子供のころに小学校でクラスメートの前で「石原式検査表」を読まされる屈辱を味あわされた私(色弱)は、この図書のタイトルを見て読んでみたいと思っておりました。
著者の川端裕子供のころに小学校でクラスメートの前で「石原式検査表」を読まされる屈辱を味あわされた私(色弱)は、この図書のタイトルを見て読んでみたいと思っておりました。
著者の川端裕人氏は私と同じ経験(小学校での検査)をして色弱と判断された方であり、一度廃止された学校での色覚検査が復活したことをきっかけに「色覚」についての調査を始められたのでした。
それは眼科医・研究者から海外へ及び、読み進めるうちにまるで広い海原に浮かぶ島々を巡る旅をしているように思いました。
島へ寄るたびに新たな発見がありました。そもそもなぜ色は見えるのか、よく考えたら思ってみたこともありませんでした。
そしてもっと新たな発見、それは「人の色覚は正常・異常に二分できるものではない」ということ、さらには「そもそも石原式検査表は色覚の何をどのように検査しているのかがよく分からないし、実際の生活や仕事での色の見え方とリンクしていない」ということです。
とにかく「色の見え方が他の人と違うだけでその子の将来を閉ざさないように」子供に関わる方にはぜひ読んでいただきたいと思いました。
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「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (単行本) 単行本(ソフトカバー) – 2020/10/24
川端 裕人
(著)
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「色の見え方」は、こんなにも多様性に満ちていた!
ある疑問をきっかけに、最先端の色覚研究から眼科医まで、さまざまな角度から取材を進めた科学作家。5年の歳月をかけてたどり着いたのは、人間の色覚は多様性に満ちているという、新しい「色覚」観だった! 膨大な取材をもとに描き出す、発見に満ちた「色覚」の世界。比類なきノンフィクション作品! !
ある疑問をきっかけに、最先端の色覚研究から眼科医まで、さまざまな角度から取材を進めた科学作家。5年の歳月をかけてたどり着いたのは、人間の色覚は多様性に満ちているという、新しい「色覚」観だった! 膨大な取材をもとに描き出す、発見に満ちた「色覚」の世界。比類なきノンフィクション作品! !
- 本の長さ348ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2020/10/24
- 寸法13.1 x 2.3 x 18.8 cm
- ISBN-104480860916
- ISBN-13978-4480860910
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【各メディアでぞくぞく紹介!】
朝日新聞(石川尚文さん評)21.1.9
日経新聞(福岡伸一さん評)21.1.30
毎日新聞(内田麻理香さん評)20.12.5
共同通信(布施英利さん評)20.12.24
信濃毎日新聞(松村由利子さん評)20.12.26
荻上チキ・Session 20.11.12
ラジオNIKKEI 20.11.30,12.7,12.14
The Lifestyle MUSEUM(パーソナリティ ピーター・バラカン)21.1.15
HONZ(仲野徹さん評)20.11.29
週刊文春(東えりかさん評)21.2.18号
1970年代はじめ、小学校での学校健診をきっかけに「赤緑色弱」と診断された経験をもつ著者。その後、学校健診での色覚検査は事実上、廃止された。ところが2016年から、この検査が「復活」。一体それはなぜなのか? この問いを出発点に、色覚研究の最前線から眼科医まで幅広く取材。科学作家が到達したのは、前世紀の「色覚」観を更新する、まったく新しい地平だった――。
【目次】
準備の章 先天色覚異常ってなんだろう
第1章 21世紀の眼科のリアリティ
第2章 20世紀の当事者と社会のリアリティ
第3章 色覚の進化と遺伝
第4章 目に入った光が色になるまで
第5章 多様な、そして、連続したもの
第6章 誰が誰をあぶり出すのか――色覚スクリーニングをめぐって
終 章 残響を鎮める、新しい物語を始める
