彼はきっと「知らない」のだ
かつての私がそうであったように。
廃炉作業が思うように進んでないない福島第一原発の現実も。
「白地」と呼ばれる100年以上も人が住めない帰還困難区域が広がる沿岸部の風景も。
そこで暮らす人々の気持ちも。
ただ故郷で暮らしたいと願う、県外でそれぞれ避難生活を送る家族が離れてみる夢も。
「第11章 聖火ランナーより」
そう、知らないんだよ。
仮設にいてもやることないから草消しに来たって、金房であったじいちゃん。墓地で除草剤を撒き、歩きながら右に左に墓を指差し「こっちのじいちゃんあそこで亡くなった。あっちのばあちゃんどこどこで亡くなった。こっちは。。」って。原発事故で死んだ人はいないって言った国会議員がいたけど、しらないんだよ。
避難先で病気で死んだ高齢の母は災害関連死の認定を受けたけど、癌で死んだ妻は癌だったからって認定されないって理不尽さを
畑で野菜を植えようとする高齢の父親に「じいちゃん、そこで野菜を作っちゃだめ」って言った時の悲しそうな目を。飯舘じゃ、孫の世話をしながら野菜作って家族に食べさせ、何歳になっても役割があって感謝されていたことを
娘、津波で亡くして「それでもやっぱり海がいいな」って、やっと魚が出荷できるようになって今日も暗いうちから船を出す漁師がいることを
母親、兄弟達と避難先から数年ぶりの一時帰郷を果たし、夜、山の間に見える星たちを見つめて「お母さん、やっぱり福島の星はきれいだよね。戻ってこようよ」って、できないのを知りながら母親に話した少年がいたことを
故郷の意味がわからず、帰りたい場所もない東京の政治家や役人によってふるさとや復興という言葉が広告のように便利に使われていることを
読みながらいろいろなことを思い出した。
震災からもうすぐ10年。宮城、岩手、それぞれの場所での苦労は続くけど、福島の沿岸部で様々な決断を迫られて苦しんだ首長たち、影を追い払うかのように再生への光を放つ若者たち、いまの人々の様子や空気感はこの本を読んで感じることができる。ぜひ読んでほしい。
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白い土地 ルポ 福島 「帰還困難区域」とその周辺 単行本 – 2020/10/26
三浦 英之
(著)
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「どうしても後世に伝えて欲しいことがあります」
原発事故の最前線で陣頭指揮を執った福島県浪江町の「闘う町長」は、死の直前、ある「秘密」を新聞記者に託した――。
娘を探し続ける父親、馬に青春をかける高校生、名門野球部を未来につなぐために立ち上がったOB、避難指示解除後たった一人で新聞配達を続ける青年、そして帰還困難区域で厳しい判断を迫られる町長たち……。
原発被災地の最前線で生き抜く人々と、住民が帰れない「白い土地」に通い続けたルポライターの物語。
●目次
序章 白い土地
第一章 夕凪の海
第二章 馬術部の青春
第三章 「アトム打線」と呼ばれて
第四章 鈴木新聞舗の冬
第五章 ある町長の死 1
第六章 ある町長の死 2
第七章 ある町長の死 3
第八章 満州移民の村
第九章 フレコンバッグと風評被害
第一〇章 新しい町
第一一章 聖火ランナー
終章 一〇〇〇年先の未来
●著者プロフィール
三浦英之(みうら・ひでゆき)
1974年、神奈川県生まれ。朝日新聞記者、ルポライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で第13回開高健ノンフィクション賞、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で第25回小学館ノンフィクション大賞、『南三陸日記』で第25回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞、『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(布施祐仁氏との共著)で第18回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。福島県南相馬市在住。
原発事故の最前線で陣頭指揮を執った福島県浪江町の「闘う町長」は、死の直前、ある「秘密」を新聞記者に託した――。
娘を探し続ける父親、馬に青春をかける高校生、名門野球部を未来につなぐために立ち上がったOB、避難指示解除後たった一人で新聞配達を続ける青年、そして帰還困難区域で厳しい判断を迫られる町長たち……。
原発被災地の最前線で生き抜く人々と、住民が帰れない「白い土地」に通い続けたルポライターの物語。
●目次
序章 白い土地
第一章 夕凪の海
第二章 馬術部の青春
第三章 「アトム打線」と呼ばれて
第四章 鈴木新聞舗の冬
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第六章 ある町長の死 2
第七章 ある町長の死 3
第八章 満州移民の村
第九章 フレコンバッグと風評被害
第一〇章 新しい町
第一一章 聖火ランナー
終章 一〇〇〇年先の未来
●著者プロフィール
三浦英之(みうら・ひでゆき)
