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おちび 単行本 – 2019/11/29
エドワード・ケアリー
(著),
古屋 美登里
(翻訳)
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ケアリーの語りの凄さが際立つ新たな傑作―古屋美登里
激動の時代をまっすぐに生きようとするマリーの逞しさ、美しさにほれぼれする。
『堆塵館』の著者が描くマダム・タッソーの数奇な生涯
マリーは、お世辞にも可愛いとはいえない小さな女の子。父の死後、母と共に人体のパーツを蝋で作る医師のところに住み込むが、そのあまりのリアルさに敬虔なクリスチャンである母は耐えられずに自殺、残されたマリーが、医師の手伝いをすることに。やがてマリーは医師に伴われてパリに行き、ルイ16世の妹に仕える。だがパリには革命の嵐が。〈アイアマンガー3部作〉の著者が激動の時代を生きたマリーの生涯を描く、驚天動地の物語。
激動の時代をまっすぐに生きようとするマリーの逞しさ、美しさにほれぼれする。
『堆塵館』の著者が描くマダム・タッソーの数奇な生涯
マリーは、お世辞にも可愛いとはいえない小さな女の子。父の死後、母と共に人体のパーツを蝋で作る医師のところに住み込むが、そのあまりのリアルさに敬虔なクリスチャンである母は耐えられずに自殺、残されたマリーが、医師の手伝いをすることに。やがてマリーは医師に伴われてパリに行き、ルイ16世の妹に仕える。だがパリには革命の嵐が。〈アイアマンガー3部作〉の著者が激動の時代を生きたマリーの生涯を描く、驚天動地の物語。
- 本の長さ291ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2019/11/29
- ISBN-104488010989
- ISBN-13978-4488010980
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商品の説明
著者について
マリーは、お世辞にも可愛いとはいえない小さな女の子。父の死後、母と共に人体のパーツを蝋で作る医師のところに住み込むが、そのあまりのリアルさに敬虔なクリスチャンである母は耐えられずに自殺、残されたマリーが、医師の手伝いをすることに。やがてマリーは医師に伴われてパリに行き、ルイ16世の妹に仕える。だがパリには革命の嵐が。〈アイアマンガー3部作〉の著者が激動の時代を生きたマリーの生涯を描く、驚天動地の物語。
登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2019/11/29)
- 発売日 : 2019/11/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 291ページ
- ISBN-10 : 4488010989
- ISBN-13 : 978-4488010980
- Amazon 売れ筋ランキング: - 586,754位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,058位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一人の少女の一代記が凝縮されていて面白い。
2023年4月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表紙の絵にある人体の様々な臓器のスケッチに惹かれて読みました.~フランス革命期に生きた実在の人物の激動の人生が蝋人形製作者という職業の独自の視点から描かれています.~革命期の歴史の中の一人の人生を描いているので,~本来は大河小説のような長編になるものを一冊の本で描いているので,~『はしょり』感はありますが,~何よりも面白く一気に読んでしまいました. 作者は登場人物の人形や模型を具体的に作成してから物語を書き始めるそうなので,~それが独自の雰囲気を生み出している気がします. この作者の他の作品『アイアマンガー三部作など』も読みたいと思います.
2019年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
びっくりしたー! 何にって、著者あるいは訳者の独特な文章に。そして、その文章で語られるマリーの過酷な人生に。強く生き抜いたその生命力に。
600ページ近い作品だったが、読むのを止めるのは難しく一気に読了した。著者の挿し絵もまた独特です。
600ページ近い作品だったが、読むのを止めるのは難しく一気に読了した。著者の挿し絵もまた独特です。
2020年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
70章以上ありますが、1章ごと短く、短編集みたいにサクサクよめます。自分の知らない世界に連れて行ってくれるこの小説は、とても面白い。人生に無駄はないということです。ありがとうございます。
2020年7月3日に日本でレビュー済み
この本をお勧めするにはあまり紹介者はアツくならない方がよかろう、と思った。
なにせ分厚い・600頁近くある・だから重い・そして高い・他の本2冊分だ・・!
