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最後通牒ゲームの謎 ◇進化心理学からみた行動ゲーム理論入門 単行本 – 2021/6/22
小林佳世子
(著)
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購入オプションとあわせ買い
たまたまもらった1000円、見知らぬ相手とどう分ける
【内容紹介】最後通牒ゲームを題材として、進化心理学の考え方を使い、「経済人」ではない人間行動の原理に迫る。
【目次】
第1章 謎解きの道具
第2章 ホモ・エコノミクスを探して
2-1 見知らぬ人と分かちあう
2-2 実験:やってみなくちゃわからない!
第3章 「目」と「評判」を恐れる心――なぜ独り占めしようとしないのか?
3-1 独裁者ゲーム:ノーとはいわせない!
3-2 観察者の目:見てるぞ~~~
3-3 絆と孤独はアメとムチ
コラム:孤独について
3-4 独裁者ゲーム:バリエーション
コラム:奇妙な(WEIRD)……?人々
第4章 不公平への怒り――なぜ損をしてまでノー! というのか?
4-1 アンフェアは許せない! !
4-2 損をしてでも罰したい! !
4-3 罰の甘き喜び
コラム:男の子はヒーローがお好き!?
4-4 第三者罰7
4-5 見えざる手がもつ諸刃の剣
第5章 脳に刻まれた「力」――裏切り者は、見つけられ、覚えられ、広められる
5-1 裏切り者を見つける力
5-2 裏切り者を覚え伝える力
5-3 エラー管理理論
コラム:エラー管理理論の応用1:行為者への敏感さ
コラム:エラー管理理論の応用2:初対面の人への「無難な」ふるまい
5-4 ゲームからわかってきたこと
第6章 進化の光
6-1 適応合理性
コラム:進化の中の肥満
6-2 協力行動の進化
コラム:自粛警察
あとがき
もっと勉強したい方へ
ゲームの詳細補足――公共財ゲーム・順序付き囚人のジレンマゲーム・信頼ゲーム
引用文献
- 本の長さ312ページ
- 言語日本語
- 出版社日本評論社
- 発売日2021/6/22
- 寸法13 x 1.6 x 18.8 cm
- ISBN-104535559864
- ISBN-13978-4535559868
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出版社より
日経・経済図書文化賞


商品の説明
著者について
小林佳世子(こばやし かよこ) 南山大学経済学部准教授
登録情報
- 出版社 : 日本評論社 (2021/6/22)
- 発売日 : 2021/6/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 312ページ
- ISBN-10 : 4535559864
- ISBN-13 : 978-4535559868
- 寸法 : 13 x 1.6 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 116,061位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 905位経済学・経済事情
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2022年8月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
予想以上の面白さ。本質的には「経済学」であり、心理学的側面も強く内容も濃いのだが、分かり易い文体で丁寧に書かれているため頭にスルリと入ってくる。完全無欠な計算能力を駆使して迷わず最適な選択肢を選ぶ超合理的な人間「エコン」、損得ではそのように行動するはずなのに何故かその行動とは違う不合理・不思議な行動「アノマリー」がまずされ、これをキーワードに話は進む。Aさんは見知らぬBさんと分けることを条件に 1,000円を与えられる。分ける額は任意。Bさんが提示された金額でOKなら二人はその金額を得る。もしBさんが受け取るのを拒否するなら双方とも金は貰えず没収される。もし二人が「エコン」ならAは最大値999円を自分のものとしBに1円を提示する。またBは0円よりマシな1円で応諾する筈である。