実質的な編者が、岩波版の共観表出版者なので、信頼がおけます。実際に、様々な角度から、イエス像を概観可能ですので、執筆者ともども想像たくましく楽しめる？良書でしょう。中でも、「実証的な」礒山雅氏の論考はとても勉強になりました。この部分だけでも一読の価値があります。
ただし、代表的論考？に関して投げかけられた疑問に対して、未だに誠実な応答をされない新約聖書学者さん、思想のフラつき具合が徹底的に暴露・粉砕された（元）左派思想家、既存の「邦語」文献をまともに読んでいるのか？と疑わざるを得ない方、等々を担ぎ出すあたりに、編者のグループの限界を感じざるを得ません。また、紙数に対して、テーマを詰め込み過ぎて、消化不良・拡散している印象すら受けました。
愚見では、普段は誠実な仕事をこなしておられる新約聖書学者さんですら、ことイエス像を語る段になると、何でもアリ！、師匠の意のままに、という日本の人文科学業界の一端も垣間見れたような気がいたしました。
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