現場で子どもの図書館にたずさわっている体験からならではの、本の風景の見えかたが大変刺激的でした。
面白い視点が満載です。
何といっても、リアル系と空想系という分類。これはリアリズム小説vsファンタジー系(SFやホラー含め)小説ではなく、ほんとうにあったこと(ドキュメントや図鑑)vs小説(フィクション)という分類です。ふつう文学論ではあまりこういう分類をしないので、驚きます。
そしてケータイ小説は実話だからリアル系にはいる、と。これはもうびっくり仰天な角度でした。現場の子どもはそういう視点で、ケータイ小説を評価しているんですね。
それから、世代が十数年くらいごとに、文化のプレート移動があり、たとえば「ゲド戦記」の世代、「十二国記」の世代、「ハリー・ポッター」の世代は、プレートの違うものはもう受け入れにくい、とか。古いものが読まれなくなる理由のひとつは、ジャケットデザインや字の大きさではなく、活字そのものにあった、とか。言葉だけでなく、絵本の絵もいずれ古びてしまい、「殿堂入り」になるとか。世代を越えた名作がある、という幻想がかなりしぼみました。
結論だけ言っていて、もっと詳しくきかせてほしいと思うところもありますが、本当に鋭い。
たとえばハリー・ポッターは中身が7歳なので、まわりが与えてくれるものを受け入れていき、努力しなくていい(ここで、著者はハリーは13歳なのに、中身が7歳、と言っていますが、ハリーは11歳です。念のため)。だから普通は10歳以上の子どもを描けば、成長をテーマにせざるを得ないが、ハリーはそれをせずにすんでいて、この世代の読者にとっては居心地がいい。刻苦勉励するのが常識だった「ゲド」の時代とは大違い、という指摘もありました。
時代や環境が変わってしまい、成長とか自立とかが現実の世界でも先送りになっていたり、すでに意味合いや常識が違ってきてしまっているような今、ハリーの現代性を実によくつかまえています。
あちこち線を引きたいぐらい、普通の文学論の本にはないことばかりでした。
リアル系しか読まない子どもは、空想系の「人物描写・風景描写・心理描写」が苦手なので、こういう子どもは、「人物・風景」がひと目でわかるマンガなら読める。しかし、マンガも進化してゆき、深い「心理描写」を見せるようになると、今度はマンガが難しくて読めないという事態も・・・
時代はめまぐるしく変わってゆき、本のジャンル分類もどんどんずれてゆき、大人の世界でも五年前にはやった本がもう読まれなくなる。
そんななかで、現場の子ども(小学生メイン)の反応を鋭くキャッチしつづけている、この本には、時代を読み解くさまざまなヒントがあります。
いつもながらストレートにフェミ寄りなところとか、決めつけや割りきりもところどころありますが、痛快に読め、そしてさらにいろいろなことを考えさせられはじめる本として、「子どもの文学」「子どもと本」、そして世代論に関心のある読者には強くお勧めします。
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子どもに本を買ってあげる前に読む本 単行本 – 2008/12/8
赤木 かん子
(著)
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- 本の長さ157ページ
- 言語日本語
- 出版社ポプラ社
- 発売日2008/12/8
- ISBN-104591107183
- ISBN-13978-4591107188
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登録情報
- 出版社 : ポプラ社 (2008/12/8)
- 発売日 : 2008/12/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 157ページ
- ISBN-10 : 4591107183
- ISBN-13 : 978-4591107188
- Amazon 売れ筋ランキング: - 789,161位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 10,938位日本文学研究
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上位レビュー、対象国: 日本
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2012年3月2日に日本でレビュー済み
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2008年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
名作名作と言われているけど、どうしても子どもが読まない・・・。
物語の中にある情景だけが、かわってしまうのではなくて、
活字や言葉いろんなものが、かわっているのね。
活字の変化一つで、読めなくなる日本人って、繊細。
説明してくれて、ありがとう。
ぜひ、学校図書館関係者に読んで欲しい。
文部科学省の図書標準数にびびって、古い本を1冊も棄てないなんていう、
イシアタマの自治体は、ぜひ、読んで、その目のウロコを落としてください。
物語の中にある情景だけが、かわってしまうのではなくて、
活字や言葉いろんなものが、かわっているのね。
活字の変化一つで、読めなくなる日本人って、繊細。
説明してくれて、ありがとう。
ぜひ、学校図書館関係者に読んで欲しい。
文部科学省の図書標準数にびびって、古い本を1冊も棄てないなんていう、
イシアタマの自治体は、ぜひ、読んで、その目のウロコを落としてください。
2013年2月11日に日本でレビュー済み
幼稚園主催の食育に関する講演会に参加したことがあります。
苦手なものは少量から、カレーやマヨネーズ風味で苦手意識を無くし、彩りに気を配り・・・とか。
ほんとうに[今の子]って[昔の子]とちがうのかな?
高カロリーのおやつを与えられた上に、体を動かさないからおなかが減らないだけじゃないのかな?
