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教養としての「フランス史」の読み方 単行本 – 2019/9/26
ロワール川沿いのお城にヴェルサイユ宮殿、フランス革命やナポレオン、あるいは芸術やファッション、フレンチ料理やワイン、文学や映画……、さまざまな魅力に満ちているフランス。それらは、歴史の激動や課題のクリアがなされてきた中で、特徴をもって形作られてきた。
西洋近現代史研究の第一人者が2000年を超える歴史の流れを大きくとらえて語りきる、現代人必読の書。国家間の対立が激しくなっている現代世界、国民国家を生み出したフランスの歴史は、今、学ぶべき教養だ!
【目次より】
"はじめに
序章 日本人が今、フランス史を学ぶべき理由
「国」という視点だけだと歴史を見誤る
一国家一民族は、近代国家が作り出した幻想
連関構造の中で歴史を考える
フランス史を見るとEUの未来がわかる
I 「フランス」の始まり
――ケルト人の定住からカペー朝の奇跡へ
第1章 フランクは「フランス」ではない
ケルト系民族集団の定住
征服から始まった融合の時代「ガロ・ローマ期」
フランス人が「我らが祖先ガリア人」と言い切れない理由
フランク王国の誕生
今とは異なる原理原則──「属地」か「属人」か
クローヴィスは改宗して権威を確立させた
メロヴィング朝からカロリング朝へ
今のヨーロッパの基礎を作ったヴェルダン・メルセン両条約
第2章 騎士はなぜ生まれたのか
ノルマンディ公国の誕生
「フランク王国」から「フランス王国」へ
カペー朝の奇跡
日本の君臣とは異なる君主と騎士の関係
第3章 「フランク」から「フランス」へ
フランス王家の基礎を築いたフィリップ二世
唯一列聖されたフランス王ルイ九世──十字軍の終わり
クリュニー修道会とシトー修道会の発展と改革
II 打ち続く試練から王権の強化へ
――王位継承戦争と宗教対立による危機の時代
第4章 フランスとイギリスはなぜ百年も戦ったのか
複雑に入りくむ英仏王室──ヴァロワ朝の成立
フランスにとっての百年戦争
フランス国土の三分の一がイングランド領になった緒戦
イングランドの野望を挫く
「救国の少女」ジャンヌ・ダルクの登場
百年戦争で何が変わったのか──歴史の大きな転換点
第5章 戦争と宗教対立はフランスをどう変えたのか
大きな損害だったイタリア戦争
経済的にも文化的にも栄えていたイタリア
国家、国民の始まり──国家教会体制
言語統一による国民統合──ラテン語からフランス語へ
イタリア戦争がもたらしたもの
波及するルターの宗教改革
聖バルテルミの虐殺
三人のアンリの争いと最期──ブルボン朝の成立
III 絶対王政とヨーロッパ世界の拡大
――権力の集中はどのようにして行われたのか
第6章 主権国家と『国家論』
優先されるべきは宗教より国家の利益
国内外で異なるルイ十三世の政策
不満をため込んでいた民衆たちによる「フロンドの乱」
第7章 ルイ十四世の栄光、絶対王政の成立
イギリスやオランダに対抗したコルベルティスム
人を個人ではなく団体ごとに管理する社会
戦争に明け暮れたルイ十四世の治世
ヴェルサイユ宮殿はなぜあれほど豪華に造られたのか
文化は宮廷文化だけではない
ユグノー大量流出による経済力の低下
王権の強化とその限界
第8章 海外進出するヨーロッパ
イギリスの台頭、変化する海外進出
なぜ奴隷貿易は「悪」とはされなかったのか
フランスの外交革命と植民地争いの敗北
民衆は「誰もが飢えずに生きられるように」望んだ
フランス革命に繫がった「知の共有」
IV フランス革命とナポレオン
――なぜ革命は起き、そして皇帝が生まれたのか
第9章 フランス革命は誰も予期しなかった
全国三部会から憲法制定国民議会へ
バスティーユ襲撃へ
なぜ市民は市庁舎に向かったのか
逃げ出す貴族たち、地方に広がる民衆蜂起
「農民たちは前に向かって逃げた」──農村のパニック現象
理想として掲げられた「人権宣言」
国王の優柔不断が生んだヴェルサイユ行進
第10章 王権の停止、王の処刑、そして恐怖政治へ
「アンシャン・レジーム/旧体制」からの脱却
求められる革命政府への忠誠
国王の運命を決定づけた逃亡事件
フランス革命は男性による男性のための革命だった?