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1970年代はじめ、小学校での学校健診をきっかけに「赤緑色弱」と診断された経験をもつ著者。その後、学校健診での色覚検査は事実上、廃止された。ところが2016年から、この検査が「復活」。一体それはなぜなのか? この問いを出発点に、色覚研究の最前線から眼科医まで幅広く取材。科学作家が到達したのは、前世紀の「色覚」観を更新する、まったく新しい地平だった――。
【目次】
準備の章 先天色覚異常ってなんだろう
第1章 21世紀の眼科のリアリティ
第2章 20世紀の当事者と社会のリアリティ
第3章 色覚の進化と遺伝
第4章 目に入った光が色になるまで
第5章 多様な、そして、連続したもの
第6章 誰が誰をあぶり出すのか――色覚スクリーニングをめぐって
終 章 残響を鎮める、新しい物語を始める
著者について
1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。文筆家。東京大学教養学部卒業。日本テレビ勤務中、1995年『クジラを捕って、考えた』でノンフィクション作家としてデビュー。退社後、1998年『夏のロケット』で小説家デビュー。小説に『せちやん 星を聴く人』『銀河のワールドカップ』『算数宇宙の冒険』『ギャングエイジ』『雲の王』『12月の夏休み』など。ノンフィクションに『PTA再活用論』『動物園にできること』『ペンギン、日本人と出会う』『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』など、著書多数。現在、ナショナル ジオグラフィック日本版および日経ビジネスオンラインのウェブサイトで「・研究室・に行ってみた。」を連載中。
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2020/10/24)
- 発売日 : 2020/10/24
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 348ページ
- ISBN-10 : 4480860916
- ISBN-13 : 978-4480860910
- 寸法 : 13.1 x 2.3 x 18.8 cm
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2022年2月13日に日本でレビュー済み
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2021年6月20日に日本でレビュー済み
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本書は、先天性色覚異常の当事者である著者が、色覚異常を取り巻く社会的な問題に切り込むとともに、人間が色を判別する仕組みについて踏み込んで解説した、サイエンス・ノンフィクションである。
小学校の定期検診で行われる、一定の世代以上の人にとってはお馴染みの色覚検査は、2003年より行われなくなり、2014年になって再開されているという。第1部ではこの経緯をたどりつつ、色覚異常の当事者に対する進学や就職の制限、差別などの面から、検査実施による弊害を問題提起する。
第2部では、専門家へのインタビューを実施しながら、ヒトの色覚メカニズムについての科学的なアプローチを展開する。人類進化の過程において、霊長類が緑色の森の中で果実の色を判別しやすい「3色型」の色覚を獲得したとの解説や、目に入った光が色として弁別され、我々の体験を形作る色覚メカニズムの解説が、なかなか専門的で興味深い。色というのは、光(電磁波)そのものの属性ではなく、人の感覚(色覚)が作り出すものであり、個々人の脳内で形作られる主観的なものである。つまりは、人によって色の見え方が異なるのは、ある意味当然なのだ。
第3部では、著者自身の体験をもとにしたヒトの先天色覚異常についてが語られる。長年異常と思っていたものが正常だと診断され、正常と異常の間が定義としても診断としても相対であることから、人の色覚とは「多様性と連続性」を持つものだと著者は気づく。その点から考えると、学校健診で行われてきた検査はスクリーニング機能を有しておらず、診断や治療も個々の医師の主観やバイアスがかかっていると、色覚異常をめぐる医療体制に対して厳しい意見を展開していく。
