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小川洋子の偏愛短篇箱 (河出文庫) 文庫 – 2012/6/5
小川 洋子
(編集)
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この箱を開くことは、片手に顕微鏡、片手に望遠鏡を携え、短篇という名の王国を旅するのに等しい――小川洋子選・究極アンソロジー。
- 本の長さ348ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2012/6/5
- 寸法10.7 x 1.4 x 15 cm
- ISBN-10430941155X
- ISBN-13978-4309411552
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商品の説明
著者について
1962年岡山県生まれ。早稲田大学卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞、「妊娠カレンダー」で芥川賞、『博士を愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞を受賞。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2012/6/5)
- 発売日 : 2012/6/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 348ページ
- ISBN-10 : 430941155X
- ISBN-13 : 978-4309411552
- 寸法 : 10.7 x 1.4 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 41,173位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1962(昭和37)年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。
1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。主な著書に『やさしい訴え』『ホテル・アイリス』『沈黙博物館』『アンネ・フランクの記憶』『薬指の標本』『夜明けの縁をさ迷う人々』『猫を抱いて象と泳ぐ』等。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞。翻訳された作品も多く、海外での評価も高い。
イメージ付きのレビュー
4 星
楽しみ
こういうアンソロジーの愉しさは、まだ触れたことのない書き手のものに触れられることがひとつありますね。そして編者の趣味の具合を見られることもまた。内田百閒、江戸川乱歩、尾崎翠、金井美恵子・・・・ああ、小川洋子先生が好きそうだなと納得のゆく書き手がならびます。ことに印象に残ったものが田辺聖子のものですね。田辺聖子のものは、角川文庫の『ジョゼと虎と魚たち』の収録作。そういえばその文庫本の解説を山田詠美先生が書かれていて、そのうち特に好きだという作品を、山田詠美先生の編んだアンソロジーのなかにもあったものでした。小川洋子先生の選んだものとは別なもの。同じ田辺聖子の短編集のなかからでも、その好みはやはり分かれるものですね。私が一篇選ぶとしたら、『ジョゼと虎と魚たち』からはとらずに『○○○○○○○』から「○○○○○○○」を選びますね。と自分であればあれを選ぶ、あの書き手を選ぶなど想像するのも楽しいものです。
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上位レビュー、対象国: 日本
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2024年5月1日に日本でレビュー済み
こういうアンソロジーの愉しさは、まだ触れたことのない書き手のものに触れられることがひとつありますね。そして編者の趣味の具合を見られることもまた。内田百閒、江戸川乱歩、尾崎翠、金井美恵子・・・・ああ、小川洋子先生が好きそうだなと納得のゆく書き手がならびます。ことに印象に残ったものが田辺聖子のものですね。田辺聖子のものは、角川文庫の『ジョゼと虎と魚たち』の収録作。そういえばその文庫本の解説を山田詠美先生が書かれていて、そのうち特に好きだという作品を、山田詠美先生の編んだアンソロジーのなかにもあったものでした。小川洋子先生の選んだものとは別なもの。同じ田辺聖子の短編集のなかからでも、その好みはやはり分かれるものですね。私が一篇選ぶとしたら、『ジョゼと虎と魚たち』からはとらずに『○○○○○○○』から「○○○○○○○」を選びますね。と自分であればあれを選ぶ、あの書き手を選ぶなど想像するのも楽しいものです。
こういうアンソロジーの愉しさは、まだ触れたことのない書き手のものに触れられることがひとつありますね。そして編者の趣味の具合を見られることもまた。内田百閒、江戸川乱歩、尾崎翠、金井美恵子・・・・ああ、小川洋子先生が好きそうだなと納得のゆく書き手がならびます。ことに印象に残ったものが田辺聖子のものですね。田辺聖子のものは、角川文庫の『ジョゼと虎と魚たち』の収録作。そういえばその文庫本の解説を山田詠美先生が書かれていて、そのうち特に好きだという作品を、山田詠美先生の編んだアンソロジーのなかにもあったものでした。小川洋子先生の選んだものとは別なもの。同じ田辺聖子の短編集のなかからでも、その好みはやはり分かれるものですね。私が一篇選ぶとしたら、『ジョゼと虎と魚たち』からはとらずに『○○○○○○○』から「○○○○○○○」を選びますね。と自分であればあれを選ぶ、あの書き手を選ぶなど想像するのも楽しいものです。
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2016年3月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小川洋子と偏愛というコトバから如何いう本を選ぶのかとても
興味を覚えてそれに解説を読んでみたくなりました。
16篇を【奇】4篇【幻】4篇【凄】3篇【彗】5篇に分けてあります。
最初に気持ち悪いけどこの発想尋常でないなぁ面白いなぁと
読んだのは【奇】に入っていた金井美恵子「兎」でした。
解説エッセイはそうでもありませんでした。解説で面白かったのは
尾崎翠「こおろぎ嬢」。「錯覚のおばさん」でした。
自分の好みは【彗】にありました。
「耳」向田邦子、「みのむし」三浦哲郎、「力動山の弟」宮本輝、
「雪の降るまで」田辺聖子、「お供え」吉田知子。
「みのむし」はじんと来るし、「力道山の弟」はただひたすらユニーク!