ところが多くの場合、Bはこのような提示を拒否し0円を選ぶし、その前にAがそのような極端な提案をしない。様々な社会で同様の実験更には別の試みをし、こうした「アノマリー」の原因を探る。そこには人間の心理、所属する社会の習慣、また進化によって脳に植え付けられた様々な要因があるらしい。これは「合理的な不合理」なのだと。ぐいぐいと惹きつけられて、読了。こんなにも分かり易く面白い、経済の本にも心理学の本にも今までお目にかかったこともない。面白さを適切に表せずどう書こうかと迷ったが、書き始めると短くできない。困った。ここに書いた「最後通牒ゲーム」のほか、「独裁者ゲーム」、「裏切り者を見つける」、「フリーライダーを許せない」、「適応合理性」など次々に単語としての面白さ、内容の深淵さに惹かれる本だった。新型コロナでの現況の分析にも及び興奮の一冊だった。
2021年12月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
専門用語が出てくるのに少しも難しく感じません。寧ろどんどん引き込まれていくような、小説でも読んでいるような夢中にさせてくれる本です。
2021年8月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ほぼ丸ごと1冊、最後通牒ゲームおよびその変形である独裁者ゲームから分かる、人間と社会に関する知見を紹介する本。
第1章では、このゲームを扱う行動経済学と進化心理学が紹介され、第2章では、最後通牒ゲームを用いた実験の結果が紹介される。
そのうえで2つの謎、すなわち「分ける人(Aさん)」についての「なぜAさんは、エコンのように(ほぼ)すべてを独り占めしようとしないのか?」という謎と、「受ける人(Bさん)」についての「なぜBさんは、損をしてまでノーというのか?(p.43)」という謎にそれぞれ3章と4章が割かれ、様々に条件を変えた実験の成果が紹介される。
第5章は、一転して「4枚カード問題」の実験を手がかりに、「裏切り者」についての検討がなされ、第6章では、それまでの知見を踏まえて、「適応合理性」の概念が提唱される。
とにかく平易な叙述で、しかも章末にはまとめがあり、多少とも難しそうな内容は補足に回されている点も親切である。気の利いた高校生なら楽勝で読めるだろう。
第1章では、このゲームを扱う行動経済学と進化心理学が紹介され、第2章では、最後通牒ゲームを用いた実験の結果が紹介される。
そのうえで2つの謎、すなわち「分ける人(Aさん)」についての「なぜAさんは、エコンのように(ほぼ)すべてを独り占めしようとしないのか?」という謎と、「受ける人(Bさん)」についての「なぜBさんは、損をしてまでノーというのか?(p.43)」という謎にそれぞれ3章と4章が割かれ、様々に条件を変えた実験の成果が紹介される。
第5章は、一転して「4枚カード問題」の実験を手がかりに、「裏切り者」についての検討がなされ、第6章では、それまでの知見を踏まえて、「適応合理性」の概念が提唱される。
とにかく平易な叙述で、しかも章末にはまとめがあり、多少とも難しそうな内容は補足に回されている点も親切である。気の利いた高校生なら楽勝で読めるだろう。
2021年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日経経済図書受賞作品としては平易で主張するところも反論を挑発するようなものでなく一般受けしそうな美しい説のように見受ける
一方で、引用文献まで読んでいないが、仮設検証・一般外挿性の観点からは腑に落ちないところが少なからずある。
せめて筆者の主張をさらに実証するための今後の具体案を提示していただければ尚良かったと思う。
一方で、引用文献まで読んでいないが、仮設検証・一般外挿性の観点からは腑に落ちないところが少なからずある。
せめて筆者の主張をさらに実証するための今後の具体案を提示していただければ尚良かったと思う。
2021年10月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日経新聞の書評に載っていたので、購入しました。
この所、ゲーム理論の本を読んでいますが、この本も面白いです。
この所、ゲーム理論の本を読んでいますが、この本も面白いです。
2021年9月29日に日本でレビュー済み
