茉莉江は、十歳になった年に母と二人、船でアメリカに渡った。
茉莉江は、自らの手で人生を切り拓いて報道写真家となり、人間の愚行と光を目撃していく。
時代の波や環境に翻弄されながらも、人を愛し、真摯に仕事に向かった女性の命の物語。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ ポプラ社 (2014/5/12)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2014/5/12
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 371ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4591140032
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4591140031
  • 寸法 ‏ : ‎ 2.6 x 13.6 x 19.4 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 14個の評価

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小手鞠 るい
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2021年7月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アップルソング🍎

9.11 グラウンド・ゼロで
助けられた命と助けた命。

助けられた命が助けた命がの軌跡を
追う
第二次世界大戦中の岡山から
現代アメリカまでの二人の女性の物語。

今が先人の人生の積み重ねであると足の裏から感じるような力強い作品。
2016年6月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み終えたばかりの小説「アップルソング」は、重くも軽くもない21gくらいであろうかと思われる一冊の雑誌を主人公が手にしているシーン「私の手のひらのなかに、一冊の雑誌がある。」こんなプロローグで始まる小説。

この「アップルソング」を読み終え、先ず率直言って私の抱いていた小説家 小手鞠るい像が完全に変わりました。
こんなに重厚で、世の中の深淵を覗き込み様なテーマを持つストーリーを描く小説家だったんだ。と

頁をめくりながら、この小説のテーマは何か?著者のメッセージを探る様に慎重読んでいきました。
しかし物語の中程まで読み進めてもなお、この小説の核心は見出せませんでした。
そう、まるで推理小説ならタブーである読者そのものにトリックを仕掛けられている気分となり、頭の中に浮かぶ著書のテーマは二転三転していきました。

反戦メッセージ?
人々への戦争に対する警告?
報道写真家 鳥飼茉莉江の生涯?

物語の中盤をかなり過ぎたくらいから、この小説のテーマは、
報道写真家 鳥飼茉莉江を通して、一人の人間(文民)は、戦争を無くしていくために何が出来るのか?
或いは、人は何のために生きるのか?
を問う掲題に思えてきました。
が、最後まで読み終えた今は、どれも完全な正解では無いものの、読み手によって、どれもが正解であっても良い小説なのだ気付かされます。

このストーリーは主人公を二人登場させる手法を用いて綴られていました。
ナレーターの役割を成す第一の主人公である「美和子」を置くことにより客観性を持たせ。
そして謂わば劇中劇の主人公である「茉莉江」の足跡を美和子が追い求める形で物語は進行します。

とはいうものの、読めど読めども語り手である第一の主人公美和子と茉莉江の接点が見えてきません。

その上また、当初、この小説が取り上げている主舞台はベトナム戦争がそれであると思って読み進めておりましたが、それが途中から急展開し、舞台を日本に移しての学生運動から、浅間山荘事件の生々しい描写にまで踏み込んでいき、そしてまさか日航機の御巣鷹山墜落事故、チェチェン紛争から最終的に9.11 アメリカ同時多発テロにまで至るとは露も思いませんでした。(他にもベルリン壁の崩壊、湾岸戦争等々にまで触れられています)
これら、戦争、事件、事故の内、ベトナム戦争だけは年齢的に記憶にはありませんが、それ以外は強く記憶残っております。
私の幼い頃の記憶に有る浅間山荘事件は、白黒TV画面の中で繰り広げられる雪中の山荘をクレーン車の大きな鉄球が壊していくシーン。私と同世代以上はこれを良く覚えていることでしょう。
日航機の事故は、確か当時は19歳か20歳でしたでしょうか。この事故の翌日のフライトの際には足が竦む思いでジャンボ機に乗ったのを記憶しています。
9.11の同時多発テロの際にはタイムリーに映し出される映画の様な映像に信じられない思いを感じました。
著作は、これらのショッキングなシーンを実にリアルに描いていきます。

