■憲法は「国家権力を縛るためのもの」?!
■「人は殺してはいけません」~1648年のウエストファリア条約~
■「異教徒か否か」から「文明か非文明か」へ
■「半文明国」という烙印の末路、ポーランドとインドネシア
■歴史、文化、伝統を踏まえてこそ真の憲法。シュタインの国家学
■憲法に命を吹き込んだ皇室の存在とシュタインを超克する十七条憲法の精神
■憲法とは歴史であり、物語である。
憲政史家の倉山満先生による渾身の書。
坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟、高杉晋作、大久保利通、木戸孝允、伊藤博文、井上毅、大隈重信etc.
多くの偉人・英雄たちが活躍した幕末・明治時代。
そんな時代にあって、「幕末明治の志士・元勲たちが命を懸け、多くの人々が切望し、上下一心となってついに勝ち取ったもの」がありました。
そしてそれは、明治人が勝ち取った“自主独立への「最強の武器」”だったのです。
その名は「大日本帝国憲法」-
■憲法は「国家権力を縛るためのもの」?!
一般には「憲法とは国家権力を縛るためのものである」という言われ方をします。
ですが、これは本当でしょうか?
本書で触れられているように、
・高杉晋作が結核に侵されてもなおイギリス留学を目指し、
・大久保利通が「独裁」の汚名、味方の血すら顧みず推し進め、
・伊藤博文が政権運営を投げうってまで調査のための長期外遊の旅に出航し、
・井上毅が体を壊してまで練り上げ、
・明治天皇が「親王危篤」の報に触れてもなお審議に出席なされた、
その理由が「国家権力を縛るため」では、いささか”不十分”な気がします。
では、なぜ維新の英雄たちがそこまでして「憲法」に心血を注いだのか―
それは憲法が国家経営の最高法であり、かつ国際秩序における“自主独立のための最強の武器”であったからに他ならないのではないでしょうか。
なぜ憲法が「自主独立のための最強の武器」となるのか?
そのワケは当時の”国際情勢”と深い関係があったようです。
■「人は殺してはいけません」~1648年のウエストファリア条約~
倉山満先生の別著「国際法で読み解く世界史の真実」(2016年。PHP新書)によれば、”人類史にとって最も重要な年号”として1648年のウエストファリア条約が挙げられるそうです。
なぜか。
それまでの西欧では、宗教の名のもと、異教徒、異端は「悪魔」化し、殲滅するまで戦い続けるのが常でした。
しかし、このウエストファリア条約に至ることで、やっと「宗教の違いはあれども、人は人なのだから、殺してはいけない」という価値観が定着したというのです。
■「異教徒か否か」から「文明か非文明か」へ
「宗教の違いを理由に人は殺してはならない」という価値観をもたらしたウエストファリア条約からはもう一つ現在に至る重要な「秩序」が生み出されます。
それが主権国家体制を基軸にした国際秩序、国際社会の確立です。
国内に対しては、国をまとめ上げる力(治安維持能力)を持ち、国外に対しては排他的支配を確立するだけの力(軍事力)、他国との条約を守る力(条約遵守能力)を持つ―
そんな「主権国家」同士が、一定のルール(=国際法という名の慣習)に基づきプレイヤーとして動く。
現在の「国際政治の姿」がこのとき確立されました。
この「国際法、国際社会の確立」をもって「めでたしめでたし」となればよいのですが、そうは問屋がおろしません。
では、主権国家すなわち「文明国」と認められない国(=非文明国)はどうなるのか?
