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気仙川 大型本 – 2012/9/1
畠山 直哉
(著)
陸前高田市気仙町出身の写真家による、震災の前と後の写真80点と、あの日をめぐるエッセイで構成されたドキュメント。本書所収の写真を含む展覧会「NaturalStories」展で、2011年芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
石灰石鉱山や渋谷川の暗渠など、自然と人間の関係を緻密に構成した作品で知られる写真家が2002年から特に発表のつもりもなく撮影していた故郷の写真60点と、あの日をめぐるエッセイ、そして震災後の写真20点を1冊に収める。
「何かが起こっている。いまここではない遠いところ、ほら懐かしいあの場所で、何かとてつもないことが起こっている。その様子がいま僕のいるところからでは、よく見えない。誰かが教えてくれるかもしれないと思って、少し期待して待っていたが、誰も何もしてくれなさそうだ。だから僕は自分で、それが見えるところまで動いて行くしかない。でも動きとは時間だ。あの場所にたどり着くまでには時間がかかる。おそらく数日後、僕は見ているだろう。そしてすべてを理解しているだろう。僕の町が、家が、家族がどうなったのかを、僕は残らず理解しているだろう。だがそこへたどり着くまでの数日間、僕には何も見えないままだ。僕は何も知らないまま、進まなければならない」(本書所収のエッセイ「気仙川へ」より冒頭部分)
「『写真として』ではなく、そこに何があったのか、その人はどんな顔をしていたのか、その時の空は、水はどんな色だったかを、写真から確かめたい。僕は初めてナイーブにそう思った。でもよく考えてみれば、これは人間にとって、写真を撮る第一番の理由ではなかったろうか。夕空を映す気仙川に向かって小さなカメラを構えていた、僕の母のように」(本書「あとがきにかえて」より)
石灰石鉱山や渋谷川の暗渠など、自然と人間の関係を緻密に構成した作品で知られる写真家が2002年から特に発表のつもりもなく撮影していた故郷の写真60点と、あの日をめぐるエッセイ、そして震災後の写真20点を1冊に収める。
「何かが起こっている。いまここではない遠いところ、ほら懐かしいあの場所で、何かとてつもないことが起こっている。その様子がいま僕のいるところからでは、よく見えない。誰かが教えてくれるかもしれないと思って、少し期待して待っていたが、誰も何もしてくれなさそうだ。だから僕は自分で、それが見えるところまで動いて行くしかない。でも動きとは時間だ。あの場所にたどり着くまでには時間がかかる。おそらく数日後、僕は見ているだろう。そしてすべてを理解しているだろう。僕の町が、家が、家族がどうなったのかを、僕は残らず理解しているだろう。だがそこへたどり着くまでの数日間、僕には何も見えないままだ。僕は何も知らないまま、進まなければならない」(本書所収のエッセイ「気仙川へ」より冒頭部分)
「『写真として』ではなく、そこに何があったのか、その人はどんな顔をしていたのか、その時の空は、水はどんな色だったかを、写真から確かめたい。僕は初めてナイーブにそう思った。でもよく考えてみれば、これは人間にとって、写真を撮る第一番の理由ではなかったろうか。夕空を映す気仙川に向かって小さなカメラを構えていた、僕の母のように」(本書「あとがきにかえて」より)
- 本の長さ128ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2012/9/1
- ISBN-104309273483
- ISBN-13978-4309273488
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商品の説明
著者について
1958年陸前高田市生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。1997年木村伊兵衛賞受賞。著書に『Underground』(メディアファクトリー)、『話す写真』(小学館)など。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2012/9/1)
- 発売日 : 2012/9/1
- 言語 : 日本語
- 大型本 : 128ページ
- ISBN-10 : 4309273483
- ISBN-13 : 978-4309273488
