これまで、ホロコーストを奇跡的に生き延びてきた人たちの体験談をいろいろと
目にしてきましたが、ここまで引き込まれる作品は初めてでした。
作者のジェイコブス氏は、戦後、米国のボストンに渡って、当時の悲惨な体験を
講演活動の中で伝えていきますが、高齢になって「咽頭がん」を患っていることが
判明し、本書を書き下ろします。
彼の凄いところは、どのような苦境に置かれても人を愛する気持ちを忘れないことです。
水を汲みに行った泉の傍で知り合った、ポーランド人の若き女性・ゾーシャと一瞬で
恋に落ち、隙間時間を見つけては逢瀬を重ねます。さらに、ゾーシャと仲間の女性たちに、
貴重な食べ物を差し入れて貰ったり、家族への手紙の受け渡しもしてもらいます。
ジェイコブス氏の優れた点は、こうした「特権」を自分たち家族(父と兄のヨゼク)で
占領することなく、収容所仲間たちにも惜しみなく与えられるところです。
実際に、彼のこの育ちの良さを思わせる温厚な人柄や、歯科医としての優秀な腕の
おかげで、彼はユダヤ人たちを支配する残酷な「カポ」やSSの司令官などからも
特別待遇を受け、何度も奇跡的に命を救われます。
仲間だけでなく、時には敵側であるSS隊員たちにまで温かい目を向けるジェイコブス氏は、
85歳まで長生きして、2004年に永遠の眠りにつきましたが、こうした貴重な実録書こそ、
もっと多くの人たち、特に若い世代に読んで欲しいと思いました。
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アウシュヴィッツの歯科医 単行本(ソフトカバー) – 2018/2/8
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命を救ってくれたのは、
別れぎわに母がわたしに持たせた
歯科治療用の小さな道具箱だった――
1941年、ポーランドの小さな村で暮らしていたユダヤ人の青年が強制収容所へ送られる。
歯科医の勉強を始めて1年目の彼に、母は歯の治療用具箱を持っていくよう強く勧めた。
その箱が、のちのち自分と家族の命を救うことになるとは、そのときは思いもしなかった――
飢餓とシラミに苦しめられた収容所生活、仲間の裏切りと拷問、家族の殺害、非ユダヤ人女性との恋、
収容者の遺体から金歯を抜き、SS司令官オットー・モルを治療する……
機転と知恵を働かせながら、信じがたいほどの試練をかいくぐって奇跡的に生きのびた著者の回顧録。
別れぎわに母がわたしに持たせた
歯科治療用の小さな道具箱だった――
1941年、ポーランドの小さな村で暮らしていたユダヤ人の青年が強制収容所へ送られる。
歯科医の勉強を始めて1年目の彼に、母は歯の治療用具箱を持っていくよう強く勧めた。
その箱が、のちのち自分と家族の命を救うことになるとは、そのときは思いもしなかった――
飢餓とシラミに苦しめられた収容所生活、仲間の裏切りと拷問、家族の殺害、非ユダヤ人女性との恋、
収容者の遺体から金歯を抜き、SS司令官オットー・モルを治療する……
機転と知恵を働かせながら、信じがたいほどの試練をかいくぐって奇跡的に生きのびた著者の回顧録。
- 本の長さ408ページ
- 言語日本語
- 出版社紀伊國屋書店
- 発売日2018/2/8
- 寸法13.2 x 2.7 x 18.8 cm
- ISBN-104314011548
- ISBN-13978-4314011549
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対象商品: アウシュヴィッツの歯科医
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商品の説明
著者について
【著者】ベンジャミン・ジェイコブス(Benjamin Jacobs)
ポーランド生まれのユダヤ人。1941年、21歳のときに父と強制収容所に送られ、アウシュヴィッツを含む数か所の強制収容所の医務室や診療所で「歯科医」として働いた。
ポーランド生まれのユダヤ人。1941年、21歳のときに父と強制収容所に送られ、アウシュヴィッツを含む数か所の強制収容所の医務室や診療所で「歯科医」として働いた。
登録情報
- 出版社 : 紀伊國屋書店 (2018/2/8)
- 発売日 : 2018/2/8
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 408ページ
- ISBN-10 : 4314011548
- ISBN-13 : 978-4314011549
- 寸法 : 13.2 x 2.7 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 309,387位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,144位ヨーロッパ史
