極論するなら教育界の反体制派、だけど正論がほとばしる。そんな感じの一冊でしょうか。
「個」を重んじたとき、今の教育あるいは大人たちにどんな矛盾があるか…。いろいろな切り口で言葉にしています。語彙が豊富で文章も上手いと感じます。かといって学際的でもなく読みやすい。章によっては上質なエッセイに触れたような気分になります。備忘録的に、マーカーした部分に触れてみます。
第2章の「ある高校の生徒会にて」p86~96は、まさにその、いい感じのエッセイ風ですね。
ノンフィクション風にジェンダー問題を切り口に、潜在的な差別に気づきを与えます。差別批判によりマイノリティが社会的包摂されることで結果的に新たなマジョリティ支配を生じさせ、それ自体が差別の一形態になる、というわけです。自分を一旦善良の立場に置くと、その堅持が目的化してしまい、それが差別構造の根本であることを忘れてしまう。つまり、多様性の本質を自ら放棄してしまう、ということでもありましょうか。「差別はノー」というだけのマイノリティの切実さを知らないマジョリティ支配へと思考対象をシフトせよ…ってとこでしょうか。
善悪についても、そういった認知バイアスの存在を指摘します。多くの大人たちは、善という複雑な構造を顧みることなく悪を実体化させることで自らを善の立場に置こうとする、と。たしかに、対象を悪魔化し自陣の正当性をストローマン論法で論破しようとする稚拙な議論は、政治の世界でも少なくありません。自己愛という動機や信念の貫徹という道徳観が、ときに他人を不幸にすることを知っているかいないか。そこに真の善への揺らぎがあることが本来的な善悪概念、というわけです。
ソシュールの構造主義を援用しながら、言葉と思考の関係性に言及します。自分の思考に言葉を与えたのではない。自分の発する言葉が表現する思考を作り出すのである。したがって「自分の思考を言葉にできない」という表現には、言葉に先立つ思考の存在を含意するがゆえの矛盾がある…。ということで、言語優位の思考という観点を強調しながら、自分の言葉を持つことの重要性を示唆しています。
言葉の習得は、いわば他人の視点で物事を俯瞰することを意味する、というわけですね。自分の言葉って何なのか…、そう考えると国語教育って、じつに大切ですね。
第3章の「親からの逃走線~」もなかなかに含蓄のある章、と読みました。
けっして「親に反発しよう」という単純な意味ではありません。そうではなく、親の本分を知ることで自分を知ろう、ということかと思います。親というものは、自分がかつて子どもだったにもかかわらず、親になったとたん親としてのあり方を備える代償として若かったころの自分の言葉を失い、子どものことがわからなくなる、というわけです。ただそれは親にとって、自分を肯定できなかった事態を考えなくて済むように別の責任に傾注できるメリットでもある、と。たしかに、親になるってことは、それまでのモヤモヤをウヤムヤにできるプロセスとも言えそうです。
著者は流行の言葉「自己肯定感」に否定的です。というか、そんなものはない、と喝破します。もともと、親が子に発する否定的なコントロールの反動として「自己肯定感」を失わないことを旨とする教育方針が前面に押し出されてきました。しかし、自己肯定感を損なわせることなく育てるという作為もまた子どもへのコントロールの欲望であることを考えると、その作為性には疑問符が付くというわけです。子どももいつかはその作為に気づく、ということでしょう。逆説的に、子どもは、そういった親の負の作為の元でもがきながら価値観の根幹を形成するわけで、そういった親の否定性の経験もまた自我の形勢に寄与している、と説明は続きます。やや飛躍しますが、自己肯定感なんて存在しない、と著者が言う理由は、自分だけで自分を肯定することなどあり得ない、つまり、親の否定性も含めて自分でどうにもできない事に潔く身を開くことで始めるのだから、ということです。自己肯定とセットの他者承認、というのも同じような側面がありそうです。
第4章の「生きのびるための資本論」p163~191も、生徒OB2人に語らせるノンフィクション風の秀逸なエッセイに仕上がっていると読みました。
資本論を読破できない小生が言うのもなんですが、分厚い資本論に挑むより、この20ページ強をおさらいするだけで資本論の基本に触れることが可能なのではないかと思います。「資本とは、増えること自体を自己目的化しており、その増殖の志向性自体を資本と言う…、資本の投下で楽になろうとしても、そのすべてをまた資本に転化しようとする実質的包摂で人はいつまでたってもそのゴールにはたどりつけず、すべてのことが消費につながることによる資本主義の内面化が昨今のSDGsとかダイバーシティの潮流に直結し…」、あとはお読みください。
