著者は本書の特徴を”「学際的」に混合するのではなく”というが、結果として行動経済学、ゲーム理論、脳科学などをツールとして学際的にイノベーションの本質を理解できた。以下の通り、本書の内容は他のイノベーターや有識者と共通するところが多く、また開業準備のために直近脱サラした自分のフレームを見直すきっかけにもなったという意味で大変参考になった。
・イノベーションとは俗にいう”ものづくり”などの技術革新ではなく経営革新であり、その本質はビジネスモデルにある(「ビジネスモデルにイノベーションを起こす必要がある」[Innosight, Mark Johnson])。
・イノベーティブなビジネスモデルは、帰納的なマーケティングリサーチではなく、まず顧客が何を必要としているか(購入するか)という演繹的なアプローチによって構築される(「自社が得意なことを行うだけで満足してはならない」[Amazon.com, Jeff Bezos])。
・イノベーションの前提条件は新しい市場を発見して顧客に訴求すること、これは民主主義的コンセンサスを重視する大企業などでは充足されない(「日本型企業モデルの内的整合性は新しい事業分野に対しては有効に働かない」[Michael E Porter、竹内弘高氏])。
・勝敗が決まるのは、商品の良し悪しではなく、顧客の共感である(「これからの企業にとっては”顧客との共同制作物を作る”という感覚が重要」[石井淳蔵氏]、)
・これからの時代は、”垂直統合型”の大企業よりもグローバルな”水平分業型”の企業・個人の時代である(既にGoogle appsやDrop Box、Rental Officeなど起業の際のインフラコストは極少)。
・不断に新しい利鞘をみつける競争がイノベーションを生み出す(「競争相手と同じ土俵に上がってはダメだ」[柳井正氏])。
・イノベーションの一次的ボトルネックは、硬直的な雇用環境下にある人材である(「今、この国に必要なのは、過去の優れたイノベーターを超えていく主体的な努力である」[野中郁次郎氏])。
しかしながら、併せてイノベーションに絡む事例が本文に織り込まれたり、別に7ケース掲載されていたものの、大半がIT業界企業であった。
別の業界も含めた著者独自のもっと詳細なイノベーションケース分析があれば拝読したいところである。
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イノベーションとは何か 単行本 – 2011/9/29
池田 信夫
(著)
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購入オプションとあわせ買い
日本経済の未来も、日本企業の活路も、イノベーションにしかない。
しかし、いったいどうすれば、イノベーションは起こせるのか――?
・なぜ日本企業から、グーグルやアップルが生まれないのか?
・イノベーションが起こりやすい環境、起きにくい環境とは何か?
・政府、企業、個人はそれぞれ何ができるのか?
イノベーションを真正面から論じた本格的分析の書。
任天堂、ソフトバンク、ソニーなど、各企業のケースも満載。
<本書で検証するイノベーション、10の仮説>
1)技術革新はイノベーションの必要条件ではない
2)イノベーションは新しいフレーミングである
3)どうすればイノベーションに成功するかはわからないが、失敗には法則性がある
4)プラットフォーム競争で勝つのは安くてよい商品とは限らない
5)「ものづくり」にこだわる限り、イノベーションは生まれない
6)イノベーションにはオーナー企業が有利である
7)知的財産権の強化はイノベーションを阻害する
8)銀行の融資によってイノベーションは生まれない
9)政府がイノベーションを生み出すことはできないが、阻害する効果は大きい
10)過剰なコンセンサスを断ち切ることが重要だ
しかし、いったいどうすれば、イノベーションは起こせるのか――?
・なぜ日本企業から、グーグルやアップルが生まれないのか?
・イノベーションが起こりやすい環境、起きにくい環境とは何か?
・政府、企業、個人はそれぞれ何ができるのか?