非文明国に対しては「占有の法理」の名のもと、相も変わらず「殺そうが、蹂躙しようが何をしても構わない」という論理が生じていたのが、当時の“国際社会の姿”であったと言えます。
■「半文明国」という烙印の末路、ポーランドとインドネシア
このように西欧列強が互いに覇を競い合いながら、ヨーロッパの外へその勢力を拡大させていったのが、当時の国際情勢でした。
そして、列強の圧倒的軍事力を前に、当時の幕府は戦うことなく「半文明国」という烙印を受け入れます。
本書でも、冒頭、周辺諸国に国土を分割され、亡国の憂き目を見たポーランドのことが述べられておりますが、評論家の江崎道朗先生の著書である「コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾」(2012年。展転社)よると、1602年頃からオランダによって植民地化されたインドネシアはその激烈な搾取によって貧困に喘ぎ、十九世紀に至るころにはインドネシア人の平均寿命は35歳にまで低下したと言われているそうです。
確かに当時の幕府の実力では、列強に対してなす術はなかったのかもしれません。
ですが、経済評論家の上念司さんの著書である「経済で読み解く明治維新」(2016年。ベストセラーズ)で詳しく語られているとおり、江戸時代においても民間による経済システムは既に世界最高水準のものでした。
それが列強によって搾取されるとなれば、それこそインドネシアの二の舞になるのではないかという強烈な危機感が生じるのも想像に難くありません。
日本という国が地球上から消え、残された国民は搾取を強いられる-。
「名も実も失う」という強烈な危機感が明治維新の根本にあったのではないかと思えてなりません。
■歴史、文化、伝統を踏まえてこそ真の憲法。シュタインの国家学
本書「帝国憲法物語」でも伊藤博文がローレンツ・フォン・シュタインに師事し「憲法とは歴史である」というシュタインの言葉に触れて衝撃を受けたことが述べられています。
では実際のシュタイン博士の講義はどのようなものであったのか。
その内容は瀧井一博先生による編訳の「シュタイン国家学ノート」(2005年。信山社出版)で伺い知ることができます。
(以下引用)
「国家とはひとつの人格を形作る人間の団体である。したがってそれは、人格的存在を形成するのに必要なあらゆる要素をもっていなければならない。
国家の身体は土地ないし領土であり、人民はその魂である。しかしこれだけでは十分でない。
国家は自分自身の主人でなければならない。自分のなかの主格として、そして他者に帰属したり、その一部となったりしないように、国家は自我を主張しなければならない。
これが、国家の主権と呼ばれるものである。しかし意思なき主権はあり得ないのであって、主権国家は独自の意思をもたなければならない。
この意志を形作る機関が、君主であったり、大統領であったり、あるいは貴族階級であったりする。(万人がこの機関に属すると見なされるとしたら、それは無政府状態である)この意思は実行されなければならない。それを行う機関が、政府である。」
「憲制の発展は、それ自身の力でではなく、社会の発展による。そして社会の発展は、主として富の分配に基づいている。
異なった社会が全く同じ憲制をもつことはありえない。各々の社会はその発展の度合いと種類に応じた憲制を求めるものである。
憲制の歴史は、社会の現実の文明状態と齟齬をきたした実定的憲制がその社会との間で絶え間なき対立と衝突を繰り返し、そうすることで何がもたらされてきたかということをわれわれに教える。
したがって、憲制の真価は、その洗練度や規定の上等さによってではなく、民衆の発展の度合いによって測定されるものである。
社会の影響は憲制の形態に現れる。君主制、共和制、その他の国家の形式はいずれも、それらが置かれている社会の状態のなかにその由来を求めることが出来る。」
「意思には限りがない。しかし意思を実行する力には限りがある。
全個人の勢力の総計は、前述のことから結論付けられるように国家の勢力である。
しかしながらこの総計は現時点では限定されている。数学的にそうである。
しかし先行する時代の成し遂げてきたことは、次の時代にストックされており、現在なされていることは未来のための貯蓄である。
これは地上の諸勢力の-時間的限定なき諸勢力の、と言ってもよかろう-連合である。
そして今では万物は固有の歴史を有しており、これらの歴史の総計が行政の歴史である。
実際、そのなかには無尽蔵の勢力資源が含まれている。
かくして、限りある勢力の連合は、国家の生のなかで無限の勢力となると言ってよいだろう。
そして歴史を十分に知れば、無限の勢力を掌中にすることができるかもしれない。」
(引用終わり)