これだけの本を読もうと手に取ってもらうには、自分の勝手な思い入れや価値観を押し付けてはならぬ、
この本に何が書かれていて、どう評価(面白いと思ったか?)を補足するにつとめようと思う。
主人公は冴えない容姿と貧弱な体躯と背丈の少女、アンネ・マリー・グロショルツ。
後にロンドンに伝説的な興業館マダム・タッソーの館を創設した実在の女性である。
1761年フランスストラスブールで産まれ1850年90歳でロンドンで没する。
作者エドワード・ケアリーは「望楼館追想」で作家デビューする前に、マダム・タッソー蠟人形館の人形監視人をしていた経歴を持っている。
その縁から彼女の数奇な生涯を、他の小説を創作するかたわら、実に15年の歳月をかけて書き上げた。
マダムタッソーは彼の元の職場の創業者であるから資料も伝聞もそれなりにあっただろう、だが200年前、
日本なら江戸時代、かの国ではフランス革命の時代である。
筆者は残っている書簡や印刷物を原資料としながら、足りない部分(彼女自身の情動や人間同士のドラマ性など結構多いはずだ)を見事に補填し一つの大河物語に組み上げた。
文章は終始、おちび、マリーの視点で語られ、要所要所にエドワード・ケリーによる雰囲気のあるペン画が挿入されている。
小説家でありながらこのペン画も結構達者で超絶に上手い、というわけではないが不気味で実に味がある。
この本の見どころだ。
本は随時彼女の居場所が変わる5~10年毎に各章に分けられ記述される。
幼女時代の両親と死別し天涯孤独となり、人嫌いの蝋型医療技師の義父と出会う章から幕開けする。
やがて彼女はパリに義父と移住し、蝋人形作成を生業とする。
二人の住居の家主の業腹な未亡人に迫害されながらも自分も蝋人形の手業を身に付け、奇妙なめぐりあわせから自分の容姿とよく似たフランス国王ルイ16世の妹エリザベートに出逢う。
そして彼女の美術教師兼女中として召し出されベルサイユ宮殿で暮らすことになる。
さらに時代は激動し、パリは王制打倒フランス革命の嵐に雪崩れ込み、おちび、マリーもその家族、周辺の者たちも血と銃煙の濁流に巻き込んでゆく・・・
自分が読む時に脳内スクリーンに映る映像はベルばらの舞台で、おしん・かちびまる子が必死に前向きに生き抜いてゆく、といった(ミもフタもない)ものだった・・?他の読者のご意見を拝聴したいものです。
終始 ゴシックでともすれば暗く、血生臭い時代であり、不幸で不運な少女の物語なのだが、それでいて
奇妙なユーモアとバイタリティーに自分も彼女の時代にトリップ(旅行 & 酩酊)させられる気がした。
読み終えたときは、結構な達成感と、遠い放浪の旅からようやく自分の居所に帰ってきて、畳の上に寝転がったような気になったものだ。
斯様にこの本は、万人に受け入れられブームとなる本ではないが、この本のどこかに引き付けられ巡り合わざる負えない運命の読書人にとっては、スタンド使い同士のように、濃密で忘れられない読書の数日間を
与えてくれる本だと思う。
わかる人にだけオススメする、いわくつきの本、である。
なにせ分厚い・600頁近くある・だから重い・そして高い・他の本2冊分だ・・!