本書の冒頭に、ハーバート・サイモンの言葉が引用されている(p.1)。サイモンは、経済学の合理的経済人(ホモ・エコノミクス)という前提を批判し、人間の限定合理性(bounded rationality)を提唱して、1978年にノーベル経済学賞を受賞した心理学者である。本書の最後通牒ゲームも合理的経済人の前提を批判している。これは期待できそうだ。
本書はこの最後通牒ゲーム(ultimatum game: アルティメーダム・ゲーム)を入口にして、行動経済学と進化心理学を道具にしながら、「ヒトの選択の根底にあるもの」を探るのが目的のようだ(p.10)。
ところで、最後通牒ゲーム30周年を記念した論文の案内はあるのだが(p.9)、肝心の創始者は誰なのか紹介がない。調べたら、Harsanyi, John C. (1961). "On the Rationality Postulates underlying the Theory of Cooperative Games". The Journal of Conflict Resolution. 5 (2): 179–196. であった。本書の参考文献には載っていない。
行動経済学や進化心理学が、従来の経済学に取って代わるような革命を著者は期待しているようだが(p.240)、残念ながらそのような革命は起きそうにない。
1.心理主義の限界
革命が起きない理由の一つは、フロイトの精神分析を否定したことで有名な哲学者ポッパーの心理学主義批判があるからだ。心理主義とは、社会現象を心理学に還元して説明しようとする立場のことである。ポパーによれば、社会契約論は心理学主義に基づいている。社会契約は、社会が成立する以前に存在した人間の本性によって社会は始まるとする、方法論上の神話である。人間は社会が存在しないところに生まれてくるわけがないからだ。あらゆる社会現象を、個々人の心理から説明することは極めて困難である(ポパー『開かれた社会とその敵』未来社 第2部 p.89-91)。
2.進化心理学
社会現象を生物学に還元できるとする、エドワード・O・ウィルソンの社会生物学ほどではないにしても、進化心理学も心理主義に陥っていると言える。もちろん、人間の脳や心理が社会現象に影響を及ぼしていることは否定できない。しかし、社会現象は脳の外で起きている事柄である。特に、心理主義では社会現象の多くを占める「行為の意図せざる結果」を説明できない。
例えば、エスカレーターの右か左の側の通路を開けるという習慣は、首都圏は右側を、関西圏は左側を開けることになっている。東京人と大阪人で脳の構造に違いがあるはずはない。この現象は、誰も命令しないし、誰かが良かれと思った行動が模倣され、意図せざる結果を生んだのである。これが車道なら、「自動車は道路の右側を走行すべし」と言語化され、法律で定まり、警察という権力によって順守されるようになれば、制度として明示的に定着する。
このように、生物学的・心理学的理解以上のものが、社会現象を説明するには求められるのである。
3.ギンタスの可能性
合理的経済人の前提に代わる前提を主張した者がいた。本書でも、「ヒトは、なぜこれほどまでに協力的な種となったのか」と問い、学問分野を統合しようとするギンタスが引用されている(ハーバート・ギンタス『ゲーム理論による社会科学の統合』NTT出版)。
私にはギンタスは英雄のように映る。なぜなら、行動経済学が従来の経済学に修正を加えるという位置にあるとすれば、ギンタスは合理的経済人の代わりに強い互恵性という前提をもとに、経済学そのものを作り替えようとしている。
強い互恵性とは、利他的協調と利他的懲罰の両方を備えた互恵性のことである。本書でもこの両者の存在を証明する実験の多くが紹介されている。利他的協調とは、本書では利他行動と紹介されている。自分が損をしてでも協力的な相手を支援する行動のことである。利他的懲罰は利他罰と紹介されているが、自分が損をしてでも非協力的な相手を罰しようとする行動のことである(p.145)。
強い互恵性の野望を応援したいのだが、研究は実験室で行われたものに過ぎないとか、人間本性の内容を変えたところで、心理主義であることに変わりないという批判がある。
4.制度論を欠いている
