ヒラリー・ウォーが1962年に出した『Born Victim』の新訳。旧訳はポケミス858番として、『生れながらの犠牲者』の題で1964年9月30日に刊行された。当時の〈ハヤカワ・ミステリ・マガジン〉には、石川喬司氏の翻訳推理小説紹介エッセイ「極楽の鬼」が連載されており、新書版『極楽の鬼』91~92頁にこの旧訳本の書評が掲載されている。
一部引用させていただく。
「出世作『失踪当時の服装は』を思わせる設定で、あの作品ほどの冴えはないが、雲をつかむような謎を丹念に追っていく地方警察の動きが、いまひと息で人肌の素晴らしいお燗になるだろうといった感じの筆致で描かれていて、楽しめる。しだいに暴露されていく真相も、いちおう意表をついていて、余韻を残す。」
妥当な評価と思う。
今回、新訳を読んで衝撃的だったのは、数十年前に読んだはずの旧訳のストーリーをほとんど覚えていないことだった。(その分、楽しめたのかもしれないが)。ようやく、衝撃のラスト近くまできて、はっとこのラストを思い出した。
新訳は読みやすい日本語訳であった。
解説は丁寧であるが、この本のラストに、安易に今日的問題を重ねる読み方には賛同できない。本書はあくまで、1960代前半という時代を反映した小説であり、ラストも同様である。
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生まれながらの犠牲者 (創元推理文庫) 文庫 – 2019/9/28
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これほど心を揺さぶられる、ラスト7ページは他にない。
フェローズ署長が挑む美少女失踪事件。
警察小説の巨匠による不朽の傑作!
創元推理文庫創刊60周年記念。名作ミステリ新訳プロジェクト第9弾。
成績優秀で礼儀正しいと評判の13歳の美少女、バーバラが失踪した。警察署長フェローズの指揮のもと一斉捜査が行われるが、足取りは全く掴めない。バーバラが姿を消した前の晩、彼女は生まれて初めてのダンス・パーティーに出かけていた。そこで何かが起こったのか?地道で綿密な捜査の果てに姿を見せる、誰もが息を呑む衝撃のラスト――。本格推理の妙味溢れる警察小説の名手として名高い巨匠の、紛れもない傑作を新訳で贈る!〈名作ミステリ新訳プロジェクト〉第9弾!
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- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2019/9/28
- ISBN-104488152090
- ISBN-13978-4488152093
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- 出版社 : 東京創元社 (2019/9/28)
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- 言語 : 日本語
- 文庫 : 336ページ
- ISBN-10 : 4488152090
- ISBN-13 : 978-4488152093
- Amazon 売れ筋ランキング: - 530,954位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2019年10月10日に日本でレビュー済み
繁栄を謳歌していた時代のアメリカの小都市の風物の美しい描写、陰影深いキャラクター造形、闇の中を手探るような地道な捜査活動のディテール、劇的かつ哀切極まりない結末がもたらすミステリとしての驚き、全てが不可分に結びついた、ヒラリー・ウォーの数多ある作品中でも屈指の傑作。
現代の警察小説なら本書の倍以上の紙数を費やしてさらに物語を膨らませるのだろうが、個人的にはこの簡潔さが好ましく、作品の持つ悲痛さが際立つ。
現代の警察小説なら本書の倍以上の紙数を費やしてさらに物語を膨らませるのだろうが、個人的にはこの簡潔さが好ましく、作品の持つ悲痛さが際立つ。
2020年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
地方警察の丹念な捜査状況は良く描かれているし、それぞれの事象にある真実は成る程とは思う。ただ、最後の展開に事前の謳い文句から、かなり期待し過ぎてがっかりしてしまった。
2021年12月10日に日本でレビュー済み
伏線伏線伏線そして最後7ページですべての伏線を回収。お見事です。
2023年4月26日に日本でレビュー済み
これほど心を揺さぶられる、ラスト7ページは他にない。
フェローズ署長が挑む美少女失踪事件。
警察小説の巨匠による不朽の傑作!
との誉め言葉に惹かれて読んだけど。。
やはりこの時代、不朽の名作ってものは難しいんだと実感
この作品が書かれてから半世紀
残念ながら、テーマが古すぎる。
動機が時代遅れ。
古いものがなんでも「不朽の傑作」ってことはない。
解説の大矢博子氏は
未だに生まれながらの犠牲者たちの悲鳴は止まらない
近年になって特に日本ではその悲鳴は増しているようにすら感じられる
と言われているが、ネタばれになるので詳しくは書かないが
このご時世。それがこれに結び付くかい??と私は思った。
なので私はちっとも「ラスト7ページにも心揺さぶられなかった」し
「不朽の傑作」とも思わなかった。
フェローズ署長が挑む美少女失踪事件。
警察小説の巨匠による不朽の傑作!
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やはりこの時代、不朽の名作ってものは難しいんだと実感
この作品が書かれてから半世紀
残念ながら、テーマが古すぎる。
動機が時代遅れ。
古いものがなんでも「不朽の傑作」ってことはない。
解説の大矢博子氏は
未だに生まれながらの犠牲者たちの悲鳴は止まらない
近年になって特に日本ではその悲鳴は増しているようにすら感じられる
と言われているが、ネタばれになるので詳しくは書かないが
このご時世。それがこれに結び付くかい??と私は思った。
なので私はちっとも「ラスト7ページにも心揺さぶられなかった」し
「不朽の傑作」とも思わなかった。