日本でコミュニティというとgive and takeや貢献と言った概念が当然のように求められるが、この本で述べられるタンザニア人コミュニティでは少し違った形となっている。
現代日本が多様性を増す中で新たなコミュニティのあり方として気づきを得られたような気がした。
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チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学 単行本 – 2019/7/24
小川 さやか
(著)
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【2021年10月7日 朝日新聞の天声人語で紹介! 】
【第51回 大宅壮一ノンフィクション賞 受賞! 】
【第8回 河合隼雄学芸賞 受賞! 】
香港のタンザニア人ビジネスマンの生活は、日本の常識から見れば「まさか! 」の連続。交易人、難民、裏稼業に勤しむ者も巻きこんだ互助組合、SNSによる独自のシェア経済…。既存の制度にみじんも期待しない人々が見出した、合理的で可能性に満ちた有り様とは。閉塞した日本の状況を打破するヒントに満ちた一冊。
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【紀伊國屋じんぶん大賞2020・5位入選! 】
書評続々、各紙誌絶賛で話題!
○朝日新聞(2019/8/31)武田砂鉄氏・評
全体像が見えない構造の中で無数に生まれる営みが、いい加減なのに、なぜだか力強い。
○日本経済新聞(2019/9/14)星野博美氏・評
彼らが不確実な世界を生き抜くために編み出した仕組みは、私たちがまだ手にしていない未来を指さしている。適当でいい加減だからこそ、格好いい。わけもなく元気が出てくる一冊だ。
○読売新聞(2019/9/15)坂井豊貴氏・評
カラマ達の姿は、日本でも進行する「個人の時代」を先取りしているように見える。それは国家に頼れず雇用が流動化した時代のビジネスパーソンの一つの生き方なのだ。
○AERA(2019/9/16号)久禮亮太氏・評
人間の信用を格付けし、効率を追求するシェア経済よりも、技術と経済をしたたかに利用していい加減に生きる彼らのほうが、幸福な未来を感じさせる。
○週刊東洋経済(2019/9/21号)栗下直也氏・評
タンザニア人たちは効率や正しさよりも日々を楽しむことに価値を置き、必要に応じて技術を取り込んでいる。いかに遊び、楽するか。彼らから学ぶことは少なくない。
○共同通信社書評(各紙)若林恵氏・評
本書で語られるタンザニア人たちの暗黙のシステムは、むしろITがもたらす超高度管理社会の対抗策なのだ。
○中日新聞(2019/9/29)「書く人」(著者インタビュー記事)
学術書や潜入ルポとして、あるいは経済エッセーとして。いろいろな読み方ができる一冊だ。
○週刊文春(2019/10/10号)「文春図書館」(著者インタビュー記事)
遊びと渾然一体のビジネス、“騙し騙され"込みで生き抜く才覚――われわれを元気にしてくれるヒントが詰まった一冊だ。
○週刊エコノミスト(2019/10/15号)「読書日記」(著者インタビュー記事)
助けてもらったら、こちらも助ける。皆が同じだけ貢献し、等しく恩恵を受ける。助け合いをこう思い込んでいた頭には新鮮だ。
○婦人公論(2019/10/23号)「カルチャーセレクション」(著者インタビュー記事)
タンザニア商人の社会を支える「ついで」の精神
○週刊読書人(2019/10/25)管啓次郎氏・評
「こんな人類学があるのか、と目を開かれた。快著だ。」
「『誰かの気まぐれによって必ず生きていける分配経済のユートピア』を夢想していると彼女はいう。それは確実に、この冷たくよそよそしく楽しくない現代日本社会の対極だ。」
○週刊読書人(2019/12/13)「二〇一九年の収穫」山本貴光氏・評
法の圏外で、ネットを活用しながらゆるい信用システムを運用する彼らの生き様に驚かされっぱなし。
・・・・・・ほか
- 本の長さ276ページ
- 言語日本語
- 出版社春秋社
- 発売日2019/7/24
- 寸法19.5 x 13.8 x 2.2 cm
- ISBN-104393333713
- ISBN-13978-4393333716
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第51回大宅壮一ノンフィクション賞&第8回河合隼雄学芸賞ダブル受賞

