05年に人口自然減へと突入して久しい日本社会。都心の懲罰的な出勤ラッシュを思えば、ちょっとやそっとぐらい人口が目減りしてもいいんじゃないの・・・と思いきや、問題は人口減少そのものではなく、それに伴う人口構造の変化、より具体的には「労働力人口の割合低下(=生産世代が養うべき従属世代の相対的増加)」がポイントだったのか、と納得。
本書は賦課方式による社会保障制度の崩壊、高齢者の相対的増加による政治的意思決定の歪み、所得上昇による逆説的な出生率低下など、もうすぐ到来する現実を描写しつつ、それらへの適応・対応策を模索した労作である。「人口予測は長期的経済展望時に最も信頼できる変数となり得る」という著者の考えには同意しつつも、見える将来に対処すべき政治的決断が混迷を極めているのは、人間の営みに直結する生臭いテーマだから仕方がないのですかね。嗚呼、難しいかな。

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人口負荷社会 新書 – 2010/6/1
小峰 隆夫
(著)
日本は世界でも類を見ない少子高齢化先進国。日本の未来は、労働人口の減少がもたらす人口オーナスのデメリットをいかに緩和するかにかかっている。人口問題を熟知したエコノミストが、人口減少経済の本質に迫る。
- ISBN-104532260868
- ISBN-13978-4532260866
- 版New
- 出版社日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
- 発売日2010/6/1
- 言語日本語
- 寸法11.1 x 1.1 x 17.4 cm
- 本の長さ206ページ
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登録情報
- 出版社 : 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2010/6/1)
- 発売日 : 2010/6/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 206ページ
- ISBN-10 : 4532260868
- ISBN-13 : 978-4532260866
- 寸法 : 11.1 x 1.1 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 847,027位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 57,138位新書
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年7月31日に日本でレビュー済み
最近、「人口ボーナス」の対義語として「人口オーナス」という言葉を耳にするようになりました。
「人口オーナス」とは、生産年齢人口(15〜64歳)に対し従属人口(15歳未満及び65歳以上)が増えていく状態を指します。従属人口は、原則働かない人々であるため、生産年齢人口が働いて得た所得を再分配により従属人口の生活を負担することになります。その結果、人口オーナスは、経済成長を鈍化させたり、現役世代の社会保障負担を重くするといった負の効果を生み出します。
本書にもデータが示されているとおり、日本では従属人口の生産年齢人口に対する割合が90年代前半から上昇を初めています。つまり、人口オーナスに突入してから既に20年弱を経過していることになります。人口オーナスは、将来の危機ではなく、既に始まっている危機なのです。
著者は、人口オーナスが進んでいく中で豊かな経済を構築していくためには、これまでの「人口ボーナス」を前提とした経済制度や社会保障制度を脱却することが必要と主張します。いずれの主張も、論理的かつデータに裏付けられており、頭の中にすっと入ります。少子高齢化が経済に与える影響を立体的に理解されたい方にはお勧めです。
「人口オーナス」とは、生産年齢人口(15〜64歳)に対し従属人口(15歳未満及び65歳以上)が増えていく状態を指します。従属人口は、原則働かない人々であるため、生産年齢人口が働いて得た所得を再分配により従属人口の生活を負担することになります。その結果、人口オーナスは、経済成長を鈍化させたり、現役世代の社会保障負担を重くするといった負の効果を生み出します。
本書にもデータが示されているとおり、日本では従属人口の生産年齢人口に対する割合が90年代前半から上昇を初めています。つまり、人口オーナスに突入してから既に20年弱を経過していることになります。人口オーナスは、将来の危機ではなく、既に始まっている危機なのです。
著者は、人口オーナスが進んでいく中で豊かな経済を構築していくためには、これまでの「人口ボーナス」を前提とした経済制度や社会保障制度を脱却することが必要と主張します。いずれの主張も、論理的かつデータに裏付けられており、頭の中にすっと入ります。少子高齢化が経済に与える影響を立体的に理解されたい方にはお勧めです。