第5章の「勉強という名のレジスタンス」では著者の主張が炸裂する章、と読みました。
子どもが自発的に目的意識をもって勉強するようになるなど、大人が勝手に描いた夢物語に過ぎない。勉強の意義はそれを通して子どもが親の思考の影響から距離をとることができる点にある。だから大人たちが描くストーリーから離れ、自分の価値基準で現状認識ができるよう自分をメタで見る視点を手に入れてほしい。人の役に立つために勉強する、という一般論は政府主導の実学重視の教育方針でもあるけれども、現実の世界は想像を超える偶発的なできごとの連続に対峙することであり「人の役に立つため」という限定目標では、むしろ未来の可能性を否定しかねない。勉強のもう一つの意味は、自分の日常になかった言葉と概念を知ることで抽象を扱えるようになり、周囲に組み込まれた自分から解放され思考を独立させ自由になることにある…、そんな要旨でしょうか。あとはお読みください。
哲学や思想を援用し、含蓄のあるフレーズに満ちた本書です。一般の教育論からすれば相当に異端な印象を覚えますが、文章の分かりやすさ、上手さにより腹落ちすることも事実だと思います。若年層のみならず、親世代の方にも自らを顧みる手段としてもお勧めしたい一冊です。
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君は君の人生の主役になれ (ちくまプリマー新書 412) 新書 – 2022/10/11
鳥羽 和久
(著)
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新時代の「道徳の教科書」。本書は、現代を生きる若者たちに向けた単純ならざる励ましの書である。 そして若者だけでなく、あらゆる年齢の、あらゆる状況の人々にとって励ましの書となるだろう。
千葉雅也氏推薦!
学校や家族の中でどうすれば「普通」になれるかを耳打ちする大人の中で育ったあなたは、安心を求めるばかりですでに自分独特の生き方を失っている。そんな子どもと大人が生き直すための一冊。
【目次】
第1章 学校に支配されないためのメソッド
同調圧力に負けるとき みんな一緒じゃないと許されない世界/傷つきの後に「大人になる」こと
社会に適応することで失うもの 大人の意図を汲み正解を求めようとする/生きる実感を大切にする
あなたは別に弱くないし、孤独なままに世界と繫がっている 内面化された「弱さ」/孤独なままに世界と繫がる
先生と僕 教育現場の惨状/学びは非対称な関係に依存する/親という人生最初の先生/尊敬されない学校の先生/僕の大好きな先生
第2章 自分独特の世界を生きる
あなたはもう恋をしている 他者を使用すること/共感では足りない
君もワンチャン狙ってるの? 偶然性の時代/ワンチャンという幻想/あなたは「自由」の手ごたえを知っている
ある高校の生徒会室にて 社会的包摂という新たな支配/差別があるままに他者と繫がる世界に生きている/あなたは差別と共に生きてきた
善が偽装された世界 悪を実体化する「善き人」たち/善が偽装された世界に生きるあなたへ
「自分の言葉で話す」って難しい 言葉は誰のもの?/言葉は新たな現実をつくる/自分の言葉で生きるために
第3章 親からの逃走線を確保する
あなたの人生を阻害する親という存在について 自分の不安をまき散らす親/親は真綿で首を絞めるようにあなたの生きる力を奪う/親はあなたを「別の現実」に巻き込む/親はあなたから奪い尽くす
親はいかにして親になったのか 親は自分の言葉を手放して親になった/主体性が曖昧なまま育つ子どもたち/理解のある親はあなたの抵抗力を奪う/親はいかにしてあなたに愛を伝えたのか
第4章 お金で回る世界
お金という「可能性」がほしい お金に象られた世界をサバイブする/意味を食べる人たち
生きのびるための資本論 資本による実質的包摂/みずからを生産拠点にする/複雑さに耐える/差異を利用する/資本主義的価値の内面化/差異を手段として扱うな/人間は資本に包摂される
第5章 勉強という名のレジスタンス
宿題っていったい何なん!? 宿題の初期設定がおかしい/あなたをダメにする大人のコントロール/甘い言葉をささやく大人はあなたを成長させない
「成績が伸びない」は本当か? 自分の不満を子どものせいにする親/大人のストーリーに巻き込まれる子どもたち/「成績が伸びない」あなたへ
あなたは何のために勉強するのか 人の役に立つための勉強/勉強で自己が変容する/勉強を通して自由を手にする/好きには嫌いが混じっている
将来の夢は何ですか? 大人は「やりたいこと」を選んでいるのか/自分の特性を見極め、自分の欲望を見つける/「選択」よりも目の前に没入する
千葉雅也氏推薦!
