憲法のさまざまな条文に触れられており、本書を読めば、憲法の基本的な論点はカバーされています。木村の論理的な憲法理論に対して、具体的な事例をもとに問題点を指摘する橋下、おおむね、うまく噛み合っています。企画も含めて、編集者が優秀だと思いました。
憲法は国家を縛るものですが、権力不在による無秩序は最悪。縛るだけでなく、権力を行使する方向も必要だという橋下と、現状はそこまでおかしくないので、もし変えるなら国民によってであり内閣の勝手な解釈ではないという木村。ここで権力とは、例えば内閣による最高裁判官の人事権や、自衛権だったりします。
私個人としては、橋下の議論は軍事的なことでなければとても面白いと思いますけど、安全保障とか軍事とかになると、危なっかしい。木村は論理明晰ですが、やはり国際的な視点で安全保障や軍事を語るような研究者ではない。私たちの現実的な安全保障を考える上では物足りない。しかし書籍としての価値は十分に高いと思います。
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憲法問答 単行本 – 2018/10/20
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憲法改正に関する議論は、これから国民単位で語られる重要なテーマ。
ほかにも君が代問題、死刑制度の是非など、
法にまつわる課題は山積している――。
前大阪市長の橋下徹と、憲法学者の木村草太が繰り広げる「憲法問答」から、
この国のあるべき姿、国際社会との協調においていかなる道を
歩むべきなのかが浮かび上がってくる。
10時間以上に及ぶ対談で白熱した議論は、
対立構造や二元論を超えた、深みある“憲法論"となった。
憲法を拠り所に権力行使の方法を模索した首長時代の橋下徹。
政治家時代、権力者を縛ることができる憲法の力を実感したという。
憲法学者として高い発信力を備える木村草太。
「究極の権力者とは国民一人ひとり」だと語る。
互いに考えや意見の異なる部分はあるが、法律家として共鳴し合う部分は多い。
異なる立場の相手と語り合うことで、相互理解を深め
現実と悩みながら、理想論を超えた議論に発展する。
「改憲」「護憲」という二者択一でなく、
多様な考え方を認め合い、議論することの重要性。
この国をよりよくしたいと願う、すべての日本人必読の一冊!
【目次】
まえがき/木村草太
序章/対談後、アフタートーク
第1章/憲法に何を書いてはいけないのか
・政治家は憲法を読んでいない?
・憲法は国に対する義務規定
・「法律婚尊重」の不平等性
・間接適用説を知らない国会議員
第2章/本当の「立憲」の話をしよう
・権力の縛り方
・立憲とは憲法を拠り所にすること
・「法の支配」とは
・最高裁人事を内閣が選ぶのは政治介入?
・教科書採択とルール
・文楽発言の真意
・ダメなやつを辞めさせるのが民主主義
第3章/地方と憲法
・大阪都構想での住民投票
・辺野古移設問題と憲法
・解決のカギは手続法
第4章/9条との対話1─「当てはめ」か「解釈」か
・あまりにも憲法ありき?
・自衛権の定義とは?
・サイバー攻撃と新しいルール作り
・72年見解は「遺産」なのか?
第5章/9条との対話2─「軍」なのか「行政」か
・日本には軍の規則がない?
・どうなる、集団的自衛権
・自民党の改憲案について考える
第6章/「 護憲」「改憲」の二元論を超えて
・実は根拠のない内閣の解散権
・憲法裁判所の必要性
・国民に付すべきか、付さぬべきか
・「鍵」として機能する憲法
・憲法は権力を動かすか
あとがき/橋下徹
ほかにも君が代問題、死刑制度の是非など、
法にまつわる課題は山積している――。
前大阪市長の橋下徹と、憲法学者の木村草太が繰り広げる「憲法問答」から、
この国のあるべき姿、国際社会との協調においていかなる道を
歩むべきなのかが浮かび上がってくる。
10時間以上に及ぶ対談で白熱した議論は、
対立構造や二元論を超えた、深みある“憲法論"となった。
憲法を拠り所に権力行使の方法を模索した首長時代の橋下徹。
政治家時代、権力者を縛ることができる憲法の力を実感したという。
憲法学者として高い発信力を備える木村草太。
「究極の権力者とは国民一人ひとり」だと語る。
互いに考えや意見の異なる部分はあるが、法律家として共鳴し合う部分は多い。
異なる立場の相手と語り合うことで、相互理解を深め
現実と悩みながら、理想論を超えた議論に発展する。
「改憲」「護憲」という二者択一でなく、
多様な考え方を認め合い、議論することの重要性。
この国をよりよくしたいと願う、すべての日本人必読の一冊!