著者が取材の中で見出だした最重要概念とは、色覚の「多様性と連続性」である。生物学的には様々な意味で「正常」と「異常」に分かちがたい多様性が連続性をもって分布しており、それも進化の中で培われたものである可能性が高い。その理解が社会的に深まれば、我々の「色覚観」は根本的に変わると著者は結論付ける。
タイトルからすれば、色に関するサイエンスティックな本かと思ったが、色覚をめぐる社会問題をきっかけとしていることには、いい意味で裏切られた。かつて受けた石原式の色覚検査を思い出しながら、人の多様性について改めて考えさせられた1冊である。
小学校の定期検診で行われる、一定の世代以上の人にとってはお馴染みの色覚検査は、2003年より行われなくなり、2014年になって再開されているという。第1部ではこの経緯をたどりつつ、色覚異常の当事者に対する進学や就職の制限、差別などの面から、検査実施による弊害を問題提起する。
第2部では、専門家へのインタビューを実施しながら、ヒトの色覚メカニズムについての科学的なアプローチを展開する。人類進化の過程において、霊長類が緑色の森の中で果実の色を判別しやすい「3色型」の色覚を獲得したとの解説や、目に入った光が色として弁別され、我々の体験を形作る色覚メカニズムの解説が、なかなか専門的で興味深い。色というのは、光(電磁波)そのものの属性ではなく、人の感覚(色覚)が作り出すものであり、個々人の脳内で形作られる主観的なものである。つまりは、人によって色の見え方が異なるのは、ある意味当然なのだ。
第3部では、著者自身の体験をもとにしたヒトの先天色覚異常についてが語られる。長年異常と思っていたものが正常だと診断され、正常と異常の間が定義としても診断としても相対であることから、人の色覚とは「多様性と連続性」を持つものだと著者は気づく。その点から考えると、学校健診で行われてきた検査はスクリーニング機能を有しておらず、診断や治療も個々の医師の主観やバイアスがかかっていると、色覚異常をめぐる医療体制に対して厳しい意見を展開していく。
著者が取材の中で見出だした最重要概念とは、色覚の「多様性と連続性」である。生物学的には様々な意味で「正常」と「異常」に分かちがたい多様性が連続性をもって分布しており、それも進化の中で培われたものである可能性が高い。その理解が社会的に深まれば、我々の「色覚観」は根本的に変わると著者は結論付ける。
タイトルからすれば、色に関するサイエンスティックな本かと思ったが、色覚をめぐる社会問題をきっかけとしていることには、いい意味で裏切られた。かつて受けた石原式の色覚検査を思い出しながら、人の多様性について改めて考えさせられた1冊である。
2021年12月28日に日本でレビュー済み
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当事者であるがゆえに薄々感じていたことが丁寧に言語化されていました。
自分にはこういう特性があるかもしれないと感じていたことが、本書に紹介されている研究からたしかなことだという知見も得られました。
本書をきっかけに改めて色覚検査を自身も受け直してみて、以前との違いや眼科医の雰囲気などを経験したのちに、当事者としての体験をブログなどにまとめてみようと思える素晴らしい一冊でした。
自分にはこういう特性があるかもしれないと感じていたことが、本書に紹介されている研究からたしかなことだという知見も得られました。
本書をきっかけに改めて色覚検査を自身も受け直してみて、以前との違いや眼科医の雰囲気などを経験したのちに、当事者としての体験をブログなどにまとめてみようと思える素晴らしい一冊でした。
2021年4月28日に日本でレビュー済み
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色覚特性の事を正しく理解するのならこの本と思います。
世間では、特に一昔前は色弱者は差別に満ちていました。今でも一部、就職に影響する職業があります。でも果たしてどれだけ実際に職業に影響するのかは疑問です。本人達はいたって生活に不自由をした事が無いのですから。
息子の色覚検査の為に眼科医院に行っても、高校で大学の進学相談をしても、医師も教員の方々も、正しく理解している人がいない事が、手に取るようにわかり、たいへんな孤独感を感じ、途方に暮れる経験をしました。
男性は20人に1人、女性は500人に1人です。著書の中では、潜在的には4割という驚異的な数字も述べています。
なのに、世間ではこんなにも認知度が低すぎる。これは絶対に矛盾しています。
このままでは、これから進学、就職を迎える色覚特性の学生の混乱は続いてしまう。