香港のタンザニア人ビジネスマンの生活は、日本の常識から見れば「まさか!」の連続。交易人、難民をも巻きこんだ独自の互助組合、信用システム、SNSによるシェア経済…。既存の制度に期待しない人々が見出した、合理的で可能性に満ちた有り様とは。閉塞した日本の状況を打破するヒントに満ちた一冊。
- 【紀伊國屋じんぶん大賞2020・5位入選! 】 書評続々、各紙誌絶賛で話題! ○朝日新聞(2019/8/31)武田砂鉄氏・評/全体像が見えない構造の中で無数に生まれる営みが、いい加減なのに、なぜだか力強い。/○日本経済新聞(2019/9/14)星野博美氏・評/彼らが不確実な世界を生き抜くために編み出した仕組みは、私たちがまだ手にしていない未来を指さしている。適当でいい加減だからこそ、格好いい。わけもなく元気が出てくる一冊だ。/○読売新聞(2019/9/15)坂井豊貴氏・評/カラマ達の姿は、日本でも進行する「個人の時代」を先取りしているように見える。それは国家に頼れず雇用が流動化した時代のビジネスパーソンの一つの生き方なのだ。/○AERA(2019/9/16号)久禮亮太氏・評/人間の信用を格付けし、効率を追求するシェア経済よりも、技術と経済をしたたかに利用していい加減に生きる彼らのほうが、幸福な未来を感じさせる。/○週刊東洋経済(2019/9/21号)栗下直也氏・評/タンザニア人たちは効率や正しさよりも日々を楽しむことに価値を置き、必要に応じて技術を取り込んでいる。いかに遊び、楽するか。彼らから学ぶことは少なくない。/○共同通信社書評(各紙)若林恵氏・評/本書で語られるタンザニア人たちの暗黙のシステムは、むしろITがもたらす超高度管理社会の対抗策なのだ。/○中日新聞(2019/9/29)「書く人」(著者インタビュー記事)/学術書や潜入ルポとして、あるいは経済エッセーとして。いろいろな読み方ができる一冊だ。/○週刊文春(2019/10/10号)「文春図書館」(著者インタビュー記事)/遊びと渾然一体のビジネス、“騙し騙され"込みで生き抜く才覚――われわれを元気にしてくれるヒントが詰まった一冊だ。/○週刊エコノミスト(2019/10/15号)「読書日記」(著者インタビュー記事)/助けてもらったら、こちらも助ける。皆が同じだけ貢献し、等しく恩恵を受ける。助け合いをこう思い込んでいた頭には新鮮だ。/○婦人公論(2019/10/23号)「カルチャーセレクション」(著者インタビュー記事)/タンザニア商人の社会を支える「ついで」の精神/○週刊読書人(2019/10/25)管啓次郎氏・評/「こんな人類学があるのか、と目を開かれた。快著だ。」「『誰かの気まぐれによって必ず生きていける分配経済のユートピア』を夢想していると彼女はいう。それは確実に、この冷たくよそよそしく楽しくない現代日本社会の対極だ。」/○週刊読書人(2019/12/13)「二〇一九年の収穫」山本貴光氏・評/法の圏外で、ネットを活用しながらゆるい信用システムを運用する彼らの生き様に驚かされっぱなし。・・・・・・ほか

小川さやか Sayaka Ogawa
1978年愛知県生まれ。専門は文化人類学、アフリカ研究。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程指導認定退学。博士(地域研究)。日本学術振興会特別研究員、国立民族学博物館研究戦略センター機関研究員、同センター助教、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授を経て、現在同研究科教授。『都市を生きぬくための狡知――タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』(世界思想社)で、2011年サントリー学芸賞(社会・風俗部門)、『チョンキンマンションのボスは知っている――アングラ経済の人類学』(春秋社)で、2020年、第8回河合隼雄学芸賞、第51回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。そのほかの著書に『「その日暮らし」の人類学――もう一つの資本主義経済』(光文社新書)がある。
商品の説明
著者について
1978年愛知県生まれ。専門は文化人類学、アフリカ研究。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程指導認定退学。博士(地域研究)。日本学術振興会特別研究員、国立民族学博物館研究戦略センター機関研究員、同センター助教、立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授を経て、現在、同研究科教授。著書に、『都市を生きぬくための狡知』(世界思想社)、『「その日暮らし」の人類学』(光文社新書)がある。