イノベーションを真正面から論じた本格的分析の書。
任天堂、ソフトバンク、ソニーなど、各企業のケースも満載。
<本書で検証するイノベーション、10の仮説>
1)技術革新はイノベーションの必要条件ではない
2)イノベーションは新しいフレーミングである
3)どうすればイノベーションに成功するかはわからないが、失敗には法則性がある
4)プラットフォーム競争で勝つのは安くてよい商品とは限らない
5)「ものづくり」にこだわる限り、イノベーションは生まれない
6)イノベーションにはオーナー企業が有利である
7)知的財産権の強化はイノベーションを阻害する
8)銀行の融資によってイノベーションは生まれない
9)政府がイノベーションを生み出すことはできないが、阻害する効果は大きい
10)過剰なコンセンサスを断ち切ることが重要だ
- ISBN-104492502270
- ISBN-13978-4492502273
- 出版社東洋経済新報社
- 発売日2011/9/29
- 言語日本語
- 本の長さ224ページ
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商品の説明
著者について
池田信夫(いけだ・のぶお)
株式会社アゴラブックス代表取締役。上武大学教授、SBI大学院大学客員教授。
1978年、東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。93年に退職後、国際大学GLOCOM教授、
経済産業研究所上席研究員などを歴任。学術博士(慶應義塾大学)。
著書に、『古典で読み解く現代経済』(PHPビジネス新書)、
『日本経済「余命3年」』(共著、PHP研究所)など多数。
個人ブログの他、言論サイト「アゴラ」を主宰。
株式会社アゴラブックス代表取締役。上武大学教授、SBI大学院大学客員教授。
1978年、東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。93年に退職後、国際大学GLOCOM教授、
経済産業研究所上席研究員などを歴任。学術博士(慶應義塾大学)。
著書に、『古典で読み解く現代経済』(PHPビジネス新書)、
『日本経済「余命3年」』(共著、PHP研究所)など多数。
個人ブログの他、言論サイト「アゴラ」を主宰。
登録情報
- 出版社 : 東洋経済新報社 (2011/9/29)
- 発売日 : 2011/9/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 224ページ
- ISBN-10 : 4492502270
- ISBN-13 : 978-4492502273
- Amazon 売れ筋ランキング: - 822,881位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,098位経営戦略
- カスタマーレビュー:
著者について
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経済学者。1953年、京都府生まれ。東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。93年に退職後、国際大学GLOCOM教授、経済産業研究所上席研究員などを経て、現在は株式会社アゴラブックス代表取締役、上武大学経営情報学部教授。学術博士(慶應義塾大学)。著書に『使える経済書100冊』『希望を捨てる勇気──停滞と成長の経済学』、共著に『なぜ世界は不況に陥ったのか』など。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年10月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1つ1つは深くないが、付加価値は学際的につなげて説明されていること。実は重要。
2024年1月31日に日本でレビュー済み
日本経済の未来も、日本企業の活路も、イノベーションにしかない。しかし、いったいどうすれば、イノベーションは起こせるのか?イノベーションを真正面から論じた本格的分析の書というのが本書の謳い文句。
筆者は経済を専門とするため、経済学を切り口にイノベーションを語る。冒頭の「はじめに」には「経済学にはイノベーションについての理論はない」。あるのは「イノベーションが経済成長にもっとも重要だ」という事実を証明するものだ。しかし、明らかに失敗するものは事前にわかるし、成功したものには一定のパターンがある。ここからイノベーションを生み出すための必要条件を導くことができる、としている。