学校や家族の中でどうすれば「普通」になれるかを耳打ちする大人の中で育ったあなたは、安心を求めるばかりですでに自分独特の生き方を失っている。そんな子どもと大人が生き直すための一冊。
【目次】
第1章 学校に支配されないためのメソッド
同調圧力に負けるとき みんな一緒じゃないと許されない世界/傷つきの後に「大人になる」こと
社会に適応することで失うもの 大人の意図を汲み正解を求めようとする/生きる実感を大切にする
あなたは別に弱くないし、孤独なままに世界と繫がっている 内面化された「弱さ」/孤独なままに世界と繫がる
先生と僕 教育現場の惨状/学びは非対称な関係に依存する/親という人生最初の先生/尊敬されない学校の先生/僕の大好きな先生
第2章 自分独特の世界を生きる
あなたはもう恋をしている 他者を使用すること/共感では足りない
君もワンチャン狙ってるの? 偶然性の時代/ワンチャンという幻想/あなたは「自由」の手ごたえを知っている
ある高校の生徒会室にて 社会的包摂という新たな支配/差別があるままに他者と繫がる世界に生きている/あなたは差別と共に生きてきた
善が偽装された世界 悪を実体化する「善き人」たち/善が偽装された世界に生きるあなたへ
「自分の言葉で話す」って難しい 言葉は誰のもの?/言葉は新たな現実をつくる/自分の言葉で生きるために
第3章 親からの逃走線を確保する
あなたの人生を阻害する親という存在について 自分の不安をまき散らす親/親は真綿で首を絞めるようにあなたの生きる力を奪う/親はあなたを「別の現実」に巻き込む/親はあなたから奪い尽くす
親はいかにして親になったのか 親は自分の言葉を手放して親になった/主体性が曖昧なまま育つ子どもたち/理解のある親はあなたの抵抗力を奪う/親はいかにしてあなたに愛を伝えたのか
第4章 お金で回る世界
お金という「可能性」がほしい お金に象られた世界をサバイブする/意味を食べる人たち
生きのびるための資本論 資本による実質的包摂/みずからを生産拠点にする/複雑さに耐える/差異を利用する/資本主義的価値の内面化/差異を手段として扱うな/人間は資本に包摂される
第5章 勉強という名のレジスタンス
宿題っていったい何なん!? 宿題の初期設定がおかしい/あなたをダメにする大人のコントロール/甘い言葉をささやく大人はあなたを成長させない
「成績が伸びない」は本当か? 自分の不満を子どものせいにする親/大人のストーリーに巻き込まれる子どもたち/「成績が伸びない」あなたへ
あなたは何のために勉強するのか 人の役に立つための勉強/勉強で自己が変容する/勉強を通して自由を手にする/好きには嫌いが混じっている
将来の夢は何ですか? 大人は「やりたいこと」を選んでいるのか/自分の特性を見極め、自分の欲望を見つける/「選択」よりも目の前に没入する
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2022/10/11
- 寸法17.3 x 10.6 x 1.7 cm
- ISBN-104480684387
- ISBN-13978-4480684387
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商品の説明
著者について
鳥羽 和久(とば・かずひさ):1976年福岡生まれ。学位は文学修士(日本文学・精神分析)。大学院在学中に中学生40名を集めて学習塾を開業。現在は株式会社寺子屋ネット福岡代表取締役、唐人町寺子屋塾長、及び単位制高校「航空高校唐人町」校長として、小中高生150名余の学習指導に携わる。著書に『親子の手帖 増補版』(鳥影社)、『おやときどきこども』(ナナロク社)など。
著者について
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1976年、福岡県生まれ。専門は日本文学・精神分析。
大学院在学中に中学生40名を集めて学習塾を開業。
現在、㈱寺子屋ネット福岡代表取締役、唐人町寺子屋塾長、及び日本航空高校唐人町校校長。
教室で150名超の小中高の生徒を指導する傍ら、
とらきつね(本と文具・食品)の運営や各種イベントの企画、独自商品の開発などに携わる。