【目次】
まえがき/木村草太
序章/対談後、アフタートーク
第1章/憲法に何を書いてはいけないのか
・政治家は憲法を読んでいない?
・憲法は国に対する義務規定
・「法律婚尊重」の不平等性
・間接適用説を知らない国会議員
第2章/本当の「立憲」の話をしよう
・権力の縛り方
・立憲とは憲法を拠り所にすること
・「法の支配」とは
・最高裁人事を内閣が選ぶのは政治介入?
・教科書採択とルール
・文楽発言の真意
・ダメなやつを辞めさせるのが民主主義
第3章/地方と憲法
・大阪都構想での住民投票
・辺野古移設問題と憲法
・解決のカギは手続法
第4章/9条との対話1─「当てはめ」か「解釈」か
・あまりにも憲法ありき?
・自衛権の定義とは?
・サイバー攻撃と新しいルール作り
・72年見解は「遺産」なのか?
第5章/9条との対話2─「軍」なのか「行政」か
・日本には軍の規則がない?
・どうなる、集団的自衛権
・自民党の改憲案について考える
第6章/「 護憲」「改憲」の二元論を超えて
・実は根拠のない内閣の解散権
・憲法裁判所の必要性
・国民に付すべきか、付さぬべきか
・「鍵」として機能する憲法
・憲法は権力を動かすか
あとがき/橋下徹
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日2018/10/20
- 寸法13 x 1.8 x 18.9 cm
- ISBN-104198647062
- ISBN-13978-4198647063
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商品の説明
著者について
橋下徹
1969年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、97年に弁護士登録。タレントとしても活動し、2008年より政界に参画。大阪府知事、大阪市長、大阪維新の会代表などを歴任し、15年に大阪市長任期満了で政界を引退。タレント復帰後は『橋下×羽鳥の番組』(テレビ朝日系)に出演するなど論客としても活躍。現在はAbemaTVで毎週木曜23時OAの『NewsBAR橋下』にレギュラー出演中。主な著書に『体制維新─大阪都』(文春新書・共著)、『橋下徹の問題解決の授業』(プレジデント社)、『政権奪取論強い野党の作り方』(朝日新書)などがある。
木村草太
1980年生まれ。憲法学者。東京大学法学部卒。同大学助手を経て、首都大学東京教授に就任。『報道ステーション』(テレビ朝日系)でコメンテーターを務めるなどテレビ出演多数。幅広い層に憲法学を発信している。著書に『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)、『憲法の急所』(羽鳥書店)、『未完の憲法』(潮出版社・共著)、『憲法の創造力』(NHK出版新書)、『憲法という希望』(講談社現代新書)、『子どもの人権をまもるために』『自衛隊と憲法これからの改憲論議のために』(ともに晶文社)、『社会をつくる「物語」の力』(光文社新書・共著)などがある。
1969年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、97年に弁護士登録。タレントとしても活動し、2008年より政界に参画。大阪府知事、大阪市長、大阪維新の会代表などを歴任し、15年に大阪市長任期満了で政界を引退。タレント復帰後は『橋下×羽鳥の番組』(テレビ朝日系)に出演するなど論客としても活躍。現在はAbemaTVで毎週木曜23時OAの『NewsBAR橋下』にレギュラー出演中。主な著書に『体制維新─大阪都』(文春新書・共著)、『橋下徹の問題解決の授業』(プレジデント社)、『政権奪取論強い野党の作り方』(朝日新書)などがある。
木村草太