「歴史の総計が行政の歴史であり、そのなかに無尽蔵の勢力資源が含まれている。歴史を十分に知れば無限の勢力を掌中にすることができるかもしれない―。」
伊藤自身もこの言葉に大いに勇気づけられたのではないでしょうか。
シュタインの講義を受けたことで憲法制定(=条文)にとどまらない国家の全体的な政治構造改革の見取り図に対する機知を得た伊藤博文は「憲法は大体の事而巳に御座候故、左程心力を労する程の事も無之候」と記したそうです。
■憲法に命を吹き込んだ皇室の存在とシュタインを超克する十七条憲法の精神
シュタインの教えや伊藤博文、井上毅らの命がけの制定作業を経て、草案は出来上がり、明治天皇が皇室の祖先である神々に誓うことで「大日本帝国憲法」は”命”を吹き込まれ、制定されました。
ちなみに明治天皇は慶応四年の江戸城無血開城がなされた同日にも新政府の基本要領として「五箇条のご誓文」を発布されています。
この「五箇条のご誓文」の精神は、聖徳太子の十七条憲法の精神を受け継いだもので、第一条「万機公論に決すべし」は十七条憲法第一条「和を以て貴しと為す」を継承したものと言われています。
「日本人同士で争うな」「物事はよく話し合って決めよ」という意味で広く知られていますが、もうひとつの意味として「和」とは“わの国”、“やまとの国”、すなわち「日本」のことであり、「和を以て貴しと為す」とは「日本を貴びなさい」という意味なのだと倉山先生は指摘しています。
今回、前述の「シュタイン国家学ノート」を読み直して改めて気づかされたことがもう一つありました。
同書では「社会発展の初期段階においては「官職(アムト)」のようなものはなかった。」と論じられています。
それは「国家」が存在しなかったからであり、「宮廷」と呼ばれるような身分制の時代の君主の周囲には“単なる私的な家臣たち”が取り巻いていたに過ぎなかったと。
では一方、日本ではどうだったのか。
西欧諸外国の君主が国家の元首となり、その“私的に過ぎない家臣”がようやく公的な官僚となる遥か以前に、聖徳太子は「日本という国を貴びなさい」と論じていたのですから、その先見性には驚きを禁じ得ません。
■憲法とは歴史であり、物語である。
今まで見てきたように憲法が「国家権力を縛るもの」というだけではやはり説明がつかないのではないでしょうか。
そうではなく、憲法とは、日本が日本として国際社会で生きてゆくための国家経営の基本法であり、他国から侵略されないための自主独立を守るための最強の武器であるとみるのが適切である気がします。
何よりも大日本国帝国憲法は語られるべき物語を内包した憲法でした。それは日本の歴史、文化、伝統に根差した憲法だったからに他なりません。
では現在の日本国憲法はどうなのでしょうか?
日本の歴史、伝統に即したものだと言えるのでしょうか?そこに後世に伝えられるべき日本の歴史、文化、伝統は充分に備わっていると言えるのでしょうか?
一方で、現在取りざたされている政府与党の改憲案もそうです。
緊急事態条項や環境権を盛り込むことが議論されているようですが、それは本当に憲法に書き込むことがふさわしい内容なのでしょうか。
単なる「行政執行上の問題」なのであれば、法律で制定すれば十分なのではないでしょうか?
護憲派も改憲派も共に「憲法」を考える上で、今一度、「大日本帝国憲法」(=誇らしく強い我が国の憲法の意)を踏まえて考えてみてはいかがでしょうか。
幕末明治の志士たちが何を考え、何を思い、憲法にどんな思いを託していたのか。
是非、多くの方に知って頂きたいと思いました。
おススメです!

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帝国憲法物語 日本人が捨ててしまった贈り物 単行本 – 2015/5/1
倉山 満
(著)
「大日本帝国憲法は西洋の猿まね憲法だ」「天皇主権の帝国憲法が、国民に戦争の塗炭の苦しみを強いた」などの議論が横行している。だが、その理解は本当に正しいのか?
歴史をひもとけば、大日本帝国憲法は、幕末明治の志士・元勲たちが命を懸け、多くの人々が切望し、上下一心となってついに勝ち取ったものであったことが見えてくる。西洋列強の脅威から日本を守るために、たった一人で三千人の敵に立ち向かった高杉晋作。強固な意志を貫きつつ「万機公論」を本気で実行しようとした大久保利通。早くから憲法こそが国家の廃興存亡を決すると見抜いていた木戸孝允。そして彼らの意志を継いで真に日本の歴史に立脚した憲法を制定すべく苦闘を重ねた伊藤博文と井上毅――。大日本帝国憲法こそ、わが国の自主独立を守るための「最強の武器」だったのである。だが、しかし……。
日本近代史、諸国の憲法史、さらに国際法と憲法の関係までを視野に入れつつ、帝国憲法の栄光と悲劇をすべて明らかにする意欲作!