2013年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人口オーナスという概念を用いていてとても面白いとはおもったが著者の主張に説得力が感じられなかった。
2011年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「デフレの正体」が面白かったので、もう一冊、人口減少問題について読みたいと思い購入。というのも、「デフレの正体」は、偏っているなどの批判も多かったからだ。わかりやすく書かれた本だったが、結果的には「デフレの正体」を覆すような新しい発見はなかったような気がする。人口オーナス傾向は変わらないと思うので、経済学者には「人口が減っても大丈夫な仕組み」を考えて欲しい。
2010年11月27日に日本でレビュー済み
日本は1990年から人口オーナス(人口に対する働く人の割合の低下)に入っている。少子化が急激に進んでおり、計算上、500年後の日本の人口は13万人程度になるそうだ。高齢化が進むと、有権者における高齢者の割合が増え、政治家は高齢者に負担を強いる政策はとれなくなる。著者は、人口オーナスから発生する諸問題への対応策として、労働者一人当たりの付加価値生産性の向上、女性の就業の促進、少子化対策等を挙げる。すべての人に保険料の支払いを義務付ける「育児保険」の創設の提案は興味深い(194頁)。一読の価値あり。
2010年8月12日に日本でレビュー済み
いまの日本は労働人口が減少し、従属人口である高齢者が増加している。
それが経済にマイナスに作用する社会。つまり、人口負荷社会が到来する日本の抱える問題を鋭く解説している良書である。購入して損はない。
ただ、この問題を解決する方法は、人口減少を前提とする経済に改革することだと主張するが、その具体的な政策を記述していないのが残念だ。
この解決策は、 2020年、日本が破綻する日 (日経プレミアシリーズ) (日経プレミアシリーズ 92) が具体的に説明しているので、あわせて読むと理解が深まる。
それが経済にマイナスに作用する社会。つまり、人口負荷社会が到来する日本の抱える問題を鋭く解説している良書である。購入して損はない。
ただ、この問題を解決する方法は、人口減少を前提とする経済に改革することだと主張するが、その具体的な政策を記述していないのが残念だ。
この解決策は、 2020年、日本が破綻する日 (日経プレミアシリーズ) (日経プレミアシリーズ 92) が具体的に説明しているので、あわせて読むと理解が深まる。
2019年2月7日に日本でレビュー済み
図書館本 再掲
読みだして、ふと思ったのである。
「デフレの正体」と同じじゃん(笑)
筆者の小峰氏(1947-)は東大から経済企画庁、国交省、退官後は大学教授。
人口オーナス(負荷)という文脈でデータと自論?が進んでいく。
結局のところの問題は、やはり生産年齢人口層(15歳から64歳)の減少と高齢者の蓄積による経済の落ち込みと人口減少を書いているわけです。
藻谷さんと違うところは、やはり官僚として霞が関を見てきた経験でしょうか?自分の責任は問わない(笑)
結局高齢化社会は現在の子供達に借金を負わせていくわけです。先送りという技をふんだんに使って(選挙にしても高齢者票が政治を左右するわけです)。
若干「デフレの正体」と違う主張は、
本当に問題なのは、労働人口の絶対数が減ることではなく、人口に占める労働人口の比率が低下することである。p68 だろうか。(私の勘違い?)
確か、藻谷さんは絶対数を指標にしていたと思うが。
日本の家計貯蓄率が2009年には2.8%となり米国より低いと書いているが、データにより異なるように見える。さらに日本の個人金融資産1400兆円に関しては触れていない。
結局、この人口オーナス下でやらねばならないのは、高齢者のコスト負担(年金の賦課方式の変更他)と労働持続、女性の社会進出、海外からの観光客等誘致(今回の震災で無理だろうな)等々である。
最後の14章で筆者なりの主張をしているが、果たして実現可能なのだろうか?グローバル化の中で日本が出来ることとは何だろう。
読みだして、ふと思ったのである。
「デフレの正体」と同じじゃん(笑)
筆者の小峰氏(1947-)は東大から経済企画庁、国交省、退官後は大学教授。
人口オーナス(負荷)という文脈でデータと自論?が進んでいく。
結局のところの問題は、やはり生産年齢人口層(15歳から64歳)の減少と高齢者の蓄積による経済の落ち込みと人口減少を書いているわけです。
藻谷さんと違うところは、やはり官僚として霞が関を見てきた経験でしょうか?自分の責任は問わない(笑)
結局高齢化社会は現在の子供達に借金を負わせていくわけです。先送りという技をふんだんに使って(選挙にしても高齢者票が政治を左右するわけです)。
若干「デフレの正体」と違う主張は、
本当に問題なのは、労働人口の絶対数が減ることではなく、人口に占める労働人口の比率が低下することである。p68 だろうか。(私の勘違い?)