最後の章(6章)の最後に、パレート最適で有名なヴィルフレド・パレートが1906年に残した言葉が引用されている。「我々が社会科学の諸法則を心理学の原理から演繹できるようになる、そんな日がきっとやって来るであろう。P.231」と、その日が100年後の今日であると言いたいのだろう。
しかし、心理学でどんなに人間の特性を突き止めても、人間の行為を外から制約する諸制度を説明することはできない。例えば最後通牒ゲームで相手にいくら渡すかは国によって異なる(p.34)。その相違をもたらす何か、本書では文化と呼んでいる(p.35)。第3章のように人目を気にかけるように制約する道徳、第4章のように正義の理念から判断を迫る存在がある。これらは個人の道徳感情、正義感から存在を知ることのできるものだが、それらは確かに外界に存在し、人々の意思決定や行為を制限するのである。アダム・スミスの著作に『道徳感情論』と『国富論』があるように、『道徳感情論』の心理主義をいったん切り離したうえで、『国富論』の「見えざる手」を考察すべきなのである。
本書は制度の存在に気付いてはいるが、明示的に意識していない。その点に不満が残るものの、決して間違ったことを言っているわけではない。何より分かりやすく、最後通牒ゲームを使って楽しく読める行動経済学本である。
本書はこの最後通牒ゲーム(ultimatum game: アルティメーダム・ゲーム)を入口にして、行動経済学と進化心理学を道具にしながら、「ヒトの選択の根底にあるもの」を探るのが目的のようだ(p.10)。
ところで、最後通牒ゲーム30周年を記念した論文の案内はあるのだが(p.9)、肝心の創始者は誰なのか紹介がない。調べたら、Harsanyi, John C. (1961). "On the Rationality Postulates underlying the Theory of Cooperative Games". The Journal of Conflict Resolution. 5 (2): 179–196. であった。本書の参考文献には載っていない。
行動経済学や進化心理学が、従来の経済学に取って代わるような革命を著者は期待しているようだが(p.240)、残念ながらそのような革命は起きそうにない。
1.心理主義の限界
革命が起きない理由の一つは、フロイトの精神分析を否定したことで有名な哲学者ポッパーの心理学主義批判があるからだ。心理主義とは、社会現象を心理学に還元して説明しようとする立場のことである。ポパーによれば、社会契約論は心理学主義に基づいている。社会契約は、社会が成立する以前に存在した人間の本性によって社会は始まるとする、方法論上の神話である。人間は社会が存在しないところに生まれてくるわけがないからだ。あらゆる社会現象を、個々人の心理から説明することは極めて困難である(ポパー『開かれた社会とその敵』未来社 第2部 p.89-91)。
2.進化心理学
社会現象を生物学に還元できるとする、エドワード・O・ウィルソンの社会生物学ほどではないにしても、進化心理学も心理主義に陥っていると言える。もちろん、人間の脳や心理が社会現象に影響を及ぼしていることは否定できない。しかし、社会現象は脳の外で起きている事柄である。特に、心理主義では社会現象の多くを占める「行為の意図せざる結果」を説明できない。
例えば、エスカレーターの右か左の側の通路を開けるという習慣は、首都圏は右側を、関西圏は左側を開けることになっている。東京人と大阪人で脳の構造に違いがあるはずはない。この現象は、誰も命令しないし、誰かが良かれと思った行動が模倣され、意図せざる結果を生んだのである。これが車道なら、「自動車は道路の右側を走行すべし」と言語化され、法律で定まり、警察という権力によって順守されるようになれば、制度として明示的に定着する。
このように、生物学的・心理学的理解以上のものが、社会現象を説明するには求められるのである。
3.ギンタスの可能性
合理的経済人の前提に代わる前提を主張した者がいた。本書でも、「ヒトは、なぜこれほどまでに協力的な種となったのか」と問い、学問分野を統合しようとするギンタスが引用されている(ハーバート・ギンタス『ゲーム理論による社会科学の統合』NTT出版)。
私にはギンタスは英雄のように映る。なぜなら、行動経済学が従来の経済学に修正を加えるという位置にあるとすれば、ギンタスは合理的経済人の代わりに強い互恵性という前提をもとに、経済学そのものを作り替えようとしている。
強い互恵性とは、利他的協調と利他的懲罰の両方を備えた互恵性のことである。本書でもこの両者の存在を証明する実験の多くが紹介されている。利他的協調とは、本書では利他行動と紹介されている。自分が損をしてでも協力的な相手を支援する行動のことである。利他的懲罰は利他罰と紹介されているが、自分が損をしてでも非協力的な相手を罰しようとする行動のことである(p.145)。
強い互恵性の野望を応援したいのだが、研究は実験室で行われたものに過ぎないとか、人間本性の内容を変えたところで、心理主義であることに変わりないという批判がある。
4.制度論を欠いている
最後の章(6章)の最後に、パレート最適で有名なヴィルフレド・パレートが1906年に残した言葉が引用されている。「我々が社会科学の諸法則を心理学の原理から演繹できるようになる、そんな日がきっとやって来るであろう。P.231」と、その日が100年後の今日であると言いたいのだろう。
しかし、心理学でどんなに人間の特性を突き止めても、人間の行為を外から制約する諸制度を説明することはできない。例えば最後通牒ゲームで相手にいくら渡すかは国によって異なる(p.34)。その相違をもたらす何か、本書では文化と呼んでいる(p.35)。第3章のように人目を気にかけるように制約する道徳、第4章のように正義の理念から判断を迫る存在がある。これらは個人の道徳感情、正義感から存在を知ることのできるものだが、それらは確かに外界に存在し、人々の意思決定や行為を制限するのである。アダム・スミスの著作に『道徳感情論』と『国富論』があるように、『道徳感情論』の心理主義をいったん切り離したうえで、『国富論』の「見えざる手」を考察すべきなのである。
本書は制度の存在に気付いてはいるが、明示的に意識していない。その点に不満が残るものの、決して間違ったことを言っているわけではない。何より分かりやすく、最後通牒ゲームを使って楽しく読める行動経済学本である。
2021年8月19日に日本でレビュー済み
進化心理学、行動経済学の分野では鉄板ともいえる、最後通牒ゲームについての入門書。
最後通牒ゲームというのは、わかりやすく言うと
「あなたに1000円あげます。向こうに相手がいますが、その1000円をあなたと相手で好きに分配してください。どう分けますか?」
というもの。
後は、この渡される額の多寡だったり、相手側に拒否権があったりなかったり、一方が実験者に仕込まれたサクラだったりなど、様々な「バリエーション」が存在する。
「人間集団における資源の分配」という、最もファンダメンタルな問題を、ミニマルに切り取って実験することができるのだ。
たとえば、あなたが「お金を分配される側」だったとする。
もし相手の提案が気に入らなければ、拒否することもできる。
しかし、拒否した場合は両者ともにお金を受け取れない。
ここで自分の利益を最大化しようと思ったら、最適な選択は
「相手がいくら提示しようと、とにかくイエスと言う」である。
1000円だろうが500円だろうが1円だろうが、とにかく貰えるお金は貰う。
(0円の場合は何の意味もないが、イエスと回答しても損はしない)
これが、普通に考えた場合の「合理的行動」である。
しかし、多くの人間は、明らかに自分に不利な提案をされると、きっぱり拒否してしまうのだそうだ。
(この「明かに不利」の割合自体は、地域や文化によってけっこう幅がある)
面白いのは、「こちらが拒否しても、相手は提案した分をきっちり貰える」という条件にしたとしても、その傾向は変わらないという点である。
この傾向は、一見すると「感情的」というか「非合理的」と思える。
が、どうやらそうとも言い切れないらしい。
人間には、「集団内で不正を働く人間を厳しく追及する」という性質があるのだという。
いや、これは人間だけというより、集団で暮らす他の動物にも当てはまるらしい。
こうした傾向があることによって、その種はいわゆる「フリーライダー」、ズルい個体を排除ないし抑制出来るのだという。
そしておそらく、そのような集団の方が、結果的には個々の取り分が多くなると思われる。
つまり、「不利な配分の提案を蹴る」という行為は、その場では損かもしれないが、巡り巡って集団に得をもたらしている可能性がある。
だから、一見非合理に見える行動も、別の側面では合理的といえるのだ。
この事は、人間が「他人の目があると推測される状況ほど、公正にふるまう」傾向があることによっても確かめられるという。
自分のズルがばれない状況だったり、その選択が不可抗力によるものだと言い訳できる状況だったりするほど、人間はより利己的に振る舞うものらしい。
人間は、「他者からどう見られるか」を、ことのほか大事にする生き物なのだ。
ただその一方で、人間には「純粋に他者に共感し、自分の損得抜きに助けようとする」という、非常に高潔な傾向もあったりと、色々あるらしい。
どうやら人間の行動には「この場面ではこう反応する」という一種の分業制がしかれているらしく、それは脳の機能分化=モジュール化によるのだという。
だから人間は相手が仲間だと思うと「純粋に他者に共感し、助ける」一方で、相手が異質で得体の知れない敵だと思うと「相手の苦痛をうれしく思う」など、恐ろしい二面性を見せたりもする。
知れば知るほど人間という存在の賢さ、そしてその裏返しである愚かさが垣間見えて、興味が尽きない。
最後通牒ゲームというのは、わかりやすく言うと
「あなたに1000円あげます。向こうに相手がいますが、その1000円をあなたと相手で好きに分配してください。どう分けますか?」
というもの。
後は、この渡される額の多寡だったり、相手側に拒否権があったりなかったり、一方が実験者に仕込まれたサクラだったりなど、様々な「バリエーション」が存在する。
「人間集団における資源の分配」という、最もファンダメンタルな問題を、ミニマルに切り取って実験することができるのだ。
たとえば、あなたが「お金を分配される側」だったとする。
もし相手の提案が気に入らなければ、拒否することもできる。
しかし、拒否した場合は両者ともにお金を受け取れない。
ここで自分の利益を最大化しようと思ったら、最適な選択は
「相手がいくら提示しようと、とにかくイエスと言う」である。
1000円だろうが500円だろうが1円だろうが、とにかく貰えるお金は貰う。
(0円の場合は何の意味もないが、イエスと回答しても損はしない)
これが、普通に考えた場合の「合理的行動」である。
しかし、多くの人間は、明らかに自分に不利な提案をされると、きっぱり拒否してしまうのだそうだ。
(この「明かに不利」の割合自体は、地域や文化によってけっこう幅がある)
面白いのは、「こちらが拒否しても、相手は提案した分をきっちり貰える」という条件にしたとしても、その傾向は変わらないという点である。
この傾向は、一見すると「感情的」というか「非合理的」と思える。
が、どうやらそうとも言い切れないらしい。
人間には、「集団内で不正を働く人間を厳しく追及する」という性質があるのだという。
いや、これは人間だけというより、集団で暮らす他の動物にも当てはまるらしい。
こうした傾向があることによって、その種はいわゆる「フリーライダー」、ズルい個体を排除ないし抑制出来るのだという。
そしておそらく、そのような集団の方が、結果的には個々の取り分が多くなると思われる。
つまり、「不利な配分の提案を蹴る」という行為は、その場では損かもしれないが、巡り巡って集団に得をもたらしている可能性がある。
だから、一見非合理に見える行動も、別の側面では合理的といえるのだ。
この事は、人間が「他人の目があると推測される状況ほど、公正にふるまう」傾向があることによっても確かめられるという。
自分のズルがばれない状況だったり、その選択が不可抗力によるものだと言い訳できる状況だったりするほど、人間はより利己的に振る舞うものらしい。
人間は、「他者からどう見られるか」を、ことのほか大事にする生き物なのだ。
ただその一方で、人間には「純粋に他者に共感し、自分の損得抜きに助けようとする」という、非常に高潔な傾向もあったりと、色々あるらしい。
どうやら人間の行動には「この場面ではこう反応する」という一種の分業制がしかれているらしく、それは脳の機能分化=モジュール化によるのだという。
だから人間は相手が仲間だと思うと「純粋に他者に共感し、助ける」一方で、相手が異質で得体の知れない敵だと思うと「相手の苦痛をうれしく思う」など、恐ろしい二面性を見せたりもする。
知れば知るほど人間という存在の賢さ、そしてその裏返しである愚かさが垣間見えて、興味が尽きない。