小学生の頃、学校の図書室で借りて貪り読んでいたのが、
江戸川乱歩のジュニア向けシリーズでした。
大きく怪人二十面相と、そうでないものとに分かれ、
どちらかというと、後者のほうが少年心に面白かった記憶があります。
犯人探しそのものもさることながら、警察との微妙な駆け引きの中で、
小林少年をうまく用いながら、みずからの天分や推理力のみを頼りに、
寸でのところで事件を解決に導く明智小五郎の技に、
少年時代の僕は、探偵という仕事に憧れたものでした。
本書も、乱歩の代表作二編が収められたものですが、
すぐに犯人が割れるわけではなく、いくつかの重要な伏線が意図的なものである可能性まで含めて、
装いの中に、真相のカケラを辿ってゆくプロセスから、最後には見事に全貌が浮上し、
しかし、明智は傍証として、その一部に重要な探りを入れることを忘れず、
極めて入念なアプローチだと感心させられることしばしばであり、
またもや完全犯罪は防がれるのでした。
蔦の絡まる洋館風の瀟洒な建物や、当時オープンしたてのデパートなど、
昭和の懐かしい光景もあちこちに登場するので、
それらも併せて、設定の妙味を愉しんでもらえたら、と思いました。
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地獄の道化師,一寸法師 新装 (江戸川乱歩文庫) 文庫 – 1988/1/1
江戸川 乱歩
(著)
- 本の長さ298ページ
- 言語日本語
- 出版社春陽堂書店
- 発売日1988/1/1
- ISBN-104394301254
- ISBN-13978-4394301257
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登録情報
- 出版社 : 春陽堂書店 (1988/1/1)
- 発売日 : 1988/1/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 298ページ
- ISBN-10 : 4394301254
- ISBN-13 : 978-4394301257
- Amazon 売れ筋ランキング: - 227,897位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1894年三重県生まれ。早稲田大学卒業。雑誌編集、新聞記者などを経て、1923年「二銭銅貨」でデビュー。以後、「D坂の殺人事件」などの探偵小説を 次々発表。怪奇小説、幻想小説にも優れた作品が多い。代表的なシリーズに、「怪人二十面相」「少年探偵団」などがある。日本の小説界に多大なる業績を残 す。65年没(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 大槻ケンヂが語る江戸川乱歩 私のこだわり人物伝 (ISBN-13:978-4041847213)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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2015年2月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2010年4月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
地獄の道化師は、最初に思いついた陰鬱なイメージを無理につなぎ合わせた結果だと思いますが
展開がやや強引すぎて、どうも納得感に欠ける結末になっています。
むしろ表紙では「他一篇」と省略されている「一寸法師」の方がはるかに面白いです。
色々と制約のある現在では大々的に宣伝できないのでしょうか。
展開がやや強引すぎて、どうも納得感に欠ける結末になっています。
むしろ表紙では「他一篇」と省略されている「一寸法師」の方がはるかに面白いです。
色々と制約のある現在では大々的に宣伝できないのでしょうか。
2012年11月9日に日本でレビュー済み
『地獄の道化師』とは「地獄から来た恐ろしい道化師」という単なるタイトルロールではない。
切羽詰った犯人が土壇場で仕掛ける絶望的なトリック自体が「地獄」なのだ。
乱歩全作品中一二を争う陰鬱と凄惨。少年の頃に読んで受けたトラウマは今も消えない。
切羽詰った犯人が土壇場で仕掛ける絶望的なトリック自体が「地獄」なのだ。
乱歩全作品中一二を争う陰鬱と凄惨。少年の頃に読んで受けたトラウマは今も消えない。