筆者によると、本書は経済学部やビジネススクールの教科書に使えるが、イノベーションのHow to本ではない。経済学のテクニカルな説明は付録としてまとめたとある。
ここまでが本文に入る前に書かれているので、実践的に役に立たつことを目的にしたものなく、経済学から見たイノベーションを表したものなのだろう。読者がイノベーションの主体者ではないという前提だ。したがって、次が本書の肝だとも言える。
「だから必要なのは、既存の組織の中で『発想を転換する』ことではなく、まったく別のフレーミングをする変人が、最後まで自分の思い込みを実行できる環境をつくることである。もちろん、その大部分は失敗するだろう。シリコンバレーのベンチャーでも、成功率は10社に1社もない。しかしその1社が、グーグルやフェイスブックになればいいのだ。」
イノベーションはフレーム変換であり、それが正しいかどうかは既存のフレームでは証明できない。新しいパラダイムが生まれるのが「言語ゲーム」だとし、その解説が付録としてまとめてある。また、フォーク定理、リスク支配戦略、ソロー残差などもまとめてあるが、イノベーションとの関連性はつかみにくい。
やはり、イノベーションを経済学から語ることは難しいとも言えるが、本書にも紹介されている経済学の理論を導き出した経済学者は間違いなく経済学のイノベーターだ。したがって、それを事例として解説すれば、イノベーションを生み出すHow toをまとめることができたのではないだろうか。知識の羅列ではなく、知識の組み合わせからイノベーションが生まれるという本質に迫って欲しかった。
筆者は経済を専門とするため、経済学を切り口にイノベーションを語る。冒頭の「はじめに」には「経済学にはイノベーションについての理論はない」。あるのは「イノベーションが経済成長にもっとも重要だ」という事実を証明するものだ。しかし、明らかに失敗するものは事前にわかるし、成功したものには一定のパターンがある。ここからイノベーションを生み出すための必要条件を導くことができる、としている。
筆者によると、本書は経済学部やビジネススクールの教科書に使えるが、イノベーションのHow to本ではない。経済学のテクニカルな説明は付録としてまとめたとある。
ここまでが本文に入る前に書かれているので、実践的に役に立たつことを目的にしたものなく、経済学から見たイノベーションを表したものなのだろう。読者がイノベーションの主体者ではないという前提だ。したがって、次が本書の肝だとも言える。
「だから必要なのは、既存の組織の中で『発想を転換する』ことではなく、まったく別のフレーミングをする変人が、最後まで自分の思い込みを実行できる環境をつくることである。もちろん、その大部分は失敗するだろう。シリコンバレーのベンチャーでも、成功率は10社に1社もない。しかしその1社が、グーグルやフェイスブックになればいいのだ。」
イノベーションはフレーム変換であり、それが正しいかどうかは既存のフレームでは証明できない。新しいパラダイムが生まれるのが「言語ゲーム」だとし、その解説が付録としてまとめてある。また、フォーク定理、リスク支配戦略、ソロー残差などもまとめてあるが、イノベーションとの関連性はつかみにくい。
やはり、イノベーションを経済学から語ることは難しいとも言えるが、本書にも紹介されている経済学の理論を導き出した経済学者は間違いなく経済学のイノベーターだ。したがって、それを事例として解説すれば、イノベーションを生み出すHow toをまとめることができたのではないだろうか。知識の羅列ではなく、知識の組み合わせからイノベーションが生まれるという本質に迫って欲しかった。
2013年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
極めて分かりやすい。
''イノベーションのジレンマ” はこのあとに読むといい。
''イノベーションのジレンマ” はこのあとに読むといい。
2013年6月19日に日本でレビュー済み
AT&Tのベル研究所やIBMのワトソン研究所のように、大企業がエリートを集めて研究所を作って技術を開発するのは、20世紀のモデルだった。これは研究開発とその実装が同じ企業内で行われる場合には有効だが、情報技術が標準化されてグローバルな市場が形成されている現代では不利になる。
先行するナンバー1企業をOSのシェアを梃子にして追い抜き、最初はオープンだがシェアが大きくなると閉鎖的にするのは、典型的なマイクロソフトの戦法である。