革命を守るための戦争
なぜ王権は停止されたのか
立法議会から国民公会へ──第一共和政の成立
フランス革命は王権打倒ではなかった
農民による「ヴァンデの反乱」は反革命ではなかった
教会への破壊活動はまるで「ヴァンダル族」のようだ
「恐怖」と「徳」──ロベスピエールの恐怖政治
恐怖に駆られて起きたテルミドールのクーデタ
第11章 「フランス皇帝ナポレオン」はなぜ生まれたのか
イメージ戦略に長けたナポレオンの台頭
対イギリス戦略としてのエジプト遠征
国家が教会を認めた公認宗教体制
教会と教育問題
ナポレオン法典の功罪
ナポレオン帝国こそが世界の文明の中心
経済政策の一環としての奴隷貿易の復活
第12章 フランスにとってナポレオンとはどんな存在か
革命の輸出と新貴族の誕生
ナポレオン帝国がヨーロッパに残した「ナショナリズム」
ロシア遠征失敗からのあっけない崩壊
エルバ島からの脱出と百日天下
V 王政・共和政・帝政、揺れるフランス
――十九世紀のヨーロッパと覇権争いの中で
第13章 七月革命と産業革命
復古王政に始まる混迷の十九世紀
時代を見誤ったシャルル十世
なぜイギリスはヨーロッパで抜きん出た存在になったのか
オートブルジョワジー中心の七月王政
フランス産業革命とサン=シモン主義
オートブルジョワジーの支配がもたらしたもの
第14章 共和政から帝政の復活へ
一八四八年革命のひとつとしての二月革命
ルイ・ナポレオンの登場
経済的繁栄をもたらしたナポレオン三世の開発独裁
植民地政策の明暗
第二帝政の終焉
第15章 ナショナリズムと植民地主義
ヴェルサイユ宮殿での屈辱──第三共和政の成立
ヴェルサイユ政府・議会対パリ・コミューン──血の一週間
経済不況と共和政の定着
フランス革命の再評価
歪んだナショナリズム──ドレフュス事件
労働人口の不足による移民労働者の増加
植民地政策は本当に有効な経済政策だったのか
教会権力との決別、「政教分離」
ベルエポックのきらめき
VI なぜ、世界大戦は起こったのか
――戦争の時代からEUの時代へ
第16章 「国民国家/Nation-State」とは何か
国家の主権者は国王ではなく、国民
国民国家という理想が生み出した富国強兵
ナショナリズムの変容
第17章 フランスとドイツの国家総力戦
第一次世界大戦前のヨーロッパ──孤立化するドイツ
汎ゲルマン主義 VS 汎スラヴ主義
第一次世界大戦の引き金「サラエボ事件」
戦闘突入──ドイツの思惑と誤算
地獄の塹壕戦
人類史上初の世界大戦
休戦協定からヴェルサイユ条約へ
第18章 なぜ戦後の平和体制は崩れたのか
ヴェルサイユ体制下の世界とフランス
大戦後のフランスを苦しめたものとは?