著者のやり方は、今の子供を取り巻く商業文化にどっぷり浸かりきった子供たちに[ウケてる]だけではないのかと思える。
煮しめや干物なんか食べる訳がないって、パスタやカレーが好きに決まってるでしょって言われている気がする。
でも食わんよりは食った方がマシというだけでは、文化が廃れる。
文体はとても気に障ります。子供を代弁しているつもりなのでしょうか。
苦手なものは少量から、カレーやマヨネーズ風味で苦手意識を無くし、彩りに気を配り・・・とか。
ほんとうに[今の子]って[昔の子]とちがうのかな?
高カロリーのおやつを与えられた上に、体を動かさないからおなかが減らないだけじゃないのかな?
著者のやり方は、今の子供を取り巻く商業文化にどっぷり浸かりきった子供たちに[ウケてる]だけではないのかと思える。
煮しめや干物なんか食べる訳がないって、パスタやカレーが好きに決まってるでしょって言われている気がする。
でも食わんよりは食った方がマシというだけでは、文化が廃れる。
文体はとても気に障ります。子供を代弁しているつもりなのでしょうか。
2009年12月16日に日本でレビュー済み
赤木かん子さんが、私は好きです。この本もとてもおもしろく読みました。
けれども、かん子さんは基本的に「タメ口」の文章なので、それが気に障るという人には不向きです。
「ぼく」と「ボク」の使い分け説は、なるほど…とうなりました。
ハリー・ポッターは、13歳といいながら中身は7歳だから、自分では何も考えない、なんて説は、ひえ〜!と思いました。
又、別の本については「この本が出版された時は書評依頼が多かった。きっとみんなもわからなかったんだね。私もわかりませ〜ん」みたいな感じで、友達同士でぶっちゃけ会話をしているような気になります。
かん子さんの本は、そのまま読むだけでもおもしろいと思いますが、本当はかん子さんの話題にする内容がわかっている方が、もっとおもしろいです。つまり、大人の方が、これらの本を読んでいることが前提と言えるというわけです。
誰々の何という本は、こういう理由でもう古典なのよ。と言われた時、「あ、わかる〜」と話題についていける方が、話が盛り上がると言うか…。
でも、確かに、大人が自分で「これは子どもに読ませたい」と思って買うのと違い、名作だからと選ぶ場合は、この本を参考にした方が良いと思います。やっぱり新装版っていうのは、ちゃんと意味があるんですね。
けれども、かん子さんは基本的に「タメ口」の文章なので、それが気に障るという人には不向きです。
「ぼく」と「ボク」の使い分け説は、なるほど…とうなりました。
ハリー・ポッターは、13歳といいながら中身は7歳だから、自分では何も考えない、なんて説は、ひえ〜!と思いました。
又、別の本については「この本が出版された時は書評依頼が多かった。きっとみんなもわからなかったんだね。私もわかりませ〜ん」みたいな感じで、友達同士でぶっちゃけ会話をしているような気になります。
かん子さんの本は、そのまま読むだけでもおもしろいと思いますが、本当はかん子さんの話題にする内容がわかっている方が、もっとおもしろいです。つまり、大人の方が、これらの本を読んでいることが前提と言えるというわけです。
誰々の何という本は、こういう理由でもう古典なのよ。と言われた時、「あ、わかる〜」と話題についていける方が、話が盛り上がると言うか…。
でも、確かに、大人が自分で「これは子どもに読ませたい」と思って買うのと違い、名作だからと選ぶ場合は、この本を参考にした方が良いと思います。やっぱり新装版っていうのは、ちゃんと意味があるんですね。
2009年12月21日に日本でレビュー済み
タイトル通り、子どもに本を買ってあげる前に読んでほしい本です。
この本の特徴は、カタログ的にお勧めの本を羅列しているのではなく
買い与える側である大人たちの意識の変革を促しているということ。
そのため、具体的なタイトルは少なめですが
どのような本を子どもたちが求めているのか、
また現代の子どもの本はどのように変化しているのか、詳しく述べられています。
子どもも一人の人間であり、読みたいと思う本はひとりひとり違うこと。
読みやすい装丁、いい感じのジャケットに心惹かれること。
ただし大人とは異なり、年齢によって読める本のレベルが異なること。
基本といえば基本なのですが、案外この基本が抜けている大人も多いものです。
「子どもが本をよまなくて……」という相談をうかがっていると
子ども自身の好みを把握せず、ただ自身の好みや他人の推薦を丸呑みして
子どもに勧めていることの多さに驚かされます。
そのためこの本を読みながら、随所で「そうそう!」と快哉をあげていました。
少しでも思い当たる節のある方は、ぜひこの本と
現在発売している児童書を10冊くらい読んでみてください。
著者のおっしゃっていることが、心から得心できると思います。
それから、子どもが嬉しそうに読む本の傾向を確認して。
子どもが喜ぶ、本を読むのが好きになれるような本を、買ってあげてください。
