北欧神話の主要なお話しを、現代的な言葉で語ってくれる本です。
著者も解説で「語ることを楽しんだ」と書いているように、キャラクターの個性が魅力的に描かれていて、現代のファンタジー小説を読んでいるようでした。ずる賢いのにどこか憎めないロキ、強くてリーダーシップがあるけど筋肉バカっぽい所のあるトール、誰よりも美しい女神なのに貧乏くじを引きがちなフレイヤ。他の神様たちもちょっと人間臭くてかわいいです。
北欧神話の物語としての面白さを体験するにはうってつけの本だと思います。
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物語北欧神話 上 単行本 – 2019/1/22
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霧と炎が支配する世界に巨人と神々が生まれた。彼らは定められた滅びへと突き進んでゆく――断片的な詩や散文からなる複雑な北欧神話を現代ファンタジーの巨匠が再話。後の創作物に多大な影響を与えた神々の物語がよみがえる。
◇◆目次 上巻◆◇
序文
北欧神話の神々
始まりの前と、それから
ユグドラシルと九つの世界
ミーミルの首とオーディンの目
神々の宝物
城壁づくり
ロキの子どもたち
フレイヤのとんでもない結婚式
詩人のミード
用語集
◇◆目次 下巻◆◇
トールの巨人国への旅
不死のリンゴ
ゲルズとフレイの話
トール、ヒュミルと釣りにいく
バルドルの死
ロキの末路
ラグナロク――神々の終焉
用語集
著者による覚書
訳者あとがき
■著者略歴
ニール・ゲイマン(Neil Gaiman)
1960年、イギリス生まれ。小説、ドラマ・映画脚本、グラフィックノベル原作の執筆と多岐にわたる活躍をしている。
その作品は高く評価され、ヒューゴー賞を4度、ネビュラ賞を2度、ブラム・ストーカー賞を4度、ローカス賞を6度受賞している。また、2018年にはニュー・アカデミー文学賞にもノミネートされた。
■訳者略歴
金原瑞人(かねはら みずひと)
1954年、岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。訳書はシアラー『青空のむこう』(求龍堂)、グリーン『さよならを待つふたりのために』(岩波書店、共訳)、モーム『月と六ペンス』(新潮社)など500冊以上。
エッセイに『サリンジャーに、マティーニを教わった』(潮出版社)、日本の古典の翻案に『雨月物語』(岩崎書店)『仮名手本忠臣蔵』(偕成社)など。
野沢佳織(のざわ かおり)
1961年、東京都生まれ。上智大学英文学科卒業。訳書にゲイマン『アメリカン・ゴッズ』『壊れやすいもの』(KADOKAWA、共訳)、マタール『帰還 父と息子を分かつ国』(人文書院、共訳)、セペティス『凍てつく海のむこうに』(岩波書店)など。
◇◆目次 上巻◆◇
序文
北欧神話の神々
始まりの前と、それから
ユグドラシルと九つの世界
ミーミルの首とオーディンの目
神々の宝物
城壁づくり
ロキの子どもたち
フレイヤのとんでもない結婚式
詩人のミード
用語集
◇◆目次 下巻◆◇
トールの巨人国への旅
不死のリンゴ
ゲルズとフレイの話
トール、ヒュミルと釣りにいく
バルドルの死
ロキの末路
ラグナロク――神々の終焉
用語集
著者による覚書
訳者あとがき
■著者略歴
ニール・ゲイマン(Neil Gaiman)
1960年、イギリス生まれ。小説、ドラマ・映画脚本、グラフィックノベル原作の執筆と多岐にわたる活躍をしている。
その作品は高く評価され、ヒューゴー賞を4度、ネビュラ賞を2度、ブラム・ストーカー賞を4度、ローカス賞を6度受賞している。また、2018年にはニュー・アカデミー文学賞にもノミネートされた。
■訳者略歴
金原瑞人(かねはら みずひと)
1954年、岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。訳書はシアラー『青空のむこう』(求龍堂)、グリーン『さよならを待つふたりのために』(岩波書店、共訳)、モーム『月と六ペンス』(新潮社)など500冊以上。
エッセイに『サリンジャーに、マティーニを教わった』(潮出版社)、日本の古典の翻案に『雨月物語』(岩崎書店)『仮名手本忠臣蔵』(偕成社)など。
野沢佳織(のざわ かおり)
1961年、東京都生まれ。上智大学英文学科卒業。訳書にゲイマン『アメリカン・ゴッズ』『壊れやすいもの』(KADOKAWA、共訳)、マタール『帰還 父と息子を分かつ国』(人文書院、共訳)、セペティス『凍てつく海のむこうに』(岩波書店)など。
- 本の長さ198ページ
- 言語日本語
- 出版社原書房
- 発売日2019/1/22
- 寸法13.6 x 2.1 x 19.6 cm