マスカルチャーの登場と西洋の没落
社会党の中から生まれたフランス共産党
フランスが世界恐慌の影響をあまり受けなかった理由
政局不安定
フランスの対ドイツ姿勢
激化する社会運動とナチズム
スペイン内戦とナチスの台頭
第19章 第二次世界大戦とこれからのヨーロッパ
第二次世界大戦の勃発
「奇妙な戦争」からパリの無抵抗陥落へ
なぜユダヤ人は迫害されるのか
フランスの中のユダヤ人
市民・民衆のレジスタンス運動
パリの奪回──ドゴール新政府から第四共和政へ
戦後復興とドイツとの関係回復
植民地の独立と第五共和政
「ヨーロッパ」という意識
おわりに
参考文献
"
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2019/9/26
- 寸法13 x 2.6 x 18.9 cm
- ISBN-104569843697
- ISBN-13978-4569843698
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出版社より

目次より
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第1章 フランクは「フランス」ではない 第2章 騎士はなぜ生まれたのか 第3章 「フランク」から「フランス」へ |
第4章 フランスとイギリスはなぜ百年も戦ったのか 第5章 戦争と宗教対立はフランスをどう変えたのか |
第6章 主権国家と『国家論』 第7章 ルイ十四世の栄光、絶対王政の成立 第8章 海外進出するヨーロッパ |
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第9章 フランス革命は誰も予期しなかった 第10章 王権の停止、王の処刑、そして恐怖政治へ 第11章 「フランス皇帝ナポレオン」はなぜ生まれたのか 第12章 フランスにとってナポレオンとはどんな存在か |
第13章 七月革命と産業革命 第14章 共和政から帝政の復活へ 第15章 ナショナリズムと植民地主義 |
第16章 「国民国家/Nation-State」とは何か 第17章 フランスとドイツの国家総力戦 第18章 なぜ戦後の平和体制は崩れたのか 第19章 第二次世界大戦とこれからのヨーロッパ |

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教養としての「世界史」の読み方 | 教養としての「ローマ史」の読み方 | 教養としての「中国史」の読み方 | |
カスタマーレビュー |
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5つ星のうち4.4
177
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5つ星のうち4.2
49
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価格 | — | ¥1,980¥1,980 | ¥1,920¥1,920 |
著者 | 本村凌二 | 本村凌二 | 岡本隆司 |
内容紹介 | 歴史は「人類の経験」の集大成。現代を読み解くヒントは、世界史の中にある。グローバル時代に必須の「教養世界史」の読み方を解説。 | ローマはなぜ世界帝国になれたのか。繁栄が続くとなぜ人は退廃するのか。現代を考える大きな羅針盤となるローマの歴史に学ぶ。 | 独裁、格差、中華思想…、実は中国の姿は今も昔も変わっていない。気鋭の東洋史家が中国の内実を三千年の歴史から明快に解き明かす。 |
商品の説明
著者について
学習院大学名誉教授。公益財団法人日仏会館理事長。獨協大学外国語学部特任教授。1946年、東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専門は、フランスを中心とした西洋近現代史。学習院大学教授、学習院大学学長を経て、現職。2019年、フランスより国家功労勲章シュヴァリエに叙された。
著書に『近代ヨーロッパ史』(ちくま学芸文庫)、『興亡の世界史 近代ヨーロッパの覇権』(講談社学術文庫)、『フランス史』(編著、山川出版社)、『歴史学入門 新版』『ヨーロッパ近代の社会史』(以上、岩波書店)、監修に『超約 ヨーロッパの歴史』(東京書籍)などがある。
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2019/9/26)
- 発売日 : 2019/9/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 320ページ