こういうひと会ってみたいわ。
「雪の降るまで」このゆったりさ、そうして誰にでも理解されるという
世界とは真逆の世界で生きている女主人公の伝わるひと(男)には
伝わるその密やかな性的嗜好。つまんない男には「もっと煮返してから
おいで」みたいに心の中で悪たれついたりもするけど。
すっきりと割り切ってこういう生き方も愛し方もいいよねっておもえるのは
大阪弁?のせいなのかしらん。あせらず、急がず、それでいて着々と
好みのものだけを手に入れる。外見は極めて目立たない職業婦人。投資もし
資産も作りもちゃんとやってのける。誰にも言わずに。そうしてサウナも
マッサージも小まめに受けてからだの手入れも怠らない。
淫靡な世界に住みながらも立派なもんさなって読んだものの解説エッセイでは
小川洋子は「死の気配に満ちた恋愛」とお書きになってる。そうなのかなぁ。
最後の短編。吉田知子「お供え」。これはこわかった。
読み進んでいくうち。如何なるんだろう。じわじわと。じわじわと。
最後のさいご。お供えにされちゃうのかなぁって。
落ち着かない日々のなか、この上もなく時の経つのも忘れて面白く
読ませていただきました。
興味を覚えてそれに解説を読んでみたくなりました。
16篇を【奇】4篇【幻】4篇【凄】3篇【彗】5篇に分けてあります。
最初に気持ち悪いけどこの発想尋常でないなぁ面白いなぁと
読んだのは【奇】に入っていた金井美恵子「兎」でした。
解説エッセイはそうでもありませんでした。解説で面白かったのは
尾崎翠「こおろぎ嬢」。「錯覚のおばさん」でした。
自分の好みは【彗】にありました。
「耳」向田邦子、「みのむし」三浦哲郎、「力動山の弟」宮本輝、
「雪の降るまで」田辺聖子、「お供え」吉田知子。
「みのむし」はじんと来るし、「力道山の弟」はただひたすらユニーク!
