医療分野にはエビデンス・ベースド・メディシンという言葉がありますが、経営にもエビデンス・ベースド・マネジメントという言葉、考え方があってもいいかもしれない、と思わされました。
あまりにも当たり前なのかもしれませんが、経営や、ビジネスになると、<根拠=証拠>に乏しい「半分だけ正しい」お話がまかり通ってしまう現実を指摘する本書の主張自体は、基本的に賛同できるものだと思います。
ただし、一般向けのビジネス書である限界からか、本書の主張がどこまで<根拠=証拠>に基づいているのかについては、なかなかわかりづらいなあと感じたことも事実です。もちろんそこまでこだわるならば、自分で原論文等にあたればいいのでしょうけどね。
また、この著者が言いたいことがどの辺にあるのかを正確に理解するためには、他の著作も読まないと確信できないところがあることも感じました。そういった意味で同著者の「人材を活かす企業」も併せて読むことをおススメします。
個人的には、マーケティングやプランニング、新製品開発などの分野についても、もっと<根拠=証拠>にもとづいたアプローチが実務世界にも浸透してほしいと日々感じて、苦闘しているところでもあるので、少し勇気づけられた気がします。
ビジネス書としてはジム・コリンズ著「ビジョナリ・カンパニー」シリーズが、<根拠=証拠>にこだわった代表かなあと思いますが、後に続く本があまりないと感じていたので、そのあたりもやもやしている方にも少し物足りなさは感じるかもしれませんが、お勧めできると思います。

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事実に基づいた経営―なぜ「当たり前」ができないのか? 単行本 – 2009/1/1
ワークライフバランス、成果主義、戦略主義、組織変革、リーダーシップ…もうビジネス書やコンサルタントによる「成功の秘訣」や「通説」に惑わされるな!100年に1度の危機に立ち戻るべき経営の基本。
- ISBN-104492532501
- ISBN-13978-4492532508
- 出版社東洋経済新報社
- 発売日2009/1/1
- 言語日本語
- 本の長さ365ページ
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登録情報
- 出版社 : 東洋経済新報社 (2009/1/1)
- 発売日 : 2009/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 365ページ
- ISBN-10 : 4492532501
- ISBN-13 : 978-4492532508
- Amazon 売れ筋ランキング: - 309,228位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 1,445位マネジメント・人材管理
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年8月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年11月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
事実に基づく経営を行うためには、どうしたら良いのだろう?
それが大切なことには社内で誰も反対しない。では、「その現実とは何か?」それがいつも問題になる。
幹部のみている現実「自分が若い頃は、もっと積極的に顧客開拓に汗を流したもんだ。それが今の若い連中は!」
社員のみている現実「幹部は、仕事を取って来いというだけで、何もしていない。俺たちの稼いだ金から上がりをとっているただのや○ざ」
こんなことが、社内で起きていないでしょうか?この本はこういった社内を纏める方法はのっていません。それでマイナス1。
日本の企業内では社内で議論をする共通言語としての専門的知見が共有できていない。これが専門的知見を有する博士号取得者を使いづらいと判断している本当のところです。本来は議論をするための共通言語としての専門的知見を身につけている専門家としての博士号取得者は、社内での幹部候補生になるところです。そして、この本の内容を使いこなせる会社は客観的な現実をあぶり出す専門的知見を使いこなせる会社でしょう。
博士号取得者を非採用候補としている企業では、この本を使いこなせない可能性が高いと思います。専門的知見を身につけ、自分のキャリアパスを築いていきたいと考えている学生さんは、熟読した上で面接や業務説明会の場で質問に使われると良いのではないでしょうか。
企業の側で、この本の内容を使いこなしたいと考えている場合には、「トップの思いつきが達成できる根拠を部下に造らせるような仕事の仕方をしていないか。」、「専門的な知見を活かせる意思決定過程をいかに作るのか。」に取り組むことが最初になるのではないでしょうか。