また、この著書に二人いる主人公の一人である茉莉江は写真家ですが、当時の写真技術の精緻な描写から推察するに著者は相当に写真に詳しいか、著作にあたり余程資料を読み込まれたことが伺えます。
ネガの現像から定着を行う場面は、この今では過去のものとなってしまった現像技術を実際に行った人にしか書けないものと思います。もしも著書にこの実体験が無いにも拘らず、これを書いたとするならば、小説家というのはとんでもなくリアリティを持って「講談師、見てきた様な嘘をつく」を実現している人種なのだなと勘ぐってしまいます。

そして、私には次の台詞が心に深く刻まれました。
茉莉江が初めて写真の持ち込みをした出版社の女性編集者ジェニファーの台詞です。
「(前文略)芸術の世界には、努力だけでは乗り越えられない壁がある。才能だけで、駄目なの。運だけでも、もちろん駄目よ。運は過ぎ去ってしまう。一時的なものに過ぎない。(後文略)」
更に編集者のこの言葉が実に効果的に私の患部を抉ります。
「(前文略)逆を言うなら、もしも閉じ込められた世界を取りたいならば、どこへも行きたくなければ、もっと徹底的に閉じ込められなくては。もっと徹底的にぶあつい殻を築き上げ、寸分のすきまもなく塗りかため、息もできないほど、小さな世界を作るの。(後文略)」
つまり、才覚も無いのに、努力を惜しみ、かと言ってのめり込みきれなかった私自身をまさに言い表されている様でもあり、実に的を射た人生の真実をさり気なくこの女性編集者の台詞に滑り込ませているあたりが、この物語に厚みを増している気がします。。

さて、テーマを戦争や人と人との殺し合いとした場合、ジレンマの一つ「・・・人間の外敵が全く居なくなった場合、人口の爆発的増加への歯止めは、一体誰が行うのか?」のことを考えます。
人間という種は淘汰する生物が居ないから、同じ種が同じ種を殺し、バランスを取る為に戦争をするのだろうと、ガイア論を鑑みて、結構本気で思っておりました

この小説では、いわゆる太平洋戦争の事にも頁を割いていますが、私は昨年夏公開された映画「日本のいちばん長い日」をロードショーで観て、自分は日中戦争、太平洋戦争、第二次世界対戦、これら多くの戦争の経緯や事実をあまりに知らな過ぎる事に気付き、この手の書籍を幾冊も読み漁りました。しかし、これらの本は日本側の目線で書かれたものが多く、アメリカ側の立場で書かれたものはありませんでした。
しかし、この「アップルソング」は、それら私の読んだ著作とは、一線を異にしています。
一様に謂わば中立的な立場に立ち、且つ、誰にでも理解し易い平易で極めて正確な言葉を選んで書き現わされており、これはアメリカに住む日本人の作家、その中でも小手鞠るいさん にしか出来ないことかも知れません。
私にとって同著を読む事に依って知り得た事、それはあまりに多く、少し大仰に言うと人生観の変革にまで及ぶものでした。
本当に日本にばかり居り、外から日本を見ることをしかいないと、TVニュース、新聞、書籍等では、一方的な側面しか見えてこないと改めて認識を強くしました。
そんな意味に於いても、著者の存在は大きいく感じられ、また、何故、るいさんが、NYはウッドストックに住む事にしたのか、そのことも 同著を通じ、本当に薄っすらですが判った気がしています。

さて、とうとう物語の本当の最後に第一の主人公「美和子」ともう一人の主人公「茉莉江」が初めて繋がります。それも物の見事な程の展開で!
まるで一つの輪になった様に美和子と茉莉江の人生が繋がります。この二人の主人公がどう繋がるのかが知りたくて読者は最後までこのストーリーに引きづられてきたかの様なものでした。

エピローグも素敵です。これまで節の冒頭に韻を踏む様に頻繁に出てきた「私の手のひらのなかに、◯◯がある」が、ラストでもこのフレーズが美しい締め括りを演出します。

ストーリーの途中途中に登場するアップルというキーワードの美しさとそして神秘性。
作者の人生観や信念と或いは諦念、それらを全て包括してテーマを語り尽した小説家小手鞠るいの傑作が「アップルソング」だと思います。

