20年ぶりに「地底旅行」を読みました。本作は岩波文庫、角川文庫、創元SF文庫からも出ていますが、2018年現在、いちばん翻訳の新しい光文社古典新訳文庫を選びました。
評判に違わず非常に読みやすく速読向き。また、エドゥアール・リウーの有名な挿絵も岩波文庫並みに多数掲載されているうえに、左ページ端に随時載っている傍注が大変新鮮でした。地底旅行の雑学が一気に増えました。
それにしても、光文社古典新訳のページ数545ページは他の出版社の文庫版に比べても多いです。
ちなみに岩波文庫版477ぺージ、創元SF文庫版343ページ、角川文庫版327ページで、最短の角川文庫版と比較すると200ページ以上も多い。
角川文庫版には挿絵が無いことを考慮してもあまりにも差か大きすぎるので、角川文庫はもしかしたら抄訳かと思い、両方の訳文を見比べてみましたが、決して抄訳ではありませんでした。
以下に、光文社古典新訳文庫版と角川文庫版、および他の文庫版の特徴をまとめてみました。
・光文社古典新訳文庫版・・・活字が4文庫の中で一番大きいこと、本文の随所に傍注があること、巻末の25ページが解説と訳者あとがきに割かれていることに加えて、読者が手に取るごとく情景を想像できるようにと非常に行き届いた訳文になっている。これらの理由により、本文が500ページを超えているようだ。若い頃慣れ親しんだ石川湧訳 (角川文庫)、窪田般彌訳 (創元SF文庫)、そして20年前に読んだ朝比奈弘治訳 (岩波文庫) と比較すると一目瞭然で、自由訳、超訳とまでは言わないが、状況描写がよりいっそう分かりやすくなるように訳文や言葉の選び方に色々と創意工夫が凝らされているし、場合によっては理解しやすいように言葉を補っているような部分さえある。
ようするに、ひと昔まえの簡潔で男性的な文章ではなく、いかにも現代風のシャレていてなおかつ易しい言葉で、痒い所に手が届くくらい、こんせつ丁寧に説明する細やかで女性的な文章になっている。決してくどい言い回しというわけではなく、分りやすく噛み砕いた表現で、場面々々を活写しているという感じ。
このあたりが「いま息をしていることばで」のキャッチコピーが売りの、いわゆる古典新訳か。
・角川文庫版・・・石川湧の訳文は、とにかく簡潔でしかも要点はしっかり押さえており、ある意味、4名の訳者の中では最も翻訳能力の高い翻訳者かも知れない。ページ数が少ないぶん早く読み終えられるし、訳文も日本語として自然で美しい。ただし挿絵は無し。
・創元SF文庫版・・・掲載枚数はそう多くはない (10枚) が、南村喬之の非常に写実的で迫力ある挿絵が昔から好きだった。とくに240~241ページの見開き2ページ全面にわたり、ティラノサウルスとトリケラトプスの死闘を描き出した挿絵は圧巻! 恐竜好きの私は、若い頃このページを飽かず眺めていた。窪田般彌の翻訳は独特の味があってこれも昔から愛好。
・岩波文庫版・・・エドゥアール・リウーの素晴らしい挿絵を数十枚すべて収めているということで、1997年発売と同時に購入。パラパラと挿絵だけ眺めていても楽しかったが、本文 (朝比奈弘治訳) を読んでみて、石川湧、窪田般彌に劣らない堅実な訳文には好印象を持った。
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地底旅行 (光文社古典新訳文庫 Aウ 2-3) 文庫 – 2013/9/10
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- 本の長さ545ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2013/9/10
- 寸法10.7 x 2.1 x 15.3 cm
- ISBN-104334752772
- ISBN-13978-4334752774
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2013/9/10)
- 発売日 : 2013/9/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 545ページ
- ISBN-10 : 4334752772
- ISBN-13 : 978-4334752774
- 寸法 : 10.7 x 2.1 x 15.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 111,367位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 284位光文社古典新訳文庫
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2018年3月21日に日本でレビュー済み
2013年10月19日に日本でレビュー済み