こういうひと会ってみたいわ。
「雪の降るまで」このゆったりさ、そうして誰にでも理解されるという
世界とは真逆の世界で生きている女主人公の伝わるひと(男)には
伝わるその密やかな性的嗜好。つまんない男には「もっと煮返してから
おいで」みたいに心の中で悪たれついたりもするけど。
すっきりと割り切ってこういう生き方も愛し方もいいよねっておもえるのは
大阪弁?のせいなのかしらん。あせらず、急がず、それでいて着々と
好みのものだけを手に入れる。外見は極めて目立たない職業婦人。投資もし
資産も作りもちゃんとやってのける。誰にも言わずに。そうしてサウナも
マッサージも小まめに受けてからだの手入れも怠らない。
淫靡な世界に住みながらも立派なもんさなって読んだものの解説エッセイでは
小川洋子は「死の気配に満ちた恋愛」とお書きになってる。そうなのかなぁ。
最後の短編。吉田知子「お供え」。これはこわかった。
読み進んでいくうち。如何なるんだろう。じわじわと。じわじわと。
最後のさいご。お供えにされちゃうのかなぁって。
落ち着かない日々のなか、この上もなく時の経つのも忘れて面白く
読ませていただきました。
2019年2月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今まで読んだ事がない作家の作品の数々。難解な作品もありましたが、短編の奥深さが新鮮。
2022年3月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
珠玉の短編集です。小川洋子さんのコメントも秀逸です。
2012年6月23日に日本でレビュー済み
編者の偏愛する16編の短編小説のアンソロジー。そうでない小説もあるのだが、内容または構成の点でいびつな作品が結構揃っていてその読後感があとあと尾を引く。多少バランスを崩してもどんどん突き進み、現実にはあり得ないまたは感覚的にという意味で、読者を不思議な世界に置き去りにする小説は、編者のプロファイリングの材料を曝け出しているようなもので興味深い。
例えば内田百けんの「件」はまるでカフカの変身だし、金井恵美子の「兎」の兎女は相当奇妙で、村上春樹の作品に出てくる羊男はこれに比べたら全くの人畜無害。谷崎潤一郎の「過酸化マンガンの夢」は史記の引用が始まるあたりから暴走気味。向田邦子の「耳」のように身体にこだわった小説もある。日本文学界の巨星たちがいびつな小説を書いています。
江戸川乱歩の「押絵と旅する男」のように編者の読書案内の本で取り上げられたものもあるが、この短編集でより直接的に編者のルーツを窺い知ることができる。
「兎」はその内容が生理的に苦手という人がいるかもしれません。
例えば内田百けんの「件」はまるでカフカの変身だし、金井恵美子の「兎」の兎女は相当奇妙で、村上春樹の作品に出てくる羊男はこれに比べたら全くの人畜無害。谷崎潤一郎の「過酸化マンガンの夢」は史記の引用が始まるあたりから暴走気味。向田邦子の「耳」のように身体にこだわった小説もある。日本文学界の巨星たちがいびつな小説を書いています。
江戸川乱歩の「押絵と旅する男」のように編者の読書案内の本で取り上げられたものもあるが、この短編集でより直接的に編者のルーツを窺い知ることができる。
「兎」はその内容が生理的に苦手という人がいるかもしれません。
2021年4月18日に日本でレビュー済み
〇 再々読して、小川さんが考える小説とはどういうものかが、わかったような気がする。小説は人間の真実を究めるものだというのは嘘ではないが、そう力んでもいけないようだ。特に短篇は、ちょっとしたアイデアを提示してみせるだけでも良いのかもしれない。それに印象的なエピソードやなにか気の利いた一般論が添えられていれば、それで上等な小説たり得る。
〇 例えば、内田百閒の「件」。人偏に牛という文字から自由に想像展開してみたらこんな物語ができました、というだけのことかもしれない。大喜利のお題噺と変わらない。そこに人間に関する洞察が付け加えられていることと、他に見ない骨の太い文章でつづられていることによって名作たり得ているのだろう。
〇 それから江戸川乱歩の「押絵と旅する男」もそうだ。押絵を眼の前において、これを題材にどんな物語を発展させることができるか、と考えて作った作品に違いない。そこには、この作者が持っている妖しくも魅惑的な別世界が形作られた。そこが腕の見せ所だ。
〇 尾崎翠の「こおろぎ嬢」は、詩人ウィリアム・シャープとフィオナ・マクロードにいたく惹かれた作者の心情とその自画像を、特別なフィルターを通して変換して見せてくれるもの。古風で不思議な空気に染まった幻想の世界を作り出すこのフィルターの性能がなんとも魅力的で、物語の内容がさして珍しいとは思わない読者でももはや忘れることができない。