- - 49,161位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年7月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私自身がホロコーストの生還者のインタビューをして、いくつかの本を出しています。当然、歴史的事実やホロコーストに関するさまざまな論議よりも、生還者の言葉に最も強い関心があります。この本は、ある意味で、これまで書かれていなかった内容であり、非常に興味深く読みました。そして、感じるのは、どんな地獄の中にも、人を助けようとする良心があるという事実です。筆者の性格なのか、極限状態を描きながらも、どこかで、からっと明るいものが見える、もしかすると、その性格が、まわりの人(加害者であるナチスや、ポーランド人のカポもふくめ)の、心の底に隠れている良心を少し揺り動かしたのかと思え、多くある生還者の記録の中では、読後の後味のいいものでした。今後、生還者の記録が出ることは少なくなるでしょう。貴重な一冊ですね。
2022年4月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ウクライナ紛争の今、第二次世界大戦の悲劇を思い出させて、同じ過ちはいけないことを
認識できる素晴らしい本です。
認識できる素晴らしい本です。
2023年2月8日に日本でレビュー済み
ポ-ランドの小さな村の
ユダヤ人家庭で暮らしていた
歯科医の勉強を始めたばかりの
21歳の青年が
ナチス・ドイツの
強制収容所へ送られて
生き残る過程はすごいが
終戦直前から
ドイツの大地に放り出され
難民と名付けられる前に
フランスへと
自力で脱出し
アメリカへ渡って自立していく
ラストは
息をのむような記録となっている。
生還したものの伝え継ごうとする使命感のある一冊
ユダヤ人家庭で暮らしていた
歯科医の勉強を始めたばかりの
21歳の青年が
ナチス・ドイツの
強制収容所へ送られて
生き残る過程はすごいが
終戦直前から
ドイツの大地に放り出され
難民と名付けられる前に
フランスへと
自力で脱出し
アメリカへ渡って自立していく
ラストは
息をのむような記録となっている。
生還したものの伝え継ごうとする使命感のある一冊
2018年8月10日に日本でレビュー済み
本書はアウシュビッツで歯医者として働いていたユダヤ人の伝記です
著者は戦前はポーランドで歯科を学ぶ学生でした
ところが、ナチスとソ連の分割によってポーランドは消滅し、ユダヤ人は強制収容所へと収容されることになります
ここで著者は学んでいた知識を生かし、歯医者として働くことによって、過酷な労働を避けることができました
また、近くに住んでいたポーランド女性と恋仲になることによって、食糧を融通してもらい、そのおかげで著者とその父親はなんとか収容所生活を耐えぬくことができました
しかし、そのような比較的牧歌的な状況は独ソ戦がはじまり、アウシュビッツに輸送されたことで終わりを告げます
アウシュビッツでの生活は以前の収容生活よりもはるかに過酷で生死ギリギリの状態に著者は置かれます
ここでもなんとか歯科医としての活動は認められたものの、残忍な看守に目をつけられたことによって、常に体罰を受けるはめに・・・
しかしながら、アウシュビッツ所長の歯を治療したことによって、好意をもたれた著者は他の収容者に比較すると多少はマシな扱い(あくまでもマシ程度ですが)を受けれることになりました
そんな過酷なアウシュビッツ生活も赤軍が迫ってきたことによって終わりをつげ、著者はドイツ脱出への長い道程を歩むことになります
途中で大勢の脱落者を出しながらもなんとか海岸までたどり着き、そこで客船に乗ってバルト海を渡ることになった著者たちでしたが、この客船があろうことか、連合国であるイギリス軍の爆撃によって沈没してしまうことになります
そして、ここまで生き残ってきた収容者たちの大半はこの爆撃によって、溺死してしまいます・・・
著者はここでも幸運によって漁師に助けられ、どうにか生き延びます
その後は連合国軍に救出されて、戦争も終わり、著書はアメリカに移民することができました
本書では多くの登場人物が出てきますが、前の章で出てきた人物が次の章では死んでしまうといったことが頻繁に起き、著者が生き延びることができたのは、著者がずば抜けて賢かったわけでも体力があったわけでもなく、著者に好意をもった人たちの助けとまったくの運によるものでした
著者を助けてくれた人たちの中にナチスがいる一方で、同じユダヤ人でありながらカポとなって同胞に暴力をふるったものもいます(著者の父親はこのカポによって殺されている)
本書では単純にナチスは加害者でユダヤ人は被害者という対立構造では表明できない複雑性がかいま見えます
著者は戦前はポーランドで歯科を学ぶ学生でした
ところが、ナチスとソ連の分割によってポーランドは消滅し、ユダヤ人は強制収容所へと収容されることになります
ここで著者は学んでいた知識を生かし、歯医者として働くことによって、過酷な労働を避けることができました
また、近くに住んでいたポーランド女性と恋仲になることによって、食糧を融通してもらい、そのおかげで著者とその父親はなんとか収容所生活を耐えぬくことができました
しかし、そのような比較的牧歌的な状況は独ソ戦がはじまり、アウシュビッツに輸送されたことで終わりを告げます