登録情報
- 出版社 : 春秋社 (2019/7/24)
- 発売日 : 2019/7/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 276ページ
- ISBN-10 : 4393333713
- ISBN-13 : 978-4393333716
- 寸法 : 19.5 x 13.8 x 2.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 104,388位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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イメージ付きのレビュー

1 星
論文
論文調で書かれていて、面白くなかったです。全くもってエキサイティングではないです。もっと日本語力があったら面白い内容なのかもしれないですが。著者はスワヒリ語が話せるようですが、日本語の表現力を身につけてたら良いのではと思いました。内容も重複している部分があり…何を論じているのか途中でわからなくなりました。掲載されている写真も全く魅力なしでした。酷評ですみません。でも正直な感想です。
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2023年9月18日に日本でレビュー済み
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一見いかがわしい存在と思われがちですが、意外と深い考えがそこにはあり、考えさせられました。
2021年7月26日に日本でレビュー済み
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面白い。出てくる人物も背景も、人としても魅力的で純粋に楽しくいっきに読んでしまいました。
とはいえ、学びは豊富。成功とは何か、その背景にある人との関係性の結び方やそれを支える基盤の在り方はどんな形があるのか。
社会や周りの人への信頼の基盤があって、ずるさやときに騙し合う人間らしさも許容しながらも相互が生き残っていくネットワークの気づき方も面白く、個人的には何となく溢れがちな、どこか”きれいな人間性”を信じるような考え方よりも、人間らしさがにじみ出ていることに魅力がありました。
とはいえ、学びは豊富。成功とは何か、その背景にある人との関係性の結び方やそれを支える基盤の在り方はどんな形があるのか。
社会や周りの人への信頼の基盤があって、ずるさやときに騙し合う人間らしさも許容しながらも相互が生き残っていくネットワークの気づき方も面白く、個人的には何となく溢れがちな、どこか”きれいな人間性”を信じるような考え方よりも、人間らしさがにじみ出ていることに魅力がありました。
2021年12月9日に日本でレビュー済み
香港とアフリカとの繋がりはよく知らなかったし、グレーな商売を生き生きとやってるタンザニア人たち、彼らの独特の「ついで」システムなどはとても興味深いものがありました。
一方で文章がわかりにくく、エッセイとして読むには硬すぎ、論文として読むには主観が多いため、宙ぶらりんなのがもったいないなと思いました。
題材や着眼点はすばらしいので、文章と構成がおしいです。たとえばインタビュー形式などで書き手が違えば、もっと整理された読みやすいおもしろい作品になったのではないでしょうか。
ただ本書の内容にあるように、整理しきらない流動性やゴチャゴチャ感が魅力であるというなら、このわかりにくい宙ぶらりんもひとつの「正解」なのかもしれません。
一方で文章がわかりにくく、エッセイとして読むには硬すぎ、論文として読むには主観が多いため、宙ぶらりんなのがもったいないなと思いました。
題材や着眼点はすばらしいので、文章と構成がおしいです。たとえばインタビュー形式などで書き手が違えば、もっと整理された読みやすいおもしろい作品になったのではないでしょうか。
ただ本書の内容にあるように、整理しきらない流動性やゴチャゴチャ感が魅力であるというなら、このわかりにくい宙ぶらりんもひとつの「正解」なのかもしれません。