日本企業の強みは、平凡な製品を正確に大量生産することにあるが、ソフトウェアやエンターテイメントでは、それは凡庸な作品を生み出すだけである。
コンピューターもレーザーもインターネットも、その発明された時に目的とは違う用途に使われている。つまり、伝統的なトップダウンの研究開発ではなく、野望を抱いた起業家や投資家やベンチャーキャピタルによって、イノベーションが成し遂げられる。
OECD諸国の中で自営業者の割合が最も高いのはトルコ(30%)である。アメリカは起業家精神が旺盛だが、アメリカの自営業者の割合は7.2%で、OECDの中では下から2番目の低さである。日本の自営業者の割合はアメリカよりも高く、10.8%となっている。
偉大な作家とされるシェイクスピアの作品の脚本は、他人の作品の翻案が多い。初期の作品には署名もなく、「ロミオとジュリエット」は同時代の作家の脚本から登場人物の名前まで借用している。「ヘンリー6世」の作品も、最初の3部の約6000行のうち、1700行は王についての記録を丸ごとコピーしていて、2300行はほとんど同じである。シャイクスピア作品の約3分の2は盗用とされ、現代なら明らかに著作権法違反になる。
出版社が著者を搾取できるのは、出版の最終的な決定権を出版社が持っているからである。契約による報酬を払った後の利潤(あるいは損失)を取る権利を残余コントロール権と呼び、これを誰が持つかによってガバナンスの構造が決まる。現在の出版業界は、出版社と取次がコントロール権を持って在庫リスクも利潤も取る委託販売だから、小売店と著者にはリスクもないがリターンも少なくなる。
先行するナンバー1企業をOSのシェアを梃子にして追い抜き、最初はオープンだがシェアが大きくなると閉鎖的にするのは、典型的なマイクロソフトの戦法である。
日本企業の強みは、平凡な製品を正確に大量生産することにあるが、ソフトウェアやエンターテイメントでは、それは凡庸な作品を生み出すだけである。
コンピューターもレーザーもインターネットも、その発明された時に目的とは違う用途に使われている。つまり、伝統的なトップダウンの研究開発ではなく、野望を抱いた起業家や投資家やベンチャーキャピタルによって、イノベーションが成し遂げられる。
OECD諸国の中で自営業者の割合が最も高いのはトルコ(30%)である。アメリカは起業家精神が旺盛だが、アメリカの自営業者の割合は7.2%で、OECDの中では下から2番目の低さである。日本の自営業者の割合はアメリカよりも高く、10.8%となっている。
偉大な作家とされるシェイクスピアの作品の脚本は、他人の作品の翻案が多い。初期の作品には署名もなく、「ロミオとジュリエット」は同時代の作家の脚本から登場人物の名前まで借用している。「ヘンリー6世」の作品も、最初の3部の約6000行のうち、1700行は王についての記録を丸ごとコピーしていて、2300行はほとんど同じである。シャイクスピア作品の約3分の2は盗用とされ、現代なら明らかに著作権法違反になる。
出版社が著者を搾取できるのは、出版の最終的な決定権を出版社が持っているからである。契約による報酬を払った後の利潤(あるいは損失)を取る権利を残余コントロール権と呼び、これを誰が持つかによってガバナンスの構造が決まる。現在の出版業界は、出版社と取次がコントロール権を持って在庫リスクも利潤も取る委託販売だから、小売店と著者にはリスクもないがリターンも少なくなる。
2011年10月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
DOS/V世代からPCをいじっていた人で、その後もPCやモバイル機器に興味があった人には出てくる用語も理解できると思いますが、普通はよくわからないのではないかなと思います。
用語の説明や歴史年表みたいなものがついたらさらにわかりやすくなるような気がします。
それを差し引いても、IT業界の歴史と経済学の考え方が織り交ぜられており、歴史を振り返りながら学ぶのにはよい本と思います。
特に最後に載っている索引を見て情景が思い浮かぶ人には面白いと思います。
用語の説明や歴史年表みたいなものがついたらさらにわかりやすくなるような気がします。
それを差し引いても、IT業界の歴史と経済学の考え方が織り交ぜられており、歴史を振り返りながら学ぶのにはよい本と思います。
特に最後に載っている索引を見て情景が思い浮かぶ人には面白いと思います。
2012年3月3日に日本でレビュー済み
イノベーションの定義が、経営革新と言い切る池田信夫、暗黙知や
初期値効果、保有効果など、言わば個別の定義を繋いで体系化を試
みた本書である。中盤の日本企業の事例を挿入しながら、日本企業
