新品:
¥2,420 税込
ポイント: 146pt  (6%)
無料配送5月15日 水曜日にお届け
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥2,420 税込
ポイント: 146pt  (6%)  詳細はこちら
無料配送5月15日 水曜日にお届け
詳細を見る
または 最も早いお届け日時指定便 明日 8:00 - 12:00の間にお届け(4 時間 39 分以内にご注文の場合)
詳細を見る
残り13点(入荷予定あり) 在庫状況について
¥2,420 () 選択したオプションを含めます。 最初の月の支払いと選択されたオプションが含まれています。 詳細
価格
小計
¥2,420
小計
初期支払いの内訳
レジで表示される配送料、配送日、注文合計 (税込)。
出荷元
Amazon.co.jp
出荷元
Amazon.co.jp
販売元
販売元
支払い方法
お客様情報を保護しています
お客様情報を保護しています
Amazonはお客様のセキュリティとプライバシーの保護に全力で取り組んでいます。Amazonの支払いセキュリティシステムは、送信中にお客様の情報を暗号化します。お客様のクレジットカード情報を出品者と共有することはありません。また、お客様の情報を他者に販売することはありません。 詳細はこちら
支払い方法
お客様情報を保護しています
Amazonはお客様のセキュリティとプライバシーの保護に全力で取り組んでいます。Amazonの支払いセキュリティシステムは、送信中にお客様の情報を暗号化します。お客様のクレジットカード情報を出品者と共有することはありません。また、お客様の情報を他者に販売することはありません。 詳細はこちら
¥2,009 税込
カバーに小さな損傷. 背表紙に小さな損傷. カバーに小さな損傷. 背表紙に小さな損傷. 一部を表示
無料配送5月15日 水曜日にお届け
詳細を見る
または 最も早いお届け日時指定便 明日 8:00 - 12:00の間にお届け(3 時間 54 分以内にご注文の場合)
詳細を見る
残り1点 ご注文はお早めに 在庫状況について
¥2,420 () 選択したオプションを含めます。 最初の月の支払いと選択されたオプションが含まれています。 詳細
価格
小計
¥2,420
小計
初期支払いの内訳
レジで表示される配送料、配送日、注文合計 (税込)。
この商品は、Amazonアウトレットが販売し、Amazon.co.jp が発送します。
Kindleアプリのロゴ画像

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません

ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。

携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。

KindleアプリをダウンロードするためのQRコード

滅ぼす 上 単行本 – 2023/7/26

4.6 5つ星のうち4.6 32個の評価

{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥2,420","priceAmount":2420.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,420","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"Xgxw%2BypK%2BE0EhxxAsrrzg4RyFepHiJ5uxjoXIYzO3hikoR8zEUgBYUa0gC6QC3wiRdG1aAQtmrF4BAT5ciP%2FAGEKzVJJFdD0P9RnKbQnMxmdPihcmWtmzt1gbuLGC5ENVZ4ZNHA7nZI%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥2,009","priceAmount":2009.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,009","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"Xgxw%2BypK%2BE0EhxxAsrrzg4RyFepHiJ5uRIWh0R6dlxzeLJz6UeVdJfLNU4wJSTTYC07wFCNve%2FmyNy51DWWtbbB9zaAHt%2Bi3E3m4EEHmegm67OuNIR9aCpZnoVTMKvfsr%2FuPLpQNrHyi8hlEaqQB636KgElu8eLiejPCUKczCUoGTbsJia51%2FA%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}

購入オプションとあわせ買い

謎の国際テロが多発するなか、2027年フランス大統領選が行われ、経済大臣ブリュノと秘書官ポールはテレビタレントを擁立する。社会の分断と個人の幸福。フランス発の大ベストセラー。
続きを読む もっと少なく読む

よく一緒に購入されている商品

¥2,420
最短で5月15日 水曜日のお届け予定です
残り13点(入荷予定あり)
この商品は、Amazon.co.jpが販売および発送します。
+
¥2,585
最短で5月15日 水曜日のお届け予定です
残り13点(入荷予定あり)
この商品は、Amazon.co.jpが販売および発送します。
+
¥3,850
最短で5月15日 水曜日のお届け予定です
残り4点(入荷予定あり)
この商品は、Amazon.co.jpが販売および発送します。
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計: pt
詳細
追加されました
これらの商品のうちのいくつかが他の商品より先に発送されます。
一緒に購入する商品を選択してください。

