2013年から始まったアベノミクスと黒田日銀による金融緩和(黒田砲)、
そして2014年10月末に発動された大規模な追加緩和(第2次黒田砲)。
今起きている円安の時代は、著者が本著を書き上げていた
白川日銀の時代、そして貿易黒字の時代とは全く異なる。
この本では、
・日本は貿易黒字である
・アメリカは貿易赤字である
という点が何度も繰り返し指摘されている。
しかし、民主デフレ&白川日銀時代に、産業構造を大きく変えざるをえなかった貿易関連企業は、
その生産拠点の多くを国内から国外に移した。
これにより2011年、貿易黒字は一転して1980年以来通年で31年ぶりの赤字になった。
そして、その構造変化後の、アベノミクスによる円ジャブ(金融緩和)である。
円ジャブによって、原材料の高騰や生活雑貨の値上げという庶民への影響がある点はさておき、
2013年以降は以下の点に十分注意しなくてはならない。
すなわち、
・産業機構が変化し、現在日本は貿易黒字に成りえない
・2014年現在、日本はアベノミクス真っただ中であり通貨安戦争を仕掛けている
この2点が大きい。
これにより、現在円は2011年の75円から
2014年11月4日には114円までつける、極端な円安に振れている。
この本に記載があることは、その当時にはなるほどと思わせる何かを持っていた。
私もこの本には色々勉強させてもらったひとりである。
しかし、時代は変わった。
今後、アベノミクスのもと、2006年/2007年水準の円安を再び経験することになる可能性が高い。
いつまでも同じロジックは通じない。
時代は移りゆくものだと、為替を見るだけでもここ数年でそれを痛感した。
為替は、庶民の暮らしに(実は)直結している。
企業の業績にも、もちろん日経平均にも関与しており、
これは結果的には消費税の増税の根拠にも利用されるであろう。
FXをやれとか、資産を守れとか、そういう資産運用の視点を抜きにしてみても、
為替の値動きの大枠はつかんでおいて損はない。
この本は、発行当時を振り返るには貴重な1冊の本と思う。
しかし上にも書いた通り、為替動向も時代とともに変遷する。
この本を読んだだけで満足するのではなく、これをきっかけに
為替の値動きには今後とも気を付けてもらいたいと思う。

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弱い日本の強い円 日経プレミアシリーズ (日経プレミアシリーズ 138) 新書 – 2011/10/12
佐々木 融
(著)
大震災直後に最高値更新――その理由がわかりますか? 「財政赤字拡大で円安に」「人口減で円は売り」「為替相場は国力を反映する」――市場に溢れる誤った解説を一刀両断。為替相場を見る基本をやさしく解説。
- ISBN-104532261384
- ISBN-13978-4532261382
- 出版社日本経済新聞出版
- 発売日2011/10/12
- 言語日本語
- 寸法11.2 x 1.4 x 17.4 cm
- 本の長さ253ページ
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登録情報
- 出版社 : 日本経済新聞出版 (2011/10/12)
- 発売日 : 2011/10/12
- 言語 : 日本語
- 新書 : 253ページ
- ISBN-10 : 4532261384
- ISBN-13 : 978-4532261382
- 寸法 : 11.2 x 1.4 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 188,854位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 38位日経プレミア
- - 9,592位投資・金融・会社経営 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年11月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年8月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書の要点を纏めてみると
'@米ドル/円相場の動きを見るだけではダメでクロス円(対米ドル相場意外の為替レート)が理解できて初めて為替レートが理解できる。
'A実質実効レートが長期的に大切
'B長期的には購買力平価がなりたっている。
この部分で印象的な本文を抜粋してみると”10年、20年先の円相場の予想に対する答えはどんなときでも同じである。「日本の物価上昇率がこれまで同様、他の国の物価上昇率を下回り続けるなら円高方向、逆に日本の物価上昇率が他国の物価上昇率を上回るようになるなら円安方向」”
'C国力の低下、人口減少は円高要因にならない。
これについては、物価水準が何で決まるかを考えてみると、需要と供給であり、明らかに人口減少は
需要規模の減少に直結し、あながち荒唐無稽な論ではないと私見では思うが?
