面白かったので一気に読めた。
大人なら集中すれば小一時間で読み終わるだろう。
ただ、内容的には、これまで著者の奥泉氏が発言している『本気で作家になりたければ漱石に学べ』や『文芸漫談』で言っていたことを、子ども向けにまとめたという感じなので、これまでの熱心な読者には新味は少ない。ただ、漱石をネタにして方々で活躍する奥泉氏の「文学の読み方」が一冊にまとまっている本というのは貴重だろう。
テーマ的には、小説を、物語を読むということから離れて、小説に書かれている言葉を読もうというもので、それはそれで当然のことでもあるが、中で披露される漱石の読解はうーむすごいとうならざるを得ない。特に『それから』のイメージ読みはまさにお見事と言うしか無い。
とても面白く読めたが最後まで気になった点は、氏は物語を読むという枠組みから離れて、もっと自由に、楽しく読もうということを全編にわたり主張しているが、子ども向けということもあるが本書に参考文献がほとんど言及されないように、氏の読み方もまた様々な先行研究や批評の蓄積の上に成り立っているということが、これを読むだけでは全然伝わらないのではないかということ。
例えば本書で問題提起されているようなことを読書感想文の課題として使うことはできるかもしれないが、「物語」に着目するにせよ、それ以外に着目して読むにせよ、なんにせよその読みの背後には何らかの枠組みがあるわけで、無から「自由」に読むことなど不可能である。自由に読むことを称揚しすぎると逆に、何を読めば良いの? となるだろう。それは本書に書いてあるように読めばいいのだということになるのだろうが、さすがに子どもがここに書かれていることを応用して読みを広げていくというのは難しいと思う。
ただそれは分量の制限もあるし、とにかく無い物ねだりな感想ではある。
この本の中で氏は小説よりもエッセイの方が難しく苦手だという発言をしているが、そこはそれ、さすがはベテラン小説家と言うべきか、本書を最後まで読み終えた満足感は非常に高い。
最後まで読んで、キャラがちょっと村上春樹っぽいのではと思ったのは私だけだろうか。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥1,430¥1,430 税込
ポイント: 43pt
(3%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
新品:
¥1,430¥1,430 税込
ポイント: 43pt
(3%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
中古品: ¥136
中古品:
¥136

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
夏目漱石、読んじゃえば? (14歳の世渡り術) 単行本 – 2015/4/22
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,430","priceAmount":1430.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,430","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"y6VjlCu50aUK025SMytFGLK0%2FFrsVMQdgKRKydRB28kJCz2HRV6motHpHTTaZGEsg%2BEWG13hZU9Uwom1mAEVZ9PKZX%2B%2B%2FI9IUSxJyfX2EYadnXrbeQ1x7FwKSkIDYEVwPENg%2BfcSepo%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥136","priceAmount":136.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"136","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"y6VjlCu50aUK025SMytFGLK0%2FFrsVMQd%2BUJ2rqjRqx5wsFtjEuSZBExfpDdumiGB7xpsVz1c8RmgLixODt7Z%2FN%2BakAI8c%2FzrJ5LN6SqNWUHUESgw2aoWiCEQ4ukTelyp38iEDme8Lq3uiRg7EvAyztwrG0CbUcJxtGC1D6gzGzk2UFul5Y9aRQ%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
漱石って文豪と言われているけど面白いの? どう読めばいいの?奥泉光が全く新しい読み方を伝授。香日ゆらによる漱石案内漫画付き。
- 本の長さ233ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2015/4/22
- 寸法13 x 1.9 x 18.9 cm
- ISBN-104309616925
- ISBN-13978-4309616926
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
1956年山形県生まれ。1986年に『地の鳥 天の魚群』でデビュー。1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、1994年『石の来歴』で芥川賞、2009年『神器』で野間文芸賞を受賞。
漫画家。青森県生まれ。著書に『先生と僕 夏目漱石を囲む人々』『漱石とはずがたり』『夏目漱石解体全書』『ステラ』『大正四葉セレナーデ』『おじさんとポニーテール』など。
漫画家。青森県生まれ。著書に『先生と僕 夏目漱石を囲む人々』『漱石とはずがたり』『夏目漱石解体全書』『ステラ』『大正四葉セレナーデ』『おじさんとポニーテール』など。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2015/4/22)
- 発売日 : 2015/4/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 233ページ
- ISBN-10 : 4309616925
- ISBN-13 : 978-4309616926
- 寸法 : 13 x 1.9 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 957,875位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 112,232位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

1956(昭和31)年山形県生れ。
1986年「地の鳥 天の魚群」でデビュー。1990年の「その言葉を」が注目を集め、以後1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、瞠目反・文学賞、1994年『石の来歴』で芥川賞を受賞。主な小説に、『葦と百合』『バナールな現象』『グランド・ミステリー』など。エッセイ集に『虚構まみれ』、共訳書に『古代ユダヤ社会史』がある。
カスタマーレビュー
星5つ中4.4つ
5つのうち4.4つ
3グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年9月4日に日本でレビュー済み
「夏目漱石はこう読もう!」
文豪夏目漱石の本の、全く新しい読み方がここにあった!奥泉光流のその読み方とは?
夏目漱石といえば明治の文豪だ。その作品は堅苦しいものが多いと思いきや・・・。作者は独自の視点で漱石作品を解説している。漱石作品を読みこんだ作者ならではの独特の解説に、「おおーっ!この作品はこういう読み方もできるのか!」と感動した。この本を読めば抵抗なく漱石作品を読めるのではないだろうか。
「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「三四郎」「こころ」「それから」「明暗」などなど。視点を変えると作品色が違って見える。子供が読んでも面白いと思うが、大人が読んでも充分楽しめると思う。この作品を読むと、抵抗なく漱石に手が出せるのではないだろうか。漱石の作品に興味がある人だけではなく、すでにたくさんの漱石の作品を読んでいる人にもぜひ読んでもらいたいと思う。それにしても、漱石作品は奥が深い。多くの人に愛されるのも納得♪
文豪夏目漱石の本の、全く新しい読み方がここにあった!奥泉光流のその読み方とは?
夏目漱石といえば明治の文豪だ。その作品は堅苦しいものが多いと思いきや・・・。作者は独自の視点で漱石作品を解説している。漱石作品を読みこんだ作者ならではの独特の解説に、「おおーっ!この作品はこういう読み方もできるのか!」と感動した。この本を読めば抵抗なく漱石作品を読めるのではないだろうか。
「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「三四郎」「こころ」「それから」「明暗」などなど。視点を変えると作品色が違って見える。子供が読んでも面白いと思うが、大人が読んでも充分楽しめると思う。この作品を読むと、抵抗なく漱石に手が出せるのではないだろうか。漱石の作品に興味がある人だけではなく、すでにたくさんの漱石の作品を読んでいる人にもぜひ読んでもらいたいと思う。それにしても、漱石作品は奥が深い。多くの人に愛されるのも納得♪