最後に、掲題の一つと思われる「一人の人として戦争に対して何が出来るのか?」をまさにペンを持って実践された著者に敬意を表して、私の拙い感想を終えたいと思います。
読了後、本好きには堪らない満足感に浸ること出来たことを重ねてお礼申し上げます。
そして、この本が少しでも多くの人々に読まれることを心から願います。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
“なぜか、空襲警報が発令されなかったため、のちに「岡山無警報空襲」と呼ばれることになる無差別絨毯爆撃。寝静まった民家の上に、夜空から、雨あられのようにばらばらと、焼夷弾がばらまかれた。罹災者数、十万四千六百人。死者、千七百二十五人。”(p.14より)

アジア太平洋戦争末期。上記、岡山大空襲直後の焼け跡で、奇跡的に瓦礫の中から救い出された赤ちゃん・茉莉絵。10歳でアメリカに渡り、その後さまざまな荒波に揉まれ、報道写真家になる彼女の人生を描く。

実母への複雑な思い、写真との本格的な出会いを作ってくれた初恋の人への憧れ、ベトナム戦争の壮絶な戦場を撮り続けた婚約者との恋愛など、濃密に綴り、フィクションなのに実在人物の伝記を読んでいるようなリアルな雰囲気を醸し出す小説。

「この世界は醜く、人の本質は悪だ」という、怒りと悲しみを抱えながら、あさま山荘事件、三菱重工爆破事件、日航機墜落事故、チェチェン紛争といった、多くの人間の命と人生が奪われる戦争やテロや事件の現場を、茉莉絵はカメラを通して見つめ、命がけで写真を撮り、人々に供し続ける。

小説の語り手は、美和子という日本人女性。この謎の語り手と主人公・茉莉絵の関係が、終盤で明らかにされる場面が物語の最大のクライマックス。孤独な主人公への共感がここで特に強まり、胸が熱くなった。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年9月4日に日本でレビュー済み
 「私のてのひらの中に、一冊の雑誌がある」
 この書き出しで本書ははじまる。1976年に発行されたこの雑誌「Searchlight Monthly」には、当時頭角を現しつつあった日本人の報道写真家「鳥飼茉莉江」についての記事が載っていた。「私」はこの写真家の生い立ちから亡くなるまでを調べている。だが、「私」については「美和子」という名前以外、どんな人物で、なぜこの報道写真家にそれほど興味があるのかは、物語の終盤まで明かされない。読者は「私」とともに、報道写真家鳥飼茉莉江の数奇な人生をたどっていく。
 1945年、岡山で激しい空襲がある。戦時動員の訓練中だった14才の鳥飼希久男は急いで家へ戻るが、家屋は跡形もなく、家族の生存は絶望的と知らされる。呆然とする希久男にかすかな赤ん坊の声が聞こえてくる。希久男はその声で、家に赤ん坊がいたことを思い出す。父の姉が神経を病んでいたため、その姉の乳飲み子を預かっていたのだ。それがその子の声だと確信した希久男は、慎重に瓦礫をどけながら、火傷を負った赤ん坊を救い出す。それが茉莉江だった。
 希久男とともに親戚に預けられた茉莉江は、そこの女の子たちと姉妹のように暮らすが、やがて突然迎えに来た母親に連れられ、アメリカへ渡ることになる。船の中で出会うフルブライトの学生たち、電車の中で茉莉江を「日本鬼子」と罵倒する中国人等、当時の世界の様子を様々取り入れながら物語は進行し、ある写真に魅せられた茉莉江は写真家を志すようになる。
 やがて彼女は、新宿駅西口の反戦フォーク集会、浅間山荘事件。三菱重工本社ビル前の爆弾事件、そしてニューヨーク同時多発テロ等を報道写真家として追い、人間について、世界について考えていく。