〔本書の内容〕
◆憲法こそが国家の廃興存亡を決する――志士・木戸孝允の喝破
◆世界史の奇跡を現出した二人の男――高杉晋作と大久保利通
◆近代日本は「五箇条の御誓文」から始まった――歴史に立脚した基本綱領
◆憲法とは歴史である――伊藤博文とシュタインの歴史主義
◆我々は古来、文明国である――維新から五十年かけて実現した尊王攘夷
◆「自主憲法」論者の大いなる誤謬――帝国憲法を簡単に否定し去る愚
◆ある強姦魔の寓話――なぜ、日本国憲法が日本国の憲法なのか
◆日本国憲法の手続きで日本国憲法を葬り去れ――自主独立の国への道 ……ほか
歴史をひもとけば、大日本帝国憲法は、幕末明治の志士・元勲たちが命を懸け、多くの人々が切望し、上下一心となってついに勝ち取ったものであったことが見えてくる。西洋列強の脅威から日本を守るために、たった一人で三千人の敵に立ち向かった高杉晋作。強固な意志を貫きつつ「万機公論」を本気で実行しようとした大久保利通。早くから憲法こそが国家の廃興存亡を決すると見抜いていた木戸孝允。そして彼らの意志を継いで真に日本の歴史に立脚した憲法を制定すべく苦闘を重ねた伊藤博文と井上毅――。大日本帝国憲法こそ、わが国の自主独立を守るための「最強の武器」だったのである。だが、しかし……。
日本近代史、諸国の憲法史、さらに国際法と憲法の関係までを視野に入れつつ、帝国憲法の栄光と悲劇をすべて明らかにする意欲作!
〔本書の内容〕
◆憲法こそが国家の廃興存亡を決する――志士・木戸孝允の喝破
◆世界史の奇跡を現出した二人の男――高杉晋作と大久保利通
◆近代日本は「五箇条の御誓文」から始まった――歴史に立脚した基本綱領
◆憲法とは歴史である――伊藤博文とシュタインの歴史主義
◆我々は古来、文明国である――維新から五十年かけて実現した尊王攘夷
◆「自主憲法」論者の大いなる誤謬――帝国憲法を簡単に否定し去る愚
◆ある強姦魔の寓話――なぜ、日本国憲法が日本国の憲法なのか
◆日本国憲法の手続きで日本国憲法を葬り去れ――自主独立の国への道 ……ほか
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2015/5/1
- ISBN-104569821405
- ISBN-13978-4569821405
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商品の説明
著者について
憲政史研究者
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2015/5/1)
- 発売日 : 2015/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 254ページ
- ISBN-10 : 4569821405
- ISBN-13 : 978-4569821405
- Amazon 売れ筋ランキング: - 197,994位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2016年12月11日に日本でレビュー済み
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2017年12月25日に日本でレビュー済み
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お疲れ様です。
『帝国憲法物語』読了しました。
以下の箇所が印象に残りました。
俗論派には俗論派の論理があり懸命に最善策を模索していた、しかし真の危機には最善手だけを積み重ねても亡国にいたる、不利な状況のではどこかで最善手を超克する勝負手が必要なのである。
高杉にとても勝算があったとは思えない。やらねばならぬという意思だけであった。
国家の運命を究極的に決するのは意思である。
摂関政治は律令制度の運用形態、幕府政治は律令制度と並立、
その影響力はともかく、事実として律令制度は存続し続けたのである。
旧幕府の武力討伐、一番伝統があり、全ての上位に立つ天皇による、旧来の制度の無効宣言、現存する法体系そのものの有効宣言、全てがセットになって初めて「憲法無効論」は可能となる。
