来年は関東大震災から百年である。震災についてのみならず、その後の虐殺事件についても出版が相次ぐかもしれない。
本書は「虐殺絵」に焦点を絞り、そのいくつかを取り上げ、作者や描かれた状況等を分析した、ちょっとユニークな本である。できればオーソドックスな本を読んでから読んだ方がより理解が進むだろう。
最初に取り上げられるのは子供の描いた絵で、どこかで見たことがあるなと思ったら、「九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響」(加藤直樹(著)ころから(刊) )の表紙の絵だった。
当時小学生4年生だった児童が、震災後半年から一年後、学校で震災の思い出という課題に対して描いたものである。「東京市本横小学校・大正震災記念画帳」というアルバムの中の一枚で、他にも自警団とおぼしき男が朝鮮人とおぼしき者に銃剣を突き付けて誰何する絵を描いた児童がいる。
他に取り上げられる絵は、作者が特定できているものもあるが、はっきりしないものもあり、あくまで絵なので実体験そのままということはないかもしれない。それでも、事件の持つ強烈な衝撃を前にして、絵に描かざるを得なかったということだろう。
最後、著者の新発見だという「関東大震災絵巻」は、史料の発見から入手までの過程も興味深かった。
いずれにせよ、関東大震災後の虐殺事件は、日本史の大切な出来事として記憶し語り継ぐべもので、なかったことにするのは勿体ない話である。
来年は、本書に取り上げられた絵を含め、多々ある震災画の展示会も企画されるかもしれない。
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関東大震災 描かれた朝鮮人虐殺を読み解く 単行本 – 2022/8/10
新井勝紘
(著)
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関東大震災から99年。震災時、東京、関東周辺で軍隊・警察及び自警団によって6000人以上と言われる朝鮮人が殺された。その混乱の中で、この事実を絵筆で描いた画家たちの絵と新発見の幻の画家・淇谷による「関東大震災絵巻」を公開し、そこから私たちに問いかけられた課題を考える。
- 本の長さ160ページ
- 言語日本語
- 出版社新日本出版社
- 発売日2022/8/10
- 寸法13.2 x 1.3 x 18.9 cm
- ISBN-104406066810
- ISBN-13978-4406066815
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出版社からのコメント
関東大震災から99年。震災時、東京、関東周辺で軍隊・警察及び自警団によって6000人以上と言われる朝鮮人が殺された。その混乱の中で、この事実を絵筆で描いた画家たちの絵と新発見の幻の画家・淇谷による「関東大震災絵巻」を公開し、そこから私たちに問いかけられた課題を考える。
著者について
1944年東京生まれ。東京経済大学卒。町田市史編纂室、町田市立自由民権資料館主査、国立歴史民俗博物館助教授、専修大学教授、認定NPO法人・高麗博物館館長を歴任。 著書に『五日市憲法』(2018年、岩波書店)、編著『自由民権と近代社会』(2004年、吉川弘文館)、共著『多摩と甲州道中』(2003年、吉川弘文館)、編著『近代移行期の民衆像』(2000年、青木書店)、編著『戦いと民衆』(2000年、東洋書林)など。
登録情報
- 出版社 : 新日本出版社 (2022/8/10)
- 発売日 : 2022/8/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 160ページ
- ISBN-10 : 4406066810
- ISBN-13 : 978-4406066815
- 寸法 : 13.2 x 1.3 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 354,443位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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5 星
関東大震災時の朝鮮人大量虐殺絵が訴えてくるもの
『関東大震災 描かれた朝鮮人虐殺を読み解く』(新井勝紘著、新日本出版社)は、目を背けたくなる衝撃的な一冊です。関東大震災時に、朝鮮人を尋問したり、拘束したり、連行したり、捕縛したり、さらには殴打し虐殺する場面が生々しく描かれている絵画と、それを巡る証言で構成されているからです。「なかには直接その渦中にいた者もいたであろうが、少なくともこの事態を冷静に見つめていた画家たちや画学生が存在した。絵筆という道具を使って、この光景を描写する仕事に没頭した。この場に生存している者の責任というような感覚が生まれたのではないだろうか。何日も何日も、何十枚も何百枚も、何本も何本も、その真実を伝えようと、衝き動かされるようにして、スケッチや絵巻物を描いていたのである。・・・絵筆を通して描いてくれた絵画から、後世に必死に伝えようとした画家たちの熱い思いを、感じ取ることができる。そこには大げさな教訓や指弾はないが、画面のなかに込められた体験者ならではの歴史的事実に対する、真摯な『まなざし』を読み取ることができる。彼らの描いた絵のなかから訴えてくる、虐殺現場にただよう異様な民衆自身の感情と行動を、私たちはどのように受け止めたらいいのだろうか。たじろいでしまうことがある」。絵画と証言によって、朝鮮人大量虐殺は、警察官、軍隊、自警団が混然一体となって実行したことが明らかにされています。さらに言えば、絵画で背後に描かれている民衆も加害者の一員であるという重い事実を、私たちは忘れてはいけないのです。