- ISBN-104562056266
- ISBN-13978-4562056262
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登録情報
- 出版社 : 原書房 (2019/1/22)
- 発売日 : 2019/1/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 198ページ
- ISBN-10 : 4562056266
- ISBN-13 : 978-4562056262
- 寸法 : 13.6 x 2.1 x 19.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 195,300位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,050位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年5月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
翻訳が素敵でした。(きっと原文も素敵だと思う)
読みやすくて、感動しました。
レビューするのは、初めてですが、
いままでしたことのないレビューを、初めてしようと思ってしまったほどです。
北欧神話の関連本、何冊か読んでいるけど、1オシです。
僕も、いつか北欧神話の再話、著したいと思っていたけど、やっぱりやめた、この本があるからね。
さて、下巻も、早く読みたいな、っと。
読みやすくて、感動しました。
レビューするのは、初めてですが、
いままでしたことのないレビューを、初めてしようと思ってしまったほどです。
北欧神話の関連本、何冊か読んでいるけど、1オシです。
僕も、いつか北欧神話の再話、著したいと思っていたけど、やっぱりやめた、この本があるからね。
さて、下巻も、早く読みたいな、っと。
2022年7月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
北欧神話なるものを、小学生四年生の息子と楽しもうと探しました。こちらはレビューを見て購入を決めました。結果、とても満足です。息子も毎回お話を楽しみに、ストーリーの中へ引き込まれていました。長さもある程度あり、端折りすぎず、長すぎず大人の私も楽しめました。
中古本をでも価格は高い方ですので、下巻は図書館で見つけたので借りました。又、将来2回目を読むかもしれません。
登場人物の名前が多く、ややこしいので解説本を購入しました。本文には絵がないので、解説本の絵からイメージが広がり、また理解が深まります。
色んな出版社から違った形で、北欧神話が出ていますので、また今後この知識を土台に読むことがあるかもしれません。
小学生の時に色んな良質な物語に触れさせてあげたいと思っています。又、私自身も神話等高尚な物を、読み聞かせてもらった経験がほぼないので、学び直しとしても楽しいです。
中古本をでも価格は高い方ですので、下巻は図書館で見つけたので借りました。又、将来2回目を読むかもしれません。
登場人物の名前が多く、ややこしいので解説本を購入しました。本文には絵がないので、解説本の絵からイメージが広がり、また理解が深まります。
色んな出版社から違った形で、北欧神話が出ていますので、また今後この知識を土台に読むことがあるかもしれません。
小学生の時に色んな良質な物語に触れさせてあげたいと思っています。又、私自身も神話等高尚な物を、読み聞かせてもらった経験がほぼないので、学び直しとしても楽しいです。
2020年11月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「オーディンって北欧神話出身なんだ」程度の初心者ですが、クセのない文体で噛み砕いて書かれていて、あっという間に読み終わりました。
神話らしい幻想的で残酷なテイストが色濃い反面、フレイヤやテュールなどどこか人間味を感じる神々の存在も印象深いです。
特に好きなシーンは「ロキの子どもたち」のフェンリルとオーディン、テュールのやりとりです。色々と考えてしまって読後なかなか次のお話に進めませんでした。
神話らしい幻想的で残酷なテイストが色濃い反面、フレイヤやテュールなどどこか人間味を感じる神々の存在も印象深いです。
特に好きなシーンは「ロキの子どもたち」のフェンリルとオーディン、テュールのやりとりです。色々と考えてしまって読後なかなか次のお話に進めませんでした。
2023年4月8日に日本でレビュー済み
『北欧神話大全』などの解説本は詳しすぎて手に余りますが、こちらの物語は読ませる技術を持っているニール・ゲイマンによるためか、読んでいて苦になりません。