1980年生まれ。憲法学者。東京大学法学部卒。同大学助手を経て、首都大学東京教授に就任。『報道ステーション』(テレビ朝日系)でコメンテーターを務めるなどテレビ出演多数。幅広い層に憲法学を発信している。著書に『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)、『憲法の急所』(羽鳥書店)、『未完の憲法』(潮出版社・共著)、『憲法の創造力』(NHK出版新書)、『憲法という希望』(講談社現代新書)、『子どもの人権をまもるために』『自衛隊と憲法これからの改憲論議のために』(ともに晶文社)、『社会をつくる「物語」の力』(光文社新書・共著)などがある。
登録情報
- 出版社 : 徳間書店 (2018/10/20)
- 発売日 : 2018/10/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 304ページ
- ISBN-10 : 4198647062
- ISBN-13 : 978-4198647063
- 寸法 : 13 x 1.8 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 368,396位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,367位社会・政治の法律
- カスタマーレビュー:
著者について
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上位レビュー、対象国: 日本
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2022年4月8日に日本でレビュー済み
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2021年9月27日に日本でレビュー済み
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「憲法をして政治を動かす」という視点には考えさせられた。
その視点からすれば、単に改憲か、改憲反対か?という二元論でなく、新しい議論の切り口が見える気がしたし、そのような考え方で自身も憲法について考えてみたいと感じた。
その視点からすれば、単に改憲か、改憲反対か?という二元論でなく、新しい議論の切り口が見える気がしたし、そのような考え方で自身も憲法について考えてみたいと感じた。
2021年2月15日に日本でレビュー済み
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読んでみて正解でした。
弁証法を用いて憲法の議論をそれぞれの立場から深めていく様子がとても新鮮でした。
また、対話形式なのでとてもスラスラと読み進むことができます。面白かったです
弁証法を用いて憲法の議論をそれぞれの立場から深めていく様子がとても新鮮でした。
また、対話形式なのでとてもスラスラと読み進むことができます。面白かったです
2019年9月19日に日本でレビュー済み
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立場、考えの異なる2人の対談を通して、互いに意見の相違もありながら、立憲や法の支配という共通認識のもと、より高い結論へ導こうとする弁証法的な対話が展開されていく。対話のお手本ともいうべき稀有な本。
もちろん、最後まで見解の相違から結論が持ち越されているところもある。
その中で立憲とは、憲法に則って権力を適切に行使させることであり、法の支配とは「ルールに基づいて」物事を決めていくことである。
今の憲法論議を見ていると、改憲派は「とにかく改憲だ」で、護憲派は「とにかく護憲だ」という認識が大勢を占めているように思われる。政治家にしても、改憲派は「国の理想を語るもの」「自分の理想を書き込む」のが憲法だと勘違いし、護憲派は「国家権力を縛る」ものが憲法だという狭い認識に立っている。
まずは、この本を読んで「立憲とはなんぞや」「法の支配とはなんぞや」というものを学ぶべきだろう。
