あとがきにもあるように、「オペラ座の怪人」が下敷きになったお話です。
財閥の御曹司と身寄りのない盲目の少年との、純愛物語。
大正時代という設定もあってか、とてもレトロで上品な香りがしますね。
美貌と才能にあふれ、なおかつ財閥の嫡子という恵まれた青年（攻め）が、
火事で左半身にひどい傷を負ってしまう。
将来を嘱望されたオペラ歌手だった彼は、失意の淵に沈んでしまう。
仮面で顔を隠し、心を閉ざし世捨て人のようになってしまった彼の前に、
金の小鳥のような、儚げな美少年が現れる。
異人の血が混じった少年の青い目には、醜い姿は映らない。
純粋無垢な少年を前に、だんだん心を開いていく青年。
そのうち、少年に歌の才能があることがわかり、指導するようになる。
このあたりの展開はまさに「オペラ座の怪人」ではあるが、
孤児である少年に学校へ行かせたり洋服を買い与えたりするところは、
「あしながおじさん」のようでもある。
単なる恋愛関係だけにとどまらず、二人が師弟愛を育んでいくのもいい。
最後の番外編も楽しめました。
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