- Amazon 売れ筋ランキング: - 555,583位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,820位写真 (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年4月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この写真集の発端となった写真展を見ました。その写真集が発行されていることを知らなかったのですが、偶然知ることが出来て欲しくなりました。写真集の状態が良く写真展の感動が蘇りました。
2015年4月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
気仙川 大変貴重な写真集です。311以前のものがもうすこし、見てみたくなりました。
2022年2月11日に日本でレビュー済み
普段は構築美溢れる写真を撮る作家が過去に何気なく撮影していた故郷の日常風景と、震災で被災した直後の故郷の風景が並んだ一冊。写された風景の落差から伝わってくる衝撃により、故郷と母を亡くした作家のショックを追体験した気にさせられる。(実際に被災した訳でも、東日本震災で知り合いを亡くした訳でもない僕が「追体験」などという言葉を軽々しく使うことを許してほしい。)
写真も凄いが、震災直後に被災地に向かった時の思い出を書いた文章の方も深く伝わってくるものがあった。この本に合わせて後から追想を書いたのだとしたら、血の滲む思いで綴られたはずだ。
なお、このレビュータイトルは「あとがきにかえて」で綴られた作者の言葉の引用である。
写真も凄いが、震災直後に被災地に向かった時の思い出を書いた文章の方も深く伝わってくるものがあった。この本に合わせて後から追想を書いたのだとしたら、血の滲む思いで綴られたはずだ。
なお、このレビュータイトルは「あとがきにかえて」で綴られた作者の言葉の引用である。
2018年11月2日に日本でレビュー済み
図書館本
辛いです。
ページをめくるのが。
そしてテキストを読んでいくのが。
前半部分の画像と後半部分のそれとの大きすぎる、深すぎる溝。
僕も震災後に陸前高田市を訪問して、被災地を見せていただきました。
故郷として原体験、原風景をそこに持っている著者。
お母様を亡くされた現実。
一人一人が出来る事を一所懸命することが復興へのお手伝いなのだと思う。
そして、星になってしまった多くの同胞のためにも。
合掌
辛いです。
ページをめくるのが。
そしてテキストを読んでいくのが。
前半部分の画像と後半部分のそれとの大きすぎる、深すぎる溝。
僕も震災後に陸前高田市を訪問して、被災地を見せていただきました。
故郷として原体験、原風景をそこに持っている著者。
お母様を亡くされた現実。
一人一人が出来る事を一所懸命することが復興へのお手伝いなのだと思う。
そして、星になってしまった多くの同胞のためにも。
合掌
2013年1月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
畠山氏とは面識があり氏の人となりも承知しています。感想などをのべる言葉が見つかりません。
2012年11月2日に日本でレビュー済み
著者は雰囲気が穏やかな岩手県陸前高田市の出身。その穏やかさは気仙川の存在によるという。東日本大震災における、著者の行動のいきさつを綴った文章は、直接お読みいただきたい。私が、とくに心うたれたのは、震災前後に陸前高田で撮った写真80点です。この写真には当然、写真家・畠山直哉の人生・経験が色濃く映し出されているとおもいます。
本書の前半には、震災前の言葉ではうまく表現できないほどの、やさしい自然に包まれた町、気仙川の美しい流れの輝きがプロの眼によって撮られている。それには誰もが見入ってしまうと思いました。それが、後半、震災後には一転・・・瓦礫の山の光景のみへと変わる。同じ場所をこのように変えてしまう自然界の力の巨大さと恐怖。この様に比較されると、人々が如何に多くのものを失ったのかが、分かり過ぎるほどである。震災・津波後の写真には、現実を直視しなければならないプロ根性を見せてもらいもした。文章も写真家ゆえの繊細な描写が立派なドキュメンタリーになっています。
これは、記録としても秀逸な存在でしょう。
本書の前半には、震災前の言葉ではうまく表現できないほどの、やさしい自然に包まれた町、気仙川の美しい流れの輝きがプロの眼によって撮られている。それには誰もが見入ってしまうと思いました。それが、後半、震災後には一転・・・瓦礫の山の光景のみへと変わる。同じ場所をこのように変えてしまう自然界の力の巨大さと恐怖。この様に比較されると、人々が如何に多くのものを失ったのかが、分かり過ぎるほどである。震災・津波後の写真には、現実を直視しなければならないプロ根性を見せてもらいもした。文章も写真家ゆえの繊細な描写が立派なドキュメンタリーになっています。
これは、記録としても秀逸な存在でしょう。