それが大切なことには社内で誰も反対しない。では、「その現実とは何か?」それがいつも問題になる。
幹部のみている現実「自分が若い頃は、もっと積極的に顧客開拓に汗を流したもんだ。それが今の若い連中は!」
社員のみている現実「幹部は、仕事を取って来いというだけで、何もしていない。俺たちの稼いだ金から上がりをとっているただのや○ざ」
こんなことが、社内で起きていないでしょうか?この本はこういった社内を纏める方法はのっていません。それでマイナス1。
日本の企業内では社内で議論をする共通言語としての専門的知見が共有できていない。これが専門的知見を有する博士号取得者を使いづらいと判断している本当のところです。本来は議論をするための共通言語としての専門的知見を身につけている専門家としての博士号取得者は、社内での幹部候補生になるところです。そして、この本の内容を使いこなせる会社は客観的な現実をあぶり出す専門的知見を使いこなせる会社でしょう。
博士号取得者を非採用候補としている企業では、この本を使いこなせない可能性が高いと思います。専門的知見を身につけ、自分のキャリアパスを築いていきたいと考えている学生さんは、熟読した上で面接や業務説明会の場で質問に使われると良いのではないでしょうか。
企業の側で、この本の内容を使いこなしたいと考えている場合には、「トップの思いつきが達成できる根拠を部下に造らせるような仕事の仕方をしていないか。」、「専門的な知見を活かせる意思決定過程をいかに作るのか。」に取り組むことが最初になるのではないでしょうか。
2014年2月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
事実に則しいろいろな例がたくさん書かれていてわかりやすく、大変参考になった。
2019年9月8日に日本でレビュー済み
さまざまな経営手法についてその選択や順序について気づかせてくれる本です。ビジネスケース作成の前に押さえるべき大きな視点に気づかされました。
2011年4月27日に日本でレビュー済み
巷の経営書はとにかく数例の成功例等を挙げて「こういうもんなんだ」と言い切る胡散臭いものが多い。
本書は、そうした姿勢を批判し、事実(Hard Facts)に基づいて経営について考えることを主張する。
本書は三部構成で、まず大枠としての考え方を提起し、次に経営書でよく言われている6つほどの主張を取り上げて検証する。
そして最後に再び一般的な形でまとめるというものだ。
先入観に惑わされない、大袈裟な周りの取り上げ方に気をつける、などの点が指摘され、一般的な問題についての疑うべきポイントもリストされている。例えば
・どういう前提を置いているか
・その手法がうまく行くには、社員や組織はどうでなくてはならないか
・上記前提は理にかなっているか
・前提が間違っていてもその手法は巧くいくか
・前提のテストを低コストで出来ないか
・前提に合致するより良い手法はないのか(p31)
などが挙げられている。
その上で
・古いアイデアは古いものとして使う
・革新的なアイデアには注意する(そんなものはめったに出ない)
・カリスマ礼賛ではなく、優秀なメンバーで知恵を出し合う
・良い点も問題点も見る
・成功や失敗のストーリーは証拠としては用いない
・人気で決めない(p57)
といった点を注意するように指摘されている。
長さは真ん中の具体的な「通説」の検証が長いが、これはあくまでも具体例と見るべきであろう。
実証的な話は筆者たちの論文に「送り」になっていて検証できないものも多い。
要は「こういう風に考えてみるんだよ」のを知れば十分なのだろう。
過信せずに読めば応用の幅は広いように思う。
本書は、そうした姿勢を批判し、事実(Hard Facts)に基づいて経営について考えることを主張する。
本書は三部構成で、まず大枠としての考え方を提起し、次に経営書でよく言われている6つほどの主張を取り上げて検証する。
そして最後に再び一般的な形でまとめるというものだ。
先入観に惑わされない、大袈裟な周りの取り上げ方に気をつける、などの点が指摘され、一般的な問題についての疑うべきポイントもリストされている。例えば
・どういう前提を置いているか
・その手法がうまく行くには、社員や組織はどうでなくてはならないか
・上記前提は理にかなっているか
・前提が間違っていてもその手法は巧くいくか
・前提のテストを低コストで出来ないか
・前提に合致するより良い手法はないのか(p31)
などが挙げられている。
その上で
・古いアイデアは古いものとして使う
・革新的なアイデアには注意する(そんなものはめったに出ない)
・カリスマ礼賛ではなく、優秀なメンバーで知恵を出し合う
・良い点も問題点も見る
・成功や失敗のストーリーは証拠としては用いない
・人気で決めない(p57)
といった点を注意するように指摘されている。