1974年、神奈川県生まれ。朝日新聞記者、ルポライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で第13回開高健ノンフィクション賞、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で第25回小学館ノンフィクション大賞、『南三陸日記』で第25回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞、『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(布施祐仁氏との共著)で第18回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。福島県南相馬市在住。
- 本の長さ260ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社クリエイティブ
- 発売日2020/10/26
- 寸法13.4 x 2.1 x 19.4 cm
- ISBN-104420310901
- ISBN-13978-4420310901
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登録情報
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- 発売日 : 2020/10/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 260ページ
- ISBN-10 : 4420310901
- ISBN-13 : 978-4420310901
- 寸法 : 13.4 x 2.1 x 19.4 cm
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2021年1月25日に日本でレビュー済み
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2021年2月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
馬場元町長が亡くなる直前の貴重な言葉が綴られており、胸が痛みました。インタビューができなくなってしまったことが残念です。新聞配達しながらの取材には驚きました。
2021年4月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
満州建国大学の歴史を紐解いた『五色の虹』などで硬派な作品を著す著者が福島原発の周辺自治体町長や除染の現場を取材したルポ。
安倍前首相は、原発が「アンダーコントロール」にあり東京五輪を復興の象徴として成功させると高らかに宣言しました。しかし、日本政府にとっての復興とは、原発被災地や津波被災地の復興ではなく、首都東京、踏み込んで言えば東京電力の復興を意味するもの。戻れる見通しの立たない帰還困難区域を抱えた福島は東京のようには前には進めず、再び東京に利用され消費されていく。これからも福島は事故のリスクを承知で東京を守ることになるがその選択は正しいのか。政府や地元の書きにくい本音にぎりぎり迫ろうとした一冊です。
安倍前首相は、原発が「アンダーコントロール」にあり東京五輪を復興の象徴として成功させると高らかに宣言しました。しかし、日本政府にとっての復興とは、原発被災地や津波被災地の復興ではなく、首都東京、踏み込んで言えば東京電力の復興を意味するもの。戻れる見通しの立たない帰還困難区域を抱えた福島は東京のようには前には進めず、再び東京に利用され消費されていく。これからも福島は事故のリスクを承知で東京を守ることになるがその選択は正しいのか。政府や地元の書きにくい本音にぎりぎり迫ろうとした一冊です。
2020年12月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
悲しい❢
ただ、悲しいだけです。
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2020年11月24日に日本でレビュー済み
各章ごとに、異なる題材を扱っており、大変な苦労が垣間見える。
ただ、その結果、もう少し深く掘ってほしいと物足りなく感じる部分も多かった。
なお、常套句、陳腐な表現が思いの外、多く使用されており、そこは残念。
ただ、その結果、もう少し深く掘ってほしいと物足りなく感じる部分も多かった。
なお、常套句、陳腐な表現が思いの外、多く使用されており、そこは残念。
2021年6月13日に日本でレビュー済み
図書館本 個人的本年のベスト5に入ると思う良書
原発震災の地を新聞記者として地域に密着したルポ、調査報道。
企業やスポンサーに忖度することなく、被災者や住民に寄り添い、しっかりと聞き取りを
行っている様に思えます。
是非多くの方に原発震災が我々に、地域に、地球に何を起こっているのかを読み解いて貰いたいですね。
本書では原発震災地住民の方々、町長らの震災と震災後の生き様を丁寧に取材して綴っています。
ひとつ気付かされたのは、なぜ福島第一原発なのか?