2021年2月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読書には自分の知らない世界を知る楽しさがあるが、文化人類学者の小川さやか氏が目の前に見せてくれた世界は、香港に居住するタンザニア人達のリアルな日常であった。(著者は半年間、チョンキンマンションに住み、堪能なスワヒリ語と英語を駆使して、香港タンザニア組合のボス的存在のカラマに取材を続ける。相手の懐に入ってしまうような小川氏の才能と行動力は偉大だ。)
そして、そこで行われている、インフォーマル経済の実態を解き明かしてくれる。それは、現代の効率優先主義とは対極をなすもので、「開かれた互酬性で、多様な人々と緩やかにつながる世界」であり、「(私はあなたと共にあるという)シェアリング経済」であると言う。興味深い内容であるとともに、読書の楽しさを存分に味わえる本でした。
そして、そこで行われている、インフォーマル経済の実態を解き明かしてくれる。それは、現代の効率優先主義とは対極をなすもので、「開かれた互酬性で、多様な人々と緩やかにつながる世界」であり、「(私はあなたと共にあるという)シェアリング経済」であると言う。興味深い内容であるとともに、読書の楽しさを存分に味わえる本でした。
2022年5月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私的には、とても面白い本だった。チョンキンマンション(重慶大厦)の「自称ボス」が五十路のタンザニア人、カラマを中心とした参与観察の本。
最初に言っておけば、学生の頃から経済人類学者の栗本慎一郎氏を私淑していたおかげで、割と速足で読めた。マルセル・モースの「 贈与論 」とか、ジョルジュ・バタイユ「 呪われた部分 」に近いことも書かれているし、恐らくこの著者も、現代では引退した栗本慎一郎氏の著書も少なくとも数冊は読まれている節があるのは、文脈ですぐ判明した(ほとんど読者は読んだことが無いとは思うが、参考文献にも出てないがとても似ているし、経済人類学・経済史学者のカール・ポランニーの提唱した、「互酬」、「再分配」などの用語もすらりと出てくる)。
一言で言えば、商売はハードボイルド(日本語で言えば任侠道)である。レイモンド・チャンドラーの小説に出てくる私立探偵マーロウの様に考えると良い。法的には違法でも、社会的には許される仕組み、それでも他の顧客の不可侵性とか、日本人が当然と思っていた常識の中心軸を動かされる刺激に満ちている。それでも道義的には禁じられる無意識の共同体の「愛と友情の秘訣は『金儲け』」という最終章のタイトルも衝撃的であるが、彼女の本を書いた意図がここで明かされる。
「ついで」の論理…彼らの日常的な助け合いの大部分は「ついで」で回っている。他者の「事情」に踏み込まず、メンバー相互の厳密な互酬性や義務と責任を問わず、無数に増殖拡大するネットワーク内の人々が、それぞれの「ついで」でできることをする。「「互いに無理やストレスを強いること」を、できるだけ回避しようとすること、をルールにしているように思われる」(p84)
信頼の欠如…「ブローカー業は、香港の地理や中古車業者のやり方・手口に不慣れなアフリカ系の顧客と、アフリカ系顧客のやり方に不慣れで信頼できる客かどうかを見極められない業者との「信用」を肩代わりすることで、手数料をかすめとる仕事である」(p105)。カラマたちの商売は、顧客と業者のあいだの「信頼の欠如」によって成立している。
この信頼の欠如をベースの成り立っている仲介業のプラットフォームが「TRUST」と名付けられている。そのもっとも重要な機能は「香港ブローカー全体に対する『漠然とした不信感』を担保しながら、そのつど特定の誰かに関する『偶発的で一時的な信用』を立ち上げる仕組み」(p143)である。
ただし、法的にはグレーな地下銀行の一種である。送金システムもインフォーマルなものだ。特に重要なのは、TRUSTが「信用できるブローカー/顧客」と「信用できないブローカー/顧客」を次第に明るみに出すものではないことである。これがレピュテーション(評判)によって格付けされる先進国で広がっている、クラウドファインディングやシェアエコノミーとの大きな違いである。
一言でいえば、その場限りの仁義。「彼らは他者の過去や現代の状況を詮索せず、人間はいつでも豹変しうることを前提にしながら、そのつどの状況・文脈に限定的な信頼を構築している」(p152)。
