人間と類人猿やサルの社会との比較がとても興味深く楽しめました。著者に感謝です。以下、気になった点について少しコメントします。
■人間の本性は善か悪か?
著者は善としています。が、僕としては”本性”なるものがあることを前提とした問いの立て方が現実に合っていないように思います。
著者が書いている通り、生命体はその環境と一体のものなので、環境によって態度/志向性が変わる。つまり、生存に必要な資源は周りにあるものの外敵(動物)が多ければ、協調的に団結して助け合う。一方、生存に必要な資源が欠乏していてかつ移動も難しいとしたら、自らの属する集団以外の集団に対して攻撃的になり資源を確保する、さらにそれでも欠乏する場合は属する集団内でも資源を奪い合う。というように、人間の態度/指向性は、環境次第で協調的にも攻撃的にもなる、言い方を変えればそれだけ柔軟というかグニャグニャのもので(だから危ない)、本性は何か?というのはミスリーディングかと。
現代社会で問題なのは、80億人超の人類が地球上で生活していくのに必要な資源が、温暖化や環境汚染で劣化・枯渇する危機にあり、そうなると人間が暴力的・排他的な面がむき出しになる可能性があるということですね。
■暴力的な差別虐待性向のある人はいなくならないことが前提
著者が書いている通り、子供の時に周囲の人(年の差のある子どもや大人含め)や自然と豊かな交流を持つことは、共感力(感情移入力)/共生の感覚を涵養する上で最も大事なことだと思います。
ただ、それでも強い差別虐待性向のある人はいなくならない。それも一種の多様性。なので、強い差別虐待性向のある人達にどう対応するか(市民の安全・安心をどう確保し、共生のブレーキにならないようにするか)は、人間社会の根本的な問題。特に、国や組織のリーダーに強い差別虐待性向を持つ人がなるのは避けないとまずい(ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵攻、各地の少数民族のジェノサイドなど見ても)。日本で言えば、政権幹部の共感力(感情移入力)が弱いと、貧困・入管・差別(夫婦別姓等)などの人権問題がなかなか抜本的に改善/解消されないということにもなる。いずれにしても共感力(感情移入力)/共生の感覚が人類の未来の基盤であることは間違いないです。
久永公紀『意思決定のトリック』・『宮沢賢治の問題群』
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共感革命: 社交する人類の進化と未来 (河出新書 067) 新書 – 2023/10/24
山極 壽一
(著)
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- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2023/10/24
- 寸法10.5 x 1 x 17.2 cm
- ISBN-10430963169X
- ISBN-13978-4309631691
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商品の説明
著者について
1952年、東京都生れ。霊長類学者。京都大学理学部卒、同大学院で博士号取得。京都大学霊長類研究所などを経て同大学教授、京都大学総長。2021年より総合地球環境学研究所所長。著書多数。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2023/10/24)
- 発売日 : 2023/10/24
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 430963169X
- ISBN-13 : 978-4309631691
- 寸法 : 10.5 x 1 x 17.2 cm
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上位レビュー、対象国: 日本
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2024年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年12月17日に日本でレビュー済み
本書は新書でありながら、内容が盛りだくさんであることと、山極さんの思想が色濃く反映されている
ため、刺さる人には天啓のように響くだろうし、自分の信念との差異に違和感をもつ人にとっては、
なかなか共感するのが難しい本です。
私はどちらかというなら後者ですので、この本の内容をバイブルのようにしたいとは思いませんでした。
とくに、「人間の本性は暴力的であるというのはウソである」というのは、根本原理から言うならその
とおりで、むしろ「共存」こそが人類生き残りのための本性なのでしょう。人類をとらえるときに、
どの時代まで遡るのかに依りますが、著者がいうように「戦争の起源は共感力の暴発」であり、本性と
まではいかなくても、人には争う気質があることを無視しては、現実的に未来を考えることはできませ
ん。これに留まらず、同氏の論調は理想主義に過ぎるきらいがあります。
山極さんの思想と自分の信念に違いがある場合でも、共感できるパートをいくつか見つけることができ
人類の進化と未来を思索する時の参考になります。