特に昨今の憲法9条の論議についても、この本から学ぶことは多い。立憲と現状認識で考えるなら、改憲、護憲以前に、そもそも現状の国際情勢は、集団的自衛権の行使を禁じた72年の政府見解で対応できないものなのか?憲法の解釈変更が必要なのか?その解釈は憲法違反にならないのか?集団的自衛権の行使は現行憲法に照らして違憲にならないのか?本当に9条の改憲が必要なのか、否か?など。
これらを現状と将来、予測される国際情勢に対応した上で判断しなければならない。このような熟議をして、それでも改憲が必要だとなって、初めて国会発議、国民投票、9条改憲の実現となる。本書で木村氏が指摘するように現状で止むを得ず集団的自衛権に類する武力行使をした場合でも、憲法に照らして事後検証が必要だろう。
それなのに改憲派は「国際情勢の厳しさ」「時代に合わせた改憲を」などと抽象的な理由を並べ、護憲派は「平和主義を守れ」とこれまた抽象的な理由で議論がかみ合っていない。やはり、ここでも「立憲とはなんぞや」「法の支配とはなんぞや」という認識に立ち、悩みながら憲法と対話していくべきだろう。
さらに、この本を読んで今の憲法の弱点として、権力に憲法規範を順守させる強制力が弱いことを痛感した。現行憲法では、違憲審査制はあるものの、司法は具体的事件の解決に限り違憲審査をするという付随的違憲審査であり、たとえ憲法違反の法律があったとしても、国会がその条文を削除しなければ法律は失効しない。
例えば現代版治安維持法と呼ばれる「テロ等準備罪」は、成立時の法相の説明では双眼鏡と地図を持っている場合は捜査対象となり、盗聴や監視などプライバシーの侵害を起こす可能性がある。「バードウォッチングかもしれない行為」で、「テロ等の準備行為」と捜査当局に判断されてしまう可能性がある。
自民党の2012年改憲草案の「公益」による人権制限が実現したら、時の政府に都合の悪い思想の持ち主も摘発されうる。「天皇制および私有財産制を否定する準備行為」を根拠として、反戦などの思想犯を取り締まった、かつての治安維持法のようになる可能性すらあるのだ。これも、現行憲法下では具体的な事件が起きなければ違憲審査の対象にならず、さらに国会が条文を削除しなければ法律であり続けるのだ。
つまり、戦前のドイツのワイマール憲法や明治憲法の「悪法も法なり」という法治主義的な側面が否めず、不当な権力行使によって国民の命が奪われてからでは本末転倒である。テロ等準備罪の最高刑を法改正で死刑にしてしまえばよいのだから。そうでなくとも、無実の罪で収監中に亡くなるという可能性もある。そうなってから違憲審査では遅いのだ。
もちろん、このような付随的違憲審査制には熟議をするメリットもあるのだが、上記のような国民の生命に関わるようなこともありうるので、橋下氏が言っていた憲法裁判所を設置するための改憲案は、国民的な議論に値すると思う。
これは私案であるが、憲法裁判所を設けて、すべての法律について違憲審査をするのではなく、国民から提起された事案や、現行憲法の三大原則に関わるような重大事案だと当該裁判所で判断されたものに限って違憲審査をする。これは具体的な事件がなくとも違憲審査ができるようにし、違憲と判断された法律は当該裁判所の命令で失効されるような改憲条文を考えてもよいのではないか。もっとも、今の自民党・公明党の連立政権はやりたがらないだろうから、今の野党による政権交代が実現したときに検討すべき改憲案だろう。
また、本書の最後の方で、教育無償化などを憲法改正で実現して、立憲により「権力を積極的に動かしていく」という考え方は、目からウロコだった。それを生活保護法の根拠となる憲法25条をもちいて説明している部分は非常に分かりやすく、所得制限を考慮すべきではないかとの理由から、全面的に賛成はできないものの、教育無償化を憲法に書く意義を理解するきっかけになった。
いずれにしても、対話のお手本ともいうべき本書から、立憲や法の支配の本質を学ぶことができて大変勉強になった。本書の対話で結論が出なかった部分についても、多くの人に本書を読んで考えてもらいたいし、いち素人である私も憲法と対話しながら悩み、考え、これからの憲法論議の糧にしたい。
もちろん、最後まで見解の相違から結論が持ち越されているところもある。
その中で立憲とは、憲法に則って権力を適切に行使させることであり、法の支配とは「ルールに基づいて」物事を決めていくことである。