を批判的に分析するが、どうも結果論からのこじつけであり、果た
して、そこまで企業経営は意図していたかは疑問がある。日本の場
当たり的経営思想は、我が国の四季の風土が作り上げた伝統的文化
であり、思想であるからだ。こう言ってしまえば、元もこうもない
のだが、ここは重要な視点である。
後半の経済学的知見は、使い古した論理とは言え、経済成長と消費
余剰は重要なファクターであろう。
OSの変遷から、アップルの躍進がいつまでも続くことではないこと
が、容易に想像できるが、そこに新たな日本企業成長のビジネスチ
ャンスはあるのだろうか。
初期値効果、保有効果など、言わば個別の定義を繋いで体系化を試
みた本書である。中盤の日本企業の事例を挿入しながら、日本企業
を批判的に分析するが、どうも結果論からのこじつけであり、果た
して、そこまで企業経営は意図していたかは疑問がある。日本の場
当たり的経営思想は、我が国の四季の風土が作り上げた伝統的文化
であり、思想であるからだ。こう言ってしまえば、元もこうもない
のだが、ここは重要な視点である。
後半の経済学的知見は、使い古した論理とは言え、経済成長と消費
余剰は重要なファクターであろう。
OSの変遷から、アップルの躍進がいつまでも続くことではないこと
が、容易に想像できるが、そこに新たな日本企業成長のビジネスチ
ャンスはあるのだろうか。
2011年11月4日に日本でレビュー済み
本書は、どうしたらイノベーションを生み出せるのかと、日々、現場で悪戦苦闘している経営者や社員に、指針を与えてくれるものではない。
ミクロ的には、IBM も、マイクロソフトも、ソニーも失敗した、ソフトバンクの成功は偶然だった、どうすればイノベーションに成功するかは事前には分からない、として、起業における成功率の低さが示される。これを読んで、自分も起業しよう、と思う者はいないだろう。
マクロ的には、規制緩和、政府は知的財産権の保護も含め積極的には何もしない方がいい、というだけである。
特に、第1章は、『イノベーションはどこから生まれるのか』と題し、認知科学的なことなどがいろいろと書いてあるが、この第1章とその後の第2章以下とが有機的に結びついていない。第2章以下にも「パラダイム」、「フレーミング」といった言葉は出てくるが、仮に第1章がなくても、第2章以下の記述は全く異ならなかっただろう。
各ページには切れ味鋭い論説や幅広い知識が詰め込まれていて、雑学的には非常に面白いのだが、1冊の書籍、1つの体系的思考として浮かび上がってくるものがない。本書でも引用されるクレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』と対比すれば、真の研究とは何か、真の思考とは何かが、自ずから明らかになるのではないだろうか。
既に言い古された、iPhone や iPad はありふれた技術を組み合わせてイノベーションを起こした、ということが、本書でも繰り返し述べられる。しかし、少なくとも『知の世界』においては、公知の情報を寄せ集めただけでは何も生まれない。本書は、その好例ではないだろうか。
ミクロ的には、IBM も、マイクロソフトも、ソニーも失敗した、ソフトバンクの成功は偶然だった、どうすればイノベーションに成功するかは事前には分からない、として、起業における成功率の低さが示される。これを読んで、自分も起業しよう、と思う者はいないだろう。
マクロ的には、規制緩和、政府は知的財産権の保護も含め積極的には何もしない方がいい、というだけである。
特に、第1章は、『イノベーションはどこから生まれるのか』と題し、認知科学的なことなどがいろいろと書いてあるが、この第1章とその後の第2章以下とが有機的に結びついていない。第2章以下にも「パラダイム」、「フレーミング」といった言葉は出てくるが、仮に第1章がなくても、第2章以下の記述は全く異ならなかっただろう。
各ページには切れ味鋭い論説や幅広い知識が詰め込まれていて、雑学的には非常に面白いのだが、1冊の書籍、1つの体系的思考として浮かび上がってくるものがない。本書でも引用されるクレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』と対比すれば、真の研究とは何か、真の思考とは何かが、自ずから明らかになるのではないだろうか。
既に言い古された、iPhone や iPad はありふれた技術を組み合わせてイノベーションを起こした、ということが、本書でも繰り返し述べられる。しかし、少なくとも『知の世界』においては、公知の情報を寄せ集めただけでは何も生まれない。本書は、その好例ではないだろうか。