スヴァジルファリの主が「フレイヤを僕にください、太陽と月を昼と夜にいただきたい」と願ってアースガルズの砦を18カ月で建設する、そう意気込む話が特に引き込まれました。
ロキの助言で「だれにも手伝わせないで作ること、6カ月で完成させること」という厳しい条件が追加され、結末は…なかなか示唆に富んでいます。
スヴァジルファリの主が「フレイヤを僕にください、太陽と月を昼と夜にいただきたい」と願ってアースガルズの砦を18カ月で建設する、そう意気込む話が特に引き込まれました。
ロキの助言で「だれにも手伝わせないで作ること、6カ月で完成させること」という厳しい条件が追加され、結末は…なかなか示唆に富んでいます。
2019年4月25日に日本でレビュー済み
字は大きく、難しい言葉も言い回しも無く、非常に読みやすい。物語も過剰な演出無く素直に丁寧に語られており好感が持てる。このシリーズ上下で読み物としては十分です。
但しあくまでも物語だけを扱ったものなので、その他の情報は無い。この本で興味が沸いたら他で調べてみるのも良いだろう。切っ掛けの1冊としてお勧めしたい。
但しあくまでも物語だけを扱ったものなので、その他の情報は無い。この本で興味が沸いたら他で調べてみるのも良いだろう。切っ掛けの1冊としてお勧めしたい。
2021年8月13日に日本でレビュー済み
さきに下巻のほうにレビューを書いており、そちらでは難点のほうを多くあげてしまったので、ここでは努めて褒めることにしよう。
まずは繰りかえしになってしまうが、新しいということ。主要な再話のうち邦訳がもっとも新しいのはマッケンジー (1997 年訳、ただし原著は 1912 年) だから、そこから数えて優に 20 年以上あいてようやく出た現代式の北欧神話物語だ。
原著者はドラマや映画の脚本、グラフィックノベルの原作などを手がけてきたといい、たしかにキャラクタの会話や情景描写などが生き生きとして鮮やかである。古いマッケンジーやグレンベックなどと比べたときひと目で明らかなのは、このゲイマンのほうがセリフ (カギ括弧) の量が多く、また一段落の行数がはるかに短く区切られていて読みやすいということだろう。
もう 1 点称賛されるべきは、北欧神話の残虐だったり陰険だったりする部分をごまかしていないということだ (少なくとも上巻では)。
このことはパードリック・コラムによる子ども向けの再話と比較するとき際立って感じられる。トールやオーディンなどがときに理不尽に巨人を殺し血が流れる場面や、クヴァシルの血から作られた詩人の蜜酒をめぐる裏切りの数々、ついでに (それほど直截な描写はないが) 男女が「愛しあった」というような話がいっさい端折られずに描かれている。
とはいえ、下巻に至って「ロキの口論」をもとにしたエピソードになると、著者は「物語全体の形が損なわれるような気がした」(「覚書」、下巻 201 頁) としてどぎつい侮辱の数々を完全に取り払ってしまうのだが。紙幅とも相談してバランスを崩さないかぎりでは忠実さに配慮していると評価できよう。
この上巻について、下巻のレビューで指摘したような不勉強に起因する難点や「原作」との齟齬はほとんどない。強いて言えばバルドルの性格だけは引っかかった。巨人の石工を騙してアースガルズの城壁づくりをさせるエピソードで、本書のバルドルはロキの提案が失敗するなり「おまえの助言は役に立ったためしがないな」と言ってロキを不快にさせるし (87 頁)、石工の不首尾が明確になると皮肉げなことを言って相手を馬鹿にする (92 頁)。
著者にも言い分はあるだろう。前者についてはラグナロクを前にロキが裏切り、彼がバルドルを妬んで殺させることの正当な動機を準備したかった、というのが著者の意図に違いない。だが原典 (「ギュルヴィ」22, 49) では「善良なバルドル」と呼ばれ、神々のうちもっとも賢くもっとも優しい、誰からも好かれる神であるとされている彼が、こんなふうに嫌なやつとして描かれている再話を私は見たことがない。
それから訳書の表記の問題として、「ヘイムッダル」(正しくはヘイムダッル) については下巻のレビューでも触れたが、上巻ではフヴェルゲルミルが何度も「フェルゲルミル」と書かれている点が気になった。これら以外のすべての固有名詞は一般に普及していてかつ正確な表記を踏襲していて文句がない (ここはおすすめポイント) ので、2 件だけ間違えているというのは流儀や好みの問題ではなく、たんに訳者が勘違い・覚え間違いをしているのだと思われる。
最後に、上下巻で用語集が重複していることについて。そもそも分冊化したことじたいよろしくないと私は思っているが、上巻に同じ用語集があることはたんに不必要なばかりでなく、下巻で語られる展開のネタバレが細かい点まで大量に含まれるというので有害ですらある。
