あの名著「酒呑まれ」の著者にして、ノンデル文学賞最有力候補者の大竹さんの新刊が「多摩川飲み下り」だって・・・?
私の中にいろいろな妄想が走った。
南武線とか、川沿いを走る電車を乗り継いだり、土手を歩きながら渋そうな飲み屋を目指し、ハシゴ酒するのか?
それとも、スーパーやコンビニ、地元の酒屋で買った酒を、河原や土手で川の流れをBGMにしながら飲むのか?
前者であれば、学生時代二子玉周辺に住んでいたころ、ごくたまに京王線や小田急線の川沿いの駅から、新宿に戻るのが面倒で(もちろん、電車で帰ったほうが何倍も早いのだが)、とぼとぼ歩いて帰った記憶と激しく結びつく。
もっとも、学生のときは金がなくて、飲み屋に寄るなんてことは考えられなかったが。
後者であれば、高校生時代、近所の清流の、人気のない土手に寝転がり、ひねもす読書するのを愛した(が、やっぱり酒は、無し)私の趣味にぴったりだ。
ま、このことは友人から、
「そういう変わりすぎた趣味はやめなさい」
と年賀状に書かれたのだが。
とにかく、海無し県に生まれ育ち、川を愛するが故、いまもメジャーな川の土手から70メートル(不動産屋の広告による)のところに住んでいる私には心の琴線を爪弾かれる思いのタイトルだ。
予約注文をして本の到着を心待ちにする日々が過ぎた。
ついに到着し最初の方を読んでみると、
「あれ、この地震のくだり、読んだことある・・・」
よく見ると、最初の三編は既出のものだった。
あ、「古典酒場」か。
であれば、よくこの文庫本発行までこぎ着けてくれたものだ、と逆にありがたくなった。
さて、読み進めるといろんな形態の飲み下りが。
期待通り、川岸散歩酒も、土手でのんびり酒もあった〜!
そして、ますます大竹さんの筆が冴え、巧みになっている(コラム二ストにして大竹さんの大学の先輩であるK谷M彦さんも、最近の大竹さんの作品について同じようなことを述べられていた)。
ぐいぐいとその世界に引っ張り込まれる。
「飲み下り」だけに、他の著書のように深夜の終電後まで飲んでいる場面はないのだが、それがかえって清々しさを感じさせてくれる。
途中に、「ニコタマ」は苦手、と出ていたが、よく分かる(笑)。某鉄道会社が一生懸命開発しすぎて、おしゃれで活気のある街にはなったものの、渋い飲み屋が無くなっているかもしれない。私が住んでいた30年前には、そんな飲み屋がありそうな雰囲気もあったんだけどなぁ〜。
個人的なことを申し上げると、この本を手にする前日にある手術を受け、しばらく酒が飲めない体になった。
そんな状態でも読まずにいられないオータケ節。
禁酒期間が晴れたら、是非川下り酒、やってみたい。
私の近くを流れる川は、確かに川沿いに鉄道は走っているが、特に上中流部は多摩川沿いより遥かに田舎なので、飲み屋、いや、酒を売っている店がどれだけあるかは更に疑問だが、新しい生き甲斐をひとつ見つけた気持ちになった。
大竹さん、お体壊さず、これからも楽しい酒文学をよろしくお願いします。
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多摩川飲み下り (ちくま文庫 お 62-3) 文庫 – 2016/10/6
大竹 聡
(著)
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- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2016/10/6
- 寸法10.7 x 1.1 x 14.8 cm
- ISBN-104480433872
- ISBN-13978-4480433879
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2016/10/6)
- 発売日 : 2016/10/6
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 272ページ
- ISBN-10 : 4480433872
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- 寸法 : 10.7 x 1.1 x 14.8 cm
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2016年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年2月4日に日本でレビュー済み