もっとも感銘を受けた考えに絞って、書評を書きます。
私たちは言葉によって虚構をつくり、その虚構を信じることで物語を共有してきました。言葉によって
これまでの進化を遂げてきたと言えますが、昨今のAIの出現により、私たちが自ら用いる言葉の力が
弱まりつつあるとともに、ときとして身体性をもたない言葉が逆の意図として伝わることもあります。
言葉の前に、その前提として身体の共鳴が人間の共感しあう力の始まりであったという筆者の論を是と
するならば、私たち人類が新しい物語を紡ぐために欠かせないのは、共感能力と認知能力を合体させた
相手を思いやる気持ちである、「コンパッション」であるという主張には惹かれました。
身体の共鳴がコンパッションのキーワードとして蘇るのだとすれば、”ひとつひとつは小さくても、
個人が複数のコミュニティに属して繋がる多極社会をいかに形成するかが、自然との共生だけでなく、
人類生き残りの鍵となります。
これまでのコミュニティは、血縁、地縁、そして会社といった限定され、移動や参入・離脱障壁が
高いものでした。これから大切なのは、軽やかな移動性を身に着けて、身体の共鳴が可能な規模の
地域に身を置くことと、ICT技術を活用し、心通い合わせることができる複数のコミュニティに参画
する分散型体制が求められ、人類の持続可能性を高めてくれるのでしょう。
正直なところ、難解なうえに、著者との対話の不成立にフラストレーションが残りましたが、自分の
思考を整理し、取り込めるものは取り込む作業になったことが、本書を読む意義でした。
ため、刺さる人には天啓のように響くだろうし、自分の信念との差異に違和感をもつ人にとっては、
なかなか共感するのが難しい本です。
私はどちらかというなら後者ですので、この本の内容をバイブルのようにしたいとは思いませんでした。
とくに、「人間の本性は暴力的であるというのはウソである」というのは、根本原理から言うならその
とおりで、むしろ「共存」こそが人類生き残りのための本性なのでしょう。人類をとらえるときに、
どの時代まで遡るのかに依りますが、著者がいうように「戦争の起源は共感力の暴発」であり、本性と
まではいかなくても、人には争う気質があることを無視しては、現実的に未来を考えることはできませ
ん。これに留まらず、同氏の論調は理想主義に過ぎるきらいがあります。
山極さんの思想と自分の信念に違いがある場合でも、共感できるパートをいくつか見つけることができ
人類の進化と未来を思索する時の参考になります。
もっとも感銘を受けた考えに絞って、書評を書きます。
私たちは言葉によって虚構をつくり、その虚構を信じることで物語を共有してきました。言葉によって
これまでの進化を遂げてきたと言えますが、昨今のAIの出現により、私たちが自ら用いる言葉の力が
弱まりつつあるとともに、ときとして身体性をもたない言葉が逆の意図として伝わることもあります。
言葉の前に、その前提として身体の共鳴が人間の共感しあう力の始まりであったという筆者の論を是と
するならば、私たち人類が新しい物語を紡ぐために欠かせないのは、共感能力と認知能力を合体させた
相手を思いやる気持ちである、「コンパッション」であるという主張には惹かれました。
身体の共鳴がコンパッションのキーワードとして蘇るのだとすれば、”ひとつひとつは小さくても、
個人が複数のコミュニティに属して繋がる多極社会をいかに形成するかが、自然との共生だけでなく、
人類生き残りの鍵となります。
これまでのコミュニティは、血縁、地縁、そして会社といった限定され、移動や参入・離脱障壁が
高いものでした。これから大切なのは、軽やかな移動性を身に着けて、身体の共鳴が可能な規模の
地域に身を置くことと、ICT技術を活用し、心通い合わせることができる複数のコミュニティに参画
する分散型体制が求められ、人類の持続可能性を高めてくれるのでしょう。
正直なところ、難解なうえに、著者との対話の不成立にフラストレーションが残りましたが、自分の
思考を整理し、取り込めるものは取り込む作業になったことが、本書を読む意義でした。
2023年11月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
学びが多い好著です。
今の人間社会や政治の分析から、競争と
戦争は人間の本能によるもの。従って格
差も戦争も永遠に続くと考える人は多い。
ところが、本書ではそうではないと、丁
寧に教えてくれます。類人猿がこうだから、
人間も同じなんだというような、安直な論
理ではないです。
科学だけでなく芸術や文学でも、人間とは
どういうものかが問われています。本書に
はその答えがあります。
今の人間社会や政治の分析から、競争と
戦争は人間の本能によるもの。従って格
差も戦争も永遠に続くと考える人は多い。
ところが、本書ではそうではないと、丁
寧に教えてくれます。類人猿がこうだから、
人間も同じなんだというような、安直な論
理ではないです。
科学だけでなく芸術や文学でも、人間とは
どういうものかが問われています。本書に
はその答えがあります。
2023年11月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
久しぶりに大きく感銘しました。
これからの人類の向かう道が示されています。
おすすめです!
これからの人類の向かう道が示されています。
おすすめです!