他の原発は立地する市町村名が付いているのに? 柏崎刈羽原発、女川原発、大飯原発など
なぜ、大熊双葉原発、楢葉富岡原発とはならず福島第一、福島第二なんだろう。
これが福島県の風評被害の一因でもありであろうと。
ある住民の方の人生が、満蒙開拓、敗戦による引き揚げ、原発事故と3度の国策移住に翻弄されたことなどは胸が締め付けられる。
台風水害で流されたフレコンバッグ問題に関してのメディアと政府のやり取りの不可思議。(回収可能との印象操作)
震災が無ければ建設が行われたであろう、浪江・小高原発の土地疑惑。(水素製造施設への変更)
復興五輪とうたった東京五輪と福島の関係性 誰のためのオリンピック
まさに東京復興のためのオリンピックであると。
原発震災の地を新聞記者として地域に密着したルポ、調査報道。
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是非多くの方に原発震災が我々に、地域に、地球に何を起こっているのかを読み解いて貰いたいですね。
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ひとつ気付かされたのは、なぜ福島第一原発なのか?
他の原発は立地する市町村名が付いているのに? 柏崎刈羽原発、女川原発、大飯原発など
なぜ、大熊双葉原発、楢葉富岡原発とはならず福島第一、福島第二なんだろう。
これが福島県の風評被害の一因でもありであろうと。
ある住民の方の人生が、満蒙開拓、敗戦による引き揚げ、原発事故と3度の国策移住に翻弄されたことなどは胸が締め付けられる。
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復興五輪とうたった東京五輪と福島の関係性 誰のためのオリンピック
まさに東京復興のためのオリンピックであると。
2021年1月27日に日本でレビュー済み
東京電力の福島第一原発事故以降、日本のジャーナリズムが突き付けれた課題が、市井の人たちの蒙った悲劇的な災厄をいかにして描くか、もっと端的に言えば、ふつうの人たちにどのようにしてきちんと向き合うか、ということでした。一見、当たり前のようなことにみえて、日本の大半のジャーナリズムは、肩書のある人たちの話ばかり書いてきたのですから。政治家や官僚、経営者、学者、文化人、あるいは労働運動家や市民運動家。日々の紙面に載るのはそうした肩書のある人たちの発言や行動ばかりで、無辜の民をきちんと書いたものは意外に少ないのです。
そうした人々を描いた傑作は、海の向こうでは旧ソ連のスベトラーナ・アレクシエービッチでしょうし、日本では「苦界浄土」の石牟礼道子さんでしょう。アメリカにはそうした市井の人に材をとったピート・ハミルやボブ・グリーンの存在がありますが、改めて読むと、「これ、少し作為的だな(つくっているな)」、あるいは、筆先で仕事をしているな、という感があります。
その点、三浦氏の本書は、日本の大手紙できちんとした鍛錬を受けてきた伝統的な主流派ジャーナリストらしく、正攻法の取材とベテランの経験値、文章表現力があります。だから、このような、しっかりした作品ができたともいえるのです。
まさにそうした観点に立つと、本書は、日本全国にいる大手紙の地方記者や地方紙の記者たちにとって、金字塔的な作品となることでしょう。東京で働かず、地方記者でも、高い志を持って日々の仕事に取り組めば、こういう傑作が書けるのです。朝日の三浦さんはその点、新世代への啓示的な作品を書いたと思います。
そうした人々を描いた傑作は、海の向こうでは旧ソ連のスベトラーナ・アレクシエービッチでしょうし、日本では「苦界浄土」の石牟礼道子さんでしょう。アメリカにはそうした市井の人に材をとったピート・ハミルやボブ・グリーンの存在がありますが、改めて読むと、「これ、少し作為的だな(つくっているな)」、あるいは、筆先で仕事をしているな、という感があります。
その点、三浦氏の本書は、日本の大手紙できちんとした鍛錬を受けてきた伝統的な主流派ジャーナリストらしく、正攻法の取材とベテランの経験値、文章表現力があります。だから、このような、しっかりした作品ができたともいえるのです。
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2020年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
よいルポ。
今年、東電が儲かっているのがやるせない。
今年、東電が儲かっているのがやるせない。