昔から多摩川と縁が深いことと、「飲み下り」という発想に惹かれて買った。更に言うと、本屋で本書が
平積みされていたのだが、その隣の平積みが「呑めば、都」という僕の大好きな本が有ったことも
衝動買いの一つの理由である。
面白く読んだのだが、やや、あっけなく読了した。「酒を飲みながら川を下ること」に「あっけ」があるとか
ないとかもないという議論もあろう。但し、「呑めば、都」に見られたような「深い薀蓄」や「彫りのある陰影」
という面が無い。端的に言うと「健康的」過ぎるのではないかということだ。
僕自身がお酒が好きなので自己弁護的かと思うのだが、「お酒を飲むこと」の魅力には、いくばくかの「不健康さ」
というものがスパイスとしてあると僕は思っている。
勿論健康的な飲み会というものはいくらでもある。明るく楽しい飲み会はいつでも良いものだ。それでもやや酔い
が廻る中で、例えば「酔生夢死」というような言葉がふと頭を横切る人は案外多い気がする。昔の人なら
「おもしろうて やがてかなしき」とでも表現したのかもしれない。
というような余韻が、本書に見られない。端的に言うと「おもしろうて、まだおもしろき」というような雰囲気
で、のしのしと多摩川を下っている姿が目に浮かんだしまうからだ。勿論、飲みながら川を下ろうと思いつく
ような著者が、陰影を抱えていないはずはない。むしろ、人一倍何か言いたいことがあったに違いない。
そこを、もう少し行間に滲ませてほしかったということである。それだけといえばそれだけだ。
僕も一人で飲みに行くことが好きである。特に、今暮らしている国立市には、一人飲みが似合う飲み屋が
いくつかある。本書でもMという名前で登場している店もその一つだ。一人飲みの楽しさは周りの一人飲みの方
を見る面白さにもある。「おもしろうて、やがて悲しき鵜飼かな」とは芭蕉の一句だ。考えて観ると
一人で飲んでいる人は、一羽の鵜に、似てなくもない。
平積みされていたのだが、その隣の平積みが「呑めば、都」という僕の大好きな本が有ったことも
衝動買いの一つの理由である。
面白く読んだのだが、やや、あっけなく読了した。「酒を飲みながら川を下ること」に「あっけ」があるとか
ないとかもないという議論もあろう。但し、「呑めば、都」に見られたような「深い薀蓄」や「彫りのある陰影」
という面が無い。端的に言うと「健康的」過ぎるのではないかということだ。
僕自身がお酒が好きなので自己弁護的かと思うのだが、「お酒を飲むこと」の魅力には、いくばくかの「不健康さ」
というものがスパイスとしてあると僕は思っている。
勿論健康的な飲み会というものはいくらでもある。明るく楽しい飲み会はいつでも良いものだ。それでもやや酔い
が廻る中で、例えば「酔生夢死」というような言葉がふと頭を横切る人は案外多い気がする。昔の人なら
「おもしろうて やがてかなしき」とでも表現したのかもしれない。
というような余韻が、本書に見られない。端的に言うと「おもしろうて、まだおもしろき」というような雰囲気
で、のしのしと多摩川を下っている姿が目に浮かんだしまうからだ。勿論、飲みながら川を下ろうと思いつく
ような著者が、陰影を抱えていないはずはない。むしろ、人一倍何か言いたいことがあったに違いない。
そこを、もう少し行間に滲ませてほしかったということである。それだけといえばそれだけだ。
僕も一人で飲みに行くことが好きである。特に、今暮らしている国立市には、一人飲みが似合う飲み屋が
いくつかある。本書でもMという名前で登場している店もその一つだ。一人飲みの楽しさは周りの一人飲みの方
を見る面白さにもある。「おもしろうて、やがて悲しき鵜飼かな」とは芭蕉の一句だ。考えて観ると
一人で飲んでいる人は、一羽の鵜に、似てなくもない。
2019年4月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
中央線ホッピーマラソンに比べて、飲み屋の中より、飲み屋に入るまでの記述が少し多いのではないでしょうか。
お酒を飲む話といえばそれまでですが、多摩川沿いを散策しながら、あるときはお店で、別のときは川原で、おいしいお酒が飲める場所を探す様子を楽しく読ませていただきました。
お酒を飲む話といえばそれまでですが、多摩川沿いを散策しながら、あるときはお店で、別のときは川原で、おいしいお酒が飲める場所を探す様子を楽しく読ませていただきました。