十七条の憲法、五箇条の御誓文は日本を日本たらしめる意味で憲法の一部を構成する。
イギリスの流れをくむ帝国憲法、フランス革命憲法の源流にもつ日本国憲法。
憲法は人智を超えた英智によらなければならない。英知をどこに求めるか。先人たちの知恵の集積である歴史である。
上は民を愛し宝とし下は服従し自らを幸福の民としてきた歴史が我が国の「典故旧俗」であり、臣民の権利の源流。
重要なのは条約ではなく慣習。まともな国の憲法は慣習国際法という文明国の通義に合わせて制定される。
国際法を無視した憲法は醜悪な結果を招く。
イギリス憲法は政治家に良識を求めるような不可能を要求しない。現実の政治力学の中で最も公正なルールを慣例として蓄積し、法体系を形成する。
日本国憲法の改正手続きに従って、帝国憲法を復活させるべき。
強姦殺人魔に等しい占領軍の悪行を「赦す」
「赦す」とは本当に強い者だけが言える言葉である。
『帝国憲法物語』読了しました。
以下の箇所が印象に残りました。
俗論派には俗論派の論理があり懸命に最善策を模索していた、しかし真の危機には最善手だけを積み重ねても亡国にいたる、不利な状況のではどこかで最善手を超克する勝負手が必要なのである。
高杉にとても勝算があったとは思えない。やらねばならぬという意思だけであった。
国家の運命を究極的に決するのは意思である。
摂関政治は律令制度の運用形態、幕府政治は律令制度と並立、
その影響力はともかく、事実として律令制度は存続し続けたのである。
旧幕府の武力討伐、一番伝統があり、全ての上位に立つ天皇による、旧来の制度の無効宣言、現存する法体系そのものの有効宣言、全てがセットになって初めて「憲法無効論」は可能となる。
十七条の憲法、五箇条の御誓文は日本を日本たらしめる意味で憲法の一部を構成する。
イギリスの流れをくむ帝国憲法、フランス革命憲法の源流にもつ日本国憲法。
憲法は人智を超えた英智によらなければならない。英知をどこに求めるか。先人たちの知恵の集積である歴史である。
上は民を愛し宝とし下は服従し自らを幸福の民としてきた歴史が我が国の「典故旧俗」であり、臣民の権利の源流。
重要なのは条約ではなく慣習。まともな国の憲法は慣習国際法という文明国の通義に合わせて制定される。
国際法を無視した憲法は醜悪な結果を招く。
イギリス憲法は政治家に良識を求めるような不可能を要求しない。現実の政治力学の中で最も公正なルールを慣例として蓄積し、法体系を形成する。
日本国憲法の改正手続きに従って、帝国憲法を復活させるべき。
強姦殺人魔に等しい占領軍の悪行を「赦す」
「赦す」とは本当に強い者だけが言える言葉である。
2016年8月5日に日本でレビュー済み
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現代の帝国憲法に対するイメージはどうでしょうか?なんか怖い。。。そんな感じでしょうか。
そんなイメージは間違えであり植え付けられたものだと認識できる本です。
西からイギリス北からはロシア。江戸末期に日本に押し寄せる列強の国。
列強はアジアの国々を「野蛮国」とし、踏みにじっていった。
当時武力に劣る日本が生き残る手段は、列強に対し我々は野蛮国では無く文明国だと
認めさせる事。
文明国と認めさせる為に日本の「憲法典」を作る。これは当時知識人たちの悲願でもあった。
伊藤博文、井上毅等は憲法を学ぶため欧州へ渡り、ドイツ等の国々の憲法を学ぶが日本の
憲法を作るためには、どうもピンと来ない。
後日、伊藤博文は憲法に詳しいシュタイン博士と話す。
シュタイン博士「私は欧州の国々がそれぞれどういう国なのか知っているので
それぞれの国の憲法について話せるが、日本については全然知らないので、
日本の憲法作成について教える事はできない」・・・伊藤博文「!!!!」
伊藤博文「そうか!憲法とは歴史なのだ!!」
帰国後憲法作成の為、古事記、日本書紀等の歴史書を肌身離さず持ち歩いた井上毅。
帝国憲法完成後、欧州の憲法専門家に見せ驚愕させる。
「素晴らしい憲法だ」と
欧州各国の憲法に記されている人権?そんなものは日本では当たり前だ!わざわざ書く必要もない。