確か、藻谷さんは絶対数を指標にしていたと思うが。
日本の家計貯蓄率が2009年には2.8%となり米国より低いと書いているが、データにより異なるように見える。さらに日本の個人金融資産1400兆円に関しては触れていない。
結局、この人口オーナス下でやらねばならないのは、高齢者のコスト負担(年金の賦課方式の変更他)と労働持続、女性の社会進出、海外からの観光客等誘致(今回の震災で無理だろうな)等々である。
最後の14章で筆者なりの主張をしているが、果たして実現可能なのだろうか?グローバル化の中で日本が出来ることとは何だろう。
2017年1月19日に日本でレビュー済み
読了:2017年6冊(1月6冊)★4.0
2010/6/9 小峰 隆夫 (著)
結論から言うと、とても良書でした。濫読していてこういう本に巡り合う時が一番楽しい。本書を読むまで人口オーナス(人口に占める働く人の割合が減ること、「人口ボーナス」の逆の概念)を解消する手段としては、「産めよ増やせよ」の少子化対策しかないと思っていた。しかし、対策はそれだけではなく、所得水準、経済成長や、と特に働き方、男女共同参画、家族観、男女の役割が重要である。戦後の急成長に対しての人口オーナスは当然の結果ではある。しかし、これをただ見守っているだけでは人々の幸福や経済は破綻の道へ進むこととなる。
特に、ヨーロッパを見倣って女性労働力の確保、年功序列やOJTなどの働き方の緩和、育児手当制度(著者の提案する育児保険は良い案だと思う)などが重要という点は目から鱗というか、言われてみればその通り。
「未来のコスト」を払うのはいつなのか?今でしょ?と言いたくなるが、その合意を国民の間で取るのは容易なものではない。それが政治の仕事であるが、その政治の世界でも「未来のコスト」を払う意思のある有志は少数派だろう。これから人口ボーナスに曲線が変わるのはいつなのか。
人口オーナスに向かうアジアとして、その最先端として航路を開きたい。
───われわれ自身の価値観もまた、時代の変化とズレが生じているのかもしれない。少子化対策というと、多くの人は出生率の上昇に直接働きかけようとする。しかし、「時代にふさわしい雇用システム、社会システム、家族形態、子育てを実現していけば、少子化も止まる」という視点も持つこともまた重要なのである。(p.60)
───実は、後述するように、日本型の雇用慣行は、女性の参画にとっても大きな障害となっている。人口オーナスに対応していくためには、小手先の就業率向上ではなく、日本的な働き方そのものの見直しが必要なのである。(p.109)
2010/6/9 小峰 隆夫 (著)
結論から言うと、とても良書でした。濫読していてこういう本に巡り合う時が一番楽しい。本書を読むまで人口オーナス(人口に占める働く人の割合が減ること、「人口ボーナス」の逆の概念)を解消する手段としては、「産めよ増やせよ」の少子化対策しかないと思っていた。しかし、対策はそれだけではなく、所得水準、経済成長や、と特に働き方、男女共同参画、家族観、男女の役割が重要である。戦後の急成長に対しての人口オーナスは当然の結果ではある。しかし、これをただ見守っているだけでは人々の幸福や経済は破綻の道へ進むこととなる。
特に、ヨーロッパを見倣って女性労働力の確保、年功序列やOJTなどの働き方の緩和、育児手当制度(著者の提案する育児保険は良い案だと思う)などが重要という点は目から鱗というか、言われてみればその通り。
「未来のコスト」を払うのはいつなのか?今でしょ?と言いたくなるが、その合意を国民の間で取るのは容易なものではない。それが政治の仕事であるが、その政治の世界でも「未来のコスト」を払う意思のある有志は少数派だろう。これから人口ボーナスに曲線が変わるのはいつなのか。
人口オーナスに向かうアジアとして、その最先端として航路を開きたい。
───われわれ自身の価値観もまた、時代の変化とズレが生じているのかもしれない。少子化対策というと、多くの人は出生率の上昇に直接働きかけようとする。しかし、「時代にふさわしい雇用システム、社会システム、家族形態、子育てを実現していけば、少子化も止まる」という視点も持つこともまた重要なのである。(p.60)
───実は、後述するように、日本型の雇用慣行は、女性の参画にとっても大きな障害となっている。人口オーナスに対応していくためには、小手先の就業率向上ではなく、日本的な働き方そのものの見直しが必要なのである。(p.109)