子供の頃、ジュヴナイル版のこの小説を読んだことがある。
その時は次を読むのがもったいないと思ったほど、どきどきしながら読んだものだ。そして原典(といっても翻訳だが)を読むのは今回が初めてとなる。
どこかで書いたと思うのだが、現代の冒険小説には大いに不満がある。なんでどれもこれも悪の組織と戦うのか。悪の組織と戦うのなら裁判所でやればいい。冒険小説とは「危険」と戦うのが王道のはずだ。
その点、この小説は王道をいく冒険小説だ。中世の錬金術師が残した暗号文書を手掛かりに、主人公らはスリリングな地底世界への果てしない冒険の旅に出る。どきどき感はジュヴナイル版と変わっていない。
ヴェルヌは冒険「SF」小説の元祖だ。この小説にも当時のものではあるが科学知識がふんだんに盛り込まれている。ヴェルヌ小説を面白くするのは、その科学知識を駆使したスリルが豊富に用意されているところだ。
以下ネタばらし注意! 特に道に迷った主人公が、高気圧下での音響効果を利用して連絡を取り合う場面は、科学作家ヴェルヌの面目如実といったところ。
それでも★を一つ減らしたのは、なぜ「この小説」なのか、という点が不満だったからだ。
ヴェルヌにはもっと面白い小説がいくらでもある。この小説も面白いことは面白いが、それでも順位をつければかなり下がるだろう。
「グラント船長の子供たち」「南十字星」「動く人工島」「征服者ロビュール」そして「ジャンガダ」。次はこれでお願いしたいという意味をこめて挙げてみた。
特に「征服者ロビュール」「ジャンガダ」は今は手に入りにくい作品であり、ぜひ新訳を期待したいところだ。
その時は次を読むのがもったいないと思ったほど、どきどきしながら読んだものだ。そして原典(といっても翻訳だが)を読むのは今回が初めてとなる。
どこかで書いたと思うのだが、現代の冒険小説には大いに不満がある。なんでどれもこれも悪の組織と戦うのか。悪の組織と戦うのなら裁判所でやればいい。冒険小説とは「危険」と戦うのが王道のはずだ。
その点、この小説は王道をいく冒険小説だ。中世の錬金術師が残した暗号文書を手掛かりに、主人公らはスリリングな地底世界への果てしない冒険の旅に出る。どきどき感はジュヴナイル版と変わっていない。
ヴェルヌは冒険「SF」小説の元祖だ。この小説にも当時のものではあるが科学知識がふんだんに盛り込まれている。ヴェルヌ小説を面白くするのは、その科学知識を駆使したスリルが豊富に用意されているところだ。
以下ネタばらし注意! 特に道に迷った主人公が、高気圧下での音響効果を利用して連絡を取り合う場面は、科学作家ヴェルヌの面目如実といったところ。
それでも★を一つ減らしたのは、なぜ「この小説」なのか、という点が不満だったからだ。
ヴェルヌにはもっと面白い小説がいくらでもある。この小説も面白いことは面白いが、それでも順位をつければかなり下がるだろう。
「グラント船長の子供たち」「南十字星」「動く人工島」「征服者ロビュール」そして「ジャンガダ」。次はこれでお願いしたいという意味をこめて挙げてみた。
特に「征服者ロビュール」「ジャンガダ」は今は手に入りにくい作品であり、ぜひ新訳を期待したいところだ。
2015年1月27日に日本でレビュー済み
新訳で古典を現代に蘇らせるとの文庫の謳い文句どおり、読みやすく楽しめました。
古典とは言ってもSF冒険小説なのですからスピード感が大事です。
子供の時に少年少女向けに翻案されたものを読んでいるはずですが、当時の人々の考え方なり世の中の在り方なり、あるいはドイツ(ハンブルグ)やアイスランドの様子など、また違ったところを興味深く読むことができました。
作者の想像力の産物である地底世界と次々と遭遇する事件の数々に夢中になりつつも、最後の帰還のくだりは、これは全員死ぬだろうと突っ込みたくなります。それはご愛嬌というところでしょうか。
古典とは言ってもSF冒険小説なのですからスピード感が大事です。
子供の時に少年少女向けに翻案されたものを読んでいるはずですが、当時の人々の考え方なり世の中の在り方なり、あるいはドイツ(ハンブルグ)やアイスランドの様子など、また違ったところを興味深く読むことができました。
作者の想像力の産物である地底世界と次々と遭遇する事件の数々に夢中になりつつも、最後の帰還のくだりは、これは全員死ぬだろうと突っ込みたくなります。それはご愛嬌というところでしょうか。
2014年5月31日に日本でレビュー済み
同じ文庫、同じ訳者の『八十日間世界一周』同様、原文から離れた表現を随所にはさんでいます。
話が分かって面白ければ、当世風でいいや、という方はどうぞ。
原書の表現に忠実であろうとする訳と、イマジネーションあふれる原書版の挿絵を堪能したい方には岩波文庫版をお勧めします。
話が分かって面白ければ、当世風でいいや、という方はどうぞ。
原書の表現に忠実であろうとする訳と、イマジネーションあふれる原書版の挿絵を堪能したい方には岩波文庫版をお勧めします。