 「私ののてのひらの中に、一枚の写真がある」
 「私のてのひらの中に、声がある」
 「私のてのひらの中に、一個のカセットテープがある」

 茉莉江の人生を追う物語は、カセットテープから流れる彼女の講演で幕を閉じていくのだが、とにかく素晴らしい小説である。私は人より余計に本を読む方だと思うが、この小説は私にとっては別格だった。著者に敬意を表し、この本と出会えたことに感謝したい。是非多くの人に読んでほしい本である。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年8月14日に日本でレビュー済み
安全な現代から危険な時代の物語たどります。哀しいけど、林檎のような爽やかな後味でした。
2018年3月19日に日本でレビュー済み
『星ちりばめたる旗』に続く、著者の作品の二冊目を読了。単なる女性写真家の生きざまを描いた作品かと思っていたら、そうではなかった。写真を通して、美しい世界を表現するのではなく、戦争やデモを撮ることが真実の世界を現していることを痛感。太平洋戦争末期から、ベトナム戦争から911までの現代の歴史をお復習もできて、名作でした。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2014年5月17日に日本でレビュー済み
上戸彩も絶賛のベストセラー「エンキョリレンアイ」の著者、小手鞠るいの作品は、これまで圧倒的に、甘く切ない恋愛小説が多かった。

今回の作品も恋愛が大きな軸となっているのだが、それと同じく大きなテーマは、戦争である。

そう、この作品は、一言で言うなら、愛と死と戦争の物語。

そして、第二次大戦末期から日本の、アメリカの、そして世界の歴史的大事件が、ヒロイン・茉莉江とその恋人や家族の物語とリンクしながら語られる。

これを読むだけで20世紀後半から21世紀にかけての歴史や、戦争とはどういうものか、ということもわかる。

でも、決してお堅い歴史書ではなく、切ない愛の物語なのだ。

まさに“恋愛小説の名手”小手鞠るいならではの、「永遠の0」をはるかに凌駕する傑作!
17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2014年5月27日に日本でレビュー済み
「アップルソング」を手に取って、戦争も大きなテーマとして書かれていると知りながら読んでみたいと思ったのは、ひとえに小手鞠作品だったからです。小手鞠るいさんの書く、心地の良い文章を欲していたから。それが戦争もので、読むのは苦しいところが多々あるかもしれないけれど、彼女の小説ならきっとどこかに何か人間の温かさ、救いがあると信じていて、後味が悪いだけの作品ではないとわかっているからでした。
実際は、読み始めるとそんなことを考えないくらい、没頭して、とにかく読み続けました。不謹慎なことかもしれないけれど、単純に小説として傑作です。ストーリーが束ねられて、サプライズ的な展開があり、最後にひとつに繋がる。読み終えたときの気持ちのいい疲労感とすがすがしさは小手鞠作品共通のものだと思います。

こんな作品を完成させるまでには、かなりの時間と膨大な量の調べものが必要だったに違いない。作者自身も経験していない第二次世界大戦のことも、実際にその場にいなかったであろう事件や紛争など、今までの小手鞠作品を代表する恋愛小説とはかなり異なります。
共通しているのは、京都やニューヨークなどを主に、出てくる場所を愛おしく思っていることが伝わってくる描写と、登場人物たちの話し言葉や方言、そして過去と未来をたくみに前後し読み手を不思議な時間旅行に連れていってくれる、まるで詩のように心地のいい彼女の書く物語だということ。
大変な苦労をして書きあげられたことを察するが、こんな作品を生み出してくれたことに、心から感謝したいです。

これからも私は、自ら進んで、戦争の記録や写真や物語を見たり読んだりしないと思います。
だけど、自分とは関係のないことだとは思わないし、過去の事実を知り、今起こっていることから目を背けずに知ろうとするだろう。きちんと、学びたいと思う。自分の子供にも、きちんと、伝えなければと思う。
低レベルな感想で恥ずかしいですが、今を生きる私たちが人間が生きる未来の地球を残すために。
20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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