今の憲法論議を見ていると、改憲派は「とにかく改憲だ」で、護憲派は「とにかく護憲だ」という認識が大勢を占めているように思われる。政治家にしても、改憲派は「国の理想を語るもの」「自分の理想を書き込む」のが憲法だと勘違いし、護憲派は「国家権力を縛る」ものが憲法だという狭い認識に立っている。
まずは、この本を読んで「立憲とはなんぞや」「法の支配とはなんぞや」というものを学ぶべきだろう。
特に昨今の憲法9条の論議についても、この本から学ぶことは多い。立憲と現状認識で考えるなら、改憲、護憲以前に、そもそも現状の国際情勢は、集団的自衛権の行使を禁じた72年の政府見解で対応できないものなのか?憲法の解釈変更が必要なのか?その解釈は憲法違反にならないのか?集団的自衛権の行使は現行憲法に照らして違憲にならないのか?本当に9条の改憲が必要なのか、否か?など。
これらを現状と将来、予測される国際情勢に対応した上で判断しなければならない。このような熟議をして、それでも改憲が必要だとなって、初めて国会発議、国民投票、9条改憲の実現となる。本書で木村氏が指摘するように現状で止むを得ず集団的自衛権に類する武力行使をした場合でも、憲法に照らして事後検証が必要だろう。
それなのに改憲派は「国際情勢の厳しさ」「時代に合わせた改憲を」などと抽象的な理由を並べ、護憲派は「平和主義を守れ」とこれまた抽象的な理由で議論がかみ合っていない。やはり、ここでも「立憲とはなんぞや」「法の支配とはなんぞや」という認識に立ち、悩みながら憲法と対話していくべきだろう。
さらに、この本を読んで今の憲法の弱点として、権力に憲法規範を順守させる強制力が弱いことを痛感した。現行憲法では、違憲審査制はあるものの、司法は具体的事件の解決に限り違憲審査をするという付随的違憲審査であり、たとえ憲法違反の法律があったとしても、国会がその条文を削除しなければ法律は失効しない。
例えば現代版治安維持法と呼ばれる「テロ等準備罪」は、成立時の法相の説明では双眼鏡と地図を持っている場合は捜査対象となり、盗聴や監視などプライバシーの侵害を起こす可能性がある。「バードウォッチングかもしれない行為」で、「テロ等の準備行為」と捜査当局に判断されてしまう可能性がある。
自民党の2012年改憲草案の「公益」による人権制限が実現したら、時の政府に都合の悪い思想の持ち主も摘発されうる。「天皇制および私有財産制を否定する準備行為」を根拠として、反戦などの思想犯を取り締まった、かつての治安維持法のようになる可能性すらあるのだ。これも、現行憲法下では具体的な事件が起きなければ違憲審査の対象にならず、さらに国会が条文を削除しなければ法律であり続けるのだ。
つまり、戦前のドイツのワイマール憲法や明治憲法の「悪法も法なり」という法治主義的な側面が否めず、不当な権力行使によって国民の命が奪われてからでは本末転倒である。テロ等準備罪の最高刑を法改正で死刑にしてしまえばよいのだから。そうでなくとも、無実の罪で収監中に亡くなるという可能性もある。そうなってから違憲審査では遅いのだ。
もちろん、このような付随的違憲審査制には熟議をするメリットもあるのだが、上記のような国民の生命に関わるようなこともありうるので、橋下氏が言っていた憲法裁判所を設置するための改憲案は、国民的な議論に値すると思う。
これは私案であるが、憲法裁判所を設けて、すべての法律について違憲審査をするのではなく、国民から提起された事案や、現行憲法の三大原則に関わるような重大事案だと当該裁判所で判断されたものに限って違憲審査をする。これは具体的な事件がなくとも違憲審査ができるようにし、違憲と判断された法律は当該裁判所の命令で失効されるような改憲条文を考えてもよいのではないか。もっとも、今の自民党・公明党の連立政権はやりたがらないだろうから、今の野党による政権交代が実現したときに検討すべき改憲案だろう。