欧州さんあなたたちの方が野蛮国では?と文明国としての上から目線もでている帝国憲法。
憲法改正が囁かれる今、憲法に興味がある方は是非読んで頂きたいです。
〈大事なことなので最後に〉
憲法とは自国の歴史、伝統、文化です。憲法典(日本国憲法、帝国憲法等)とは
憲法のうち、文字として確認したものです。
そんなイメージは間違えであり植え付けられたものだと認識できる本です。
西からイギリス北からはロシア。江戸末期に日本に押し寄せる列強の国。
列強はアジアの国々を「野蛮国」とし、踏みにじっていった。
当時武力に劣る日本が生き残る手段は、列強に対し我々は野蛮国では無く文明国だと
認めさせる事。
文明国と認めさせる為に日本の「憲法典」を作る。これは当時知識人たちの悲願でもあった。
伊藤博文、井上毅等は憲法を学ぶため欧州へ渡り、ドイツ等の国々の憲法を学ぶが日本の
憲法を作るためには、どうもピンと来ない。
後日、伊藤博文は憲法に詳しいシュタイン博士と話す。
シュタイン博士「私は欧州の国々がそれぞれどういう国なのか知っているので
それぞれの国の憲法について話せるが、日本については全然知らないので、
日本の憲法作成について教える事はできない」・・・伊藤博文「!!!!」
伊藤博文「そうか!憲法とは歴史なのだ!!」
帰国後憲法作成の為、古事記、日本書紀等の歴史書を肌身離さず持ち歩いた井上毅。
帝国憲法完成後、欧州の憲法専門家に見せ驚愕させる。
「素晴らしい憲法だ」と
欧州各国の憲法に記されている人権?そんなものは日本では当たり前だ!わざわざ書く必要もない。
欧州さんあなたたちの方が野蛮国では?と文明国としての上から目線もでている帝国憲法。
憲法改正が囁かれる今、憲法に興味がある方は是非読んで頂きたいです。
〈大事なことなので最後に〉
憲法とは自国の歴史、伝統、文化です。憲法典(日本国憲法、帝国憲法等)とは
憲法のうち、文字として確認したものです。
2020年1月24日に日本でレビュー済み
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個人的に期待していた内容からはほど遠いのではあるが、客観的には参考になる記述が多い。憲法及び憲法問題に興味を持つようになるため日本国民が読んでおくべき本ではある。
2015年5月7日に日本でレビュー済み
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本書の~はじめに~
にある
「自らの命を懸けて戦ってくれたのではないだろうか。」
自分はこの言葉を筆者に捧げたい。
【真の憲法とは何か
日本人にとっての憲法とは】
筆者は常にそれを私達につきつける。
まずは自分の頭で考えることの大切さを
本書を手に取りそれを感じて欲しい。
本文208ページと209ページ
そこを涙なく読めるだろうか…
そして~おわりに~
ここに込められた筆者の思いに
涙を流さずにはいられない。
改憲を謳う方々、また改憲すれば戦争になると言う方々
改めて問いたい。
あなたたちは日本人ですか?と
いや…日本人だからこそ捨ててしまった贈り物を今一度その物語を
胸に刻んで欲しい。
にある
「自らの命を懸けて戦ってくれたのではないだろうか。」
自分はこの言葉を筆者に捧げたい。
【真の憲法とは何か
日本人にとっての憲法とは】
筆者は常にそれを私達につきつける。
まずは自分の頭で考えることの大切さを
本書を手に取りそれを感じて欲しい。
本文208ページと209ページ
そこを涙なく読めるだろうか…
そして~おわりに~
ここに込められた筆者の思いに
涙を流さずにはいられない。
改憲を謳う方々、また改憲すれば戦争になると言う方々
改めて問いたい。
あなたたちは日本人ですか?と
いや…日本人だからこそ捨ててしまった贈り物を今一度その物語を
胸に刻んで欲しい。
2018年7月8日に日本でレビュー済み