出版社より

滅ぼす 上_POP

商品の説明

著者について

ミシェル・ウエルベック著
1958年フランス生まれ。ヨーロッパを代表する作家。98年『素粒子』がベストセラー。2010年『地図と領土』でゴンクール賞。15年には『服従』が世界中で大きな話題を呼んだ。他に『ある島の可能性』など。

野崎 歓(のざき・かん)訳
1959年新潟生まれ。フランス文学者・東京大学名誉教授。『異邦の香り ネルヴァル「東方紀行」論』で読売文学賞。訳書に、ウエルベック『素粒子』、ヴィアン『うたかたの日々』、スタンダール『赤と黒』など。

齋藤 可津子(さいとう・かつこ)訳
翻訳家。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程中退。訳書に、L・コロンバニ『三つ編み』『彼女たちの部屋』、V・デパント『アポカリプス・ベイビー』、E・アベカシス『30年目の待ち合わせ』など。

木内 尭(きのうち・たかし)訳
1983年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学、パリ第八大学博士課程修了。現在、名古屋外国語大学准教授。共著書に『フローベール 文学と<現代性>の行方』、共訳書に『作家たちの手紙』など。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社 (2023/7/26)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2023/7/26
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 312ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4309208878
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4309208879
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.8 x 2.5 x 19.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 32個の評価

カスタマーレビュー

星5つ中4.6つ
5つのうち4.6つ
32グローバルレーティング

この商品をレビュー

他のお客様にも意見を伝えましょう

上位レビュー、対象国: 日本

2023年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人物、心情描写、ユーモア、哲学的思考、現実性、娯楽性…すべてがバランスよく自然に結実した、円熟作だと思います。
ウエルベック作品の中で一番好きになりました。
ストーリーは今までよりも力の抜けた感じですが、飽きさせず、一気に読ませます。
原語を読んだわけではありませんが、翻訳も自然で読みやすいです。
ウエルベックファンにはもちろん、「死」について考えを巡らせたい人にもお勧めです。
16人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年8月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現代最高峰の小説家、ミシェル・ウェルベックの最新作は、現代社会の根底を成すあらゆる領域をカバーする驚異的な知識と分析力をもってして、読むものを魅力してくれる。でも、結局は究極の愛の物語な気がする。
16人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年8月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
救いがないという事に尽きる。
宗教にも、科学にも、財産(社会的信用を含め)にも、異性にも救いはないということをこれでもかと描いてみせた怪作。
ウエルベックに触れたことがない読者がこれに触れて最後まで読み切れるか不明なので星4。
本作以外でウエルベックに触れたことがある方が読むなら迷わず星5。
現実を描いたハーモニー(伊藤計劃)と言っても良い。
19人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年8月20日に日本でレビュー済み
上下、二巻の長篇小説。
タイトルの『滅ぼす』とは、《何を》滅ぼすというのでしょう?

「悪いことに、テロリストらの目的が、世界を滅ぼすこと、ポールがよく知るこの世界、近代世界を滅ぼすことならば、必ずしも彼らを責める気になれないのだった」(276頁)

「ポールがよく知るこの世界、近代世界を滅ぼす」ことらしい。ポールは主人公。

この物語の時は、2027年(帯、216頁、229頁)
「2027年の経済成長予測は素晴らしい」(237頁)。未来の予測なんて評価できません。

2027は、素数(217頁)
「偶数である2022年をはさんで、次に大統領選挙がおこなわれる2027年は、ふたたび素数の年となる」(229頁)
<変革の年、2027年>(229頁)
「やはり1039と5261は素数だった」(271頁)

著者は、ミシェル・ウエルベック。1956年生まれ。
本書の原書が発行された2022年以前の過去は、ほぼ史実どおり(史実に重ねた)らしい。
著者の人生に重ねた?