日本でも江戸末期から戦後直後あたりまでは、似た構造があったのだ。つまり侠客の世界だ。過去の日本でも他の縄張りに入る際に「仁義を切る」という行為があったが(清水次郎長の世界ですな)、戦後の暴対法によって、より闇の濃いアンダーグラウンド経済へと追いやられ、一般人をカモとする詐欺が増えだす。ちなみに著者が日本で流行っている「振り込め詐欺」についてボスのカラマと会話すると、「同じ仲間から詐欺するのは良いが、全くの他人から詐欺するのはいけない」と批判する。日本の常識からすると「?」と思うに違いない。これは社会、共同体を「生命体」としてメタレベルで考える必要がある。グレゴリー・ベイトソンは社会(システム)が相互関係の「精神」、関係のネットワークであると気づいていた節がある(参照:グレゴリー・ベイトソン「 精神と自然 生きた世界の認識論 」)。
けれど、「彼らは基本的に「自力で生きている」からこそ、本当に困った時には助けあうという関係が成り立つ」(p185)というバランス感覚は、古代の都市がその様に成立していたプロセスを理解すると判然とする。栗本慎一郎氏の著書で「 都市は、発狂する。―そして、ヒトはどこに行くのか 」という都市論の本があるが、このことが生理感覚として理解出来なければ、古本でも手に入れてこの本を読んで欲しいものだ。
「借り」を回すこと、本当に困った時は知り合いや共同体の人脈を使って無心したりするが、これらは返さなくても良い仕組みがあり、お互いに「誰かから返ってくる」と考える経済圏というか「構造」があるのだ。この辺が気になるなら、ぜひこの本を買って読んで欲しい。もしくは、ナタリー・サルトゥー=ラジュ「 借りの哲学 」が参考になるかもしれない。
タンザニア商人たちは、将来よりも今を生きる。だから儲けを貯金するより仲間を支援したり、みんなで派手に騒いだりして使ってしまう。しかし、著者はあくまでも「他者に必要とされる快楽」について懐疑的である(p230)ようだ。
「他者の多様性が生み出す『偶発的な応答』の可能性に賭ける」(p246)、この姿勢は「『異質性や流動性が高くて、誰が応えてくれるかわからない』という状況における戦略として不合理ではない」という指摘はとても当たっている。
思い出したのは、クリスチャン・ブッシュ「 セレンディピティ 点をつなぐ力 」で紹介された、「セレンディピティ」(偶有性)という言葉だ。つまり「セレンディピティ」が発動する場を、意図的に「経済」に埋め込んでいると考えても良い場面がある(勿論必ず発動するというわけでもない、いつ発動するかもわからないが)。
シェアリング経済はユーザー同士の格付け(レピュテーション)によって取引相手を選別し、ときに排除する。「シェア」という「ムラ社会」は、包摂的な響きを持つ言葉とは裏腹に、きわめて排他的になりうるということであり、それは異質なものが混入・侵入した場合に脆弱に成り得る「構造」がある。この辺が私が無意識に敬遠している理由でもある。私はシェアリング経済が、村八分や排除を行う「ムラ社会」に容易に変貌しうると指摘している気がした。
それに比べてこの本で紹介されている「誰も信頼できないし、状況によっては誰でも信頼できる」という、原始的な交易条件のもとで機能するシステムは、不測の事態において適応度が高いのだ。「出入り自由。他者に関心はもつが監視はしない。基本的に淡泊な人間関係」が最もストレスを感じないものだ。この辺は、古代の都市が村落社会でつまはじきや追い出された者達にによって都市の原型が成立したと、栗本慎一郎氏が指摘していたのを思い出した(参照は前掲書)。
濃密な人間関係を尊ばれる現代において、正に真逆と感じる人も多いだろうが、実際に「 沈黙交易 」が最も古来からある交易方法という報告もある。感染症との共存が叫ばれている現代でこそ、学ぶべき内容が含まれていると私は思った。沈黙交易は相手を全く信用していないところからの距離を置いた言葉を交わさない「交易」のことである。やがて恒常的に交易を始めて、徐々に距離を縮めて、中立地での「市」が生まれ、その周辺に住居を構え、やがて「都市」にまで発展する。モデル化は危険なので一概に言えないが、生理感覚として理解すべき内容なので著者である小川さやか氏も文章からその苦労が伺える。
それでも、著者が今一つ残念なのは、メタレベルで包括的な「システム」思考によるまとめ方が実はあまり上手では無い節がある。確かに参与観察をしていると、枝葉末節が気になる部分が多すぎて難しいことではあるが、説明する際の編集的「抽象化」も時には大切な気もした。文体がもう少しこなれると良いかもしれない。こなれたら間違いなく名著になる可能性があった。それが惜しい。