たしかに神話のエピソードは有名なものばかりだし、ふつうの物語に比べればネタバレをことさら気にする必要がないのは事実だ。だが読書というのは一般に知らないものを新しく知って楽しむための行為だろう。私のようによくよく知っている物語を何種類も飽きずに読み比べるというのはむしろ少数派のはずだ。物語を知らない無垢な読者がこの本を読むことを想定すれば、上巻の時点でここに用語集を置く必要はなく無駄なページだといえる。
まずは繰りかえしになってしまうが、新しいということ。主要な再話のうち邦訳がもっとも新しいのはマッケンジー (1997 年訳、ただし原著は 1912 年) だから、そこから数えて優に 20 年以上あいてようやく出た現代式の北欧神話物語だ。
原著者はドラマや映画の脚本、グラフィックノベルの原作などを手がけてきたといい、たしかにキャラクタの会話や情景描写などが生き生きとして鮮やかである。古いマッケンジーやグレンベックなどと比べたときひと目で明らかなのは、このゲイマンのほうがセリフ (カギ括弧) の量が多く、また一段落の行数がはるかに短く区切られていて読みやすいということだろう。
もう 1 点称賛されるべきは、北欧神話の残虐だったり陰険だったりする部分をごまかしていないということだ (少なくとも上巻では)。
このことはパードリック・コラムによる子ども向けの再話と比較するとき際立って感じられる。トールやオーディンなどがときに理不尽に巨人を殺し血が流れる場面や、クヴァシルの血から作られた詩人の蜜酒をめぐる裏切りの数々、ついでに (それほど直截な描写はないが) 男女が「愛しあった」というような話がいっさい端折られずに描かれている。
とはいえ、下巻に至って「ロキの口論」をもとにしたエピソードになると、著者は「物語全体の形が損なわれるような気がした」(「覚書」、下巻 201 頁) としてどぎつい侮辱の数々を完全に取り払ってしまうのだが。紙幅とも相談してバランスを崩さないかぎりでは忠実さに配慮していると評価できよう。
この上巻について、下巻のレビューで指摘したような不勉強に起因する難点や「原作」との齟齬はほとんどない。強いて言えばバルドルの性格だけは引っかかった。巨人の石工を騙してアースガルズの城壁づくりをさせるエピソードで、本書のバルドルはロキの提案が失敗するなり「おまえの助言は役に立ったためしがないな」と言ってロキを不快にさせるし (87 頁)、石工の不首尾が明確になると皮肉げなことを言って相手を馬鹿にする (92 頁)。
著者にも言い分はあるだろう。前者についてはラグナロクを前にロキが裏切り、彼がバルドルを妬んで殺させることの正当な動機を準備したかった、というのが著者の意図に違いない。だが原典 (「ギュルヴィ」22, 49) では「善良なバルドル」と呼ばれ、神々のうちもっとも賢くもっとも優しい、誰からも好かれる神であるとされている彼が、こんなふうに嫌なやつとして描かれている再話を私は見たことがない。
それから訳書の表記の問題として、「ヘイムッダル」(正しくはヘイムダッル) については下巻のレビューでも触れたが、上巻ではフヴェルゲルミルが何度も「フェルゲルミル」と書かれている点が気になった。これら以外のすべての固有名詞は一般に普及していてかつ正確な表記を踏襲していて文句がない (ここはおすすめポイント) ので、2 件だけ間違えているというのは流儀や好みの問題ではなく、たんに訳者が勘違い・覚え間違いをしているのだと思われる。
最後に、上下巻で用語集が重複していることについて。そもそも分冊化したことじたいよろしくないと私は思っているが、上巻に同じ用語集があることはたんに不必要なばかりでなく、下巻で語られる展開のネタバレが細かい点まで大量に含まれるというので有害ですらある。
たしかに神話のエピソードは有名なものばかりだし、ふつうの物語に比べればネタバレをことさら気にする必要がないのは事実だ。だが読書というのは一般に知らないものを新しく知って楽しむための行為だろう。私のようによくよく知っている物語を何種類も飽きずに読み比べるというのはむしろ少数派のはずだ。物語を知らない無垢な読者がこの本を読むことを想定すれば、上巻の時点でここに用語集を置く必要はなく無駄なページだといえる。
2019年7月7日に日本でレビュー済み
ゲーム(GODofWAR)が面白かったため北欧神話に興味がでて手に取った。ゲーム好きだけでなく映画『マイティ・ソー』が好きに方にもお勧めできる。一話ごとが長くなくスムースに読み進められる。当方の上巻でのオススメは“ミョルニル”(ムジョルニア)が出来上がる物語である。伝説の武器が出来上がるにはこんな物語があったのか!と楽しめた。是非、読んでもらいたい本である。