これだけの本を読もうと手に取ってもらうには、自分の勝手な思い入れや価値観を押し付けてはならぬ、
この本に何が書かれていて、どう評価(面白いと思ったか?)を補足するにつとめようと思う。
主人公は冴えない容姿と貧弱な体躯と背丈の少女、アンネ・マリー・グロショルツ。
後にロンドンに伝説的な興業館マダム・タッソーの館を創設した実在の女性である。
1761年フランスストラスブールで産まれ1850年90歳でロンドンで没する。
作者エドワード・ケアリーは「望楼館追想」で作家デビューする前に、マダム・タッソー蠟人形館の人形監視人をしていた経歴を持っている。
その縁から彼女の数奇な生涯を、他の小説を創作するかたわら、実に15年の歳月をかけて書き上げた。
マダムタッソーは彼の元の職場の創業者であるから資料も伝聞もそれなりにあっただろう、だが200年前、
日本なら江戸時代、かの国ではフランス革命の時代である。
筆者は残っている書簡や印刷物を原資料としながら、足りない部分(彼女自身の情動や人間同士のドラマ性など結構多いはずだ)を見事に補填し一つの大河物語に組み上げた。
文章は終始、おちび、マリーの視点で語られ、要所要所にエドワード・ケリーによる雰囲気のあるペン画が挿入されている。
小説家でありながらこのペン画も結構達者で超絶に上手い、というわけではないが不気味で実に味がある。
この本の見どころだ。
本は随時彼女の居場所が変わる5~10年毎に各章に分けられ記述される。
幼女時代の両親と死別し天涯孤独となり、人嫌いの蝋型医療技師の義父と出会う章から幕開けする。
やがて彼女はパリに義父と移住し、蝋人形作成を生業とする。
二人の住居の家主の業腹な未亡人に迫害されながらも自分も蝋人形の手業を身に付け、奇妙なめぐりあわせから自分の容姿とよく似たフランス国王ルイ16世の妹エリザベートに出逢う。
そして彼女の美術教師兼女中として召し出されベルサイユ宮殿で暮らすことになる。
さらに時代は激動し、パリは王制打倒フランス革命の嵐に雪崩れ込み、おちび、マリーもその家族、周辺の者たちも血と銃煙の濁流に巻き込んでゆく・・・
自分が読む時に脳内スクリーンに映る映像はベルばらの舞台で、おしん・かちびまる子が必死に前向きに生き抜いてゆく、といった(ミもフタもない)ものだった・・?他の読者のご意見を拝聴したいものです。
終始 ゴシックでともすれば暗く、血生臭い時代であり、不幸で不運な少女の物語なのだが、それでいて
奇妙なユーモアとバイタリティーに自分も彼女の時代にトリップ(旅行 & 酩酊)させられる気がした。
読み終えたときは、結構な達成感と、遠い放浪の旅からようやく自分の居所に帰ってきて、畳の上に寝転がったような気になったものだ。
斯様にこの本は、万人に受け入れられブームとなる本ではないが、この本のどこかに引き付けられ巡り合わざる負えない運命の読書人にとっては、スタンド使い同士のように、濃密で忘れられない読書の数日間を
与えてくれる本だと思う。
わかる人にだけオススメする、いわくつきの本、である。
2019年12月29日に日本でレビュー済み
本書は、ちょっと怖いお話ですけれど、
後にロンドンで蠟人形館の主人となったマダム・タッソーの自叙伝みたい。
そう思って読むと、結構おもしろく読めました。
「おちび」は、「わたし」
「不器量なちびっこ、子供の服着たちっちゃな怪物……ちっこい奴……声を出すおちび……とんがり顎のちんまり……人類についてのちっぽけな主張……ちょび……〈おちび(ゴチック体)〉?」(72頁)
「残酷なおちび、ナイフのおちび、血塗(ちまみ)れおちび」(457頁)
「そしてきみは、おちびとして知られるマリー・グロショルツ」(484頁)。
「守衛が大きな声で呼ばわった。『アンヌ・マリー・グロショルツ』」(529頁)
「わたしに? おちびに? アンネ・マリー・グロショルツに?」(547頁)
「アンネ・マリー・グロショルツとフランソア・ジョゼフ・タッソーは結婚した」(551頁)
「その人形に付けられた名は『アンネ・マリー・グロショルツ』。後に、ロンドンで蠟人形館の主人となったマダム・タッソーである」(576頁。「訳者あとがき」)
おっと、ここでご注意ください。なんか、実話っぽくなってきましたので。
「本書はあくまでもケアリーの作り上げたフィクションである」(576頁。「訳者あとがき」)
「本書は、1761年にアルザスで生まれたマリー・グロショルツが八十九歳になって自身の半生を回想」(578頁。「訳者あとがき」)したという設定になっている長篇小説です。
八十九歳で「半生」とは! 一生なら、どんだけ?