是非、世間の眼科医や教員、教育関係の方々ひとりひとりにこの本を読んでもらい、色覚特性者を理解してもらいたいと思える、色覚特性の者の立場に立った著書です。
世間では、特に一昔前は色弱者は差別に満ちていました。今でも一部、就職に影響する職業があります。でも果たしてどれだけ実際に職業に影響するのかは疑問です。本人達はいたって生活に不自由をした事が無いのですから。
息子の色覚検査の為に眼科医院に行っても、高校で大学の進学相談をしても、医師も教員の方々も、正しく理解している人がいない事が、手に取るようにわかり、たいへんな孤独感を感じ、途方に暮れる経験をしました。
男性は20人に1人、女性は500人に1人です。著書の中では、潜在的には4割という驚異的な数字も述べています。
なのに、世間ではこんなにも認知度が低すぎる。これは絶対に矛盾しています。
このままでは、これから進学、就職を迎える色覚特性の学生の混乱は続いてしまう。
是非、世間の眼科医や教員、教育関係の方々ひとりひとりにこの本を読んでもらい、色覚特性者を理解してもらいたいと思える、色覚特性の者の立場に立った著書です。
2021年3月9日に日本でレビュー済み
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ここ数年で呼んだノンフィクションの中で最も興味深く、面白く、知的刺激を受けた本であった。2020年のベストセラー「ファクトフルネス」を超える面白さだった、と言えば、そのレベルもお分かりいただけるだろう。
この本は、「色覚障害」(昔の言葉で言えば「色盲」)に関する本である。一見してお堅い内容なのにもかかわらず、なぜ面白いのかと言えば、症状としての「色覚障害」に対し、生物学的な眼の構造の説明に始まり、色覚障害の遺伝学的背景、社会におかれた立場の歴史、統計学、検査方法と幅広い分野に対して、網羅的に深堀していて、目から鱗の内容満載である点にある。カバーしている領域は広く、筆者のリサーチは5年がかりで実に深掘りしていることは、脚注等からも容易に見て取れるもののそれを読者目線に立ち、シンプルにわかりやすく説明してくれていると点が良い。一読をお勧めしたい。
小学校の頃、身体検査で、各種検査のなかに、絵本の文字を判読するものがあり、赤緑色弱という言葉を知った記憶が私の「色覚異常」認知の最初だった。自分自身が色覚異常でないため気づかなかったが、色覚異常の方が社会的に相当の不利益を受けているという事実が描かれている。こうした不利益は時代の経過とともに減少しているが、社会に根深く残っている点もある。
実は色覚異常は、黒か白かという二律背反的なものではなく、間にグレーが存在するグラデーションのあるものである。男性の男性の5%程度が色覚異常とされていたが、実は、軽微なものを含めると40%が色覚異常であるとされている。これだけの人が多少の差はあれ、「色覚異常」であるのであれば、もはやこれは、 正常か異常か、ではなく、多様性の一種と捉えれるべき数字である。人口の10%の血液型AB型の方を「異常」とは呼ばないように。
こうした興味深い事実のリサーチの詳細は、本書に譲るが、最近の我々の身近な出来事と関連のある内容もある。
<優生思想>
かつて、 「色盲の者とは結婚するな」という保健体育の教師の発言が、教科書のガイドラインに基づいたものであった。これは、日本において、優生保護法が撤廃されたのが、96年とごく最近のことであり、差別として根深いものがあるのは想像に難くない。
<コロナ禍>
色覚障害検査についての記述も興味深いが、なかでもコロナ禍で、よく耳にするようになった「擬陽性」という言葉の説明だ。検査の感度により、コロナ陽性者が陰性とみなされたり、逆に陰性の方が陽性と判断されたりする統計学の問題であるがこの問題も、実際の事例を用いてわかりやすく説明している。色覚障害検査においても同様の課題がある。コロナの場合は、陽性か陰性の2つしか選択肢がないのに対し、色覚障害の場合は段階的なものであり、判断をより難しくしている。
最後に、本書の筆者の川端氏自身が色覚障害を持つが、精密検査をした結果、医師の判断は、色覚障害ではなく正常であり、さらには青に関しては、平均的な人よりも、より良く見える、ということが分かった。それでも、自身の感覚では色覚障害がある、というほうがフィットするという。色覚障害の奥の深さを物語るエピソードである。