最初に言っておけば、学生の頃から経済人類学者の栗本慎一郎氏を私淑していたおかげで、割と速足で読めた。マルセル・モースの「 贈与論 」とか、ジョルジュ・バタイユ「 呪われた部分 」に近いことも書かれているし、恐らくこの著者も、現代では引退した栗本慎一郎氏の著書も少なくとも数冊は読まれている節があるのは、文脈ですぐ判明した(ほとんど読者は読んだことが無いとは思うが、参考文献にも出てないがとても似ているし、経済人類学・経済史学者のカール・ポランニーの提唱した、「互酬」、「再分配」などの用語もすらりと出てくる)。
一言で言えば、商売はハードボイルド(日本語で言えば任侠道)である。レイモンド・チャンドラーの小説に出てくる私立探偵マーロウの様に考えると良い。法的には違法でも、社会的には許される仕組み、それでも他の顧客の不可侵性とか、日本人が当然と思っていた常識の中心軸を動かされる刺激に満ちている。それでも道義的には禁じられる無意識の共同体の「愛と友情の秘訣は『金儲け』」という最終章のタイトルも衝撃的であるが、彼女の本を書いた意図がここで明かされる。
「ついで」の論理…彼らの日常的な助け合いの大部分は「ついで」で回っている。他者の「事情」に踏み込まず、メンバー相互の厳密な互酬性や義務と責任を問わず、無数に増殖拡大するネットワーク内の人々が、それぞれの「ついで」でできることをする。「「互いに無理やストレスを強いること」を、できるだけ回避しようとすること、をルールにしているように思われる」(p84)
信頼の欠如…「ブローカー業は、香港の地理や中古車業者のやり方・手口に不慣れなアフリカ系の顧客と、アフリカ系顧客のやり方に不慣れで信頼できる客かどうかを見極められない業者との「信用」を肩代わりすることで、手数料をかすめとる仕事である」(p105)。カラマたちの商売は、顧客と業者のあいだの「信頼の欠如」によって成立している。
この信頼の欠如をベースの成り立っている仲介業のプラットフォームが「TRUST」と名付けられている。そのもっとも重要な機能は「香港ブローカー全体に対する『漠然とした不信感』を担保しながら、そのつど特定の誰かに関する『偶発的で一時的な信用』を立ち上げる仕組み」(p143)である。
ただし、法的にはグレーな地下銀行の一種である。送金システムもインフォーマルなものだ。特に重要なのは、TRUSTが「信用できるブローカー/顧客」と「信用できないブローカー/顧客」を次第に明るみに出すものではないことである。これがレピュテーション(評判)によって格付けされる先進国で広がっている、クラウドファインディングやシェアエコノミーとの大きな違いである。
一言でいえば、その場限りの仁義。「彼らは他者の過去や現代の状況を詮索せず、人間はいつでも豹変しうることを前提にしながら、そのつどの状況・文脈に限定的な信頼を構築している」(p152)。
日本でも江戸末期から戦後直後あたりまでは、似た構造があったのだ。つまり侠客の世界だ。過去の日本でも他の縄張りに入る際に「仁義を切る」という行為があったが(清水次郎長の世界ですな)、戦後の暴対法によって、より闇の濃いアンダーグラウンド経済へと追いやられ、一般人をカモとする詐欺が増えだす。ちなみに著者が日本で流行っている「振り込め詐欺」についてボスのカラマと会話すると、「同じ仲間から詐欺するのは良いが、全くの他人から詐欺するのはいけない」と批判する。日本の常識からすると「?」と思うに違いない。これは社会、共同体を「生命体」としてメタレベルで考える必要がある。グレゴリー・ベイトソンは社会(システム)が相互関係の「精神」、関係のネットワークであると気づいていた節がある(参照:グレゴリー・ベイトソン「 精神と自然 生きた世界の認識論 」)。
けれど、「彼らは基本的に「自力で生きている」からこそ、本当に困った時には助けあうという関係が成り立つ」(p185)というバランス感覚は、古代の都市がその様に成立していたプロセスを理解すると判然とする。栗本慎一郎氏の著書で「 都市は、発狂する。―そして、ヒトはどこに行くのか 」という都市論の本があるが、このことが生理感覚として理解出来なければ、古本でも手に入れてこの本を読んで欲しいものだ。
「借り」を回すこと、本当に困った時は知り合いや共同体の人脈を使って無心したりするが、これらは返さなくても良い仕組みがあり、お互いに「誰かから返ってくる」と考える経済圏というか「構造」があるのだ。この辺が気になるなら、ぜひこの本を買って読んで欲しい。もしくは、ナタリー・サルトゥー=ラジュ「 借りの哲学 」が参考になるかもしれない。
タンザニア商人たちは、将来よりも今を生きる。だから儲けを貯金するより仲間を支援したり、みんなで派手に騒いだりして使ってしまう。しかし、著者はあくまでも「他者に必要とされる快楽」について懐疑的である(p230)ようだ。