また、本書の最後の方で、教育無償化などを憲法改正で実現して、立憲により「権力を積極的に動かしていく」という考え方は、目からウロコだった。それを生活保護法の根拠となる憲法25条をもちいて説明している部分は非常に分かりやすく、所得制限を考慮すべきではないかとの理由から、全面的に賛成はできないものの、教育無償化を憲法に書く意義を理解するきっかけになった。
いずれにしても、対話のお手本ともいうべき本書から、立憲や法の支配の本質を学ぶことができて大変勉強になった。本書の対話で結論が出なかった部分についても、多くの人に本書を読んで考えてもらいたいし、いち素人である私も憲法と対話しながら悩み、考え、これからの憲法論議の糧にしたい。
2020年12月30日に日本でレビュー済み
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木村草太に橋下徹って絶対わかり合えない組合わせが、なりたつのかと思ったら案の定、橋下さんは言いたい放題で、木村さんは、学者らしくあしらっている。橋下氏は、手続的保障こそが民主主義といい、木村さんも同調するのだが、多数決を政治家の正当化のための原理と誤解しているように思います。話がかみ合う様子はないままなので、問答で内容が深まることはないように思うが、維新議員は憲法を知らないとか、総務省が大阪住民投票を求めた経緯とか、日本の政治家は憲法理念や憲法原理と無縁なところで動いている様子はわかる。民衆の運動こそが憲法的価値なんだということも分かります。
2018年10月22日に日本でレビュー済み
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右代表と見なされがちな橋下氏と、左代表と見なされがちな木村氏の対談本です。
この両者が、法の論理の上に、とても建設的で具体的なコミュニケーションを行っています。
控えめに言っても、とても面白かったです。内容も知的刺激が多く勉強になりました。あわせて、橋下氏が法と論理や根拠に基づく判断を非常に重視する、本当の意味で立憲的でルールを大切にしている稀有な政治家であること、木村氏が政治権力に対し、理想論のみならず具体的かつ建設的な提言・対話ができる能力を持つ稀有な法学者であることも、よくわかりました。
また、本書は、「価値観の違う人同士の議論は、こういう感じでやるのが望ましい」という教科書としてもすばらしい本だと思います。
橋下氏と木村氏はそれぞれ異なる政治思想をもっていますが、両者は法や論理を通し、とても建設的で意義のある話し合いを行っています。
これ自体が、コミュニケーションの本来あるべき姿として、とても良いモデルケースとなっているのです。
世の中、生産的でも建設的でもない言い争いというか、しょうもない党派対立ばかりやってる人が多くいます。
そういう人たちには特に、この橋下氏と木村氏のようなコミュニケーションのやり方を見習ってほしいなと感じました。私自身も、この二人のようなやり方を見習っていきたいですし、「こういう建設的なコミュニケーションのやり方もあるんだよ」ということを伝えていきたいなとも思いました。
(あと、橋下氏の「政治家でも、憲法の勉強を(最低限のレベルでも)やってない人が多い」という趣旨のコメントには「議員って法律作るのが仕事なのに、そんな議員がたくさんいるのか・・・」と少し驚きました。
たしかに、政治家は選挙に受かるのが第一目的になりがちなので、最低限の憲法の勉強すらしてない政治家が出てきても仕方ないのかもしれませんね。
政治家は忙しい仕事ですが、「最低限でも憲法を勉強しないと恥をかくし、大した議論もできず出世できない」みたいな風潮が議員の間で広まれば、憲法はじめ法律を勉強する議員が増えるかもなあと思いました。)
左の人も右の人も、特に政治思想のない人も、全員が楽しめる本だと思います。
少なくとも、政治家や政治家志望の人は、本書を読んどいたほうがいいでしょう。おすすめです。
この両者が、法の論理の上に、とても建設的で具体的なコミュニケーションを行っています。
控えめに言っても、とても面白かったです。内容も知的刺激が多く勉強になりました。あわせて、橋下氏が法と論理や根拠に基づく判断を非常に重視する、本当の意味で立憲的でルールを大切にしている稀有な政治家であること、木村氏が政治権力に対し、理想論のみならず具体的かつ建設的な提言・対話ができる能力を持つ稀有な法学者であることも、よくわかりました。