幻想の未来のフィクション。

舞台は、フランス。パリ。ボージョレ地方(271頁)。ブルゴーニュ地方(281頁)

エピグラフの図像は、インターネットの動画サイト。謎の始まり。
「五角形と円、そして数行の読解不可能なアルファベットの文章」(15頁)
「五角形と円の組み合わせに、いつもの文字で書かれたテキスト」(269頁)
「五角形と円と奇妙な文字の寄せ集め」(307頁)
「第二のメッセージ、ブリュノの断頭動画に添えられたものだった」(308頁)

308頁で上巻は終わります。下巻をすぐ読みたくなる終わり方です。うまい。

《上巻の登場人物》

 バスチヤン・ドゥトルモン  パリ警視庁の嘱託職員
 フレッド  元パリ警視庁の嘱託職員。<ディストーテッド・ヴィジョンズ>創業者(14頁)
 ジュリアン・アサンジュ
 エドワード・スノーデン
 ブリュノ・ジュージュ  五年前から経済・財務大臣(17頁)
 ビュスタマント  <デジタル・コマンドー>の社長(20頁) 

<主人公ポールの家系> 
 ポール・レゾン  まもなく五十歳(56頁)。大臣執務室付(185頁)。個人秘書(251頁)
 エドゥアール・レゾン  ポールの父親(22頁)。1952年生まれ(95頁) 
 プリュダンス  ポールの妻(32頁)。女優キャリー=アン・モスと瓜二つ(138頁)
 マドレーヌ  五十歳から、ポールの父のパートナー(53頁)。ホームヘルパー(65頁)
 セシル  ポールの妹。料理が得意。
 エルヴェ  セシルの夫。元公証人。失業中(119頁)
 ヴェロニック  ポールの恋人(63頁)
 デボラ  セシルの娘。
 アンヌ=リーズ  セシルの娘。
 シュザンヌ・レゾン  ポールの母(81頁)。彫刻家(188頁)。八年前に死亡。
 オーレリアン  ポールの弟(82頁)
 インディー  オーレリアンの奥さん(128頁)。バカ女(159頁)。弟の十歳年上(178頁)。社会問題ジャーナリスト(179頁)。金に汚い疫病神(284頁)。
 ゴドフロア  インディーの息子。黒人種のドナーから。

 エヴァンジェリーヌ  大臣の妻(32頁)
 ダヴィド・ピュジャダス
 アントワーヌ・ピネー
 ピエール・マンデス=フランス
 ベルナール・アルノー  フランス最大の富豪
 コルベール  
 マルタン=ルノー  パリ警視庁の局長(98頁)
 バンジャマン・サルファティ  「ベン」あるいは「ビッグ・ベン」と呼ばれる男(104頁)
 ステファヌ・ベルヌ
 シリル・アヌーナ
 ソレーヌ・シニャル  女性。コンサルタント会社<コンフリュアンス>の社長(106頁)。四十がらみ(250頁)
 マリーヌ・ルペン  2022年の大統領選に出馬(133頁)
 サンドリーヌ
 ルルー  施設の医長(173頁)
 フランソワ・マリー  ポールのマネージャー(192頁)
 マガリ  十五歳のポールが最初にキスをした女の子(197頁)
 シリエル  十七歳のポールが初めてセックスした女の子(197頁)
 マリーズ  看護助手(273頁)。かわいい黒人。
 アグラエ
 ルイ・ド=ラグネル  別名アーウィン・カラガン(234頁)。老人。  
 ラクサネー  二十五歳くらい(263頁)
 メルクール  ベトナム、タイ、インドでフランス風パン屋チェーンを創った男(267頁)
 ベランジェール・ド=ヴィルクラオン  メスブタ(278頁)
 ローラン・ジョフラン  ジャーナリスト。本物の左派、昔ながらの左派(279頁)
 ジャン=ミシェル・ドラビエ  文化財局長(281頁)
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年8月11日に日本でレビュー済み
anéantir 、謎めいたタイトルである。
ウエルベックは、少なくとも小説では、すべてのタイトルに名詞をつけていた。
詩集には、「rester vivant:生きてあり続けること」があるが、
rester は自動詞、anéantir は他動詞である。本作の文中、「滅ぼす」という単語は一度しか出てこない。
本作で、一体何が何を滅ぼすのか。それはおそらく、読前の想像通りではないだろう。
それはウエルベックらしくもあり、同時にウエルベックらしくなくもある。