2023年12月10日に日本でレビュー済み
共感の原点は、言葉ではなく踊りだ...というだけの内容かと思いながら手にしましたが、
話しはどんどん深まっていって..."第6章「棲み分け」と多様性"に行き着きます。ひとつの
種について考えれば、進化は適者生存ではあるかもしれませんが、生物全体としての進化を
考えると、たしかに「棲み分ける」ことで進化してきたとも言えそうです。
ゴリラとチンパンジーとの生態のちがいや、人間との類似点など興味深く読ませていただ
きました。
話しはどんどん深まっていって..."第6章「棲み分け」と多様性"に行き着きます。ひとつの
種について考えれば、進化は適者生存ではあるかもしれませんが、生物全体としての進化を
考えると、たしかに「棲み分ける」ことで進化してきたとも言えそうです。
ゴリラとチンパンジーとの生態のちがいや、人間との類似点など興味深く読ませていただ
きました。
2024年1月18日に日本でレビュー済み
農業革命が起きたことで、ヒトは定住し、土地を所有する概念が生まれた。それ以前の狩猟採集の世界では所有の概念がなかった。土地を所有する概念が生まれたことで、競争ひいては戦争が生じたと論じる。この農業革命の起源を大雑把に1万年とすると、人類史において、競争がない期間を多く生き延びてきた訳で、昨今の紛争の悲劇に鑑みると、我々はどうすべきかという課題に対して、生来的に解決策が備わっているという。悲観しすぎることはないと教わった。
2023年10月29日に日本でレビュー済み
著者は霊長類研究の権威で、前京都大学総長で、現在は、総合地球・環境学研究所の所長である。長年のフィールド研究・調査によって培われた身体性に基づく言説に多くの読者が信頼を置いている。著者の言説は文献研究者の論理的には正鵠を射ていても、現実の生活の中で応用できない一般的な傾向とは異なる。本書も、ゴリラ研究の現場から体得した動物や人間の本来の共生の習慣の知見を通して、人類の現状に警告を与え、改めて、これからの我々一人一人の生きる姿勢を提言している書である。
「はじめ」で、人間が二本足歩行を選択した理由として、著者は「仲間の存在、気持ちを想像し、仲間のために離れた場所から食物を運ぶためだ。それは、弱みを強みに変える人類特有の生存戦略の出発点だった。それ以来私たちは、長い間、「共感」によって他者とともに暮らしてきたのだ」という表現で、自らの人間観や社会観を実に明快に示している。
そして、章を追うごとに、本来あるべき人間や社会のあるべき姿を外れてきた人類の過ちを鋭く指摘して、本来のあり方に立ち返る道筋を示しているのが本書だ。序章で、著者は「過去に戻り、これまでとは違う別の虚構をもう一度作り直し、未来を変えなくてはいけない。その未来について、人間の本質を進化の観点から見直して考えていこうと思う」と、述べている。
第四章「弱い種族は集団を選択した」のゴリラの集団においては、メスや子供たちから信任されないとオスは存在できないという指摘が興味深かった。メスに選ばれるためにオスは自分の力を抑制して、疑似的にせよ平等の関係を作ろうとするという。「建前と本音の社会」の芽生えと、捉えている。ウクライナにせよ、中東にせよ、弱い存在の人々の命についてひとかけらの思慮もしない指導者たちに読ませたい箇所だ。
人間の集団の適正規模は150名という著者の考えからいえば、巨大なグローバル社会が人類を幸福にするもとのは思えない。平和と互恵性に満ちた小集団が同様の小集団と連携して、その集まりとして幸福な人類社会が構築されるという「ローカルから」から「グローバル」への展開の指摘は目から鱗だ。A Iの裏をかいて、過去を捉え直す必要があるという提言は実に新鮮である。
太古、踊りや音楽など、身体性を伴うコミュニケーションを通して、人類は共同体性を培ってきた。スマホやA Iなどの情報技術によって、あたかも人の心と心が通じ合っているかのような錯覚の上に現代の人類は生きているのではないか、本当にそれで良いのかと、改めて考えさせてくれた労作。
繰り返し読みたい書だ。
「はじめ」で、人間が二本足歩行を選択した理由として、著者は「仲間の存在、気持ちを想像し、仲間のために離れた場所から食物を運ぶためだ。それは、弱みを強みに変える人類特有の生存戦略の出発点だった。それ以来私たちは、長い間、「共感」によって他者とともに暮らしてきたのだ」という表現で、自らの人間観や社会観を実に明快に示している。
そして、章を追うごとに、本来あるべき人間や社会のあるべき姿を外れてきた人類の過ちを鋭く指摘して、本来のあり方に立ち返る道筋を示しているのが本書だ。序章で、著者は「過去に戻り、これまでとは違う別の虚構をもう一度作り直し、未来を変えなくてはいけない。その未来について、人間の本質を進化の観点から見直して考えていこうと思う」と、述べている。
第四章「弱い種族は集団を選択した」のゴリラの集団においては、メスや子供たちから信任されないとオスは存在できないという指摘が興味深かった。メスに選ばれるためにオスは自分の力を抑制して、疑似的にせよ平等の関係を作ろうとするという。「建前と本音の社会」の芽生えと、捉えている。ウクライナにせよ、中東にせよ、弱い存在の人々の命についてひとかけらの思慮もしない指導者たちに読ませたい箇所だ。
人間の集団の適正規模は150名という著者の考えからいえば、巨大なグローバル社会が人類を幸福にするもとのは思えない。平和と互恵性に満ちた小集団が同様の小集団と連携して、その集まりとして幸福な人類社会が構築されるという「ローカルから」から「グローバル」への展開の指摘は目から鱗だ。A Iの裏をかいて、過去を捉え直す必要があるという提言は実に新鮮である。
太古、踊りや音楽など、身体性を伴うコミュニケーションを通して、人類は共同体性を培ってきた。スマホやA Iなどの情報技術によって、あたかも人の心と心が通じ合っているかのような錯覚の上に現代の人類は生きているのではないか、本当にそれで良いのかと、改めて考えさせてくれた労作。
繰り返し読みたい書だ。