「アンネ・マリー・グロショルツ」の肖像画は、550頁にあります。
自分の顔の下半分を右手で隠している画のため、
「マリーの絵には、彼女の特徴である鼻と顎が描かれていない」(580頁、「訳者あとがき」)
「ちびフランソアは1798年に生まれた。ちびジョゼフは1800年にやってきた。ふたりとも紛れもないウォルトナーの鼻とグロショルツの顎を持っていた」(553頁)
「わたしはウォルトナー家の鼻とグロショルツ家の顎を受け継いで生まれた」(14頁)
「母の鼻は、ローマ人のように大きかった。父の顎は、わたしはそう信じているのだが、ちょっと上向きで非常にがっしりしていた(はずだ)」(14頁)
「わたし」の鼻と顎だけがしっかりと描かれたイラスト(14頁)参照。
そして、後にわたしが産んだ、ふたりの「ちび」たち。
「ちびF」と「ちびJ」の鼻と顎までしっかりと描かれた挿絵が、553頁にあります。
お母さんグロショルツの顎って、そんなだったんだ。よくわかりました。
「わたしは八十九歳。九十を迎えることはない。わたしはアンネ・マリー・タッソー、旧姓グロショルツ。おちび」(571頁)
著者のケアリーは、「本書を書き上げるために、十五年というかなり長い歳月」(572頁。「謝辞」)をかけました。
本書は、すごく丁寧に調査した上での、571頁に及ぶ力作長篇小説です。
「壮大な歴史小説」(580頁、「訳者あとがき」)であり、
「物語のテーマは愛と喪失」(580頁、「訳者あとがき」)であります。
巻末の「フランス革命略年表」は、編集部が作成したもの。
1774年から1797年までの事項が月日入りで列記されています。
1761年にマリーが「アルザスの小さな村で」(13頁)生まれてから、
1798年にちび赤ちゃんを産むまでのフランスの社会状況がわかり、読者に便利な年表です。
「大きな体制が壊れ、民衆が力を得て、混乱状態に陥った時代を理解する」(581頁、「訳者あとがき」)
助けになります。
本書中の豊富なイラストはすべて、著者のエドワード・ケアリーの手になる。
人体解剖図のような、ばらばらの人体のイラストは、ちょっと不気味です。
精密に描かれていて、蠟人形の部品図のようです。
「生と死のあわい。それを蠟人形と呼ぶ」(570頁)
著者のケアリーが、ナポレオンにこう語らせているのが興味深い。
「彼が最強の怪物になってしまっている。革命で起きた最悪のことすべてを、このひとりの人物に被(かぶ)せているのだよ」(557頁)
ナポレオンが「最強の怪物」と言った人物について、著者は「おちび」にこう言わせています。
「『最強の殺人者』わたしは言った」(558頁)
殺人者とは! 「おちび」に、ナポレオンよりキツイ言い方をさせています。
「ほかの芸術家のなかでこのふたり、ダヴィドとカノヴァだけが、百六十九センチの男を巨大な姿に描いた」(559頁)
そりゃそうだ。百六十九センチの男なんて、そこらに、ざらにいる。
ナポレオンを等身大で描いたって、ちっとも偉大に感じないもんね。
本書『おちび』は、571頁の大作。
おちびは、おちびのままで描けばいいですが、
偉大な人物は、それなりに拡大して大きく誇張して描かなければいけない。
この本の中のイラストのように、部分、部分をばらばらに精密に描くだけではなく、
最後は、偉大なナポレオンのような人物像に、部品を統合、誇張、拡大して、
偉大に感じられるように蠟人形を作らなければいけないよ、
と本書は教えてくれているように思いました。
い大なおちび。
偉大なマリー・アントワネットを救う「おちび」のマリー。