- ISBN-10 : 4569843697
- ISBN-13 : 978-4569843698
- 寸法 : 13 x 2.6 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 108,072位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 24位フランス史
- - 25位ヨーロッパのエリアスタディ
- - 34位ヨーロッパの地理・地域研究
- カスタマーレビュー:
著者について

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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
著者からの聞き書きからライターが第一稿を作り、それを著者が確認し、修正を加えるというやり方で書かれた本です。フランスを歴史的な観点から知るための優れた入門書になっています。
最近にはまたとない読みやすい書籍みつけた気分です。
本書を読んでフランスの成り立ちから現代までの流れがかなり納得できた。特にフランス革命は民衆の間から革命の機運が高まって革命という形になったのだとずっと思っていたのだが、実は複合的な要素が絡まって革命として形を成したということも知った。
またその後に続くナポレオンの治世もぼんやりしか知らなかったことも、くっきりと見えてきた。
ヨーロッパの中で1国だけの歴史を取り上げて見渡すことは難しいが、この本をきっかけに興味を持った時代のフランスや、周辺の国々の歴史書も読んでみたい。
ルーヴル美術館に行くことがあったら、今回読んで知ったことを思い出しながら、絵画や彫刻を鑑賞できたら嬉しいなあ。
フランスの複雑な始まりが、明快に説明されています。「フランスの始まりは、5世紀後半にフランク人(ゲルマン系)によって建国されたフランク王国だとよく言われます。そう言っても間違いではありませんが、フランク王国を建てたフランク人が今のフランス人のルーツとイコールなのかというと、そうではありません。多くの民族が流入した土地柄、フランス人のルーツは複雑なのです。現在のフランスに当たる地域に安定して住み着いたのは、ケルト系の民族集団でした。彼らがいつ頃からこの地に定住していたのかについては、正確な時期はまだわかっていませんが、少なくとも紀元前5世紀には定住していたと見られています。このケルト系の人々こそが、古代ローマ人が『ガリア人』と呼んだフランスの先住民です。ケルト系ガリア人の住んでいた土地に次に入ってきたのはローマ人(ラテン系)でした。ローマの侵攻によって、この地はローマ帝国の一部となります。その後、ローマ帝国にゲルマン系の人々が大挙して流入し、ローマ帝国は衰退。フランク人(ゲルマン系)の王国『フランク王国』がこの地に誕生します。フランク王国はカール大帝の時代(8世紀後半から9世紀前半)に最盛期を迎え、現在の西ヨーロッパのほぼ全域にその版図を広げます。しかし大帝の死後、フランク王国は『西フランク王国』『中フランク王国』『東フランク王国』の3カ国に分割され、この3カ国が、それぞれ後のフランス、イタリア、ドイツの母体となっていきました。つまり、フランス人のルーツはケルト系ガリア人であると同時に、ラテン系ローマ人であり、ゲルマン系フランク人でもある、と言えるのです。もっと現実的に言えば、その後も周辺各地や植民地から多くの移民が流入しているので、これらの他にも多くの民族が現在の『フランス人』の源流に存在していると言えるでしょう」。
フランスとイギリスはなぜ百年も戦ったのでしょうか。「『百年戦争』という名は、戦端が開かれた1339年から、フランスが港町のカレーを除いてイングランド軍を大陸から完全に駆逐した1453年までの期間が、約100年だったことに由来しています。とはいえ、この100年間、もちろん毎日ずっと戦闘が行われていたわけではありません。両者の争いは間欠的に約100年ほど続いていた、というのが正しい表現でしょう。・・・この戦いの発端が後継者争いであることは間違いないのですが、単純に(フランスの)フィリップ六世が継ぐか、(イングランドの)エドワード三世が継ぐか、という問題に止まらなかったからです。実はフランス国内でも、フィリップ六世の流れを汲む王家を支持するアルマニャック派と、ヴァロワ家の分家ブルゴーニュ家を支持するブルゴーニュ派が、王位を巡る争いを繰り広げ、国を二分する内乱に発展してしまうのです。ですから『英仏百年戦争』と言われますが、この表現自体も19世紀に言われ出したことで、現代の国家間の戦争とは、まったく違ったものだということを踏まえておく必要があります。百年戦争は、フランスにとってはイングランドとの戦争というだけではなく、内線でもあったのです。もっと簡単に言えば、関係した主要登場人物の多くに何らかの血縁関係があるので、『相続争いに絡んだ王位継承と勢力範囲の拡大争い』と言ったほうがわかりやすいかも知れません」。
