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戦中派天才老人・山田風太郎 (ちくま文庫 せ 5-3) 文庫 – 1998/12/1

4.0 5つ星のうち4.0 10個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (1998/12/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1998/12/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 294ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4480034331
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480034335
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 10個の評価

著者について

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関川 夏央
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上位レビュー、対象国: 日本

2021年3月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 ノンフィクションで知られる著者が、1993年の10月から1995年の1月まで月イチで山田風太郎宅を訪れたインタビュー録。
 ではあるが、山田風太郎の言わなかったことは何一つ書いていないものの、あくまで座談風の物語だとのこと。その意味で、関川夏生は編者ではなく著者とする方がよいのかな?

 当時の山田風太郎は、最後の小説『柳生十兵衛死す』を1992年に書き終えており、その後もエッセイやコラム集は出版されたが、1994年にはそれすらなく、別荘で五時間も薪をくべて風呂を沸かす日々を送っていたらしい。
 どうやら字がうまく書けなくなっていたようなので、エッセイやコラムは口述の文字起こしだったのだと思うが、小説の構想は持っていたようだ。室町もので、蓮如、北条早雲、日野富子といったメンバーに八犬士を絡ませる予定だったとか。読めなくて残念である。

 前から、『戦中派〇〇日記』はいずれ読むべきと思っているのだが、その思いを強くした。醒めた目とユーモアと教養を併せ持って文章力まであるという山田風太郎の同時代資料は、とんでもなく価値がある。
 ちなみに、さほど感情をふりまくことのなかった山田青年も、昭和20年3月10日の項には、「――こうまでしたか、奴ら!」と思い、眼には眼、歯には歯で、きゃつらを一人でも多く殺す研究をしようと書いたのである。
 当然の反応だろう。
 ところがこの東京大空襲で民間人を10万人虐殺した後も、アメリカはさらにリトルボーイとファットマンを二つ投下、20万人近くが殺戮された。彼らはその罪をごまかすために、"南京虐殺"だの、"バターン死の行軍"だのをやたらに吹聴したわけだ。それに特亜と国内左派が、お、そんな責め方があるのかと飛びついて活用を始めた……。

 そんな風太郎だから、戦争の悲惨さは十二分に感じていながら、戦後の思想改造の結果には懐疑的なのだが、それでも自分が現場におらず生で感じていない面では、周りからの情報を受け売りしている残念な部分もある。
 朝鮮に対して、なにをしてもどうせ恨まれるからあまり深入りしない方がいいと、90年代としては慧眼を持っていながら、「欧米列強の旧植民地は、もとの宗主国を懐かしがる面があるが、日本を懐かしがるところは皆無だから、つくづく日本は植民地の統治能力に欠けていた」と語る。「あの悪名高き創氏改名をやらかしてしまう」とも語っている。

 いやいや、そうじゃないよと教えてあげたかった……。
 がちゃがちゃ大声で非難してくるのは、特亜だけじゃないですか?
 東南アジアや太平洋の島々は結構懐かしがっていませんか?
 もし非難があると言うなら、その背後に特亜の影は見えませんか?
 華夷秩序的に、日本が彼らの上に立つというだけで、彼らにとっては許しがたい悪ですよ。

 編者の関川夏生は、風太郎の感慨にあまり深入りしない。
 ふと気になって、彼をWikiってみたら、このインタビューの同時代にも北朝鮮を何度も訪問していて、「北朝鮮は社会主義国家ではなく、破綻したカルト宗教団体である」と喝破していたとか。
 それはいいが、その以前から、韓国に何度も滞在して関連本も書いたトンだ知韓派だった。極楽北朝鮮の幻想が消えて、それまで馬鹿にしていた韓国ラブに手のひら返しした“進歩的知識人”の類ですか?

 著者は単純なラブ韓国というわけではなさそうだが、本書の時点では、"韓国は日本の後を追ってる今や先進国"というだけのショボい認識である。
 Wikiにも最近の考えがわかるような書物は揚げられていなかった。
 ぜひともムン韓の今後についての発言を訊いてみたいものだ。

 それはそうと、本書中に風太郎に『人間臨終図鑑』の続きを書いてくれとの電話があったと記載があるが、まさにその跡を継いだように、編者は『人間晩年図鑑』を発表している。
 なんと著者自身が、インタビュー当時の山田風太郎と同じ71歳になってるじゃないか……。

 惜しむらくは、本書の最後のインタビューのほんの数週間後に(数日後かも)阪神淡路大震災が起こり、校正が終わって出版された前後には、地下鉄サリン事件が発生した。
 それを踏まえて、もう一回追加のインタビューをしてもらいたかった……。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年2月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
関川夏央さんが山田風太郎さんを描かない理由はあり得ない!このことがよく分かる。
編集が大変だったでしょうね。力技を感じた。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2016年7月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「戦中派不戦日記」や忍法帖シリーズ、傑作「警視庁草紙」など山田風太郎氏の大フアンですが、老いても飄々とした飾らないご本人の雰囲気がよく伝わる作品です。1年半にわたる関川夏央氏によるインタビューを数々の挿話やその時代の物価などの情報を盛り込みながら、まとめたもの。
戦中派はとって、現在の皇后様(美智子妃)は神々しいほどの美ししい存在なのだということが分かって、とても新鮮でした。(山田氏ならでの独白ですねぇ)
とにかく、山田風太郎は天才です。
久しぶりに、柳生忍法帖や甲賀忍法帖が読みたくなりました。人間臨終図鑑もトライしてみたいです。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年4月7日に日本でレビュー済み
 山田風太郎(1922-2011)79歳で没。関川夏央は1年半にわたって毎月
山田邸を訪問。そこでくりひろげられた「こんにゃく問答」をもとに
山田風太郎の評伝(?)を書いた。それがこの本である。

 最終回に多少の感慨をこめて、

 ・・多摩丘陵上の山田風太郎邸を辞して玄関を出れば、おもては
  1995年1月の季節風が北西から雲を運び去って澄んだ寒気を
  運びきたり・・

もう山田と会えなくなることの惜別がにじむ。同月、阪神淡路大震災。
春にはオウム真理教事件と立て続けに災厄。日本はこのあたりをピークに
失われた20年を坂を転がるように落ちていく。そのような未来が待って
いることをなにも知らないのんきな二人の座談である。

 例えば、

関川 山田さんは以前、作家の老化の兆候は、文学碑を建てること、
   食物随筆を書くことだといいましたね。
山田 ほかに自作の解説をはじめること。
関川 持病の話を書く、タクシーの運転手との会話を書く、年金の勘定をする、
   なんてのもありますよ。

この時点で山田はすでに立派な文学碑を建てているし、何冊か著名な随筆
(そのテーマは食べ物、持病、老化・・)をものしている。つまり山田が
耄碌作家であることを茶化しながらの会話である。関川も遠慮がない。

 全体的に死に関する話題も多い。たくさんの心打たれる箴言(迷言)も
あるが、多すぎてここには書けない。
                           
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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