また、本書は、「価値観の違う人同士の議論は、こういう感じでやるのが望ましい」という教科書としてもすばらしい本だと思います。
橋下氏と木村氏はそれぞれ異なる政治思想をもっていますが、両者は法や論理を通し、とても建設的で意義のある話し合いを行っています。
これ自体が、コミュニケーションの本来あるべき姿として、とても良いモデルケースとなっているのです。
世の中、生産的でも建設的でもない言い争いというか、しょうもない党派対立ばかりやってる人が多くいます。
そういう人たちには特に、この橋下氏と木村氏のようなコミュニケーションのやり方を見習ってほしいなと感じました。私自身も、この二人のようなやり方を見習っていきたいですし、「こういう建設的なコミュニケーションのやり方もあるんだよ」ということを伝えていきたいなとも思いました。
(あと、橋下氏の「政治家でも、憲法の勉強を(最低限のレベルでも)やってない人が多い」という趣旨のコメントには「議員って法律作るのが仕事なのに、そんな議員がたくさんいるのか・・・」と少し驚きました。
たしかに、政治家は選挙に受かるのが第一目的になりがちなので、最低限の憲法の勉強すらしてない政治家が出てきても仕方ないのかもしれませんね。
政治家は忙しい仕事ですが、「最低限でも憲法を勉強しないと恥をかくし、大した議論もできず出世できない」みたいな風潮が議員の間で広まれば、憲法はじめ法律を勉強する議員が増えるかもなあと思いました。)
左の人も右の人も、特に政治思想のない人も、全員が楽しめる本だと思います。
少なくとも、政治家や政治家志望の人は、本書を読んどいたほうがいいでしょう。おすすめです。
2020年6月22日に日本でレビュー済み
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憲法に書かれていない事柄について、時代の変化や周りの状況の変化でどの様に読み込み、解釈するかという微妙なことを問答という形式で提示し、理解の手助けを橋下、木村両氏にしてもらい、モヤモヤが整理できた。
近々の韓国、北朝鮮そして中華人民共和国の政治姿勢並びに彼らの向かってゆく方向を見た時、シンプルに軍事力を
どうするか、国民皆で考え、対処する必要があると考えさせられた。
近々の韓国、北朝鮮そして中華人民共和国の政治姿勢並びに彼らの向かってゆく方向を見た時、シンプルに軍事力を
どうするか、国民皆で考え、対処する必要があると考えさせられた。
2018年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
左右問わず必読すべき本だと思います。
大阪市とサンフランシスコとの
関係が慰安婦像によって悪化しましたが
あの件は
慰安婦(というか戦争によって引き起こされた諸外国全ての被害女性)問題を日本という枠に
狭めることなく
"全世界が考え二度と繰り返さないと戒める悲劇"
その旗手に我が国がなれるチャンスだっと個人的に思ってましたし
この本を読んで強くそれを再確認しました。
橋下さんと関わりの深い市長だったのに
非常に勉強不足かつ残念です。
相手の立場を尊重しつつ互いの意見の相違を話し合いで
積み上げていく大切さをこの本で学びました。
若ければ若い人ほど必読すべき名著だと思います。
大阪市とサンフランシスコとの
関係が慰安婦像によって悪化しましたが
あの件は
慰安婦(というか戦争によって引き起こされた諸外国全ての被害女性)問題を日本という枠に
狭めることなく
"全世界が考え二度と繰り返さないと戒める悲劇"
その旗手に我が国がなれるチャンスだっと個人的に思ってましたし
この本を読んで強くそれを再確認しました。
橋下さんと関わりの深い市長だったのに
非常に勉強不足かつ残念です。
相手の立場を尊重しつつ互いの意見の相違を話し合いで
積み上げていく大切さをこの本で学びました。
若ければ若い人ほど必読すべき名著だと思います。