古代、中世、近世と絵画やレリーフにみられる空間とモノの
描かれ方を分析し、パースペクティブ=世界の把握の方法が
どのように遷移してきたかをあとづけたあまりに有名な論考。
「近世の均質的透過的空間」や「風景」といったことが議論
されるときには、ふれられることも多く、かなり以前から論
文の存在と議論のアウトラインだけ間接的には知っていた
(すでになんとなく読んだ気になっていた感すらある)。
それ自身が文庫化された意義は大きいと思う。
その考え方を知る前と後とでは、世界の見方が変わってみえ
る1冊。
初めて知る方には、是非おすすめする。
物理的、構造的にカメラの比喩で語られることの多かった
視覚について論じた部分は、画法やイコン分析を超えて、
身体的な意味論や脳科学にも通しる視覚認識における可塑性
を論じており興味深い。というより、見えるものをそのまま
みている、ということへの明らかな懐疑から、遠近法を「象
徴形式」として論じる。
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〈象徴形式〉としての遠近法 (ちくま学芸文庫 ハ 19-4) 文庫 – 2009/2/10
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- 本の長さ235ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2009/2/10
- ISBN-104480091688
- ISBN-13978-4480091680
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2009/2/10)
- 発売日 : 2009/2/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 235ページ
- ISBN-10 : 4480091688
- ISBN-13 : 978-4480091680
- Amazon 売れ筋ランキング: - 89,988位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 91位ドイツ・オーストリアの思想
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- - 303位ちくま学芸文庫
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上位レビュー、対象国: 日本
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2009年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2018年5月29日に日本でレビュー済み
芸術作品には、その国の特徴や世界観が凝集されている。歴史や文化の「象徴(シンボル)」として芸術作品を読み解く、美術史家のパノフスキーが「平面遠近法」という絵画技法が生み出された背景に、近世ヨーロッパの“科学と数学への志向”があったことを説明した本。
遠近法といえば、“遠くのものが小さく見え、近くにあるものが大きく見える”という目に映った通りの景色や物や人を、キャンバスなどの「平面」に描き出す絵画技法である。この遠近法が「象徴」しているのは、ヨーロッパ人の“「空間」に対する感覚”だ、とパノフスキーはいう。ヨーロッパの遠近法は、「古代(ギリシア・ローマ)の曲面遠近法、中世におけるその解体、ルネサンス期の平面遠近法の成立」という変遷を経てきたが、それに伴ってヨーロッパ人の“宇宙をも含めた自然世界”に対する感覚も変化していったのである。
ヨーロッパ人にとっての「空間」は、古代ギリシア・ローマでは「(空っぽの)容器(に、山や樹木や建物が置かれているもの)」であり、キリスト教の信仰が盛んな中世では「(神の)微細な光(に満たされたもの)」となり、さらに大航海時代の始まる近世・近代では「(測定可能な)数学的空間」というふうに変化した。
古代の「曲面遠近法」は、「視角」の遠近法だった。近世・近代の「平面遠近法」が“「距離」によって、目に見えるものの大きさが違って見える”ことを気にする「距離」による遠近法だとすると、古代の場合は“「距離」によって、目に見えるものの大きさが違って見える”ことには、もちろん気がついているけれど、それ以上に“視野の左右の両端は細く小さく見えて、視野の真ん中は太く大きく見える”ことを気にする「視角」の遠近法だった。これは、近世・近代の「平面遠近法」に馴染んでいる現代人には奇妙なものに思える。しかし、眼球に映し出された「網膜像」を実際に人間が見ている以上、凸面鏡(よりは、ずっと緩やかな曲線であるが)の映像のような、古代の「曲面遠近法」の理論が間違っている、というわけではない。ただ、この「曲面遠近法」は、風景を一定の比率で縮尺して、絵画として「平面」に描くには不完全な技法であった。とはいえ古代人にとっては、どちらかというと絵画芸術よりも、彫刻や建築などの「立体芸術」のほうに関心が高かったため、絵画に対してはそれほど厳密な規則性を求めてはいなかった。
そして、ビザンチン芸術や中世芸術の頃になると、“神の「微細な光」に満たされた「均質な」空間”という世界観が広がり、遠近法的表現には、それほど関心を示さなくなる。そのため、絵画や壁画は、奥行を感じさせない平面的な描写がなされるようになった。ここで、絵画技法は退化したように見えるが、パノフスキーは“古代の「空間」に対する感覚を捨て去った中世の過程こそが、後の「平面遠近法」の成立に大きな影響を与えた”ことを指摘する。中世の“神の「微細な光」に満たされた「均質な」空間”は、近世の科学と学問の発達に伴って、“数学によって計測可能な「均質な」空間”に取って代わったのである。そのような社会の動きと連動して、立面図(ヨコから見た図)と平面図(ウエから見た図)を一致させて描写ができる「平面遠近法(線遠近法)」が、ルネサンス期に(誰が最初の考案者かは、分かっていないが)開発されたのである。
「平面遠近法」は、空間を「数学化」し「合理化」することによって、古代の「曲面遠近法」のような“人間の感覚”や中世の“宗教”などを切り捨てた。しかし一方では、空間を「均質な」座標軸で分割して図形や物体を描く技法から、「平面幾何学」という新しいジャンルの数学を生み出すきっかけを作ったのであった。
このような、パノフスキーの遠近法に対する考察を読んでいると、「平面遠近法」を習得したヨーロッパの画家たちが、北斎や広重の風景画にどれほどの衝撃を受けたのか、が何となく想像できる。正確な「平面遠近法」の技法には沿っていなくても、人間の“印象や心理”に則った(人間は、実際には写真機のように風景を見ていない。精神状態や興味や注意などが、視像に反映されている)技法を駆使することで可能にした、“的確な視覚表現の絵画世界”が東洋にも等しくあったのである。
遠近法といえば、“遠くのものが小さく見え、近くにあるものが大きく見える”という目に映った通りの景色や物や人を、キャンバスなどの「平面」に描き出す絵画技法である。この遠近法が「象徴」しているのは、ヨーロッパ人の“「空間」に対する感覚”だ、とパノフスキーはいう。ヨーロッパの遠近法は、「古代(ギリシア・ローマ)の曲面遠近法、中世におけるその解体、ルネサンス期の平面遠近法の成立」という変遷を経てきたが、それに伴ってヨーロッパ人の“宇宙をも含めた自然世界”に対する感覚も変化していったのである。
ヨーロッパ人にとっての「空間」は、古代ギリシア・ローマでは「(空っぽの)容器(に、山や樹木や建物が置かれているもの)」であり、キリスト教の信仰が盛んな中世では「(神の)微細な光(に満たされたもの)」となり、さらに大航海時代の始まる近世・近代では「(測定可能な)数学的空間」というふうに変化した。
古代の「曲面遠近法」は、「視角」の遠近法だった。近世・近代の「平面遠近法」が“「距離」によって、目に見えるものの大きさが違って見える”ことを気にする「距離」による遠近法だとすると、古代の場合は“「距離」によって、目に見えるものの大きさが違って見える”ことには、もちろん気がついているけれど、それ以上に“視野の左右の両端は細く小さく見えて、視野の真ん中は太く大きく見える”ことを気にする「視角」の遠近法だった。これは、近世・近代の「平面遠近法」に馴染んでいる現代人には奇妙なものに思える。しかし、眼球に映し出された「網膜像」を実際に人間が見ている以上、凸面鏡(よりは、ずっと緩やかな曲線であるが)の映像のような、古代の「曲面遠近法」の理論が間違っている、というわけではない。ただ、この「曲面遠近法」は、風景を一定の比率で縮尺して、絵画として「平面」に描くには不完全な技法であった。とはいえ古代人にとっては、どちらかというと絵画芸術よりも、彫刻や建築などの「立体芸術」のほうに関心が高かったため、絵画に対してはそれほど厳密な規則性を求めてはいなかった。
そして、ビザンチン芸術や中世芸術の頃になると、“神の「微細な光」に満たされた「均質な」空間”という世界観が広がり、遠近法的表現には、それほど関心を示さなくなる。そのため、絵画や壁画は、奥行を感じさせない平面的な描写がなされるようになった。ここで、絵画技法は退化したように見えるが、パノフスキーは“古代の「空間」に対する感覚を捨て去った中世の過程こそが、後の「平面遠近法」の成立に大きな影響を与えた”ことを指摘する。中世の“神の「微細な光」に満たされた「均質な」空間”は、近世の科学と学問の発達に伴って、“数学によって計測可能な「均質な」空間”に取って代わったのである。そのような社会の動きと連動して、立面図(ヨコから見た図)と平面図(ウエから見た図)を一致させて描写ができる「平面遠近法(線遠近法)」が、ルネサンス期に(誰が最初の考案者かは、分かっていないが)開発されたのである。
「平面遠近法」は、空間を「数学化」し「合理化」することによって、古代の「曲面遠近法」のような“人間の感覚”や中世の“宗教”などを切り捨てた。しかし一方では、空間を「均質な」座標軸で分割して図形や物体を描く技法から、「平面幾何学」という新しいジャンルの数学を生み出すきっかけを作ったのであった。
このような、パノフスキーの遠近法に対する考察を読んでいると、「平面遠近法」を習得したヨーロッパの画家たちが、北斎や広重の風景画にどれほどの衝撃を受けたのか、が何となく想像できる。正確な「平面遠近法」の技法には沿っていなくても、人間の“印象や心理”に則った(人間は、実際には写真機のように風景を見ていない。精神状態や興味や注意などが、視像に反映されている)技法を駆使することで可能にした、“的確な視覚表現の絵画世界”が東洋にも等しくあったのである。
2012年12月12日に日本でレビュー済み
■「遠近法」という方法は、「権力」の論理的な表現方法として編み出されたものであることが理解できる。
宗教的権威、宗教的合理、宗教的科学、これらを、美学的な完成で再構築する際に、
「遠近法」という強調表現法は、それがプロパガンダ的デフォルメ機能があるにもかかわらず、
それを優美に隠匿して余りある美的感性を誘引する魔力がある。
人間の眼球=視覚構造の補完として、眼球の快楽中枢を刺激し、その身体性に融和、浸潤し、中毒的魔力すらある「遠近法」。
時の権力、権威は、すべからく、この遠近法を、多くの人々の権威と美学の名のもとに統治の技術として用いた。
方法から読み解く美学の好著です。
宗教的権威、宗教的合理、宗教的科学、これらを、美学的な完成で再構築する際に、
「遠近法」という強調表現法は、それがプロパガンダ的デフォルメ機能があるにもかかわらず、
それを優美に隠匿して余りある美的感性を誘引する魔力がある。
人間の眼球=視覚構造の補完として、眼球の快楽中枢を刺激し、その身体性に融和、浸潤し、中毒的魔力すらある「遠近法」。
時の権力、権威は、すべからく、この遠近法を、多くの人々の権威と美学の名のもとに統治の技術として用いた。
方法から読み解く美学の好著です。
2010年7月5日に日本でレビュー済み
幾何学的、あるいは数学的に追究された遠近法と人間の視覚に写るそれとは似て非なるものであることは古来から言及されてきた。人間の網膜自体が球状である限り、平面に描かれる直線は両端で湾曲して見えてしまう。また厄介なことに人間の脳の生理的、心理的な欲求によっても視覚に写る映像は変化しうる。こうした現象を矯正するためにギリシャ、ローマ時代から絵画や建築の分野において様々な工夫がなされてきた。その後のルネサンス期のアーティスト達の遠近法論争はそうした理論と視覚の整合性を求めたディレンマの産物であったことが理解できる。それ故に著者は遠近法を象徴形式のひとつとして捉えているのだ。
本文は78ページほどだが、注釈が107ページ、そして白黒の写真図版が17ページあり、読み進める際にどうしても後半にまとめてある注と図版を首っ引きにしないと、とても理解できる内容ではない。この為に多少不便さを感じるけれど、書かれてある事柄は非常に高度で冷静な研究に基づくもので啓発的であり、また強い説得力を持っている。
本文は78ページほどだが、注釈が107ページ、そして白黒の写真図版が17ページあり、読み進める際にどうしても後半にまとめてある注と図版を首っ引きにしないと、とても理解できる内容ではない。この為に多少不便さを感じるけれど、書かれてある事柄は非常に高度で冷静な研究に基づくもので啓発的であり、また強い説得力を持っている。