〇 牧野信一の「風媒結婚」などは、ただ高所に自分だけの孤独な個室を持つことができたら何をしようかというだけのこと。それだけだ。そうした思いに読者を誘うことができれば企みは成功する。
〇 森茉莉「二人の天使」、武田百合子「藪塚ヘビセンター」、島尾伸三「彼の父は私の父の父」は、そもそも小説だったのだろうか。著者の体験談を書いたエッセイと変わらない。その描写の純度が高いから収録されているのだ。向田邦子「耳」だって、作り話ではあるが、読んだところは実体験を書いたエッセイと変わらない。
初読時のコメント:
〇 わたしは最近になって小川洋子さんのファンになった。文庫ばかりだが2,3か月の間に小川作品を15冊ほど読んだ。そうした中で手にしたこの本は、何といえば良いのだろう、小川洋子の世界をさらに押し広げて見せてくれたような気がする。そうか、小川洋子の作品には先立つ同類がこんなにたくさんあったのか、という思いがして楽しかった。
〇 ここに選ばれた16篇のなかには、金井美恵子のように最近の作家のものもあるが、内田百閒などひと昔まえの人の作品が多い。どの作品にも何か共通した雰囲気のようなものがあって、それは小川洋子の作品に色濃くみられる、孤独、日陰、片隅、偏執、毒、怪奇、不条理、幻想、歪みなどである。
〇 各篇のあとに小川さんによる2ページばかりの「解説エッセイ」が付いているのだが、ここに作品の解説などを期待してはいけない(私は期待していた)。その短篇に触発された小川さんの勝手な(ほんとうに勝手な)感想が綴られている。書名に「偏愛」と入れた理由がよくわかる。小川洋子ファンにはおすすめできます。きっと世界がぱあっと広がると思います。
〇 例えば、内田百閒の「件」。人偏に牛という文字から自由に想像展開してみたらこんな物語ができました、というだけのことかもしれない。大喜利のお題噺と変わらない。そこに人間に関する洞察が付け加えられていることと、他に見ない骨の太い文章でつづられていることによって名作たり得ているのだろう。
〇 それから江戸川乱歩の「押絵と旅する男」もそうだ。押絵を眼の前において、これを題材にどんな物語を発展させることができるか、と考えて作った作品に違いない。そこには、この作者が持っている妖しくも魅惑的な別世界が形作られた。そこが腕の見せ所だ。
〇 尾崎翠の「こおろぎ嬢」は、詩人ウィリアム・シャープとフィオナ・マクロードにいたく惹かれた作者の心情とその自画像を、特別なフィルターを通して変換して見せてくれるもの。古風で不思議な空気に染まった幻想の世界を作り出すこのフィルターの性能がなんとも魅力的で、物語の内容がさして珍しいとは思わない読者でももはや忘れることができない。
〇 牧野信一の「風媒結婚」などは、ただ高所に自分だけの孤独な個室を持つことができたら何をしようかというだけのこと。それだけだ。そうした思いに読者を誘うことができれば企みは成功する。
〇 森茉莉「二人の天使」、武田百合子「藪塚ヘビセンター」、島尾伸三「彼の父は私の父の父」は、そもそも小説だったのだろうか。著者の体験談を書いたエッセイと変わらない。その描写の純度が高いから収録されているのだ。向田邦子「耳」だって、作り話ではあるが、読んだところは実体験を書いたエッセイと変わらない。
初読時のコメント:
〇 わたしは最近になって小川洋子さんのファンになった。文庫ばかりだが2,3か月の間に小川作品を15冊ほど読んだ。そうした中で手にしたこの本は、何といえば良いのだろう、小川洋子の世界をさらに押し広げて見せてくれたような気がする。そうか、小川洋子の作品には先立つ同類がこんなにたくさんあったのか、という思いがして楽しかった。
〇 ここに選ばれた16篇のなかには、金井美恵子のように最近の作家のものもあるが、内田百閒などひと昔まえの人の作品が多い。どの作品にも何か共通した雰囲気のようなものがあって、それは小川洋子の作品に色濃くみられる、孤独、日陰、片隅、偏執、毒、怪奇、不条理、幻想、歪みなどである。
〇 各篇のあとに小川さんによる2ページばかりの「解説エッセイ」が付いているのだが、ここに作品の解説などを期待してはいけない(私は期待していた)。その短篇に触発された小川さんの勝手な(ほんとうに勝手な)感想が綴られている。書名に「偏愛」と入れた理由がよくわかる。小川洋子ファンにはおすすめできます。きっと世界がぱあっと広がると思います。
2018年5月28日に日本でレビュー済み
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小川洋子さんの本は、好んで何冊も読みましたが、その神髄はこの辺にあるのでしょうか!?う・・・何とも。と言う私は凡人だと思いました。