読者の矮小な期待と想像に応えながら、かつそれを上回る形で裏切ることができている。
想像とは違うけれど、確かにこれはウエルベックである、と感じさせる力量。
要するに、彼は本当の意味で書いているのだ。

本作にも、もちろん「ウエルベックらしさ」はある。
「ウエルベックらしさ」とは、愛がもはや不可能となった現代社会への呪詛、冷笑、皮肉である。
とりわけ性に執着した「孤独な弱者白人男性」を視点とした、
真摯なほど絶望的に、また薄寒いほど明晰に社会を分析する語り口が、
いわゆるウエルベックの魅力、ウエルベックらしさと言えるだろう。

では、ウエルベック「らしくなさ」とはどういうものだろう。
もちろん、何かがそうであることを語るよりも、そうでないことについて説明する方が難しい。
単純に上記を反転させれば、人間関係をしっかりもち、仕事も性生活も充実した男性が、
世界に憎しみを抱かず、穏やかに生きていく話となるだろう。
ともすると本作は、むしろこちらの「らしくない」説明が近い。

詳細を語りすぎるとネタバレになってしまうが、
本作の主人公ポールは、確かに抑うつ気味ではあるものの、
政治的に中心と言えるような「やりがいのある職業」につき、給料も高い。また、家族との交流もある。
少年時代の暖かな思い出もある。
もちろんウエルベックらしく、ニコニコ仲良し円満家族、というわけではない。
そんなものはサザエさんやクレヨンしんちゃんにしか存在しない。
それぞれの人物の、凡庸さと特異性、
現実世界でも誰でも持っている二つの側面を皮肉と罵倒と、
一握りの同情もって巧みに描き出すウエルベックの手腕は流石である。

元々、ウエルベック小説の主人公たちは、貧困や暴力、病気、ケガなどの苦しみは背負っていなかった。
それでも、ポールは過去作に比べてもとりわけ「順調な生活」を送っているように見える。
しかしそれでも、やはりこれはウエルベックの小説である。

本作では「ポールの夢の描写」も目立っている。
「社会分析」を一つの持ち味とするウエルベックにおいては、これは不自然である。
夢ではどうしても明晰に「現実」は分析できない。
そもそもが「夢的」であるフィクションにおいて、
例えば村上春樹のように、やや露骨に小説の展開と小説内の夢を照応させる手法もあるが、
本作では、ウエルベックは、21世紀では、現実もまた夢のようなもの、
多様な人物が勝手に色々動かしているだけ、という極めて平凡な真実を強化しているように感じる。

そもそも、小説の主軸となる大統領選挙や、何度も繰り返されるサイバーテロ、
左右問わず過激な団体の描写が、どうしても白昼夢的である。
誰か黒幕が明確な意思を持ってすべてを指示している、
そしてついにその謎は解ける「かのように」感じる瞬間も確かにあるが、現実はそうではない。
端的に、結局のところ、誰にも訳はわからない。
ポール自身に起こることに比べれば、世界を動かす一大事すら、すべては「プレイ」のように感じる。
そのように感じない現代人がいるだろうか。

単純に膨大な分量という問題もあるが、「起こっていることの訳のわからなさ」という点では、
本作はウエルベックらしくないとも言えるだろう。

しかし、それでも、本作はたとえ作者名が隠されていても、ウエルベックの新しい小説である。
「生きてあり続けること」「闘争領域の拡大」以来、人間社会へのビジョンを一貫して保ち続けている。
一言でいえば、それは「世界とは苦しみである」ということだが、
一言でいえてしまうビジョンに何の価値もない。
それは、異性にモテない人間不幸、貧乏は不幸、武装は抑止力になる、LGBT、SDGs
陽キャ、陰キャ、男(女)は女(男)より得か、という短い文言に意味がないものと同じだ。