'D中・長期の変動要因として国境を跨いだ資金の流れが為替レートを決める。
(a)貿易収支
(b)証券投資
(c)直接投資
(d)以上がヘッジ付きであるかどうか→片道切符の動きが重要
'Eインフレはデフレより怖い
筆者の言うとおり悪性インフレは現状のようなデフレスパイラルに陥っていないデフレより怖いが、
筆者はあたかも現状のデフレを容認しているような気がする。筆者の給与は上昇していると書いて
いるが、全国平均の月間平均給与をみると
1990年:32.9万円
2011年:31.5万円
と、ここ20年間で上昇どころか減少している。果たして現状容認が是か非か?
'F米ドル/円相場下落は日本企業の収益にプラスに働く。
なぜなら、2010年の米ドル建て輸出:32.9兆円
輸入:43.6兆円
→これは新鮮な驚きであった。
'G為替介入の効果なし→筆者の意見び賛同
'H米ドルよりアジア通貨(殊に韓国ウオン)のレートがより重要
大体以上であるが、為替トレーダーの書いた本だけに、実務の裏づけがあり、内容は概ね理解できた。
ただ終末部分に「今後10年〜20年後くらいの長期的な視野で為替相場を考えると、日本は結果的にインフレ率が上昇し、これまでとは異なり異常な円安が進むリスクがある」と述べている部分に怖さを感じたが!!
'@米ドル/円相場の動きを見るだけではダメでクロス円(対米ドル相場意外の為替レート)が理解できて初めて為替レートが理解できる。
'A実質実効レートが長期的に大切
'B長期的には購買力平価がなりたっている。
この部分で印象的な本文を抜粋してみると”10年、20年先の円相場の予想に対する答えはどんなときでも同じである。「日本の物価上昇率がこれまで同様、他の国の物価上昇率を下回り続けるなら円高方向、逆に日本の物価上昇率が他国の物価上昇率を上回るようになるなら円安方向」”
'C国力の低下、人口減少は円高要因にならない。
これについては、物価水準が何で決まるかを考えてみると、需要と供給であり、明らかに人口減少は
需要規模の減少に直結し、あながち荒唐無稽な論ではないと私見では思うが?
'D中・長期の変動要因として国境を跨いだ資金の流れが為替レートを決める。
(a)貿易収支
(b)証券投資
(c)直接投資
(d)以上がヘッジ付きであるかどうか→片道切符の動きが重要
'Eインフレはデフレより怖い
筆者の言うとおり悪性インフレは現状のようなデフレスパイラルに陥っていないデフレより怖いが、
筆者はあたかも現状のデフレを容認しているような気がする。筆者の給与は上昇していると書いて
いるが、全国平均の月間平均給与をみると
1990年:32.9万円
2011年:31.5万円
と、ここ20年間で上昇どころか減少している。果たして現状容認が是か非か?
'F米ドル/円相場下落は日本企業の収益にプラスに働く。
なぜなら、2010年の米ドル建て輸出:32.9兆円
輸入:43.6兆円
→これは新鮮な驚きであった。
'G為替介入の効果なし→筆者の意見び賛同
'H米ドルよりアジア通貨(殊に韓国ウオン)のレートがより重要
大体以上であるが、為替トレーダーの書いた本だけに、実務の裏づけがあり、内容は概ね理解できた。
ただ終末部分に「今後10年〜20年後くらいの長期的な視野で為替相場を考えると、日本は結果的にインフレ率が上昇し、これまでとは異なり異常な円安が進むリスクがある」と述べている部分に怖さを感じたが!!
