第2巻の対象範囲は前1世紀から後6世紀まで。
となると当然に宗教と哲学の関係が焦点となり、ごく一部の章を除き、ほぼ宗教を正面に据えた章ばかりが並ぶ。
既に目次はシリーズ開始時に予告されているので、このような構成になることは既知であったが、実際読むと、「これ、世界哲学史はどこへいったのか?」「この巻は宗教史の巻では?」と首をかしげたくなるというもの。
特に第6章「仏教と儒教の論争」のあたりまでは個人的に理解が困難な章が並び、「これじゃない」感が満載であった。
しかし、マニ教とゾロアスター教を扱った第7章以降、リーダブルな章が続き、結局最後は納得感を持って読了した。思うに、第7章から第10章までは各担当者があまり「世界哲学史」に引っ張られずに、与えられたテーマの中で書きたいことを自由に書いたということなのではないだろうか。
徐々に個別テーマの各担当者の本領が発揮され始め、さながら暖機運転が完了したかのような印象を残す第2巻であった。第3巻以降の期待感が高まる。
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世界哲学史2――古代II 世界哲学の成立と展開 (ちくま新書) 新書 – 2020/2/6
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キリスト教、仏教、儒教、ゾロアスター教、マニ教などの宗教的思考を哲学史の観点から領域横断的に検討。「善悪と超越」をテーマに、宗教的思索の起源に迫る。
【目次】
第1章 哲学の世界化と制度・伝統 納富信留
第2章 ローマに入った哲学 近藤智彦
第3章 キリスト教の成立 戸田 聡
第4章 大乗仏教の成立 下田正弘
第5章 古典中国の成立 渡邉義浩
第6章 仏教と儒教の論争 中島隆博
第7章 ゾロアスター教とマニ教 青木 健
第8章 プラトン主義の伝統 西村洋平
第9章 東方教父の伝統 土橋茂樹
第10章 ラテン教父とアウグスティヌス 出村和彦
コラム1 アレクサンドリア文献学 出村みや子
コラム2 ユリアヌスの「生きられた哲学」 中西恭子
コラム3 ジョゼフ・ニーダムの見いだしたこと 塚原東吾
【目次】
第1章 哲学の世界化と制度・伝統 納富信留
第2章 ローマに入った哲学 近藤智彦
第3章 キリスト教の成立 戸田 聡
第4章 大乗仏教の成立 下田正弘
第5章 古典中国の成立 渡邉義浩
第6章 仏教と儒教の論争 中島隆博
第7章 ゾロアスター教とマニ教 青木 健
第8章 プラトン主義の伝統 西村洋平
第9章 東方教父の伝統 土橋茂樹
第10章 ラテン教父とアウグスティヌス 出村和彦
コラム1 アレクサンドリア文献学 出村みや子
コラム2 ユリアヌスの「生きられた哲学」 中西恭子
コラム3 ジョゼフ・ニーダムの見いだしたこと 塚原東吾
- 本の長さ284ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2020/2/6
- 寸法10.8 x 1.4 x 17.5 cm
- ISBN-104480072926
- ISBN-13978-4480072924
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世界哲学史 全8巻+別巻セット | 世界哲学史1 | 世界哲学史3 | |
カスタマーレビュー |
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価格 | ¥9,361¥9,361 | ¥1,034¥1,034 | ¥968¥968 |
内容の紹介 | 古代から現代まで世界哲学史を一望に収めた、空前絶後の超大型シリーズ。 全8巻+別巻の9冊セットを特別美麗ケースに入れてお届けいたします。 | 人類は文明の始まりに世界と魂をどう考えたのか。古代オリエント、旧約聖書世界、ギリシアから、中国、インドまで、世界哲学が立ち現れた場に多角的に迫る。 | 七世紀から一二世紀まで、ヨーロッパ、ビザンツ、イスラーム世界、中国やインド、そして日本の多様な形而上学の発展を、相互の豊かな関わりのなかで論じていく。 |