「他者の多様性が生み出す『偶発的な応答』の可能性に賭ける」(p246)、この姿勢は「『異質性や流動性が高くて、誰が応えてくれるかわからない』という状況における戦略として不合理ではない」という指摘はとても当たっている。
思い出したのは、クリスチャン・ブッシュ「 セレンディピティ 点をつなぐ力 」で紹介された、「セレンディピティ」(偶有性)という言葉だ。つまり「セレンディピティ」が発動する場を、意図的に「経済」に埋め込んでいると考えても良い場面がある(勿論必ず発動するというわけでもない、いつ発動するかもわからないが)。
シェアリング経済はユーザー同士の格付け(レピュテーション)によって取引相手を選別し、ときに排除する。「シェア」という「ムラ社会」は、包摂的な響きを持つ言葉とは裏腹に、きわめて排他的になりうるということであり、それは異質なものが混入・侵入した場合に脆弱に成り得る「構造」がある。この辺が私が無意識に敬遠している理由でもある。私はシェアリング経済が、村八分や排除を行う「ムラ社会」に容易に変貌しうると指摘している気がした。
それに比べてこの本で紹介されている「誰も信頼できないし、状況によっては誰でも信頼できる」という、原始的な交易条件のもとで機能するシステムは、不測の事態において適応度が高いのだ。「出入り自由。他者に関心はもつが監視はしない。基本的に淡泊な人間関係」が最もストレスを感じないものだ。この辺は、古代の都市が村落社会でつまはじきや追い出された者達にによって都市の原型が成立したと、栗本慎一郎氏が指摘していたのを思い出した(参照は前掲書)。
濃密な人間関係を尊ばれる現代において、正に真逆と感じる人も多いだろうが、実際に「 沈黙交易 」が最も古来からある交易方法という報告もある。感染症との共存が叫ばれている現代でこそ、学ぶべき内容が含まれていると私は思った。沈黙交易は相手を全く信用していないところからの距離を置いた言葉を交わさない「交易」のことである。やがて恒常的に交易を始めて、徐々に距離を縮めて、中立地での「市」が生まれ、その周辺に住居を構え、やがて「都市」にまで発展する。モデル化は危険なので一概に言えないが、生理感覚として理解すべき内容なので著者である小川さやか氏も文章からその苦労が伺える。
それでも、著者が今一つ残念なのは、メタレベルで包括的な「システム」思考によるまとめ方が実はあまり上手では無い節がある。確かに参与観察をしていると、枝葉末節が気になる部分が多すぎて難しいことではあるが、説明する際の編集的「抽象化」も時には大切な気もした。文体がもう少しこなれると良いかもしれない。こなれたら間違いなく名著になる可能性があった。それが惜しい。
2019年12月27日に日本でレビュー済み
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この人に会えたらなと思ってこの前
ピンポンマンションならぬ チョンキンマンションに行ってみましたが不在でした。
今度の正月にも家族で行ってみます。
チョンキンマンションは21世紀に残る最後の「昔の香港」です。
ジャッキーチェンもびっくりですよ。
クーロンの面影が3%位はありますよ。
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2020年9月7日に日本でレビュー済み
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人類学者の小川さやかさんの本。僕は大学のはるか後輩ということで小川さんのルポ考察を読むようになった。彼女の本はしばしば分厚い本になるが、でも、以前の「都市を生き抜くための狡知――タンザニアの零細商人マチンガの民族誌」でのウジャンジャという概念などがそうであったように、自分たちの座標軸を揺るがしてくれるところがあって、読むたびにおもしろい。
今回の「チョンキンマンションのボスは知っている」は、香港に来ているタンザニアのブローカーが、インフォーマルな経済の中で生きつつ「ついでに」助け合う姿がたくさん描かれている。チョンキンマンションのボスのカラマさんが言うところの、「まじめに働かないと怒る」日本人、「心の中では怒っている」日本人、「働いて真面目であることが金儲けよりも人生の楽しみよりも大事であるかのように語る」日本人、とタンザニア出身の人々との違いが魅力的に患者たのだった。
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