著書に『君は君の人生の主役になれ』(筑摩書房)、『親子の手帖 増補版』(鳥影社)、『おやときどきこども』(ナナロク社)、『「推し」の文化論』(晶文社)など。
連載に大和書房「僕らはこうして大人になった」、西日本新聞「こども歳時記」、筑摩書房「十代を生き延びる 安心な僕らのレジスタンス」、晶文社「旅をしても僕はそのまま」など。
教育や現代カルチャーに関する講座、講演も多数(NHKカルチャー「推しの文化論」など)。
朝日新聞EduA相談員。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年12月28日に日本でレビュー済み
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2023年4月30日に日本でレビュー済み
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私が思春期の頃に出会っていたら、違う大人になっていたかもしれない。違う人生を歩んでいたかもしれない。
そんな風に感じました。家と学校の中でせめぎ合いながら生きるサバイバーの子供達。
恋愛や勉強やお金についてもわかりやすく(かなり本当は難しいです笑)書かれていると思います。
娘の来るべき思春期にこの本をもう一冊買って、プレゼントしたい本です。
そんな風に感じました。家と学校の中でせめぎ合いながら生きるサバイバーの子供達。
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2023年4月18日に日本でレビュー済み
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確かに、こういう無自覚な毒親はいるのだろうけど「あなたの人生を阻害する親」ありきな書き方が読み進むうちに気が滅入りました。
本当は高一の息子にも読ませようと思っていましたが周りを見渡してもこんな大人それほどいないし、学校にも先生にも恵まれて大人を信用しているので何もこんな人生相談的な内容の物は読ませなくていいかなと思いました。
心当たりのある方は多分この本すら手にしない。
塾の先生として色んな親子を見て来た鳥羽和久先生の目線は貴重だとは思います。
「先生」と呼ばれる人は一読して欲しいと思います。
本当は高一の息子にも読ませようと思っていましたが周りを見渡してもこんな大人それほどいないし、学校にも先生にも恵まれて大人を信用しているので何もこんな人生相談的な内容の物は読ませなくていいかなと思いました。
心当たりのある方は多分この本すら手にしない。
塾の先生として色んな親子を見て来た鳥羽和久先生の目線は貴重だとは思います。
「先生」と呼ばれる人は一読して欲しいと思います。
2022年11月8日に日本でレビュー済み
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著者の存在はツイッターをとおして知った。小生は60歳をとっくに過ぎ70に手が届く年代の者だが、一読しての感想。とても感銘をうけた。子どもむけの本というより、「大人」が読み、これまでの半生を反芻し、新たな「生き直し」をするために格好の教材だと思う。書かれている内容はとてもレベルが高く、ほんとうの意味での哲学がそこにはある。
2022年11月19日に日本でレビュー済み
相変わらず、言葉が秀逸で痺れます。
名言の嵐です。
個人的には、
潔癖に育てようとするのは親の身勝手
自分の人生の矛盾を子どもを使って解消しようとしない
学びたいと念じることを通じてしか学べない
選ぶときには同時に選ばれなければならない
好きには嫌いが混ざっている
楽しいには苦しいが混ざっている
だからこそ実感できる
目の前のことにチマチマと取り組み、没入する
子どもの人生の邪魔さえしなければ及第点
など。。。
私が書くと、薄っぺらくて申し訳ない。
ぜひ、読破してください。
うっかり生きてきた私、中学生の頃はこの本がほぼ理解できなかったと思います(笑)
中高生にオススメですが、精神年齢の高さと読解力が必要とされそうです。
歳と共に思考も固まってきがちですが、オープンマインドで、良い親でいようと思わず、人と比べず、及第点を目指そうと思いました。
名言の嵐です。
個人的には、
潔癖に育てようとするのは親の身勝手