「おちび」の一生。
この物語の中では、「おちび」が、小さいのに、大きく見えました。
後にロンドンで蠟人形館の主人となったマダム・タッソーの自叙伝みたい。
そう思って読むと、結構おもしろく読めました。
「おちび」は、「わたし」
「不器量なちびっこ、子供の服着たちっちゃな怪物……ちっこい奴……声を出すおちび……とんがり顎のちんまり……人類についてのちっぽけな主張……ちょび……〈おちび(ゴチック体)〉?」(72頁)
「残酷なおちび、ナイフのおちび、血塗(ちまみ)れおちび」(457頁)
「そしてきみは、おちびとして知られるマリー・グロショルツ」(484頁)。
「守衛が大きな声で呼ばわった。『アンヌ・マリー・グロショルツ』」(529頁)
「わたしに? おちびに? アンネ・マリー・グロショルツに?」(547頁)
「アンネ・マリー・グロショルツとフランソア・ジョゼフ・タッソーは結婚した」(551頁)
「その人形に付けられた名は『アンネ・マリー・グロショルツ』。後に、ロンドンで蠟人形館の主人となったマダム・タッソーである」(576頁。「訳者あとがき」)
おっと、ここでご注意ください。なんか、実話っぽくなってきましたので。
「本書はあくまでもケアリーの作り上げたフィクションである」(576頁。「訳者あとがき」)
「本書は、1761年にアルザスで生まれたマリー・グロショルツが八十九歳になって自身の半生を回想」(578頁。「訳者あとがき」)したという設定になっている長篇小説です。
八十九歳で「半生」とは! 一生なら、どんだけ?
「アンネ・マリー・グロショルツ」の肖像画は、550頁にあります。
自分の顔の下半分を右手で隠している画のため、
「マリーの絵には、彼女の特徴である鼻と顎が描かれていない」(580頁、「訳者あとがき」)
「ちびフランソアは1798年に生まれた。ちびジョゼフは1800年にやってきた。ふたりとも紛れもないウォルトナーの鼻とグロショルツの顎を持っていた」(553頁)
「わたしはウォルトナー家の鼻とグロショルツ家の顎を受け継いで生まれた」(14頁)
「母の鼻は、ローマ人のように大きかった。父の顎は、わたしはそう信じているのだが、ちょっと上向きで非常にがっしりしていた(はずだ)」(14頁)
「わたし」の鼻と顎だけがしっかりと描かれたイラスト(14頁)参照。
そして、後にわたしが産んだ、ふたりの「ちび」たち。
「ちびF」と「ちびJ」の鼻と顎までしっかりと描かれた挿絵が、553頁にあります。
お母さんグロショルツの顎って、そんなだったんだ。よくわかりました。
「わたしは八十九歳。九十を迎えることはない。わたしはアンネ・マリー・タッソー、旧姓グロショルツ。おちび」(571頁)
著者のケアリーは、「本書を書き上げるために、十五年というかなり長い歳月」(572頁。「謝辞」)をかけました。
本書は、すごく丁寧に調査した上での、571頁に及ぶ力作長篇小説です。
「壮大な歴史小説」(580頁、「訳者あとがき」)であり、
「物語のテーマは愛と喪失」(580頁、「訳者あとがき」)であります。
巻末の「フランス革命略年表」は、編集部が作成したもの。
1774年から1797年までの事項が月日入りで列記されています。
1761年にマリーが「アルザスの小さな村で」(13頁)生まれてから、
1798年にちび赤ちゃんを産むまでのフランスの社会状況がわかり、読者に便利な年表です。
「大きな体制が壊れ、民衆が力を得て、混乱状態に陥った時代を理解する」(581頁、「訳者あとがき」)
助けになります。
