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変人力―人と組織を動かす次世代型リーダーの条件 単行本 – 2007/12/7
著者がダイエー社長となった2005年当時、内部の状況はメディアで報じられる以上に深刻だった。不安と焦燥、泥沼の底を這うような苦しみのなかで、著者は否応なくリーダーシップの革新を迫られる。厳しい環境下で企業が真に再生するには、社員の「心の再生」が不可欠であり、そのためには変人力に裏打ちされたリーダーシップが何より求められる。
本書では、著者のこうした体験を赤裸々に綴りながら、次世代型リーダーの条件を3つのスキルから解き明かしていく。現場力、戦略力、そして変人力である。企業再生やM&Aが日常茶飯となった現在では、組織のリーダーがこれら3つのスキルを備えなければ、厳しい難局を乗り越えられない。
- 本の長さ216ページ
- 言語日本語
- 出版社ダイヤモンド社
- 発売日2007/12/7
- ISBN-104478000832
- ISBN-13978-4478000830
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商品の説明
抜粋
私は二〇〇六年一〇月六日にダイエー社長を辞任し、現在はマイクロソフト日本法人の代表執行役兼COO(最高執行責任者)として新たなキャリアを踏み出している。
林文子会長(現副会長)とともにダイエー再生に取り組んだ四九九日間は、山積する課題に追われる日々が続き、個人的な考えを整理する余裕はまったくなかった。眠れない、食べられない時期が続き、体重が八キロも落ちたことがある。とくに、最初の一年間はほとんど不眠不休で仕事と向き合ってきた。
しかし、その後、社長を辞めてから数ヵ月の充電期間を得て、私がダイエー時代に考えたこと、実行したことを、客観的に見つめ直すことができた。ダイエーでの死闘とも言える経験は一体何だったのか、そこから私は何を学んだのか......それらがようやく見えてくるようになった。
ダイエー社長退任から約一年を経て本書を出版したのは、その生々しい経験をただただ風化させたくないと思い始めたからである。四九九日の凝縮された期間に、私は実に多くのことを学んだ。痛みを伴うリストラも、会社と社員を思えばこそ、私情を捨てて果敢にやり遂げなければならないということ。社員が本当に腹落ちした形で進めなければ、改革は決して成功しないということ。あるいは、現場をいかに活性化するか、戦略をどう構築するかといったリーダーのスキルについても、得られたことは多い。そうした私なりの知見を、これからの時代を担うリーダーやマネジャーの方々に詳しくお伝えするのが本書の目的である。
ダイエーは日本の産業界を象徴する「再生案件」と位置づけられてきたが、これを特殊なケースとして片づけるのは間違いだろう。ダイエーの苦境は、これからの日本企業を映す鏡だと思う。バブル崩壊から一五年以上が経った現在でも、日本には構造的な問題を抱えたままの企業がまだまだ多い。多くの企業に停滞の芽が潜んでいる。不況期には危機感を抱いていたはずの多くの企業が、景気の改善によって、抜本改革を置き去りにしたまま業績を浮上させている。景気動向の変化や外資の圧力などをきっかけにして、近い将来、これらの企業はドラスティックな改革を迫られる可能性が高い。
しかし、こうした厳しい環境に置かれたとき、自社の再生や改革を担える人材が日本企業にどれだけいるだろうか。
再生に求められるリーダーシップは、平時のリーダーシップとは明らかに異なる。調整型や改善型のリーダーシップではなく、目の前のどんな課題をも突破していく変革型のリーダーシップが必要となる。どんな障害があろうとも変化を強力に推進していく、言わば「チェンジ・リーダー」が何より求められるのだ。
揺るぎない軸を持って社内の固定観念を打ち破る力、サムライにも似た気概で修羅場をくぐり抜ける力、熱き言葉で信念を伝え続ける力......私はこれらの力を総称して「変人力」と呼んでいるが、企業再生やM&A(合併と買収)が常態となるこれからの時代には、まさに「変人力」に裏打ちされたリーダーシップが不可欠である。
時には組織の調和を自ら乱して、社員の反対を押し切り、どん底を這うような苦しみを味わいながら一大改革を断行していく。たとえ組織の中で孤立しようとも、自分の信じる道をひたすら突き進んでいく。その姿は、周囲の人たちから見れば「変人」と映るに違いない。そして、こうした資質は、サラリーマン的な働き方をしている間はなかなか身に付かないものだ。しかし、リーダーやマネジャーが自ら変わろうとする不断の努力を続け、猛烈な力で改革を牽引していかなければ、一〇年、二〇年と続く企業の持続的な発展は描けないだろう。
ここ数年、企業再生の担い手として買収ファンドや企業再生ファンドが脚光を浴びているが、第四章で述べるように、これらのファンドのみが主導する再生では「真の再生」は成し得ないと私は考えている。やはり、その企業の内部で働いているリーダーやマネジャーが、社員と心を一つにして、全力を傾けて企業を守っていかなければならない。