自分の人生の矛盾を子どもを使って解消しようとしない
学びたいと念じることを通じてしか学べない
選ぶときには同時に選ばれなければならない
好きには嫌いが混ざっている
楽しいには苦しいが混ざっている
だからこそ実感できる
目の前のことにチマチマと取り組み、没入する
子どもの人生の邪魔さえしなければ及第点
など。。。
私が書くと、薄っぺらくて申し訳ない。
ぜひ、読破してください。
うっかり生きてきた私、中学生の頃はこの本がほぼ理解できなかったと思います(笑)
中高生にオススメですが、精神年齢の高さと読解力が必要とされそうです。
歳と共に思考も固まってきがちですが、オープンマインドで、良い親でいようと思わず、人と比べず、及第点を目指そうと思いました。
2023年10月31日に日本でレビュー済み
高校で教員をしています。また2人の中高生の父です。教師として、親として、また1人の人間として今まで抱いていた疑問、モヤモヤ感が晴れていき、自分の軸ができた感がします。皆誰しも抱く人生の問に対し、確実な解決の方向性が見い出せた気がします。今後も度々繰り返し読みます。ありがとうございます。
2023年2月7日に日本でレビュー済み
私はこの本を同業の先生たちに読んでほしい。
私たちは、残念ながら子供たちを物語に沿わせる形でしか理解できない。Aはこういう子、Bはああいう子・・・(もちろん物語によるの理解が完全な理解ではないことは言うまでもないが、一旦はそういう物語で単純化して整理するしかない局面が私たちの仕事の中にはある)。だから私たちが知っている「型」は多いほどよい。そのほうが理解の精度があがる(若い先生が困難を抱えるのは、経験を積んでいないので相対的に知っている「型」が少ないからだ)。そういう物語の「型」のバリエーションを革命的に増やしてくれるのがこの本だ。
しかし、その「型」からはこぼれ落ちるものもある。どうしても説明ができないところ、どうしても理解できないところがある。(説明・理解できないところは当然あっていいのだけど)そういうこぼれ落ちるものを感受することもこの本は助けてくれる。
さらにこの本は、大人の知っている物語から子供たちが外れて歩み出すことを私たち教師が邪魔してしまうことを避けるための重要な処方箋ともなる。
私たちは、残念ながら子供たちを物語に沿わせる形でしか理解できない。Aはこういう子、Bはああいう子・・・(もちろん物語によるの理解が完全な理解ではないことは言うまでもないが、一旦はそういう物語で単純化して整理するしかない局面が私たちの仕事の中にはある)。だから私たちが知っている「型」は多いほどよい。そのほうが理解の精度があがる(若い先生が困難を抱えるのは、経験を積んでいないので相対的に知っている「型」が少ないからだ)。そういう物語の「型」のバリエーションを革命的に増やしてくれるのがこの本だ。
しかし、その「型」からはこぼれ落ちるものもある。どうしても説明ができないところ、どうしても理解できないところがある。(説明・理解できないところは当然あっていいのだけど)そういうこぼれ落ちるものを感受することもこの本は助けてくれる。
さらにこの本は、大人の知っている物語から子供たちが外れて歩み出すことを私たち教師が邪魔してしまうことを避けるための重要な処方箋ともなる。
2023年7月9日に日本でレビュー済み
ちまたには”ひどい言葉”と同じくらい、”優しい”言葉があふれています。昔から今に至るまで、いわゆる戦時中でなくても、人がどう生きたらいいか分からない混沌とした世の中です。分からない人どうしが、ぶつかってケンカして失敗して、またぶつかって。。エンドレスに続く人間関係の中で深く掘り下げて考える子供(大人)程、さらなる分からなさの泥沼にはまるのでしょう。そういう人を間近に見てきました。当時は心から共感できなかった彼ら彼女らの言葉(心からの叫び・悲鳴・疼き・痛み・苦しみetc)に、中年になって、ようやく気付けるようになりました。鳥羽和久先生の著書を読んで、子供に寄り添うって、こういうことなんだと思いました。若くして人間のさがに気付いてしまった賢い子供と、日本語が分かる大人たちに読んでほしい一冊でした。アマゾンレビューを読めば分かるように成熟度の違いで感想が分かれるとは思いますが、読後すぐに響かなくても何か引っかかりがあればいいのではないでしょうか?