カール・マルクスらに無能扱いされたナポレオン三世(ナポレオン一世の甥、ルイ・ナポレオン)だが、近年、その評価が高まっているというのです。「(ルイ・ナポレオンが)政治的な力を持って台頭してくるとは、周りの政治勢力は誰も思っていなかったはずです。まさにダークホースだったのです。では、なぜルイ・ナポレオンにこれほどの人気が集まったのでしょう。その最大の要因は、やはり『ナポレオン神話』なのだと思います。民衆、特に農民たちの間には『ナポレオンは自分たちに土地を与えてくれた良き為政者』だというイメージが強く残っていました。その言わば『伯父の遺徳』のおかげで、ルイ・ナポレオンは大統領に選出されることになるのです」。
「同時代のドイツの経済学者マルクスは、この一連の動きを、『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』(カール・マルクス著、植村邦彦訳、平凡社ライブラリー)の中で『ボナパルティズム』という言葉を使って批判しています。ボナパルティズムとは、ナポレオン・ボナパルトによる帝政が崩壊した後に、再び彼の血縁者を皇帝に据えようとする政治運動のことを意味する言葉です。マルクスは、ルイ・ナポレオンの能力は評価せず、そんなつまらぬ人物でも、官僚機構や軍隊など、いわゆる国家機構を利用して権力を掌握し、人民投票で民主的手続きを装い、保守的な田園部を基盤に国民支配を実現できるものだ、と揶揄したのです」。
「マルクスの批判とは論点が違いますが、ナポレオン三世による第二帝政の評価は、少し前までは歴史学の世界でも、『時代錯誤的な政権』と考えるのが一般的でした。つまり、ブルジョワジーは単独で統治する能力を失い、市民・民衆にはまだ政権を掌握する能力が育っていない、そうした過渡期における隙間に、まんまと権力を掌握した時代錯誤的な政権だという評価です。しかし、近年になってこの評価は変わってきています。確かにナポレオン三世の権力奪取の仕方は、いかにも人心を操作したやり方で褒められたものではありませんが、彼が行ってことは、今風に言えば、ある種の『開発独裁』なのではないか、という見方がされているのです。開発独裁というのは、いわゆる開発途上国で独裁的権力を持った政治勢力が、国民の民主的な政治参加を制限した状況で、上から急速に開発を推し進めることを言います。たとえば独裁者が、外資などを導入して開発を急速に進めたり、非常に強い行政権を発動して民衆を抑圧してでも開発を促進するような状態のことです」。実際、ナポレオン三世は、銀行家や経済学者を起用して金融の発展を後押しし、強い行政権のもと殖産興業を薦め、工業化を推進するだけでなく、さらに、産業界の反対を押し切って、自由貿易協定を実現させるなどして、フランスに繁栄をもたらしたのです。「経済発展と海外展開を背景にナポレオン三世は、帝都パリの持つ『芸術文化の都』というイメージをさらに強化していきます」。
経済面での視点が乏しい。
素晴らしい書をありがとうございました。
フランス革命には、抑圧からの解放や自由のために国王を引きずり下ろした、という程度のイメージしかありませんでしたが、そんな単純なものではなさそうです。当初は立憲王政を目指していたのに、グダグダな国王に裏切られたという面もあること、また革命に先立つ食糧暴動では、人々は好き勝手に食料を略奪したわけではなく、あくまで公正な価格だけを支払うモラルがあった、という記述は興味深いです。
また、マルクスやユゴーにこき下ろされたルイ・ナポレオン(ナポレオン3世)も、近年では開発独裁の原型として成長に寄与したという再評価もされているそうです。
プロテスタントの信仰の自由をめぐるナントの勅令とその廃止は、今の時代にも求められる、寛容さとは何か?ということについて、考えるきっかけになりそうです。
この本を手に取る方(取ろうとする方)は、パリに行ってや、住んでと言う方だと思います。私も住んでおりましたが、奥深いフランスだけに、もっと勉強してみようと思いました。専門家の話は苦手なのですが、この本は、少しだけ踏み込んでる感じでちょうど良いです。一人、気になった人物がいたので、佐藤賢一氏の双頭の鷲を読んでみることにしました。
というわけで知識を広げるきっかけ・基盤になってくれる本です。