この本は、「色覚障害」(昔の言葉で言えば「色盲」)に関する本である。一見してお堅い内容なのにもかかわらず、なぜ面白いのかと言えば、症状としての「色覚障害」に対し、生物学的な眼の構造の説明に始まり、色覚障害の遺伝学的背景、社会におかれた立場の歴史、統計学、検査方法と幅広い分野に対して、網羅的に深堀していて、目から鱗の内容満載である点にある。カバーしている領域は広く、筆者のリサーチは5年がかりで実に深掘りしていることは、脚注等からも容易に見て取れるもののそれを読者目線に立ち、シンプルにわかりやすく説明してくれていると点が良い。一読をお勧めしたい。
小学校の頃、身体検査で、各種検査のなかに、絵本の文字を判読するものがあり、赤緑色弱という言葉を知った記憶が私の「色覚異常」認知の最初だった。自分自身が色覚異常でないため気づかなかったが、色覚異常の方が社会的に相当の不利益を受けているという事実が描かれている。こうした不利益は時代の経過とともに減少しているが、社会に根深く残っている点もある。
実は色覚異常は、黒か白かという二律背反的なものではなく、間にグレーが存在するグラデーションのあるものである。男性の男性の5%程度が色覚異常とされていたが、実は、軽微なものを含めると40%が色覚異常であるとされている。これだけの人が多少の差はあれ、「色覚異常」であるのであれば、もはやこれは、 正常か異常か、ではなく、多様性の一種と捉えれるべき数字である。人口の10%の血液型AB型の方を「異常」とは呼ばないように。
こうした興味深い事実のリサーチの詳細は、本書に譲るが、最近の我々の身近な出来事と関連のある内容もある。
<優生思想>
かつて、 「色盲の者とは結婚するな」という保健体育の教師の発言が、教科書のガイドラインに基づいたものであった。これは、日本において、優生保護法が撤廃されたのが、96年とごく最近のことであり、差別として根深いものがあるのは想像に難くない。
<コロナ禍>
色覚障害検査についての記述も興味深いが、なかでもコロナ禍で、よく耳にするようになった「擬陽性」という言葉の説明だ。検査の感度により、コロナ陽性者が陰性とみなされたり、逆に陰性の方が陽性と判断されたりする統計学の問題であるがこの問題も、実際の事例を用いてわかりやすく説明している。色覚障害検査においても同様の課題がある。コロナの場合は、陽性か陰性の2つしか選択肢がないのに対し、色覚障害の場合は段階的なものであり、判断をより難しくしている。
最後に、本書の筆者の川端氏自身が色覚障害を持つが、精密検査をした結果、医師の判断は、色覚障害ではなく正常であり、さらには青に関しては、平均的な人よりも、より良く見える、ということが分かった。それでも、自身の感覚では色覚障害がある、というほうがフィットするという。色覚障害の奥の深さを物語るエピソードである。
2020年12月2日に日本でレビュー済み
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色のことを勉強していますが、本書の第2部がちょうど知りたいこと
を扱っていて、とても勉強になりました。錐体細胞から脳内での色の
認識の部分に興味があり、差分をとった信号を脳内に送っているという
事が分かりました。最近の研究では更に途中で別な処理が行われいる
ということでした。
本書は色覚異常について知りたいという人にぴったりの1冊でした。
を扱っていて、とても勉強になりました。錐体細胞から脳内での色の
認識の部分に興味があり、差分をとった信号を脳内に送っているという
事が分かりました。最近の研究では更に途中で別な処理が行われいる
ということでした。
本書は色覚異常について知りたいという人にぴったりの1冊でした。
2021年8月8日に日本でレビュー済み
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色覚が正常な方は何も意識されていないと思いますが、筆者が言われるように小学校時代に「異常」を告げられ、ショックを受けた方にはお薦めあえてあえて難を言えば、①図表が小さすぎて見えにくいこと、②後半部分が冗長であることくらいでしょうか。
2021年1月13日に日本でレビュー済み
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虹は紫から赤まで、直線的に変化しますが、色の三原色は円で表される不思議に納得です。ただ、著者が色の認識能力が少数派のようで、その面ばかりが強調されて文面に出ていて残念です。