本書では、私がダイエーで経験したことをつぶさに振り返りながら、これからの時代のリーダーシップの形を示したい。一人でも多くの方々に本書をご一読いただき、企業再生、さらには日本の競争力回復の一助となれば望外の喜びである。
二〇〇七年一一月三日
樋口泰行
著者について
1957年兵庫県生まれ。80年大阪大学工学部電子工学科卒業。同年松下電器産業入社。91年ハーバード大学経営大学院(MBA)卒業。92年ボストンコンサルティンググループ入社。94年アップルコンピュータ入社。97年コンパックコンピュータ入社。2002年日本ヒューレット・パッカード(日本HP)との合併に伴い、日本HP執行役員インダストリースタンダードサーバ統括本部長。03年同社代表取締役社長就任。05年ダイエー代表取締役社長就任。07年3月マイクロソフト代表執行役兼COO就任。著書に『「愚直」論』(ダイヤモンド社)がある。
登録情報
- 出版社 : ダイヤモンド社 (2007/12/7)
- 発売日 : 2007/12/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 216ページ
- ISBN-10 : 4478000832
- ISBN-13 : 978-4478000830
- Amazon 売れ筋ランキング: - 288,926位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 691位リーダーシップ (本)
- - 13,520位投資・金融・会社経営 (本)
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著者について

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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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この本はダイエー社長時代を振り返ってのもの。あの当時、ダイエー社長を引き受けるなんて変わってるな〜と思いましたが、まさに火中の栗を拾う、ある意味、この方も良い意味で変人なのかも。プロ経営者と言われる人は、頼まれてもあの当時のダイエーの社長なんて損するだけだから絶対 受けないと思います。
プロ経営者が畑の違う業界において組織をどう変えていくのかという部分においては参考になる部分は多い。
やはり、従業員を動かすには言葉が大事。
著者は社内説明会や店長会議などで「ボタンを一つひとつ押していけば必ず再生できる」というメッセージを発信し続けたという。
リーダーが信念を曲げずに、可能性を信じ続けるということが大事だということだろう。
ハーバード・ビジネス・スクール卒の著者ではあるが、強調するのは座学で身につけたフレームワークや思考法だけでは、実際に問題を解決したり、企業価値を高めたり、競争優位を導くのは難しいと考えておくのが無難だという。
結局、戦略思考や問題解決の考え方にしても、自らの経験を通して磨きをかけなければ、それが自分の血となり肉となることはないとも付け加える。
つまり、戦略力を鍛えるために何より重要なのは、リーダー自信が現実のビジネスにどれだけ真剣に向き合ってきたか、どれだけ格闘してきたかにあり、その要件を満たしたときに、机上の理論に「凄み」が加わると。
現場の組織改革に携わっている人にはヒントになることがあるであろう。
課題を因数分解して、あるべき姿を描くといったロジカルな手法は、MBAで学び取ったものをベースにして、外資系企業を加速的に渡り歩いてきた経験から来ているもの。
また、現場を自らの目で見て回る、傾聴するといったアナログ的な要素は、新入社員時代にモノづくりから顧客対応に至る現場主義で培ってこられた賜物でしょう。
これらに加えて、エグゼクティブとして外資系企業での様々な課題解決を経験し、強い意志のもとで変革を目指すリーダーシップ力を発揮されてきたことが、この企業再生499日の物語に反映されているようです。
前著の「愚直論」では著者の波瀾万丈の半生と自己実現の強い欲求と共に経営者となる意向に至るまでの経緯がメインで書かれていました。
そして、本書は社長業を本職とし、ビジネスモデル変革に向けたナレッジとして体系づけたものに仕上げています。
「T字型人間になれ!」ということが再び書かれています。
著者は、そういったワザを究め、加速度を増す環境の中で渡り歩かれています。
これぞ、まさしく「必殺、仕事人!」です。
「修羅場のリーダーには、オペレーションの能力以上にエモーショナルな能力が必要」
「眠れない、食べられない時期が続き、体重が8キロ落ちたことがある」
やや精神論的ではあるのですが、改革にはこれだけのエネルギーが要るという体験談としては、一読の価値はあると思います。
この一冊で気持ちが変わります。