アウシュビッツでの生活は以前の収容生活よりもはるかに過酷で生死ギリギリの状態に著者は置かれます
ここでもなんとか歯科医としての活動は認められたものの、残忍な看守に目をつけられたことによって、常に体罰を受けるはめに・・・
しかしながら、アウシュビッツ所長の歯を治療したことによって、好意をもたれた著者は他の収容者に比較すると多少はマシな扱い(あくまでもマシ程度ですが)を受けれることになりました
そんな過酷なアウシュビッツ生活も赤軍が迫ってきたことによって終わりをつげ、著者はドイツ脱出への長い道程を歩むことになります
途中で大勢の脱落者を出しながらもなんとか海岸までたどり着き、そこで客船に乗ってバルト海を渡ることになった著者たちでしたが、この客船があろうことか、連合国であるイギリス軍の爆撃によって沈没してしまうことになります
そして、ここまで生き残ってきた収容者たちの大半はこの爆撃によって、溺死してしまいます・・・
著者はここでも幸運によって漁師に助けられ、どうにか生き延びます
その後は連合国軍に救出されて、戦争も終わり、著書はアメリカに移民することができました
本書では多くの登場人物が出てきますが、前の章で出てきた人物が次の章では死んでしまうといったことが頻繁に起き、著者が生き延びることができたのは、著者がずば抜けて賢かったわけでも体力があったわけでもなく、著者に好意をもった人たちの助けとまったくの運によるものでした
著者を助けてくれた人たちの中にナチスがいる一方で、同じユダヤ人でありながらカポとなって同胞に暴力をふるったものもいます(著者の父親はこのカポによって殺されている)
本書では単純にナチスは加害者でユダヤ人は被害者という対立構造では表明できない複雑性がかいま見えます
2019年5月10日に日本でレビュー済み
普段あまり本を読まないのですが、
それでも読みやすく、あっという間に読み終わりました。
当時どれほど酷いことが行われていたのか
想像することができ、考えさせられるものがあります。
また、主人公の生き方には学ぶことが
多くあるように感じられました。
それでも読みやすく、あっという間に読み終わりました。
当時どれほど酷いことが行われていたのか
想像することができ、考えさせられるものがあります。
また、主人公の生き方には学ぶことが
多くあるように感じられました。
2018年4月11日に日本でレビュー済み
アウシュヴィッツなどの強制収容所を生きのびた人たちの本は、プリーモ・レーヴィの作品を含め、いくつか読んできた。本書はそのなかでも、やや異質とも言える。
著者は歯科医の勉強を始めたばかりだったが、母が持たせてくれた歯科治療用の小さな道具箱のため、強制収容所内で食事などを含め様々な特権を与えられている。その特権は著者だけではなく、同じように収容されていた父や兄の窮地を幾度となく救っている。淡々とした文章と著者の境遇ゆえに、他の強制収容所体験記に比べると悲惨さがやや柔らかな感じはする(表紙カバーのイラストも影響している)が、金歯に関する部分や行進中に歩けなくなった者に対する容赦ない射殺行為などには戦慄が走る。
戦争末期、ドイツなどの避難民も載せたヴィルヘルム・グストロフ号の沈没は、ギュンター・グラスなどが取り上げ、それなりに知られているが、著者が乗り、九死に一生を得たカップ・アルカナ号沈没の顛末は戦勝国であるイギリス空軍の攻撃によるものだったこともあるのだろうが、あまり知られていないだけに、著者の証言はかなり貴重だ。
それとゾーシャ(非ユダヤ人女性)との恋愛も素晴らしい。ポーランドに戦争前からあった反ユダヤ主義の強さを考えると、彼女と彼女の家族たちが示した著者に対する好意は、強い印象を残す。
原著刊行は1995年。刊行後20年以上経過した本書を見つけ、翻訳し刊行にこぎつけた監訳者の上田祥士氏に感謝したい。
著者は歯科医の勉強を始めたばかりだったが、母が持たせてくれた歯科治療用の小さな道具箱のため、強制収容所内で食事などを含め様々な特権を与えられている。その特権は著者だけではなく、同じように収容されていた父や兄の窮地を幾度となく救っている。淡々とした文章と著者の境遇ゆえに、他の強制収容所体験記に比べると悲惨さがやや柔らかな感じはする(表紙カバーのイラストも影響している)が、金歯に関する部分や行進中に歩けなくなった者に対する容赦ない射殺行為などには戦慄が走る。
戦争末期、ドイツなどの避難民も載せたヴィルヘルム・グストロフ号の沈没は、ギュンター・グラスなどが取り上げ、それなりに知られているが、著者が乗り、九死に一生を得たカップ・アルカナ号沈没の顛末は戦勝国であるイギリス空軍の攻撃によるものだったこともあるのだろうが、あまり知られていないだけに、著者の証言はかなり貴重だ。
それとゾーシャ(非ユダヤ人女性)との恋愛も素晴らしい。ポーランドに戦争前からあった反ユダヤ主義の強さを考えると、彼女と彼女の家族たちが示した著者に対する好意は、強い印象を残す。
原著刊行は1995年。刊行後20年以上経過した本書を見つけ、翻訳し刊行にこぎつけた監訳者の上田祥士氏に感謝したい。