2017年11月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
金融のことがとてもわかりやすく書いてあります。
初心者はもちろん、中級・ベテランさんでも
勘違いしていることを教えてくれてます。
良書とは、こういう本のことなんだな~って感じました♪
初心者はもちろん、中級・ベテランさんでも
勘違いしていることを教えてくれてます。
良書とは、こういう本のことなんだな~って感じました♪
2019年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
FX経験2年(成績まあまあ)ですが、改めて勉強になる良書でした。
著者の経験は信頼性が高く、とても参考になりました。
時間も経ちましたので、著者には、また新しい本を出してほしいです。
著者の経験は信頼性が高く、とても参考になりました。
時間も経ちましたので、著者には、また新しい本を出してほしいです。
2011年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
帯には、「誰も円高を止められない?」
最初の基本は、「ドル円」の為替相場について
必要なのは、「ドル円」だけを見るのではなく、「クロス円」を見てみ
ること。
円が高いのではなく
今までは、比較的高くなかった円と比べ、それ以上に安くなったドル。
相対的に「ドル円」は、円高になるということです。
さらに、円が買われるにはちゃんと理由があるということが述べられてい
ます。
よくあるような円が売られる理由を考える必要はないということです。
「日本は人口が減るので円は安くなる」と考えることが妥当か?考えるべき
でしょう。
そもそもは、日本がデフレというか、物価が安定していまして、
反面、アメリカの物価は上がっているので、
自然と相対的に円が高くなるということです。
繰り返しなりますが…
「円も決して強いとはいえないときもあるが、それ以上にドルは弱い。」
気になるのは…
筆者は、日本銀行出身ということあり、決して、デフレはインフレよりも
悪くない、むしろ、物価が安定している日本は、良いという主張がありま
す。
デフレなのに、年功序列で基本給が上がっているのでむしろ生活は良くな
っていると考え方です。
そこを読むと決して、そんな悠長なことを言っている場合ではないかと思
ってしまいます。
公務員でさえ、給与は年々少なくなっているのに…
今の政策が良いのか??疑問です。
確かにハイパー・インフレは困りものですが…
そして、この本は醍醐味は、これだけ市場が巨大化して、複雑化している
中で、為替介入は、意味があるかとことに触れていることです。
為替介入に意味はあるのか?結論としては、NOであり、世間が騒いでいる
ほど、投機筋が動いていると考えるのは間違いだという内容です。
単なる需要と供給で決まっているだけと考えるのが正しいかもしれませ
ん。
投機筋は、その初めのきっかけにすぎないと…
最後は、「ドル円」を見てどうこう考えるのは、間違いであるという主張
です。
具体的には「円ウォン」などの日本と本当の意味で競合する国の通貨で考
えるべきということです。
ドル一辺倒が終わりに近づいた今日この頃を改めて思わされる本でした。
新書としては、論理的でとても中身の濃い本でした。
最初の基本は、「ドル円」の為替相場について
必要なのは、「ドル円」だけを見るのではなく、「クロス円」を見てみ
ること。
円が高いのではなく
今までは、比較的高くなかった円と比べ、それ以上に安くなったドル。
相対的に「ドル円」は、円高になるということです。
さらに、円が買われるにはちゃんと理由があるということが述べられてい
ます。
よくあるような円が売られる理由を考える必要はないということです。
「日本は人口が減るので円は安くなる」と考えることが妥当か?考えるべき
でしょう。
そもそもは、日本がデフレというか、物価が安定していまして、
反面、アメリカの物価は上がっているので、
自然と相対的に円が高くなるということです。
繰り返しなりますが…
「円も決して強いとはいえないときもあるが、それ以上にドルは弱い。」
気になるのは…
筆者は、日本銀行出身ということあり、決して、デフレはインフレよりも
悪くない、むしろ、物価が安定している日本は、良いという主張がありま
す。
デフレなのに、年功序列で基本給が上がっているのでむしろ生活は良くな
っていると考え方です。
そこを読むと決して、そんな悠長なことを言っている場合ではないかと思
ってしまいます。
公務員でさえ、給与は年々少なくなっているのに…
今の政策が良いのか??疑問です。
確かにハイパー・インフレは困りものですが…
そして、この本は醍醐味は、これだけ市場が巨大化して、複雑化している
中で、為替介入は、意味があるかとことに触れていることです。
為替介入に意味はあるのか?結論としては、NOであり、世間が騒いでいる
ほど、投機筋が動いていると考えるのは間違いだという内容です。
単なる需要と供給で決まっているだけと考えるのが正しいかもしれませ
ん。
投機筋は、その初めのきっかけにすぎないと…
最後は、「ドル円」を見てどうこう考えるのは、間違いであるという主張
です。
具体的には「円ウォン」などの日本と本当の意味で競合する国の通貨で考
えるべきということです。
ドル一辺倒が終わりに近づいた今日この頃を改めて思わされる本でした。
新書としては、論理的でとても中身の濃い本でした。