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幕末、日本は欧米から文明国ではないと見下げられ、軍事力を背景にして領土租借を要求され、不平等条約の締結を強制された。その不平等条約の解消に向けて、日本は政体を刷新し、富国強兵を図った。その一つが帝国憲法の制定である。大隈重信らは、1881年に、政体をどうするかのコンセンサスが未だ得られていないなか、拙速にも2年後の国会開設と二大政党制の導入を主張した。伊藤博文、井上薫らは、岩倉具視を説得して立憲政治に舵を切ることを打ち出し、拙速な政体変更を主張する大隈重信らを罷免した(明治14年の政変)。
この時、10年後の1890年に国会を開設することを決め、その前に憲法制定することを決めた。伊藤らは憲法調査のため渡欧する。伊藤博文はオーストリアのシュタインの「歴史を知らなければ憲法は語れない」との言に感銘を受けた。帰国後に日本の歴史の調査から初めて、井上毅らと共に7年の時間を掛けて帝国憲法を起草し、1889年2月11日に大日本帝国憲法を発布した。
憲法とは現在を生きる人々だけで決めるべきではない。長い歴史の積み重ねの中に、憲法が基礎とする人智を超えた英知を見出すべきである。日本は古来からお上は民を「大宝」(おおみたから)として接し、人権の概念が存在していた。すなわち、フランスと異なり憲法に人権を明文で規定する必要はなかった。換言すれば、日本では人権は当然に不文の憲法習律として歴史的に存在していた。フランスの憲法学者は、帝国憲法は天皇の権力が弱くベルギー憲法のようであり、精神においてイギリス憲法のようであると評している。
天皇は政治的責任を負わない。天皇は臣下の輔弼により裁可するだけで政治的権力を行使することはない。その結果、政治責任は臣下が負い、天皇は負わない。以上が天皇は神聖にして侵すべからずという第3条と、天皇は国の元首にして統治権を総攬しこの憲法の条規に依り之を行うという第4条の趣旨である。この趣旨は現憲法と同一である。天皇主権ではなく国民主権の概念が存在している。
現憲法は日本が敗戦して米軍が占領した時に、GHQ民政局が僅か8日間で起案した憲法である。
現憲法を知るには、大日本帝国憲法が、明治維新を成し遂げた人々が如何なる思いで、どの様な趣旨で制定したかを知る必要がある。本書は、それを理解するのに非常に役に立つ。
この時、10年後の1890年に国会を開設することを決め、その前に憲法制定することを決めた。伊藤らは憲法調査のため渡欧する。伊藤博文はオーストリアのシュタインの「歴史を知らなければ憲法は語れない」との言に感銘を受けた。帰国後に日本の歴史の調査から初めて、井上毅らと共に7年の時間を掛けて帝国憲法を起草し、1889年2月11日に大日本帝国憲法を発布した。
憲法とは現在を生きる人々だけで決めるべきではない。長い歴史の積み重ねの中に、憲法が基礎とする人智を超えた英知を見出すべきである。日本は古来からお上は民を「大宝」(おおみたから)として接し、人権の概念が存在していた。すなわち、フランスと異なり憲法に人権を明文で規定する必要はなかった。換言すれば、日本では人権は当然に不文の憲法習律として歴史的に存在していた。フランスの憲法学者は、帝国憲法は天皇の権力が弱くベルギー憲法のようであり、精神においてイギリス憲法のようであると評している。
天皇は政治的責任を負わない。天皇は臣下の輔弼により裁可するだけで政治的権力を行使することはない。その結果、政治責任は臣下が負い、天皇は負わない。以上が天皇は神聖にして侵すべからずという第3条と、天皇は国の元首にして統治権を総攬しこの憲法の条規に依り之を行うという第4条の趣旨である。この趣旨は現憲法と同一である。天皇主権ではなく国民主権の概念が存在している。
現憲法は日本が敗戦して米軍が占領した時に、GHQ民政局が僅か8日間で起案した憲法である。
現憲法を知るには、大日本帝国憲法が、明治維新を成し遂げた人々が如何なる思いで、どの様な趣旨で制定したかを知る必要がある。本書は、それを理解するのに非常に役に立つ。
2019年3月13日に日本でレビュー済み
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素晴らしい。
隠された日本のアイデンティティを示してくださっています。
隠された日本のアイデンティティを示してくださっています。