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2022年12月18日に日本でレビュー済み
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2022年12月12日に日本でレビュー済み
『関東大震災 描かれた朝鮮人虐殺を読み解く』(新井勝紘著、新日本出版社)は、目を背けたくなる衝撃的な一冊です。関東大震災時に、朝鮮人を尋問したり、拘束したり、連行したり、捕縛したり、さらには殴打し虐殺する場面が生々しく描かれている絵画と、それを巡る証言で構成されているからです。
「なかには直接その渦中にいた者もいたであろうが、少なくともこの事態を冷静に見つめていた画家たちや画学生が存在した。絵筆という道具を使って、この光景を描写する仕事に没頭した。この場に生存している者の責任というような感覚が生まれたのではないだろうか。何日も何日も、何十枚も何百枚も、何本も何本も、その真実を伝えようと、衝き動かされるようにして、スケッチや絵巻物を描いていたのである。・・・絵筆を通して描いてくれた絵画から、後世に必死に伝えようとした画家たちの熱い思いを、感じ取ることができる。そこには大げさな教訓や指弾はないが、画面のなかに込められた体験者ならではの歴史的事実に対する、真摯な『まなざし』を読み取ることができる。彼らの描いた絵のなかから訴えてくる、虐殺現場にただよう異様な民衆自身の感情と行動を、私たちはどのように受け止めたらいいのだろうか。たじろいでしまうことがある」。
絵画と証言によって、朝鮮人大量虐殺は、警察官、軍隊、自警団が混然一体となって実行したことが明らかにされています。さらに言えば、絵画で背後に描かれている民衆も加害者の一員であるという重い事実を、私たちは忘れてはいけないのです。
「なかには直接その渦中にいた者もいたであろうが、少なくともこの事態を冷静に見つめていた画家たちや画学生が存在した。絵筆という道具を使って、この光景を描写する仕事に没頭した。この場に生存している者の責任というような感覚が生まれたのではないだろうか。何日も何日も、何十枚も何百枚も、何本も何本も、その真実を伝えようと、衝き動かされるようにして、スケッチや絵巻物を描いていたのである。・・・絵筆を通して描いてくれた絵画から、後世に必死に伝えようとした画家たちの熱い思いを、感じ取ることができる。そこには大げさな教訓や指弾はないが、画面のなかに込められた体験者ならではの歴史的事実に対する、真摯な『まなざし』を読み取ることができる。彼らの描いた絵のなかから訴えてくる、虐殺現場にただよう異様な民衆自身の感情と行動を、私たちはどのように受け止めたらいいのだろうか。たじろいでしまうことがある」。
絵画と証言によって、朝鮮人大量虐殺は、警察官、軍隊、自警団が混然一体となって実行したことが明らかにされています。さらに言えば、絵画で背後に描かれている民衆も加害者の一員であるという重い事実を、私たちは忘れてはいけないのです。
『関東大震災 描かれた朝鮮人虐殺を読み解く』(新井勝紘著、新日本出版社)は、目を背けたくなる衝撃的な一冊です。関東大震災時に、朝鮮人を尋問したり、拘束したり、連行したり、捕縛したり、さらには殴打し虐殺する場面が生々しく描かれている絵画と、それを巡る証言で構成されているからです。
「なかには直接その渦中にいた者もいたであろうが、少なくともこの事態を冷静に見つめていた画家たちや画学生が存在した。絵筆という道具を使って、この光景を描写する仕事に没頭した。この場に生存している者の責任というような感覚が生まれたのではないだろうか。何日も何日も、何十枚も何百枚も、何本も何本も、その真実を伝えようと、衝き動かされるようにして、スケッチや絵巻物を描いていたのである。・・・絵筆を通して描いてくれた絵画から、後世に必死に伝えようとした画家たちの熱い思いを、感じ取ることができる。そこには大げさな教訓や指弾はないが、画面のなかに込められた体験者ならではの歴史的事実に対する、真摯な『まなざし』を読み取ることができる。彼らの描いた絵のなかから訴えてくる、虐殺現場にただよう異様な民衆自身の感情と行動を、私たちはどのように受け止めたらいいのだろうか。たじろいでしまうことがある」。
絵画と証言によって、朝鮮人大量虐殺は、警察官、軍隊、自警団が混然一体となって実行したことが明らかにされています。さらに言えば、絵画で背後に描かれている民衆も加害者の一員であるという重い事実を、私たちは忘れてはいけないのです。
「なかには直接その渦中にいた者もいたであろうが、少なくともこの事態を冷静に見つめていた画家たちや画学生が存在した。絵筆という道具を使って、この光景を描写する仕事に没頭した。この場に生存している者の責任というような感覚が生まれたのではないだろうか。何日も何日も、何十枚も何百枚も、何本も何本も、その真実を伝えようと、衝き動かされるようにして、スケッチや絵巻物を描いていたのである。・・・絵筆を通して描いてくれた絵画から、後世に必死に伝えようとした画家たちの熱い思いを、感じ取ることができる。そこには大げさな教訓や指弾はないが、画面のなかに込められた体験者ならではの歴史的事実に対する、真摯な『まなざし』を読み取ることができる。彼らの描いた絵のなかから訴えてくる、虐殺現場にただよう異様な民衆自身の感情と行動を、私たちはどのように受け止めたらいいのだろうか。たじろいでしまうことがある」。
絵画と証言によって、朝鮮人大量虐殺は、警察官、軍隊、自警団が混然一体となって実行したことが明らかにされています。さらに言えば、絵画で背後に描かれている民衆も加害者の一員であるという重い事実を、私たちは忘れてはいけないのです。
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