長さは真ん中の具体的な「通説」の検証が長いが、これはあくまでも具体例と見るべきであろう。
実証的な話は筆者たちの論文に「送り」になっていて検証できないものも多い。
要は「こういう風に考えてみるんだよ」のを知れば十分なのだろう。
過信せずに読めば応用の幅は広いように思う。
2010年7月8日に日本でレビュー済み
経営は当たり前のことをきちんと実行することだ。しかし、当たり前が難しい。当たり前とは例えば、不完全でもデータに基づくこと、事実を見ること、顧客の意見を聞くこと、従業員の意見を聞くこと。これらを実行しようとする時に立ちはだかるのが、常識の壁である。
著者は、6つの常識を挙げ、これらは「半分だけ正しい」という。常識と思われていることが「半分だけ正しい」とは、物事にはプラスの面とマイナスの面があるという単純な事実である。しかし、実際に組織で行われていることは、プラスの面だけを見て「全部正しい」と思い込んだ常識を実行してしまうことである。
著者が挙げている6つの「半分だけ正しい」常識とは次の6つである。
・仕事とプライベートは分けるべきだ。
・業績が良い会社には優秀な人材がいる。
・金銭的インセンティブは会社の業績を上げる。
・戦略がすべて。
・変革するしなければ死ぬ。
・偉大なリーダーは組織を完全に掌握する。
これらについて、様々な観点から調査し、プラスの面とマイナスの面を非常に明確に示している。金銭的インセンティブは成果主義のことで、このマイナス面を知らない者は日本にいないだろう。
個人的に気に入ったのは、業績が良い会社とは優秀な人材によってではなく、優秀な組織やチームワークが支えているという指摘である。そして、組織が人を作るのではなく、人が組織を作るのだ。人の才能は必ず伸びる。失敗も成功も共有して互いに助けあうべき、と人と人との協力を大切にする精神を何度も強調している。
本書は、互いに成長しつつ協力しあう人間への賛歌である。
著者は、6つの常識を挙げ、これらは「半分だけ正しい」という。常識と思われていることが「半分だけ正しい」とは、物事にはプラスの面とマイナスの面があるという単純な事実である。しかし、実際に組織で行われていることは、プラスの面だけを見て「全部正しい」と思い込んだ常識を実行してしまうことである。
著者が挙げている6つの「半分だけ正しい」常識とは次の6つである。
・仕事とプライベートは分けるべきだ。
・業績が良い会社には優秀な人材がいる。
・金銭的インセンティブは会社の業績を上げる。
・戦略がすべて。
・変革するしなければ死ぬ。
・偉大なリーダーは組織を完全に掌握する。
これらについて、様々な観点から調査し、プラスの面とマイナスの面を非常に明確に示している。金銭的インセンティブは成果主義のことで、このマイナス面を知らない者は日本にいないだろう。
個人的に気に入ったのは、業績が良い会社とは優秀な人材によってではなく、優秀な組織やチームワークが支えているという指摘である。そして、組織が人を作るのではなく、人が組織を作るのだ。人の才能は必ず伸びる。失敗も成功も共有して互いに助けあうべき、と人と人との協力を大切にする精神を何度も強調している。
本書は、互いに成長しつつ協力しあう人間への賛歌である。
2010年7月1日に日本でレビュー済み
本書は珍しくもまともな経営書であって、であるからして大して売れていないし、ビジネス書論壇(?)でもほとんど黙殺されている(話題になっていない。つまり意識されていないから、黙殺の主体性はないな。一番たちが悪い)。
事実がわかれば世話はないという意見もあるようだが、実際本書が言っているのは決してそういうことではない。前提としてのイデオロギーが跋扈しているということなのだ。つまり、そこでは事実を見ようとしていない。あるいは、事実を直視することは具合が悪いということなのだ。見えなくなっているのではない。敢えて見ないのだ。具体例をいくつも見ているから、本書を一瞥したときにピンと来たものだ。
“唯物論”という言葉の評判は地に堕ちたのだろうが、結局唯物論でしか事実に際会しないということは、これまた事実。そう単なる事実である。
著者が唯物論という字面からどう思っているか、それは定かでないが。
事実がわかれば世話はないという意見もあるようだが、実際本書が言っているのは決してそういうことではない。前提としてのイデオロギーが跋扈しているということなのだ。つまり、そこでは事実を見ようとしていない。あるいは、事実を直視することは具合が悪いということなのだ。見えなくなっているのではない。敢えて見ないのだ。具体例をいくつも見ているから、本書を一瞥したときにピンと来たものだ。
“唯物論”という言葉の評判は地に堕ちたのだろうが、結局唯物論でしか事実に際会しないということは、これまた事実。そう単なる事実である。
著者が唯物論という字面からどう思っているか、それは定かでないが。