あらゆる単純な二項対立を超えて、SNSには決して載っていない人間の姿。
それが文学の、つまり人間を描いた長い話の唯一の価値として、
どれだけ「恵まれた人の趣味嗜好」になったとしても、確かに「滅ぼす」力があるこの世界で、
やはりそれは大切なものだろう。
人間はSNSより大きい。言わずもがな、とは最早言えまい。

付記として、昨今、人文領域ではケアがブームとなっている。
もちろんウエルベックはそれを意識していたはずはないが、
本作では、非常に多くの場面で、多様な形で、誰かが誰かをケアしている。ほとんどドケアの話と言える。
とはいえ、ケアという営為に、ウエルベックは大して期待はしていない。
ケアによっても、ほとんど苦しみは癒えないし、人生の結論は変わらない。

それでも人は人をケアすることを、ウエルベックは丹念になぞりながら、
ケアが「ささやかな生きる意味」をもたらしていることを証明している。
ケアへの注目という点では、確かに本作はウエルベックらしくないかもしれない。
しかし、これまでの作品では、むしろウエルベックはケアの不在を描いていた。
称揚するのではなく、そんなものがあることすら知らず嘆く形で。
しかし、何かの不在の苦しみは、それへの痛切な愛とほとんど変わらないはずだ。

だから、やはり本作はウエルベックらしい。
広告資本主義という「現代社会」というフィクションへの、全力の怒りと慰めがちゃんとある
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年9月30日に日本でレビュー済み
これまで、観光とセックス産業とイスラムテロ(「プラットフォーム」)、現代美術とマネーと殺人(「地図と領土」)、フランスでのイスラム政権誕生(「服従」)など、現代社会の底流と病理をテーマにしたリアルな予言的小説で物議を醸してきたミシェル・ウエルベックの新作は、大統領選とテロ集団の話から始まり、予測を裏切るように展開する。社会で派生する出来事から、夫婦、親、きょうだい、個人の病と終末の物語へ。

不穏で混沌とした世界に生きる主人公のシニカルで哲学的な視線は、過去作同様だけど、今作では、日本でいう「末期の眼」を感じさせ、心が共振する。

たとえば、実家のボージョレ地方のブドウ畑で。

「ブドウの木はねじまがった黒っぽい、どちらかといえば醜い代物である。こんな見栄えのしないものからのちにワインが生み出されるとは、まったく想像もできない。世界は何とも奇妙に作られている」

脳梗塞で倒れ、意志疎通も困難になった父を見守りながら、「父がまだ勃起できて、本を読めて、風にそよぐ木の葉を眺められるなら、その人生に欠けているものは何一つとしてない」と主人公は思う。

そして、自然観照のこんな一節。

「ブルゴーニュ地方に入ってから、美しい景色が広がっていたが、マコンを通り過ぎて、本来の意味でのボージョレに着くとまばゆいばかりの美しさに変わった。ブドウ畑は深紅と黄金色に輝き、その美しさはいまだかつてないほどだったが、それは単に彼がもうすぐ死ぬから、子供のころから好きだったこの景色をもう二度と見られなくなるからかもしれなかった」

主人公を取り巻く人々は、たいてい辛辣に、ときに親密な愛情を持って描かれ、物語の陰影を深くする。

近未来2027年のほぼ1年間の物語だが、なぜ2027年なのかは謎。そしてシャーロック・ホームズの登場という意外性。

深刻で絶望的だけれど、救いの物語。読者を楽しませることに長けた作家、だとつくづく思う。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年11月16日に日本でレビュー済み
近作三作位の厭世観を随所に潜ませ、目眩ましに進む表と裏の企て。雑踏と狂騒の中だろうが、夢のまにまに生き死ぬ我々もまた虫一匹。
2023年8月12日に日本でレビュー済み
上巻は、珍しくいつもの強烈な性的描写なし。政治的描写も少なめ。老いた父、疎遠の兄妹、夫婦の話だけで淡々と進む。上巻だけでの評価はできない。下巻でどうなるか。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート