ロシア連邦保安庁前の跳ね橋に65メートルのペニスを描き、ロシアの政治に見事にNOをつきつけたヴォイナ。
リオの貧民街の階段に、そこで殺された学生の祖母の写真を大きく貼ったフランスのJR。
コーヒーブランドの看板に描かれた女性モデルを「誘拐」して(看板から女性だけ切り抜いて自分のギャラリーに展示した)、
広告主に身代金を要求したフランスのゼウス。
オキュパイ・ウォールストリートの発起人、カナダのアドバスターズ。
ご存知バンクシー。
そして彼らアクティヴィストたちの活動を巧みにサンプリングしているレディー・ガガ。
Chim↑Pomについて考える時に、縦軸の戦後日本のハイレッド・センターや岡本太郎(まさにChim↑Pomが「明日の神話」を話題に乗せた)や、
彼らの師匠にあたる会田誠がつくってきた前衛芸術の歴史と、
横軸として前述の世界の同時代のアクティヴィスト(という呼び方がいいのかどうかわからないけれど、
ストリートで社会を問い続けているアーティストたち)、強くその縦と横を意識しながら活動していることは知っておく必要がある。
それを予想外なことに彼らが自分自身の言葉で説明してくれていてなかなかわかりやすい一冊だし、
新しい世界のアート事情のレポートとなっている。
アート好きな人たちからは、そう言っても海外アーティストのレベルには遠く及ばないという意見があるだろうが、
往々にして当局が厳しい国のアーティストのほうが評価されやすく、
活動している国や地域の政治状況やメディアの成熟度とあわせて考える必要がある。
本書にそっと載せられた、広島の「ピカッ」で唯一耳を傾けてくれたのが被爆者団体だったり、
「明日の神話」騒ぎで文化部では扱わないと決めた新聞社のエピソードなどは、
自由なはずの日本でアートをやりつづける困難さを示している。
でもこの本ほんとに真面目だな。。本では遊ばないのか。

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芸術実行犯 (ideaink 〈アイデアインク〉) 単行本 – 2012/7/7
Chim↑Pom(チン↑ポム)
(著)
アートが新しい自由をつくる。
美術館で拝むだけがアートではない。アートは社会のリアルに切り込むための「武器」である。
原爆ドーム上空に飛行機雲で「ピカッ」の文字を描き、事故直後の福島第一原発敷地内に放射
能マークの国旗を掲げ、岡本太郎の巨大壁画に原発の絵を付け足す。現代日本のアートシーン
で最も物議をかもしてきたアーティスト集団Chim↑Pom(チン↑ポム)が自由を新たに塗りかえる。
世界のアートの動向と共におくる生き方としての美術入門。「これからのアイデア」をコンパクトに
提供するブックシリーズ第3弾。画期的なブックデザインはグルーヴィジョンズ。
美術館で拝むだけがアートではない。アートは社会のリアルに切り込むための「武器」である。
原爆ドーム上空に飛行機雲で「ピカッ」の文字を描き、事故直後の福島第一原発敷地内に放射
能マークの国旗を掲げ、岡本太郎の巨大壁画に原発の絵を付け足す。現代日本のアートシーン
で最も物議をかもしてきたアーティスト集団Chim↑Pom(チン↑ポム)が自由を新たに塗りかえる。
世界のアートの動向と共におくる生き方としての美術入門。「これからのアイデア」をコンパクトに
提供するブックシリーズ第3弾。画期的なブックデザインはグルーヴィジョンズ。
- 本の長さ180ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日出版社
- 発売日2012/7/7
- 寸法12 x 1.2 x 18.2 cm
- ISBN-104255006644
- ISBN-13978-4255006642
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商品の説明
著者について
Chim↑Pom(チン↑ポム)
2005年、卯城竜太・エリイ・林靖高・岡田将孝・水野俊紀・稲岡求の6名で結成したアーティスト集団。時代のリアルに反射神経で反応し、現代社会に全力で介入した強い社会的メッセージを持つ作品で知られる。彼らの活動への注目は国内にとどまらず、国際展をはじめとして海外での発表も多い。東日本大震災をきっかけに開催した2011年5月の個展「REAL TIMES」では、渋谷駅に設置された岡本太郎の壁画《明日の神話》に福島第一原発事故の絵を付け足した作品も展示し話題となった。表現活動は作品の発表だけではなく、『美術手帖』(「Chim↑Pomプレゼンツ REAL TIMES」特集、2012年)や「ひっくりかえる」展(ワタリウム美術館、2012年)といったキュレーション、連載など多岐にわたる。著書に『Chim↑Pomーーチンポム作品集』(河出書房新社)『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』(阿部謙一との共編著、河出書房新社)がある。2012年秋には第二作品集の刊行も予定されている。2012年秋から2013年にかけて日本とアメリカでの個展も開催予定。
2005年、卯城竜太・エリイ・林靖高・岡田将孝・水野俊紀・稲岡求の6名で結成したアーティスト集団。時代のリアルに反射神経で反応し、現代社会に全力で介入した強い社会的メッセージを持つ作品で知られる。彼らの活動への注目は国内にとどまらず、国際展をはじめとして海外での発表も多い。東日本大震災をきっかけに開催した2011年5月の個展「REAL TIMES」では、渋谷駅に設置された岡本太郎の壁画《明日の神話》に福島第一原発事故の絵を付け足した作品も展示し話題となった。表現活動は作品の発表だけではなく、『美術手帖』(「Chim↑Pomプレゼンツ REAL TIMES」特集、2012年)や「ひっくりかえる」展(ワタリウム美術館、2012年)といったキュレーション、連載など多岐にわたる。著書に『Chim↑Pomーーチンポム作品集』(河出書房新社)『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』(阿部謙一との共編著、河出書房新社)がある。2012年秋には第二作品集の刊行も予定されている。2012年秋から2013年にかけて日本とアメリカでの個展も開催予定。
登録情報
- 出版社 : 朝日出版社 (2012/7/7)
- 発売日 : 2012/7/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 180ページ
- ISBN-10 : 4255006644
- ISBN-13 : 978-4255006642
- 寸法 : 12 x 1.2 x 18.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 396,621位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 577位芸術理論・美学
- - 59,728位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
結構べたな表現で、好感が持てます。私の知らない名前も出てきたりして戸惑いますが、なんとなく気持ちが伝わってきます。何とはなしに共感してしまいました。
2012年9月8日に日本でレビュー済み
はじめは、悪乗り集団、オフザケ・グループといった存在であった。性別、国境、経済格
差、権力構造といったバリヤーを解体し、あらゆる事象をアート・ワールドに取り込もうとする戦略的思想性の高さにより、彼らのアホーマンスの連鎖が、彼等集団に化学変化(核反応までには程遠いいが)を起し、アホーマンスがパフォーマンスに思えたのが、岡本太郎の巨大壁画への追加作品、等々であろうか。巷は、自称アーティストで溢れきっている。彼らの集団もメディアからアーティスト集合の要素として認知されたのかな?
本書では“みんなが観客でありながら表現者になりうる”という立場からアートの新しい形について語っている。さらに、同じ思想を持つ海外アーティストの紹介によって、”お騒がせ“アートが世界的に認められつつあることが分かる(”お騒がせ”アーティスト“は、かなり昔から欧米に存在した)。
より自由な表現をめざす彼らの心のキーワードは「志」であるという・・・なるほど、心の向うところか。志(こころざし)とは好い言葉ですね。それなら、われわれでも感じ取れる気がします。
メディア等に取り上げられて、或るタイプに型を嵌められたら、その、アーティスト集団の生命は失われるものである。Pay Attention!
彼等の”志”に☆5.
差、権力構造といったバリヤーを解体し、あらゆる事象をアート・ワールドに取り込もうとする戦略的思想性の高さにより、彼らのアホーマンスの連鎖が、彼等集団に化学変化(核反応までには程遠いいが)を起し、アホーマンスがパフォーマンスに思えたのが、岡本太郎の巨大壁画への追加作品、等々であろうか。巷は、自称アーティストで溢れきっている。彼らの集団もメディアからアーティスト集合の要素として認知されたのかな?
本書では“みんなが観客でありながら表現者になりうる”という立場からアートの新しい形について語っている。さらに、同じ思想を持つ海外アーティストの紹介によって、”お騒がせ“アートが世界的に認められつつあることが分かる(”お騒がせ”アーティスト“は、かなり昔から欧米に存在した)。
より自由な表現をめざす彼らの心のキーワードは「志」であるという・・・なるほど、心の向うところか。志(こころざし)とは好い言葉ですね。それなら、われわれでも感じ取れる気がします。
メディア等に取り上げられて、或るタイプに型を嵌められたら、その、アーティスト集団の生命は失われるものである。Pay Attention!
彼等の”志”に☆5.
2012年7月15日に日本でレビュー済み
現代アートに対して「理解できない」「過激すぎる」「不謹慎だ」的な批判はナンセンスだという意識はあった。
けれど、例えばカンボジアで撤去した地雷でブランド品や自身をかたどった石膏像を爆破する
「サンキューセレブプロジェクト アイムボカン」という作品を知ったときに、
「この人たちはカンボジアの歴史とかポル・ポトの虐殺の背景とかどれくらい知ってるのかな?」程度の反感をもった記憶はある。
(ちなみにこの本では、ポル・ポト虐殺のごく基礎的な概要や、彼らが現地で知り合った地雷とともに暮らす住人たちの生声を伝えることによって、そうした最低限の反感は取り除かれる)
なので、本書を読む前に「Chim↑Pom」に対して抱いていた印象は、
「奇抜で過激なことをする若い人たちで、やってることに興味はあるものの、過激さを売りにしているようでやや抵抗がある」くらいで、
「まあ一応そういう過激なことをする人たちの主張を知っとかないと」といった気持ちで読み始めたのだけど、
これが意外にも、すごくまっとうな現代アートの案内本で、いい本だった。
たぶん彼らの作品でいちばん有名なのは、渋谷駅構内にある岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」に
福島第一原発の原子炉建屋が爆発した様子を描いた絵を付け足した「LEVEL7 feat.『明日の神話』」だと思う。
本書の前半は、それ以外にも「Chim↑Pom」がこれまで行なってきた様々なパフォーマンス、発表してきた作品の紹介をとおして、
彼らがどういったスタンスで活動しているのか、個々の作品にはどんな意図があったのかが丁寧に語られる。
その前半部分もそこそこ興味深いのだけど、個人的には彼らが世界各地の現代アーティストを紹介する後半部分が特に面白かった。
チェコ、ロシア、フランス、ロンドン、中国…世界にはいま、こんなに面白いことをする人たちがいるのかという興奮。
それは、「Chim↑Pom」がアーティストでありながら優秀なキュレーターでもあることを証明すると同時に、
理解できなくて過激で不謹慎でも、リアリティのある面白いアクションこそが現代アートなのだと思わされた。
「Chim↑Pom? ああ、あの過激で軽薄そうな…」「現代アート? ああ、あの難しくて意味不明な…」くらいに思っている人なら
間違いなく楽しめて勉強になる一冊です、と自省とともにお薦めさせていただきます。
ちなみに本書でも紹介されているグラフィティアーティスト、バンクシーの監督作
『 イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ 』はマジで傑作なので、未見の方はぜひ。
けれど、例えばカンボジアで撤去した地雷でブランド品や自身をかたどった石膏像を爆破する
「サンキューセレブプロジェクト アイムボカン」という作品を知ったときに、
「この人たちはカンボジアの歴史とかポル・ポトの虐殺の背景とかどれくらい知ってるのかな?」程度の反感をもった記憶はある。
(ちなみにこの本では、ポル・ポト虐殺のごく基礎的な概要や、彼らが現地で知り合った地雷とともに暮らす住人たちの生声を伝えることによって、そうした最低限の反感は取り除かれる)
なので、本書を読む前に「Chim↑Pom」に対して抱いていた印象は、
「奇抜で過激なことをする若い人たちで、やってることに興味はあるものの、過激さを売りにしているようでやや抵抗がある」くらいで、
「まあ一応そういう過激なことをする人たちの主張を知っとかないと」といった気持ちで読み始めたのだけど、
これが意外にも、すごくまっとうな現代アートの案内本で、いい本だった。
たぶん彼らの作品でいちばん有名なのは、渋谷駅構内にある岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」に
福島第一原発の原子炉建屋が爆発した様子を描いた絵を付け足した「LEVEL7 feat.『明日の神話』」だと思う。
本書の前半は、それ以外にも「Chim↑Pom」がこれまで行なってきた様々なパフォーマンス、発表してきた作品の紹介をとおして、
彼らがどういったスタンスで活動しているのか、個々の作品にはどんな意図があったのかが丁寧に語られる。
その前半部分もそこそこ興味深いのだけど、個人的には彼らが世界各地の現代アーティストを紹介する後半部分が特に面白かった。
チェコ、ロシア、フランス、ロンドン、中国…世界にはいま、こんなに面白いことをする人たちがいるのかという興奮。
それは、「Chim↑Pom」がアーティストでありながら優秀なキュレーターでもあることを証明すると同時に、
理解できなくて過激で不謹慎でも、リアリティのある面白いアクションこそが現代アートなのだと思わされた。
「Chim↑Pom? ああ、あの過激で軽薄そうな…」「現代アート? ああ、あの難しくて意味不明な…」くらいに思っている人なら
間違いなく楽しめて勉強になる一冊です、と自省とともにお薦めさせていただきます。
ちなみに本書でも紹介されているグラフィティアーティスト、バンクシーの監督作
『 イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ 』はマジで傑作なので、未見の方はぜひ。
2013年9月30日に日本でレビュー済み
Chim↑Pomのアートは嫌いじゃない。エリィのビジュアル的な魅力もあるかもしれない。小生意気で、でも目で追ってしまう魅力があると思う。
ネズミなんかは気持ち悪いし、あの「ピカッ」に関しては、タブーを犯せばアートだと勘違いしているのではないのかな?と思ったりもした。
でもこの本を読んで、非常に真摯であるとわかって安心した。後付けで真摯風にしてるのかもしれない。多分そのほうが正しいだろう。かっこいい文章を色々つくっちゃったのかも。でもいいや。アートなんて後付けが沢山できて、評論したい人が色々こねくりまわす余地があればあるほど面白い気もする。
この本を読んで思ったのは、それでも思っていたよりちゃんとしているということ。Chim↑Pom結成のきっかけとなったらしい会田誠だってこの間の森美術館で結構な物議を醸していたけれど、このくらいでいいんじゃないの?
アートだからという理由で叩かれなくて良いわけではない。逮捕だって場合によってはされるかもしれない。不満を持つ人と不快感を持った人はそれをあらわにした方がいい。「アートがわからない人ね」とか言われるかもしれないが、アートは万人にとってアートとは限らないもの。
若気の至りだったらここまで継続できないと思う。将来が楽しみだと私は思う。エリィさんが人生観変わったりおばあさんになったりしたときに、どういう風に爆発させていくのかしら。期待している。
なお、この本はChim↑Pomのことだけではなくて、後ろ半分は似たようなゲリラ的手法を取る現代アートの紹介になっていた。見に行くのは好きだけど、特に詳しくない私はそこも楽しめた。
ネズミなんかは気持ち悪いし、あの「ピカッ」に関しては、タブーを犯せばアートだと勘違いしているのではないのかな?と思ったりもした。
でもこの本を読んで、非常に真摯であるとわかって安心した。後付けで真摯風にしてるのかもしれない。多分そのほうが正しいだろう。かっこいい文章を色々つくっちゃったのかも。でもいいや。アートなんて後付けが沢山できて、評論したい人が色々こねくりまわす余地があればあるほど面白い気もする。
この本を読んで思ったのは、それでも思っていたよりちゃんとしているということ。Chim↑Pom結成のきっかけとなったらしい会田誠だってこの間の森美術館で結構な物議を醸していたけれど、このくらいでいいんじゃないの?
アートだからという理由で叩かれなくて良いわけではない。逮捕だって場合によってはされるかもしれない。不満を持つ人と不快感を持った人はそれをあらわにした方がいい。「アートがわからない人ね」とか言われるかもしれないが、アートは万人にとってアートとは限らないもの。
若気の至りだったらここまで継続できないと思う。将来が楽しみだと私は思う。エリィさんが人生観変わったりおばあさんになったりしたときに、どういう風に爆発させていくのかしら。期待している。
なお、この本はChim↑Pomのことだけではなくて、後ろ半分は似たようなゲリラ的手法を取る現代アートの紹介になっていた。見に行くのは好きだけど、特に詳しくない私はそこも楽しめた。