商品の説明
出版社からのコメント
キリスト教、仏教、儒教、ゾロアスター教、マニ教などの宗教的思考を哲学史の観点から領域横断的に検討。「善悪と超越」をテーマに、宗教的思索の起源に迫る。
【目次】
第1章 哲学の世界化と制度・伝統 納富信留
第2章 ローマに入った哲学 近藤智彦
第3章 キリスト教の成立 戸田 聡
第4章 大乗仏教の成立 下田正弘
第5章 古典中国の成立 渡邉義浩
第6章 仏教と儒教の論争 中島隆博
第7章 ゾロアスター教とマニ教 青木 健
第8章 プラトン主義の伝統 西村洋平
第9章 東方教父の伝統 土橋茂樹
第10章 ラテン教父とアウグスティヌス 出村和彦
コラム1 アレクサンドリア文献学 出村みや子
コラム2 ユリアヌスの「生きられた哲学」 中西恭子
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【目次】
第1章 哲学の世界化と制度・伝統 納富信留
第2章 ローマに入った哲学 近藤智彦
第3章 キリスト教の成立 戸田 聡
第4章 大乗仏教の成立 下田正弘
第5章 古典中国の成立 渡邉義浩
第6章 仏教と儒教の論争 中島隆博
第7章 ゾロアスター教とマニ教 青木 健
第8章 プラトン主義の伝統 西村洋平
第9章 東方教父の伝統 土橋茂樹
第10章 ラテン教父とアウグスティヌス 出村和彦
コラム1 アレクサンドリア文献学 出村みや子
コラム2 ユリアヌスの「生きられた哲学」 中西恭子
コラム3 ジョゼフ・ニーダムの見いだしたこと 塚原東吾
著者について
1949年生まれ。京都大学名誉教授・龍谷大学教授
1957年生まれ。慶應義塾大学教授
1964年生まれ。東京大学教授
1965年生まれ。東京大学教授
1957年生まれ。慶應義塾大学教授
1964年生まれ。東京大学教授
1965年生まれ。東京大学教授
著者について
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1949(昭和24)年、神奈川県に生まれる。京都大学大学院博士課程修了。85年『パースのプラグマティズム』により文学博士。91年同大学文学部助教授。95年同大学大学院文学研究科教授(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『物語 哲学の歴史 - 自分と世界を考えるために (ISBN-10: 4121021878)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年2月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「哲学史を個別の地域や時代や伝統から解放して「世界化」する試み」である『世界哲学史』の第2巻古代2。範囲は前1世紀から後6世紀まで。
本巻ではキリスト教、仏教、マニ教等が本格的に登場するため、哲学と宗教との関係が問題となるが、第1章(納富信留)は「哲学は・・神や超越的な次元を論じないという意味では決してない」とし、「哲学を宗教と対立する営み、あるいは神や超越に訴えない合理論とみなすことは歴史的にも間違っている」(22頁)とする。
概略
全10章で、一人1章の分担執筆となっている。
1哲学の世界化と制度・伝統、2ローマに入った哲学、3キリスト教の成立、4大乗仏教の成立、5古典中国の成立、6仏教と儒教の論争、7ゾロアスター教とマニ教、8プラトン主義の伝統、9東方教父の伝統、10ラテン教父とアウグスティヌス。
私的感想
〇どの章の執筆者も、その分野の専門家であり、テーマの範囲内で、自由に執筆されていると思う。結果は、第2巻と比べると、難易度にばらつきがあり、東洋哲学の章の方が、西洋哲学より難しくなっている感がある。理由を考えてみると、①西洋哲学史の方が読み慣れている、②合理性の差??の問題?、③世界哲学史の中で、仏教、儒教を哲学的に論じるという課題が重い、④執筆者の個性・・・結局①④が主原因かな。なお、難しいから悪いということでは決してない。また、7ゾロアスター教とマニ教は、執筆者がこれまでに出した一般本同様に大変読みやすい。
〇1哲学の世界化と制度・・中国でも、西洋同様に教育制度があり、大学に相当する書院では特定のテーマを討議する教育が採用されていた。政治的な力を持っていた点、神を祭って祭祀を捧げる場であった点でもアテナイの学校に似ている➡️なるほど。一民族の宗教が世界宗教になるには、「翻訳」の役割が大きい➡️そうですね。
〇2ローマに入った哲学・・とてもよい。①心の平静のための引きこもり、②実践偏重で理論なし、③独創性なしというローマ哲学への紋切り型非難に対する誠実な反論。読みましょう。
〇3キリスト教の成立・・約25頁の中で、大変律儀に全面展開し、課題をこなしている。
一、哲学史の中の古代キリスト教、二、キリスト教のギリシャ化、三、教義少史、四、「哲学」としてのキリスト教という展開。
〇4大乗仏教の成立・・これは難しい。「大乗仏教の成立」問題、大乗仏教の独自教団の存在が確認できないことの実証。そこまでは良いが、その後が大変。なお、決して面白くないということではない。
〇5古典中国の成立・・後漢における儒教国教化の完成。中公新書「漢帝国」の著者の執筆。新書同様に難しい。
〇6仏教と儒教の論争・・南朝での神滅不滅論争。難しい議論を分かりやすく解説。
〇7ゾロアスター教とマニ教・・上述の通り。マニ教が世界哲学史に入ったのはうれしい。
〇8プラトン主義の伝統・・面白い。ほとんど宗教化したプラトン主義。
〇9東方教父の伝統・・ちょっと難しいが、面白い。自然世界を超越した一なる神が、どのようにして、多なる世界で働いて、万物を創造することができたのか。その難問の解決。
〇10ラテン教父とアウグスティヌス・・最後はおなじみのアウグスティヌス。マニ教再登場。
私的結論
〇第2巻も快調であった。
〇第3巻も期待できそう。
本巻ではキリスト教、仏教、マニ教等が本格的に登場するため、哲学と宗教との関係が問題となるが、第1章(納富信留)は「哲学は・・神や超越的な次元を論じないという意味では決してない」とし、「哲学を宗教と対立する営み、あるいは神や超越に訴えない合理論とみなすことは歴史的にも間違っている」(22頁)とする。
概略
全10章で、一人1章の分担執筆となっている。
1哲学の世界化と制度・伝統、2ローマに入った哲学、3キリスト教の成立、4大乗仏教の成立、5古典中国の成立、6仏教と儒教の論争、7ゾロアスター教とマニ教、8プラトン主義の伝統、9東方教父の伝統、10ラテン教父とアウグスティヌス。
私的感想
〇どの章の執筆者も、その分野の専門家であり、テーマの範囲内で、自由に執筆されていると思う。結果は、第2巻と比べると、難易度にばらつきがあり、東洋哲学の章の方が、西洋哲学より難しくなっている感がある。理由を考えてみると、①西洋哲学史の方が読み慣れている、②合理性の差??の問題?、③世界哲学史の中で、仏教、儒教を哲学的に論じるという課題が重い、④執筆者の個性・・・結局①④が主原因かな。なお、難しいから悪いということでは決してない。また、7ゾロアスター教とマニ教は、執筆者がこれまでに出した一般本同様に大変読みやすい。
〇1哲学の世界化と制度・・中国でも、西洋同様に教育制度があり、大学に相当する書院では特定のテーマを討議する教育が採用されていた。政治的な力を持っていた点、神を祭って祭祀を捧げる場であった点でもアテナイの学校に似ている➡️なるほど。一民族の宗教が世界宗教になるには、「翻訳」の役割が大きい➡️そうですね。
〇2ローマに入った哲学・・とてもよい。①心の平静のための引きこもり、②実践偏重で理論なし、③独創性なしというローマ哲学への紋切り型非難に対する誠実な反論。読みましょう。
〇3キリスト教の成立・・約25頁の中で、大変律儀に全面展開し、課題をこなしている。
一、哲学史の中の古代キリスト教、二、キリスト教のギリシャ化、三、教義少史、四、「哲学」としてのキリスト教という展開。
〇4大乗仏教の成立・・これは難しい。「大乗仏教の成立」問題、大乗仏教の独自教団の存在が確認できないことの実証。そこまでは良いが、その後が大変。なお、決して面白くないということではない。
〇5古典中国の成立・・後漢における儒教国教化の完成。中公新書「漢帝国」の著者の執筆。新書同様に難しい。
〇6仏教と儒教の論争・・南朝での神滅不滅論争。難しい議論を分かりやすく解説。
〇7ゾロアスター教とマニ教・・上述の通り。マニ教が世界哲学史に入ったのはうれしい。
〇8プラトン主義の伝統・・面白い。ほとんど宗教化したプラトン主義。
〇9東方教父の伝統・・ちょっと難しいが、面白い。自然世界を超越した一なる神が、どのようにして、多なる世界で働いて、万物を創造することができたのか。その難問の解決。
〇10ラテン教父とアウグスティヌス・・最後はおなじみのアウグスティヌス。マニ教再登場。
私的結論
〇第2巻も快調であった。
〇第3巻も期待できそう。
2020年2月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第2巻は「善悪と超越」がテーマということだが、宗教の衣を着ていてもその中に哲学を見いだすことは可能だ。宗教だから哲学ではないということではなく、儒教・仏教・マニ教などに関する記述もキリスト教関連の記事と同じく興味深いものであった。(個人的には儒教が政治的影響力を増すために変化したこと、新プラトン主義など)一方で、今回は世界哲学という割には有機的な視点というよりも個々のアイテムの解説の性格が目立ち、当時の政治状況も大いに絡むことから歴史の教科書的な印象が(1巻に比し)やや強いと思う。
2022年3月24日に日本でレビュー済み
「世界哲学史」シリーズのこの第2巻では、古代Ⅱとして、宗教的思索の起源を扱っている。総論の後、ローマに入った哲学、キリスト教、大乗仏教、古典中国(諸子百家の時代)、ゾロアスター教・マニ教、プラトン主義、東方教父、ラテン教父がそれぞれ解説される。各論に入ると従来型の縦割り記述が目立ち、本シリーズの意図「人類の営みを新たな視野から再構築すること」(「はじめに」)が達成されているとは、残念ながら思えない。
ところで、本書のどこにも宗教・思想・哲学の違いや共通性が明確にされてない。評者は、
宗教-思想-哲学の共通性と違いは、パトス(感情・非合理性)-ロゴス(論理・合理性)の軸を設定することで理解しやすくなるのではないか、と考えている。200万年前に人類が誕生してから、長い時間をかけて、脳が進化してきた。その際に最初に発達した機能の一つは感情(情動)、ついで理性であろう。画期的出来事は人類が抽象的なシンボルを扱えるようになり、また言語が生まれたことである。最初期の人類は、自然の偉大さや脅威の中から超越者への信仰が生まれ、それはパトスで表現されたに違いない。
人類の認知能力が発達し、「死そのものへの恐怖」や「死後の世界への恐怖」などが生まれると、超越者への信仰は宗教へと転化する。教祖が存在する宗教(ユダヤ教・キリスト教や仏教)においては、教祖(モーセ、イエスやブッダ)の言行は極めて素朴でありパトス主体の表現で人々を感動させ、信仰(救い)や悟りに向けた修行に向かわせたのである。本書のキリスト教や大乗仏教の歴史を参照するると、原始教団が教祖亡き後、その言行を文字で記録し始めた時期こそが、宗教から思想・哲学が誕生した瞬間と考えられる。「書くこと」を通じて信徒の頭の中でロゴス機能が猛烈に働き始め、教祖の説いた内容を論理化し、あるいは教祖を神格化し、また他宗に対する優位性を獲得するための「神話」や「論理」を追加することが行われた。こうして、「聖書」や「経典」という宗教・思想・哲学の混合体がうまれたのである。言い換えると、「すべての思想・哲学は宗教から生まれた」のである。
宗教は大部分がパトス、思想はロゴスとパトスが混在、哲学は大部分がロゴスで成り立っていると考えると、宗教・思想・哲学の境界はさほど明確ではない。一方では、哲学を「西洋哲学」に限定すれば、「江戸期以前には日本では哲学はなかった」(藤田正勝著『日本哲学史』)という考えも成り立つのである。宗教に、仏教やキリスト教だけでなく、マルクス主義や資本主義のような「イデオロギー宗教」も含めて考えれば、宗教・思想・哲学の境界をいたずらに厳密にすることは、無駄というより弊害の方が大きく、かえって重要なことを見逃す。現在においても、宗教・思想・哲学の境界は柔軟に考える方が知的により生産的ではないだろうか。
近年は分析哲学の隆盛に見られるように、哲学が徹底して論理化してロゴスの塊(論理学化)となった。現在の哲学は、上記の「始原の哲学」の姿からほど遠く、人間の根本課題(「人生とは何か」、「良く生きるとはどういうことか」、「死ぬとは何か」、「死後の世界はあるのか」等々)から遠く離れたようである。このことに対して、一般の人々が「哲学は専門家だけの絵空事」と考えるのもやむを得ない。本書が議論した「すべての思想・哲学は宗教から生まれた」ことを参考にして、今こそ「豊饒な哲学」を回復する時期ではないだろうか。本シリーズの今後の展開に期待したい。
ところで、本書のどこにも宗教・思想・哲学の違いや共通性が明確にされてない。評者は、
宗教-思想-哲学の共通性と違いは、パトス(感情・非合理性)-ロゴス(論理・合理性)の軸を設定することで理解しやすくなるのではないか、と考えている。200万年前に人類が誕生してから、長い時間をかけて、脳が進化してきた。その際に最初に発達した機能の一つは感情(情動)、ついで理性であろう。画期的出来事は人類が抽象的なシンボルを扱えるようになり、また言語が生まれたことである。最初期の人類は、自然の偉大さや脅威の中から超越者への信仰が生まれ、それはパトスで表現されたに違いない。
人類の認知能力が発達し、「死そのものへの恐怖」や「死後の世界への恐怖」などが生まれると、超越者への信仰は宗教へと転化する。教祖が存在する宗教(ユダヤ教・キリスト教や仏教)においては、教祖(モーセ、イエスやブッダ)の言行は極めて素朴でありパトス主体の表現で人々を感動させ、信仰(救い)や悟りに向けた修行に向かわせたのである。本書のキリスト教や大乗仏教の歴史を参照するると、原始教団が教祖亡き後、その言行を文字で記録し始めた時期こそが、宗教から思想・哲学が誕生した瞬間と考えられる。「書くこと」を通じて信徒の頭の中でロゴス機能が猛烈に働き始め、教祖の説いた内容を論理化し、あるいは教祖を神格化し、また他宗に対する優位性を獲得するための「神話」や「論理」を追加することが行われた。こうして、「聖書」や「経典」という宗教・思想・哲学の混合体がうまれたのである。言い換えると、「すべての思想・哲学は宗教から生まれた」のである。
宗教は大部分がパトス、思想はロゴスとパトスが混在、哲学は大部分がロゴスで成り立っていると考えると、宗教・思想・哲学の境界はさほど明確ではない。一方では、哲学を「西洋哲学」に限定すれば、「江戸期以前には日本では哲学はなかった」(藤田正勝著『日本哲学史』)という考えも成り立つのである。宗教に、仏教やキリスト教だけでなく、マルクス主義や資本主義のような「イデオロギー宗教」も含めて考えれば、宗教・思想・哲学の境界をいたずらに厳密にすることは、無駄というより弊害の方が大きく、かえって重要なことを見逃す。現在においても、宗教・思想・哲学の境界は柔軟に考える方が知的により生産的ではないだろうか。
近年は分析哲学の隆盛に見られるように、哲学が徹底して論理化してロゴスの塊(論理学化)となった。現在の哲学は、上記の「始原の哲学」の姿からほど遠く、人間の根本課題(「人生とは何か」、「良く生きるとはどういうことか」、「死ぬとは何か」、「死後の世界はあるのか」等々)から遠く離れたようである。このことに対して、一般の人々が「哲学は専門家だけの絵空事」と考えるのもやむを得ない。本書が議論した「すべての思想・哲学は宗教から生まれた」ことを参考にして、今こそ「豊饒な哲学」を回復する時期ではないだろうか。本シリーズの今後の展開に期待したい。
2020年7月12日に日本でレビュー済み
シロウトにとっては難しい、あるいは、なんでそこまで議論するのかよくわからないレベルの話が多い。もはや「わからなくても読み続ける」ことで何が得られるかという方針で読んでいる。新書なのに想定読者がよくわからないシリーズ。Amazonのレビューがやたらプロっぽいレビューばかりで一般読書人の参入を阻んでいるように感じる。
第2巻では「古典時代」、中国では「漢」、西洋では「ギリシャ・ローマ」あたり。となると、中国を含めた東洋では仏教と儒教、西洋ではキリスト教がメインテーマ。あれ、それでは宗教史じゃないか・・とも思うが、もともと仏教・儒教は「神」を想定というよりも、生き方を説く哲学の色彩が強い。
キリスト教やその周辺宗教ではこの時代は「神の存在」は自明のことのようだ。その自明さのための三位一体などの理論づくり・・などなど。もちろん、そんな宗教に根差した哲学観からこの先の中世以後の哲学的見方が生まれていくわけだから、歴史的な展開としては興味深い。
シロウトが驚くのは全10章の細分化されたテーマそれぞれに「日本人の専門家」が存在すること。その研究はおそらくすばらしいものなのなのだろうし、それを日本語で読めることはありがたい・・・。
しかし、多くの項目が(こう言っては怒られるだろうが)科学の時代を生きてきた自分にとっては「すでに無意味だよね~」と感じてしまう(それがいわゆる科学的世界観?)。しかし、おそらく普遍的・超越的世界観の超越者はまずは「神」だったのだろう。「神」が「科学」に置き換わり、さらにその世界観そのものも解体されていくんですよね、この先・・・多分。
哲学の歴史と考えずに、歴史の勉強の中で端折られがちな哲学・宗教分野を学びなおしてみましょうくらいの気持ちで読み続けたい。 さて、3巻以後も読み続けるぞ!
第2巻では「古典時代」、中国では「漢」、西洋では「ギリシャ・ローマ」あたり。となると、中国を含めた東洋では仏教と儒教、西洋ではキリスト教がメインテーマ。あれ、それでは宗教史じゃないか・・とも思うが、もともと仏教・儒教は「神」を想定というよりも、生き方を説く哲学の色彩が強い。
キリスト教やその周辺宗教ではこの時代は「神の存在」は自明のことのようだ。その自明さのための三位一体などの理論づくり・・などなど。もちろん、そんな宗教に根差した哲学観からこの先の中世以後の哲学的見方が生まれていくわけだから、歴史的な展開としては興味深い。
シロウトが驚くのは全10章の細分化されたテーマそれぞれに「日本人の専門家」が存在すること。その研究はおそらくすばらしいものなのなのだろうし、それを日本語で読めることはありがたい・・・。
しかし、多くの項目が(こう言っては怒られるだろうが)科学の時代を生きてきた自分にとっては「すでに無意味だよね~」と感じてしまう(それがいわゆる科学的世界観?)。しかし、おそらく普遍的・超越的世界観の超越者はまずは「神」だったのだろう。「神」が「科学」に置き換わり、さらにその世界観そのものも解体されていくんですよね、この先・・・多分。
哲学の歴史と考えずに、歴史の勉強の中で端折られがちな哲学・宗教分野を学びなおしてみましょうくらいの気持ちで読み続けたい。 さて、3巻以後も読み続けるぞ!