この本の特徴は、カタログ的にお勧めの本を羅列しているのではなく
買い与える側である大人たちの意識の変革を促しているということ。
そのため、具体的なタイトルは少なめですが
どのような本を子どもたちが求めているのか、
また現代の子どもの本はどのように変化しているのか、詳しく述べられています。
子どもも一人の人間であり、読みたいと思う本はひとりひとり違うこと。
読みやすい装丁、いい感じのジャケットに心惹かれること。
ただし大人とは異なり、年齢によって読める本のレベルが異なること。
基本といえば基本なのですが、案外この基本が抜けている大人も多いものです。
「子どもが本をよまなくて……」という相談をうかがっていると
子ども自身の好みを把握せず、ただ自身の好みや他人の推薦を丸呑みして
子どもに勧めていることの多さに驚かされます。
そのためこの本を読みながら、随所で「そうそう!」と快哉をあげていました。
少しでも思い当たる節のある方は、ぜひこの本と
現在発売している児童書を10冊くらい読んでみてください。
著者のおっしゃっていることが、心から得心できると思います。
それから、子どもが嬉しそうに読む本の傾向を確認して。
子どもが喜ぶ、本を読むのが好きになれるような本を、買ってあげてください。
2009年7月1日に日本でレビュー済み
本には、「リアル系」と「空想系」の2種類がある。リアル系とは伝記や探検記や辞典などの本で、空想系は小説やファンタジーなどの物語である。子供の興味はいろいろで、リアル系にしか興味が持てない子、空想系しか面白いと思えない子、さまざまである。
更に時代により子供の興味や世界観も移ろっているので、大人が昔読んで良かった本を子供に一生懸命薦めても、子供が喜んで読むはずはありません。大人だって人に無理やり読めと言われて読書が楽しい筈はないでしょう!読書とは自分が楽しいものを自分で選んで読んでいくもの。
本のタイトルから、子供の図書選びの助けになるかと思いきや、過去のファンタジーや漫画やミステリーなどの解説が延々と続き、具体的に娘にどんな本を読ませていいのか答えはなかった。小学校低学年のファンタジー系なら○○。リアル系なら△△。といった具合に巻末にリストをつけてくれれば5つ星だったのに…。
立ち読み30分程度で読めてしまう内容です。
更に時代により子供の興味や世界観も移ろっているので、大人が昔読んで良かった本を子供に一生懸命薦めても、子供が喜んで読むはずはありません。大人だって人に無理やり読めと言われて読書が楽しい筈はないでしょう!読書とは自分が楽しいものを自分で選んで読んでいくもの。
本のタイトルから、子供の図書選びの助けになるかと思いきや、過去のファンタジーや漫画やミステリーなどの解説が延々と続き、具体的に娘にどんな本を読ませていいのか答えはなかった。小学校低学年のファンタジー系なら○○。リアル系なら△△。といった具合に巻末にリストをつけてくれれば5つ星だったのに…。
立ち読み30分程度で読めてしまう内容です。
2009年2月2日に日本でレビュー済み
「どうしてウチの子は図鑑ばかり読むのか」「なぜ今「新装版」なのか」「ケータイ小説は
なぜ人気?」など、日ごろ感じていた子供の本に関する疑問がみるみる解けていきました。
つい先ごろ、星新一の振り仮名付き文庫を買って、息子に喜ばれたのですが、なるほど
そういう流れで出てきた本だったのかと納得しました。
また、息子の通う小学校の図書室で、絵本をタイトル順のならびに変えたのは、もしや
この理由?なるほど、読んでもらう工夫はこんな所にもなされているんだ感心しました。
ただ「殿堂入り」を果した本も、こそっと残しておいてもらえるともっとうれしいのですが…
「古典コーナー」というのもいいかも知れませんね。
なぜ人気?」など、日ごろ感じていた子供の本に関する疑問がみるみる解けていきました。
つい先ごろ、星新一の振り仮名付き文庫を買って、息子に喜ばれたのですが、なるほど
そういう流れで出てきた本だったのかと納得しました。
また、息子の通う小学校の図書室で、絵本をタイトル順のならびに変えたのは、もしや
この理由?なるほど、読んでもらう工夫はこんな所にもなされているんだ感心しました。
ただ「殿堂入り」を果した本も、こそっと残しておいてもらえるともっとうれしいのですが…
「古典コーナー」というのもいいかも知れませんね。
2009年9月3日に日本でレビュー済み
本の探偵としてデビューし、児童文学評論家として活躍。現在は、学校図書館の改装、公共図書館づくりにかかわっていらっしゃる赤木かん子。子どもに本を読め!という前に、大人のあなたに、今の本の状況を知っておいてほしい。大人のあなたが、子どもたちと無意味な闘争をしないですむように。こどもたちが、幸福に本を読むことができるようになるように。と、言っています。小学生・中学生のお子さんをお持ちのあなたが、もし、お子さんが本を読まないって悩んでいらしたら、なおのこと、ぜひ、読んでみてください。目からうろこのはず ですから。2008年12月発行