本書中の豊富なイラストはすべて、著者のエドワード・ケアリーの手になる。
人体解剖図のような、ばらばらの人体のイラストは、ちょっと不気味です。
精密に描かれていて、蠟人形の部品図のようです。
「生と死のあわい。それを蠟人形と呼ぶ」(570頁)
著者のケアリーが、ナポレオンにこう語らせているのが興味深い。
「彼が最強の怪物になってしまっている。革命で起きた最悪のことすべてを、このひとりの人物に被(かぶ)せているのだよ」(557頁)
ナポレオンが「最強の怪物」と言った人物について、著者は「おちび」にこう言わせています。
「『最強の殺人者』わたしは言った」(558頁)
殺人者とは! 「おちび」に、ナポレオンよりキツイ言い方をさせています。
「ほかの芸術家のなかでこのふたり、ダヴィドとカノヴァだけが、百六十九センチの男を巨大な姿に描いた」(559頁)
そりゃそうだ。百六十九センチの男なんて、そこらに、ざらにいる。
ナポレオンを等身大で描いたって、ちっとも偉大に感じないもんね。
本書『おちび』は、571頁の大作。
おちびは、おちびのままで描けばいいですが、
偉大な人物は、それなりに拡大して大きく誇張して描かなければいけない。
この本の中のイラストのように、部分、部分をばらばらに精密に描くだけではなく、
最後は、偉大なナポレオンのような人物像に、部品を統合、誇張、拡大して、
偉大に感じられるように蠟人形を作らなければいけないよ、
と本書は教えてくれているように思いました。
い大なおちび。
偉大なマリー・アントワネットを救う「おちび」のマリー。
「おちび」の一生。
この物語の中では、「おちび」が、小さいのに、大きく見えました。
2020年12月29日に日本でレビュー済み
エドワード・ケアリーが15年もかけて完成させた小説で、途中でなんとアイアマンガー三部作を仕上げてるそうです。
この小説に出てくるのは奇人変人ばかりなので序盤はとっつきにくいかもしれません。
メアリー(後のマダムタッソー)がヴェルサイユ宮殿でエリザベート王女の付き人になるところから話の流れが早くなります。エリザベート王女とは親友と言うか、なかば恋人のような親密な関係になりますが、フランス革命の直前に二人は引き離されます。
その後は怒涛の展開で、知り合いの生首(著名な政治家やヴェルサイユの住人までも!)がマリーの元に持ち込まれるような状況で、市が閉鎖され、暴力と混沌で悪夢のような生活になります。
この時代を生き抜き、90歳近くで大往生したマリーの物語です。
フランス革命について救いのない陰惨な描写がたくさんあるので、コロナ禍で気が滅入っている時に読む本ではないかもしれません。しかし間違いなく強烈な印象を残す小説です。
この小説に出てくるのは奇人変人ばかりなので序盤はとっつきにくいかもしれません。
メアリー(後のマダムタッソー)がヴェルサイユ宮殿でエリザベート王女の付き人になるところから話の流れが早くなります。エリザベート王女とは親友と言うか、なかば恋人のような親密な関係になりますが、フランス革命の直前に二人は引き離されます。
その後は怒涛の展開で、知り合いの生首(著名な政治家やヴェルサイユの住人までも!)がマリーの元に持ち込まれるような状況で、市が閉鎖され、暴力と混沌で悪夢のような生活になります。
この時代を生き抜き、90歳近くで大往生したマリーの物語です。
フランス革命について救いのない陰惨な描写がたくさんあるので、コロナ禍で気が滅入っている時に読む本ではないかもしれません。しかし間違いなく強烈な印象を残す小説です。